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私は秋田の短大卒業後、専門校に入校しました。教授は専門校の卒業生でしたが、陶芸で暮らしていくのは現実的に、ましてや窯元ではない一般家庭の子はなかなか難しいと率直に教えてくださったので、十年前の目標はできるだけ陶芸に携わりながら自立した生活を送ることでした。専門校の先生に今の窯元を紹介していただき、そこで働くようになってから今年で八年目になりますが、その目標を継続できるように日々頑張っています。
専門校でも窯元の見学に行くことは何度かありましたが、いざ自分が長年働いている職人さんに仕事を教わるのは、想像よりもはるかに緊張しました。私は職人さんお二方にお世話になりましたが、失敗しても最初から上手くできるわけないんだからと、一度も怒らず根気よく指導していただきました。
力加減の差で歪みだすタタラ成形や変なところがひび割れる置物、なぜか溶けきらない楽焼など・・・。今でも一番不安なのは炎の色が曖昧な冷却還元ですが、八年も経つとさすがに落ち着いてきます。
短大の時にお世話になっていた方には、あなたにとっては100個の内の1個かもしれないけど、お客さんにとってはその1個しかないんだから大事に作ったほうがいいよと言われて、学生の時の私はただ早く課題を終わらせたくて、意味をきちんと理解していなかったと思いますが、実際に働く今になってその言葉が身に染みます。
十年経ってみて書けることは、今まで指導してくれた方々への感謝です。自分は着実に仕事を続けていこうと思います。
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