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第2章において「基本コンセプト」をベースに具体的な利活用機能や修復・整備のイメージを述べたが、その実現に当たっては、京都府において以下の諸点に留意される必要がある。
基本コンセプトをはじめ随所で強調しているところであるが、重ねて「旧本館」が重要文化財として存在すること自体に、重要な価値があることを再確認しておきたい。
「旧本館」は現在、府庁舎の一部として機能しており、この機能が今後も存続していくことを前提とした。
これは、庁舎の新たな拡充が困難であるとの「消極的見地」からではなく、むしろ今後も庁舎の一部として機能していくことが、「基本コンセプト」の実現において適切であるという「積極的見地」から考えているものであることを重視されたい。
第2章で述べている内容は、「旧本館」のいわば最終的な「利活用機能」とそのための「修復・整備」に関するいくつかの「提案」であり、できるだけ早期の「実現」を期待するが、ハード面ばかりでなくソフト面を含めると、すべてが一挙に「実現」出来るとは考えていないことに留意されたい。このことを念頭にいくつかの具体的な「留意点」を指摘しておきたい。
(1)第2章第8節の「整備の進め方」で述べているように「整備期間中」も条件の許す限り、「文化財の保存と復原の教科書として」活用するよう配慮されたい。
(2)これも本報告書自体が述べているところであるが、「実現」出来るものから「利活用」を開始するよう留意されたい。
(3)第2章第3節は<具体的な利活用イメージ>という表題が示すとおり、いくつかの「イメージ」を示したものであり、これ以外の「利活用」策を否定してはいないことに留意されたい。
したがって、「基本コンセプト」に合致すると判断される場合は、この報告書には述べられていない事項も随時検討して、より豊かな「利活用」策が実行されることを期待する。
比喩的な表現をすれば、「歩きながら考え、考えながら歩く」という態度で、いっそう豊かで、将来を見据えた新たな「地方自治」を進める「府民に開かれた府庁のシンボル」としての機能を果たすことが期待される。これは新たな「府政」の「シンボル」にもつながるとも解される。
(4)府の「庁舎」として、どのような部門の府の機関が入るかについては、「基本コンセプト」と<具体的な利活用イメージ>とを念頭に、これに最も適切な部門が入るよう留意されたい。
(5)第2章第5節の「管理運営方法」のあり方については、多くを今後の検討課題として指摘しているに止めている。とりわけ、最終的な管理は京都府にあることを前提としつつ、(3)の「運営組織」については、今後、最も適切な「運営組織」が置かれるよう特に留意されたい。
(6)第2章末尾の第9節は、本報告書自体が「留意」されたいという表現をとっているとおり、今後の「利活用」の具体化の中で、その「利便性」を高めるという視点もあるが、「国の重要文化財」としての価値を損ねないという視点を特に重視されたい。
本委員会では、旧本館が府民に親しまれ開かれた利活用の場となることを願い、三つの基本コンセプトを定め本報告書を作成した。もとより各委員からは様々な意見もあり、全てをこの報告書の中では表しきれていない。表現も現時点では、あえて抽象的なものにとどめたものもある。
この旧本館は創建以来無火災で、当時の姿をとどめたまま100年にわたって、京都府の歴史と府民の生活とともに歩んできたかけがえのない府民の財産である。これを次の100年に向かって府民に開かれた府庁のシンボルとして、京都府において利活用の具体化に向けての更なる検討を進めるなど、積極的かつ継続的に取り組まれるよう期待する。
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