「地球温暖化対策プラン」第1回検討会議議事録
1 日時
平成18年7月19日(水曜)午後3時から午後4時30分
2 場所
オムロン研修センター 研修室1
3 議事
(1)京都府地球温暖化対策推進計画(案)について
(2)平成18年度地球温暖化対策プランの改訂について
(内容については事務局から説明)
4 主な意見(・は検討メンバーの意見、→は事務局の回答等)
自転車利用について
- 昨年10月ドイツの大学の先生と、持続可能な発展に関するワークショップを行い、その中で、自転車をはじめインラインスケート等自力運動器具を使ったデモンストレーションを行った。
ドイツでは「コール・ア・バイク」という貸し自転車システムというシステムがある。これは、駅前に置いてある自転車を誰でもが利用でき、どこででも乗り捨てできるというシステム。誰が乗っても良いように、自転車は頑丈に作られている。また、どこで乗り捨てられても良いようにGPSも装備されている。
府においても、観光客向けにこのような仕組みがあればおもしろいのではないか。
- 自転車については、専用道路の整備を検討いただきたい。確かに難しいところはあるが、これが実現すれば付随的に様々なシステムができあがる。
*「コール・ア・バイク(Call a Bike)」
ドイツ鉄道が、ベルリン、ケルン、フランクフルト、ミュンヘンの4都市で実施している自転車レンタルサービス。
・ホットラインに電話をし、クレジットカード番号を告げて最低5オイロのクレジットを先払
・使用時:自転車に書いてある電話番号に電話し、ロックの解除番号を貰う
・返却時:最寄りの交差点にロックし、スクリーンに出てきたレシート番号と停車位置を再び電話連絡
・レンタル料金は:1分7セント(カジュアルユーザー)、1日15ユーロ、1週間60ユーロ)
環境マネジメントシステムについて
- KESはマネジメントシステムであり、専門家と中小企業とのやりとりを重視しているため、インターネット活用には違和感を覚える。
→ 現在のKESのマニュアルは冊子ベースであり、読んでみないとわからないという点が問題。ビジュアルにKES導入効果等を示し、中小企業の意欲を湧かせる仕掛けを作りたいと考えており、そこにインターネットを活用しようとする趣旨である。
- 周知のツールとしてインターネットを活用するのであれば理解できる。京のアジェンダ21フォーラムでも同趣旨から冊子を作成しており、それも併せて配布するなど、連携して取り組んでいただきたい。
- KES導入効果を測るツールについてKES認証事業部事業部と相談しているところである。今年度末までに作りたいと考えており、府と連携して進めていきたい。
- イギリス・ドイツに中小企業向けの環境マネジメントシステムがあるが、特にイギリスの方は日本にとって参考となる。
低公害車の普及について
- 対策評価指標として低公害車の普及台数に関する目標が記載されているが、これは1年間での目標か。
→ 特に断りがない限り、計画の期間である5年間の目標としている。低公害車は年間5万台程度増えていく見込みにより目標を設定した。低公害車の中に天然ガス自動車も含まれるが、現在府内に天然ガススタンドが9箇所あり、今後物流業者中心に積極的に普及させたいという思いから、天然ガス自動車の対策評価指標も記載している。
住宅環境性能評価について
- 住宅環境性能評価員の意義は理解できる。現在、経済産業省のローエネルギーハウスに係る委員会の事務局を務めているが、その議論の中で、環境性能をラベルや等級等により可視化することが必要との意見が出ている。その場合業務用・住宅ともに同じ尺度が必要である。
また、可視化とともに、普及策を検討する必要がある。前述のラベルや等級等に応じて市場で有利になるとか低利融資が受けられるとか、何かインセンティブが働かないと普及は難しい。自発的な動きに任せるのでは限界があり、評価員制度とともに、行政による施策として普及策を検討いただきたい。
→ 現在京都府版CASBEEを検討中。ランク付けや認証制度などにより施策として普及策を展開していきたい。インセンティブの必要性は認識している。
- 昨年、環境省の委託を受け、京都府地球温暖化防止活動推進センターにおいて住宅の環境配慮度に係るプログラムを開発した。建築主がプログラムに入力し、結果を施主に見せることができるツールである。
- 京都版CASBEEについては、実際に「現場で使える」ものにしていただきたい。 2003年の省エネ法改正により大規模建築物(非住宅)についてPAL(年間熱負荷係数)とCEC(エネルギー消費係数)の届出が必要となり、今年度の改正により大規模住宅も対象となった。大手ハウスメーカーは専門家を抱えているからよいが、地域の工務店は大変である。専門知識がなくても使えるシステムにしていただきたい。
- 今後、モデルケースとして、公的資金の導入により耐久性・断熱性向上等省エネ改修を進めるといったことができないか。京都のように伝統的な街について率先実行するのは大変シンボリックな取組となる。
「京都版グリーンシティ構想」について
- 「京都版グリーンシティの推進」は産学官コンソーシアム的なものを想定されているのか。
→ 京都で培われている産学官連携の素地を利用するということ。ビジネスの場としての「グリーンシティ」と考えていただきたい。
- 「グリーンシティ」はデンマークが実施している。デンマークでは、国際協力の一環として、マレーシアの大学に資金投入して太陽光発電等新エネルギーの普及推進センターを設立した。
- 7月初旬に中国に行った際、中国では環境意識が大変低いと感じた。中国が世界の環境問題を握っているように思う。北京ではオリンピックを睨んで温室効果ガスの削減目標を掲げ、頑張っているが、国全体の雰囲気を見るとなかなか難しいと思う。
府として中国の環境ビジネスに関する情報を府内に提供することも有益ではないか。
公共交通機関の利用促進について
- 自動車分野での取組に対する意識付けを行うのがモビリティマネジメントである。現在はモビリティマネジメントといっても表面的になっており、個人だけでなく、企業や学校教育に訴えかけ、幅広い展開を検討していただきたい。資料「地球温暖化対策プラン(17年度版)」でモビリティマネジメントが(自動車等の項目ではなく)「地域や家庭等における環境の意識づくり」のもとに掲載されているのも、同様の趣旨であると思われ、評価できる。
- 京都市内の商店街が国交省の補助金を受け、ピタパカード等ICカードと連携して、公共交通機関を使うと運賃を商品代金から差し引くというシステムを始める。阪急・京阪、10月からJRも加わる。京都市内だけでなく長岡京市等にも広がる。商店街も販売促進になるというので喜んでいる。人が「いいことだ、やってみよう」という気になるような仕掛けが必要。
環境教育について
- 新任教師に対する研修とのことだが、経験上、新任教師ではなく校長に働きかける方が効果的と考える。
保育園に太陽光発電パネルと雨水タンクを設置して、「一緒に勉強しませんか」と隣接している小学校にも声をかけたところ、校長に「時間外になるからできない」と一蹴されたことがある。校長先生を動かせるかどうかが鍵。
雨水タンクを設置したところで、しっかりとその意義が理解された上で活用されているかどうかを調査したNPOの方曰く「設置しただけでは駄目。どう使いこなすか、だ」とのこと。
- 府民参加型自然エネルギーの設置事業に私は3年関わったが難しい。市町村や地域と一緒に進めるには時間がかかる。1年では結果が出せなかった。金・場所・支援体制・市町村担当者の意識、これらの課題を踏まえて立て直しをすべき。
その他
- 市民レベルでの風車設置に取り組んでいる。事業者においても風力発電に取り組みたいという話を何件か聞いているが、その設置希望地が府自然公園の拡大予定地の一部に入っている。自然公園の意義を否定するものではないが、京都府の地球温暖化対策という観点から府で調整できないか。
- アクションプランの1年という計画期間で何かをやるのは難しい。特に仕組みづくりは難しい。府の担当者や小学校の先生の熱意とかで変わる。