平成20年度第5回京都府公共事業評価審査委員会の開催概要について
平成21年1月26日
京都府建設交通部
指導検査課
075-414-5221
平成20年11月20日に開催された平成20年度第5回京都府公共事業評価審査委員会の概要は、下記のとおりでした。
1 日時
平成20年11月20日(木曜)午後1時30分から午後4時15分まで
2 場所
平安会館「平安の間」
3 出席者
「京都府公共事業評価審査委員会」委員
委員長
吉川 和広(よしかわ かずひろ) 京都大学名誉教授
委員
河地 利彦(かわち としひこ) 京都大学農学研究科教授
芝池 義一(しばいけ よしかず) 京都大学法学研究科教授
福本 桂子(ふくもと けいこ) 公募委員
森田 宏明(もりた ひろあき) NHK京都放送局副局長
(深町委員、松井委員は欠席)
(五十音順、敬称略)
事務局
(建設交通部)部長、技監(住宅・建築担当)、理事、担当課長ほか
(農林水産部)技監、担当課長ほか
4 議事内容
以下の審査対象事業について審査予定
再評価
- 大谷川 広域基幹河川改修事業(事業主体:京都府、事業箇所:八幡市・京田辺市)
- 野田川 広域基幹河川改修事業(事業主体:京都府、事業箇所:与謝野町)
- 福田川 総合流域防災事業(事業主体:京都府、事業箇所:京丹後市)
- 佐濃谷(さのたに)川 総合流域防災事業(事業主体:京都府、事業箇所:京丹後市)
審査の結果
今回審査した事業の再評価は、委員会に提出された資料、説明の範囲において、おおむね適切に進められており、京都府から提出された対応方針案(大谷川及び佐濃谷川は「継続」、野田川及び福田川は「見直し継続」)のとおりでよいと判断される。
事前評価
- 巨椋池3期 国営附帯府営農地防災事業(事業主体:京都府、事業箇所:京都市・宇治市・久御山町)
- 中村団地 府営住宅整備事業(事業主体:京都府、事業箇所:福知山市)
- 芥子谷(けしだに)団地 府営住宅整備事業(事業主体:京都府、事業箇所:舞鶴市)
審査の結果
今回審査した事業の事前評価は、委員会に提出された資料、説明の範囲において、新規着手の必要性が認められることから、京都府の方針案のとおりでよいと判断される。
事業の審査における主な質疑及び意見
大谷川 広域基幹河川改修事業について
- (委員)本川の大谷川は「概成」と記載されているが、具体的にはどのような状態か。
(河川課)事業着手できる部分はほぼ完成しているが、最下流の橋本樋門から八幡樋門区間において、科手樋門(国交省設置)が未着手であるため一部河床掘削が残っている。
- (委員)支川防賀川の内里橋下流が一部未完成になっているのはなぜか。
(河川課)平成20年度に橋梁の架替えは完了するが、それに付随する護岸及び農業用樋門改築等の関連工事が残っているためである。
- (委員)内水対策として、樋門設置箇所に排水機場を設置しているのか。また、治水安全度は本事業計画と同じ50分の1であるか。
(河川課)排水機場は八幡排水機場など要所に設けており、治水安全度は全国統一的な目標基準があり10分の1となる。
- (委員)支川防賀川京田辺工区では天井川切下げ工事が実施されているが、施工済みのJR片町線及び近鉄京都線と交差する部分では、元々鉄道上を河川が流れていたのか。また、今後実施予定の府道八幡木津線部分は、道路上に河川が流れているのを、道路の下に付け替えるのか。
(河川課)そのとおりである。
佐濃谷川 総合流域防災事業、野田川広域基幹河川改修事業 及び福田川 総合流域防災事業について
- (委員)佐濃谷川においては、河川改修に伴い、農業用水取水用のポンプを設置する計画であるが、改修前の取水方法はどうだったか。
(河川課)農業用取水堰があったが、河道拡幅に伴い機能しなくなるため、代替措置としてポンプを設置することとしている。
- (委員)佐濃谷川が2つの派川に分流しているのは、人為的なものなのか。
(河川課)自然の状態で2派川に分流していた。
- (委員)潮止堰による塩水遡上防止効果は、便益にならないのか。
(河川課)現状が改善される訳ではなく現状を維持するための施設であるため、塩水遡上防止効果を便益として計上していない。今後の検討課題としたい。
- (委員)それぞれの河川で事業名が異なるのは、国の補助金の有無によるものなのか。また、補助率もそれぞれ異なるのか。
(河川課)すべて国の補助事業であるが、河川の規模等により採択基準が異なるため、事業が異なっている。また、補助率については、いずれも2分の1である。
なお、国の河川関係補助事業は多くの種類があるが、補助率は概ね半分程度である。
(別の委員)目標とする治水安全度は、事業の種類によって異なるのか。
(河川課)野田川広域基幹河川改修事業及び福田川総合流域防災事業の治水安全度は、共に基本計画が30分の1、整備計画は5分の1であり、事業の種類により異なるものではない。目標とする治水安全度は、各河川の状況を踏まえて、河川ごとに定めている。
- (委員)本委員会における河川事業の審査案件数は、多いと感じるが、何十年に一度起こるかどうかの水害に備えるよりも、毎日使っている道路に予算を使うべきではないか。
(河川課)事業期間の長い事業は、5年毎に再評価審査を受ける必要があるが、今年度は再評価制度が導入されて10年目にあたり、導入当時の長期実施事業を今年度多数再評価したため、今年度の審査件数が例年より多くなっている。また、河川事業は道路事業等に比べ事業期間が長期にわたるため数度の再評価が必要であり、また、道路事業は比較的短期間で完了するため再評価することは少なく、結果的に、再評価審査では河川事業の割合が高くなっている。
京都府としては、河川事業・道路事業共に重要な事業であると認識している。
巨椋池3期 国営附帯府営農地防災事業について
- (委員)1期、2期及び3期地区の事業内容について、排水路1m当りの事業費を比較すると、2期地区の事業費が割高となっているがなぜか。
(農村振興課)2期地区は、最下流部であるため水路幅が広い。また、地盤が非常に軟らかく、集落に隣接していることから、地盤の安定を図るため鋼矢板による護岸を使用したことにより割高になっている。
- (委員)巨椋池干拓地の内、上段地域は市街化しているとの説明であったが、上段、中段、下段地域とはどの地域を指すのか?
(農村振興課)上段部は巨椋池の南部の現在市街化している地域であり、中段部は本事業で整備する排水路(承水溝3号)と北側の宇治川堤防にはさまれた地域、下段部は上段部と中断部を除いた一番低い干拓農地等を指す。
(委員)1期及び2期工事で整備している排水路は、どの地域を対象としたものか。
(農村振興課)1期及び2期工事は下段地域の排水を改善するもので、本事業は主に中段地域の排水を改善するためのものである。
- (委員)農地に隣接する向島ニュータウン等の市街地開発により、大量の水が短時間に排水されてくるようになったため、排水路の改修が必要になったとの説明であったが、この事業によって農地の排水が改善されることにより、市街地の排水も改善効果があるのではないか。そうであれば、農地防災事業という名称だが市街地にも事業による便益が得られることをアピールすべきではないか。
(農村振興課)御指摘のとおり、本事業の実施により市街地の排水状態が改善されることも見込んでいる。地域の方々が参加するワークショップ等で、その点も説明し、広く理解されるよう努力している。
中村団地 及び 芥子谷団地 府営住宅整備事業について
- (委員)これらの団地の現在の入居率は100%か。
(住宅課)建替えを予定していたため、入居を制限しており、現在の入居戸数は少ない。
- (委員)芥子谷団地は建替え後の戸数が少なくなるが、問題ないか。
(住宅課)芥子谷団地の近隣に整備済みの常団地において、減少する住戸を確保しており問題ない。
- (委員)建替えは現在団地がある土地を利用するのか。
(住宅課)そのとおりである。
(委員)市営住宅が建っている敷地については、どうなるのか。
(住宅課)中村団地は全て市有地を借地しており、整備後余剰地があれば、返却する。 また、芥子谷団地は、府有地と市有地との混在であるが、最終的には、別の府・市混在団地を舞鶴市が建替える際に発生する府有余剰地と交換して、相殺していくこととしている。
- (委員)団地が新しくなると家賃も上がり、負担に感じる入居者もあると思われるが、どう対応するのか。
(住宅課)家賃を試算したところ、建替えると利便性がよくなることにより、現在の約3倍程度の家賃となる。ただし、急激な家賃の上昇となるため、激変緩和措置等の対策を講じることとしている。
また、費用負担が困難な入居者の場合は、他の府営住宅へも移転できるように対応しており、また、病気等で収入減となる場合については減免措置を行っている。
- (委員)費用便益比の算出はどのように行っているのか。
(住宅課)国土交通省の定める事業評価手法に基づいて行っている。
(委員)国土交通省が定める手法とのことであるが算出方法に疑問点がある。国土交通省とも協議し、もっと成熟した方式を研究していただきたい。
- (委員)今回は、市営住宅も府が建替えるが、府営住宅を市が建替えることもあるのか。
(住宅課)府・市で調整、分担し、負担が偏らないよう均衡を図りながら、建替えを進めていくことにしている。
- (委員)今後も、積極的に府営住宅の建替えを進めるのか。
(住宅課)地域の需給動向を踏まえ、京都府営住宅ストック総合活用計画において、平成18年度から10年間で1450戸の建替えを計画している。また、既存ストックの有効活用が可能な場合は、既設住宅の全面的改善や外壁改修等で対応している。
- (委員)不動産業界の景気も落ち込んでいるが、民間アパート経営者を圧迫することにならないのか。
(住宅課)府営住宅の入居者については収入基準があり、低所得者等を対象としているため、民間アパートの対象者とは必ずしも同様ではない。
- (委員)建替えに伴う入居者の移転費用は支出するのか。
(住宅課)仮住居に移転する必要がある場合は支出する。ただし、移転先の家賃は本人負担としている。
河川整備計画が策定された事業の再評価の取り扱いについて
(河川課)平成9年の河川法改正により、各河川において、河川整備計画を策定することが定められ、京都府においては管理している河川の整備計画について順次策定している状況である。河川整備計画は、約30年間の河川整備計画を定めたもので、野田川及び福田川の計画は、近年、第三者委員会である河川整備計画検討委員会で審査され、決定したばかりである。河川整備計画検討委員会においては、具体的な整備の目標及びその内容を、治水、利水及び環境の観点で定められた方針に従い検討が行われている。
河川整備計画検討委員会で行われる検討内容は、当委員会における審査の内容と重複するため、今後は河川整備計画が定まった際には、速やかに本委員会に報告するものとし、その報告をもって再評価審査されたものと扱いたい。また、報告の5年後に事業継続中であった場合は、本委員会での審議をお願いしたい。
(委員長)ただいま、事務局から報告がありました件について、委員の皆様、御質問、御意見はいかがでしょうか。
(委員)河川整備計画が策定されるまでの流れを教えて欲しい。
(河川課)地元代表者や学識経験者で構成される、河川整備検討委員会において、再評価審査と同様の内容を検討され、その過程では地元住民からの意見聴取も行われる。
(委員長)事務局の提案を承認することで異議はありませんか。
(委員)(異議なしの同意)
(委員長)それでは、今後は事務局の提案どおりに取り扱うこととする。