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立命館大学名誉教授 薬師寺 公夫
2016年6月3日にヘイトスピーチ解消法※が施行されて6年になります。この法律は、「本邦外出身者」に対する「不当な差別的言動は許されない」ことを宣言しました。本邦の域外にある国または地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動は、ヘイトスピーチに当たります。各地方公共団体は、同法に基づき、地域の実情に応じて、ヘイトスピーチを許さないさまざまな取り組みを進めてきました。大阪市は、ヘイトスピーチに該当する言動の拡散防止措置とともに、条例に従い差別的言動を行った人の氏名を公表する啓発措置を取り、川崎市は、ヘイトスピーチを繰り返し市長の命令にも従わない人に罰金を科す措置を条例で定めました。京都府・京都市は2018年に不当な差別的言動が行われることが明らかに予測される場合には、表現の自由に十分考慮を払った上で、施設の使用を制限できることをガイドラインで定めました。京都府内の他の25の市町村も同様のガイドラインを策定しています。
※正式名は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」。
ヘイトスピーチ解消法に対する国会の附帯決議にもあるように「本邦外出身者」に対するものか否かを問わず、国籍、人種、皮膚の色、民族などを理由として、差別意識を助長し、または誘発する目的で行われる排他的言動、さらに新型コロナ感染症に関連した差別的言動、不当な差別やいじめも決してあってはならない言動です。インターネット上のヘイトスピーチは依然として深刻な状況が続いています。ヘイトスピーチを許さない一人ひとりの行動がいっそう重要になっています。
◎令和4年1月発行の「人権口コミ講座23」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。
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