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茶業研究所では、肥効を予測できるプログラムを開発し、予測に基づいて被覆肥料を利用した効率の良い施肥体系を確立しました。茶の木がむだなく肥料を吸収できるように工夫すれば、少ない肥料で環境に負荷をかけずに品質の良い茶をたくさん生産できるうえに、労力を軽減することができます。
下の写真に、3種類の肥料の写真を示しました。
1、2被覆肥料、3、4化成肥料、5油かす です。
化成肥料にはN、P、Kの入った複合肥料(写真4)と硫安(写真3)などの単肥があります。化成肥料は施用と同時に作物に吸収されやすくなりますが、雨で流亡しやすいので、茶樹が必要な肥料成分を土壌中に維持するためには、追肥の回数を増やす必要があります。
油かす(写真5)のような有機質肥料は茶の栽培に欠かせない肥料ですが、特に春先等の低温期に施用した場合、肥料成分の溶出が不安定になります。
一方、被覆肥料は、化成肥料を薄膜で被覆し、肥料の溶出速度、量、および肥効期間を調節した肥料で、濃度障害が出にくく、追肥回数の削減や、降雨による溶脱が少なくなるといった特性を持っています。このことから、茶樹の生育に合わせて養分の溶出をコントロール出来るので、収量、品質の向上が可能となります。
写真1 シグマコート(被覆肥料) | 写真2 LPコート(被覆肥料) | 写真3 硫安(化成肥料) | 写真4 燐加安(化成肥料) | 写真5 油かす(有機質肥料) |
いくつかの肥料について調査した結果から、肥効パターンを計算できるプログラムを組み立てました。肥料の種類、予測したい期間などを選べば、溶出・無機化速度とその積算率がグラフ表示されます。
効率の良い被覆肥料を利用して窒素施用量を削減した施肥体系を実証しました。実証施肥体系では、生葉収量や製茶品質を維持することができ、慣行施肥より優れる場合も認められました。根を調査したところ、慣行施肥では肥料焼けにより根が脱落していますが、被覆肥料を利用して窒素施用量を約4割から6割少なくすると白い根が多く認められました。
写真の左側が慣行施肥の、右側が被覆肥料を利用し窒素成分を約4割削減した場合の根の状況 |
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