ふるさとトピックス!福知山、舞鶴、綾部
更新日:2022年8月10日
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結婚、出産、転勤、介護・・・人生には何度もライフステージが変わるタイミングがあります。こうした変化の中で、特に女性は自身のキャリアを諦めざるを得ないこともある中、柔軟な働き方を認め、チームでフォローし合いながら、得意分野で能力を発揮し、スタッフがいきいきと働く会社があります。スタッフみんなが「居心地がいい」と口をそろえる働き方に迫ります。
【左】代表取締役の下野邦夫さん、【右】高林彩佳さん
株式会社エコ・ビータは家づくりからメンテナンス、相続に至るまで、暮らしをトータルでサポートする会社として2004年に舞鶴で創業しました。
昨年、創業当初からキャリアを積んで来た若手社員2名が取締役に就任。創業者で代表取締役である下野(かばた)邦夫さんは、これまで1人で背負ってきた経営計画づくりや既存事業の9割以上を占める新築・リフォーム事業の舵取りを若い二人に引き継ぎ、自身は新規事業の開拓に専念する決断をしました。
社内で初めての女性取締役となった高林彩佳さんは下野代表のご息女。新卒で入社して以来、結婚や出産も経ながら同社で経験を積んできました。
「いずれは世代交代を、という想いを父から聞かされていた中での就任。ある程度の覚悟はできていた。」という高林さん、「これまで父が積み上げてきた実績や想いを引き継ぎつつ、これからは自分たちにしかできないことも考えていきたい。」と意気込みます。
さらに、「これまでは父が1人でやってきたことを、チームでデザインしていきたい」とも。
この「チームデザイン」という考え方は、創業時から下野代表が描いていたい経営スタイルで、自身が「18年の歴史の中で個々にスキルを磨き、ようやくチームとして動く基盤ができた」と感じたからこその、今回の世代交代だと言います。
同社では、毎月、パートスタッフを含む全スタッフが参加する社員研修を実施。会社の経営計画から事業の進捗状況、集客や契約の状況、SNSの活用状況に至るまで、あらゆる情報を全社で共有しています。最初はスタッフ間のコミュニケーションづくりを目的として始まった社内研修。資料づくりをすべてのスタッフが分担し、主体的に関わる素地を作っています。
「当初は研修に参加しても内容が理解できなかった」と言うのは、違う分野の会社から転職して1年の佐藤亜樹さん。今では「会社が何を目指しているのか、その中で自分が何を担えるのか意識するようになった」といいます。
【左】佐藤亜樹さん
「安心とわくわくを発信し続ける」は、新取締役の高林さんたちが、初めて経営方針として掲げたもの。この方針には「まずは自分たちがわくわく働ける環境を作ることが大事」とする、高林さんたちの想いが込められています。
高林さんは「自分たちが楽しく働くことが周りの家族やスタッフ、協力業者さんへと連鎖し、最終的に顧客や地域へと還元されていく」と言います。
また、「わくわく仕事をすることは、与えられた仕事をこなすのではなく、それぞれが自立し、責任を持って働く中で生まれる」という、働き方そのものへのメッセージでもあると続けます。
この経営方針に「上からのトップダウンではない、本来の自立した働き方ができるようになるのでは」と下野代表も期待しています。
設計担当の神田めぐみさんは、結婚、出産を経て、パートスタッフから正社員となりました。下野代表が設計の講師をしていた時代の生徒で、エコ・ビータ創業前からのスタッフ。普段の家事の中での「こんなのあったらいいな」を意識し、お客さんの相談やプランづくりに反映しています。
前職では昼夜問わずに働き詰め。優秀な人が集まり刺激のある職場でしたが、長く働き続けられる環境ではないと感じていました。
その教訓から、代表自身もエコ・ビータは「自分の子どもたちを働かせたいと思える会社にしたい」と、働き方そのものを大きく変換させました。
前職を知る神田さんも「働き詰めだった時代を思うと、本当に働きやすい。子どもの学校行事などがあれば、社長の方から声をかけてくれる」と言います。
神田めぐみさん
特に子育て世代などへ対応は、「敢えて制度にはしていない」と下野代表。「小さな会社だからできることでもある」と前置きした上で、「規定を設けた時点でまた新たな制約が生じる」ことを懸念しての判断だと言います。
そこには「時間のデザインも自分たちの中でコントロールしてほしい」という思いがあります。
コロナで自宅でのリモート作業が増えた現在も、勤怠管理は自己申告に任せ、関与していないと言います。
高林さんも、「子育て中は突然の病気や怪我など、想定外のことが起こるのが当たり前。チームで仕事をしていることがフォローしやすい環境を作っているのでは」と、互いの理解とそれを補えるチームの体制があることが大きいと感じています。
出産後、最初に働いたのが同社だという佐藤さんも、「日頃からスタッフ同士で子育ての話を良くしている」と言います。そうしたコミュニケーションの積み重ねが、チームワークや居心地の良さに繋がっていそうです。
子育てや扶養家族の制限などで、パートでしか働けないという女性スタッフもこの会社ではバリバリとその実力を発揮しています。
山田歩未さんは土日が休める会社で働きたいと、飲食業からの転身。下野代表が「お願いした業務をきっちり実行してくれる能力が高い」と絶大な信頼を寄せ、不動産相続事業の立ち上げにも山田さんが大いに貢献してくれたと言います。
山田さん自身、正社員と同等に重要な業務を任せてもらえることにやりがいを感じ、しんどいと思う仕事もやりきった後は自信につながっていると言います。
山田歩未さん
マトリクスで仕事を分割し、得意なところを担い合う。スタッフがのびのび働ける社風も、個々の適性を見極めやすくしているようです。
コロナ禍に加速したリモートワークは、遠方との仕事がスムーズになったなど、地方の中小企業に大きな可能性を示しました。同社でも補助金などを活用し、デジタル環境を整備。今後も長く務めたいと願うスタッフたちにとって、転勤や介護など来たるべき変化の中でも、柔軟な働き方ができそうという希望に繋がっています。
スタッフにはいつも「楽しいか?」と声をかける社長。
インタビューの間、終始笑顔が絶えない雰囲気に、自らの仕事への誇り互いへ信頼関係が垣間見られました。
一般社団法人京都府北部地域連携都市圏振興社(海の京都DMO)ホームページより転載
https://www.uminokyoto.jp/feature/detail.php?spid=163
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