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ふるさと・農林水産業

豊かな海づくりについて

提案

海藻は水産資源として美味しく食べれるだけでなく、海の生き物の住処や二酸化炭素の吸収という役割も果たし、適切に管理されることで様々なメリットがあると思う。藻場の管理を行うメリットや府として藻場を増やす取組と磯焼けの発生状況を教えてほしい。藻場を適切に管理するとともに更に藻場が広がり、豊かな海になるよう取り組んでほしい。

回答

藻場を形成する海藻や海草類は、私たちの食料となるだけでなく、水質悪化の原因となる窒素やリンを栄養源として吸収することで沿岸海域の水質浄化に寄与しております。加えて、海水中の二酸化炭素を吸収・固定する能力を持つため、地球温暖化防止の観点からも重要な役割を果たしています。

また、藻場は、アワビ、サザエ、ナマコ等の生息場や、魚やイカ類の産卵・保育場ともなっております。これらの魚介類は、沿岸の個人漁業者の漁獲対象になっていることから、藻場を適切に維持・管理することで、魚介類の生産量を確保し、個人漁業者の経営安定化を図り、ひいては、近年人口減少が著しい漁村集落の維持にもつながると考えています。

このような機能を持つ藻場ですが、環境省が実施した調査において、昭和53年から平成2年までの12年間で、京都府沿岸の大規模な藻場が22ha消失したとの報告がされ、藻場の再生を図ることが課題となりました。このため、府沿岸に広く分布するホンダワラ類の藻場は主に岩場において形成されることから、京都府では、漁港関連工事の基礎工としての石材の設置に加え、より高い効果が期待できる、海藻の少ない砂地への投石を実施してまいりました。こうした取組の結果、消失した藻場に相当する22.6haの藻場を造成することができ、今でも漁場として漁業が営まれています。

また、京都府海洋センターにおいて、海藻種苗を効率的に育成する技術の開発や、造成藻場における海藻の定着促進技術の実証など、藻場を守り・育てる取組も実施しております。

海藻類が枯死し多数のウニなどにより海底が覆われる磯焼けについては、平成24年度に水産庁が実施した調査によると、府沿岸における大規模な磯焼けは認められなかったと報告されております。京都府海洋センターにおいても、ムラサキウニの捕食による海藻の消失を一部の箇所で認めておりますが、大規模な磯焼けは確認しておらず、現時点では、漁業生産に大きな影響はないと見込んでおります。

なお、漁業者から磯焼けが確認されたとの情報が寄せられることもあり、引き続き、情報を収集するとともに、顕著な磯焼けが確認された場合は、ウニの除去や海藻移植など必要な対策を実施してまいります。

今後とも漁業者のみならず、府民の皆様の御理解と御協力を得ながら、漁業経営・環境保全の観点から重要である藻場を消失させないため、適切に維持・管理し、沿岸域が将来にわたって豊かな海であり続けるよう取り組んでいきたいと考えておりますので、御協力よろしくお願いいたします。

(詳しくは)水産課

令和5年8月10日

京都の海の保全について

提案

京都の海について、海底を耕し土壌を柔らかくし海底に溜まった栄養分を海水に溶けださせたり、ため池のかいぼりや一斉放流によってため池の養分を海に流したり、下水処理場の管理運転を行ったり、海藻などの藻場や干潟の再生により、海の生き物の住処、環境保全を行い、豊かな海づくりをしてほしい。

回答

京都府には、丹後半島北端に位置する経ヶ岬から福井県にかけて、若狭湾という大きな湾と、その支湾である舞鶴湾、宮津湾、伊根湾などがあり、水深数メートルの内湾域から水深250メートル程度の日本海までの海域で漁業が営まれ、多種多様な魚種が漁獲されています。その中で、全国的にみて多く漁獲されている魚種はサワラであり、約20年前から漁獲量が急増し、過去4回、全国一位の漁獲量となりました。

一方、漁獲量が減少している魚種もあり、例えば、ズワイガニは、約40年前に乱獲などにより、漁獲量が大きく減少しました。そのため、近隣の県と協力して、禁漁期や漁獲サイズの制限を設けることとし、さらに京都府独自で、ズワイガニの安全な住処となるコンクリートブロック(「保護区」といいます。)の設置や、未成熟な「水ガニ」(脱皮したばかりで甲羅が柔らかい特徴があります。)の全面禁漁など、資源を守るための取組を他県に先んじて行ってきました。その結果、近年では、年間60トン前後の安定した漁獲につながっています。

また、水産資源を持続的に利用していくため、網目を大きくするなど小型魚を保護する漁具の開発や、水温・塩分などの変化を把握する海洋環境調査などを行うとともに、クロマグロやズワイガニについて、漁業者の理解と協力を得ながら、漁獲可能な上限数量を定め水産資源を守っています。沿岸の市町でも、例えば伊根町では、魚類の住処をつくるために間伐材を活用した魚礁を設置するなど、様々な取組が行われています。

ご提案いただいた取組ですが、海底耕うんについては、今年度、ズワイガニ漁場で実施を予定しているところであり、その他の環境保全の取り組みとしては、内湾域において、漁業者により海底の清掃活動が実施されています。ため池のかいぼりや下水処理場の管理運転については、栄養塩不足が深刻化している瀬戸内海のような海域で、栄養塩を供給する方法として有効と考えられますが、京都の海は豊かな森林が近いこともあり、栄養塩不足にはなっておらず、豊富なプランクトンを餌とする貝類の養殖が盛んに行われており、「丹後とり貝」や「育成岩がき」といったブランド水産物が生産されています。この様に、森と海の繋がりは重要であり、伊根町太鼓山地区では、漁業関係者による下草刈りなど、森づくり活動も行われています。

また、藻場は漁業生産を支える重要な場所であるため、京都府では、平成17年から22年にかけて、若狭湾に約5ヘクタールの藻場をつくり、現在は、サザエやアワビなど貝類の生息場所となっています。

健全な環境を備えた豊かな海は、持続可能な水産業を営む上でも大変重要であることから、いただいた意見や提案について、改めて施策の検討に加えながら、今後とも府内の市町村、他府県や大学などと連携し、豊かな海づくりに取り組んでいくことといたします。

(詳しくは)水産課

令和3年6月30日

 

 種子条例について

 

提案

一昨年の種子法廃止により、京都府では主要農産物種子の生産と供給についての要領を策定しているが、京都の伝統農産物種子の保存や農家、消費者への安心安全な安定供給のために、種子条例化の審議をお願いします。

回答

「主要農作物種子法」は、戦後の食糧増産のために、国・都道府県が主導して稲、麦類、大豆の優良な種子の生産、普及を進める目的で昭和27年に作られた法律ですが、今後はより広く民間事業者との連携を促進し種子の開発や供給を活性化する必要があるとの観点から、平成30年4月に廃止されたところです。
京都府としましては、現在、民間事業者が種子生産事業に参入し、安定的に種子供給ができる状況にはなく、主要農作物の生産を行う農業者の皆さまや消費者の皆さまがお困りになることがないように、主要農作物種子法の廃止前と同様に京都府が責任をもって、安定的に良質な種子を生産、供給することが不可欠と考えています。

このため、主要農作物種子法廃止と同時に「京都府主要農作物種子生産基本方針」及び「京都府主要農作物種子生産及び供給事業実施要領」を制定し、これまでと同様に安定的な種子の生産と供給をする体制を維持するとともに、種子生産に必要な予算を計上し、良質かつ安定的な種子の生産・供給に取り組んでおりますので、御安心いただきたいと思います。

12月現在、全国で13道県が条例を制定していることは承知しておりますが、その主な目的は、種子生産に関して、指定した農業団体が原種※生産を行っているなどの状況を踏まえて農業団体や農業者の責務や役割を明確にしているものであると聞いております。一方、京都府では、府が原種農場を設置・運営し、原種生産を行うとともに、普及指導員による種子検査体制を維持しながら、府が主体となって、種子の生産・供給に取り組んでいるところであり、これらのことを規定するために、今のところ改めて条例を制定する必要はないと判断しているところです。今後とも民間事業者の参入の状況など十分に注視しながら、また、現在の取組内容も検証しながら、引き続き安心安全な種子供給にしっかりと取り組んで参りたいと考えています。
注※原種…種子生産ほ場に播く種子のこと

また、御提案の京都の伝統種の保存については、「京都府の試験研究機関が保存する伝統野菜等の種苗の取扱要領」を定め、試験研究機関における伝統野菜等の種苗の適切な保存や流出防止、更には農家への適切な種苗の分譲に取り組んでいるところです。

今後とも、関係機関と協力の上、主要農作物の種子生産と安定供給に取り組んでまいりますので、御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いします。

(詳しくは)農産課
令和2年1月27日

 

サル被害・京都地域ビジネス化の強化について

提案

(1)地域で数少ない農家ですが、サルの被害でみなやる気がなくなって、村の様子も変わってきました。サルを捕獲していただけるようお願いします。
(2)農業で地域を活性化するには個人ではなかなか行えません。今後も地域ビジネス化の方々に応援いただき、新しい京都の田舎活性化を前に進めてほしい。

回答

(1)サル被害について
京都府ではこれまでから、野生鳥獣による農作物被害減少のため、「捕獲」と「防除」の両輪で対策を実施しているところですが、依然として被害が多く発生しており、被害の軽減が大きな課題となっております。中でもサルによる被害は、農作物生産にとどまらず、家の中に侵入する、屋根に上がるなど、日常生活にも関わる重要な問題であります。京都府では野生鳥獣の分布域や生息数等を調査し、専門家の意見を聴いた上で「特定鳥獣管理計画」を獣種ごとに策定しており、サルについては、群れに発信器を装着して行動域を把握し、有害鳥獣捕獲の実施主体である市町村へ情報提供するとともに、専門家の意見を基に効果的な捕獲手法等について助言するなど、市町村と協力して捕獲や防除対策を行っているところです。
現在、上林地域(綾部市)のニホンザル対策について、府と綾部市が協力して、捕獲や防護柵の整備支援等を進めており、平成30年度は新規に大型の捕獲檻を購入し、上林地域でニホンザルのエサが少なくなる冬期に捕獲を本格的に実施しているところです。
今後とも引き続き、市町村及び関係機関と協力の上、府民の皆様が安心して生活し農林業を営めるよう、獣害対策に取り組んでまいりますので、ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
(2)京都地域ビジネス化の強化について
農山漁村地域では、少子高齢化・過疎化により人口減少が進む中、農山漁村全体を守る地域活動の強化が課題となっております。そこで、京都府では各市町村等と連携し、農山漁村地域に密着して住民と協働で地域再生に取り組む「里の公共員」や「里の仕事人(府職員)注※」を全国に先駆けて配置し、課題解決に取り組む地域住民を応援する体制を整えており、これまでに地域資源を活用した特産品の開発など所得向上に結びつく事例も見られているところです。注※平成31年1月現在、京都府内49地区で15名の「里の仕事人」が地域活動を支援
また、地域の新たな担い手となる移住者を確保するため、京都府では東京・大阪・京都に移住相談窓口を設け、「京都移住コンシェルジュ」を配置し、相談対応から現地案内、地域定着まで田舎暮らしを希望される方のニーズに応じてきめ細やかにサポートしています。平成28年度には移住促進条例を制定し、移住促進特別区域において、空家の利活用や受入体制の整備など重点的な移住支援を行い、地域の活性化に寄与しています。さらに、移住・定住の促進に加えて、ふるさとボランティアや教育体験旅行などの都市農村交流を進め、地域外のファンを増やすことで、地域づくりの担い手となる幅広い人材の確保を進めています。
平成30年度からは農山漁村のコミュニティの維持発展のため、若者、女性、移住者といった地域内外の多様な人材を広く活用し、加工品販売や農村カフェ・農村レストラン等で地域が儲けていく仕組みづくりに着手し、地域活動と経済活動をトータルにマネジメントできる組織づくりを進めています。また、起業を志す農村移住者や農家民宿を開設する若手農業者等、経営多角化を目指す地域の担い手育成を進めているところです。今後とも、こうした地域資源を積極的に活用したビジネスを興すことが重要になってくると考えており、『地域力ビジネス=ちーびず』などの事業も活用し、地域づくりや地域課題の解決に向けた支援をさらに強化していきます。
平成31年度に向けては、地域の農業と観光の連携による観光地域づくりなどを目指し、野菜の収穫体験の実施等、農山漁村の実りや暮らしを体験できる地域資源を磨き上げ、地域全体でブランド価値を高める取組をサポートしたいと考えております。
今後とも地域の方々をはじめ、市町村や関係機関と一緒に京都府の農山漁村が将来にわたって持続・発展できるよう取り組んでまいりますので、ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いします。

(詳しくは)農村振興課・地域力ビジネス課
平成31年3月5日

 

お問い合わせ

文化生活部府民総合案内・相談センター

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-411-5001

huminsougouannai@pref.kyoto.lg.jp