更新日:2025年3月3日
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京都府の産業の特色を令和3年経済センサス活動調査から見てみます。
図1は産業ごとの従業者数を用いて特化係数を算出し、産業大分類別に示したものです。
京都府の全ての産業の事業所の従業者のうち、産業Aに従事する従業者の割合と、全国の全産業の事業者の従業者のうち、産業Aに従事する従業者の割合を比較すると、従業者数による地域産業の特色が見えます。
上記の計算式で計算した特化係数は、全国の平均が1となっています。 |
図1:京都府の産業大分類別特化係数
出典:令和3年経済センサス活動調査(総務省、経済産業省)を加工
京都府の産業大分類別の特化係数を見てみると、「教育,学習支援業」、「宿泊業,飲食サービス業」の順に高くなっています。
一方で、「漁業」、「鉱業,採石業,砂利採取業」、「情報通信業」の順に低くなっていることが分かります。(図1)
京都府の特化係数が高かった「教育,学習支援業」と「宿泊業,飲食サービス業」について、更に産業を細かく分類した小分類ごとの特化係数を見てみます。ここでは特化係数が高い順に5つの産業分類を掲出しています。
図2:産業小分類別産業特化係数(京都府)
出典:令和3年経済センサス活動調査(総務省、経済産業省)を加工
「教育,学習支援業」では、「社会通信教育」、「高等教育機関」、「生花・茶道教授業」、「各種学校」、「博物館,美術館」の順に高くなっています。(図2) |
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また「宿泊業,飲食サービス業」の特化係数も小分類ごとに見てみると、「簡易宿所」、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」、「日本料理店」、「会社・団体の宿泊所」、「喫茶店」の順に高くなっています。(図2)
これらの結果は、京都府が文化の街であり、学生の街であり、観光の街であることを反映しているとみられます。
また、「社会通信教育」や「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」も全国平均を大きく上回っており、意外な一面も確認できます。
図3:京都府の製造業に占める伝統に関する産業の特化係数
出典:令和3年経済センサス活動調査(総務省、経済産業省)を加工
京都府の製造業に従事する従業者のうち、伝統に関する産業について従業者数を用いた特化係数で見てみると、「和装製品製造業(足袋を含む)」、「ネクタイ製造業」、「織物手加工染色整理業」、「織物整理業」及び「袋物製造業(ハンドバックを除く)」で全国1位となっています。(図3)
全体を見ると、織物を中心に、特に和装に関連する産業が全国平均を大きく上回っていることが分かります。
京都府の織物といえば、府北部地域を中心とした「丹後ちりめん」、府南部地域を中心とした「西陣織」が有名ですが、この特色を表しているといえます。
また製茶業についても鹿児島県、静岡県に次ぐ全国3位となっており、「宇治茶」をはじめとする京都府のお茶産業の特色が確認できます。
上記の産業大分類別の従業者数から見た特化係数では、京都府は「教育,学習支援業」に次いで「宿泊業,飲食サービス業」の特化係数が高くなっていることが分かりました。
観光の街として知られる京都府の観光産業について、観光庁が公表している「宿泊旅行統計調査」から見てみます。
図4は観光庁の宿泊旅行統計調査をもとに、年間で京都府内に宿泊した延べ宿泊者数の推移を、日本人と外国人に分けて示したグラフです。
図4:延べ宿泊者数の推移(京都府)
2023年の京都府における宿泊者数は、日本人1千999万1840人、外国人1千213万3480人で、ともに過去最高を記録しています。(図4)
外国人の宿泊者数は、2019年まで増加傾向で推移した後、新型コロナウイルスの影響で減少しましたが、2023年にはコロナ前の水準に戻りました。
また2011年の外国人の延べ宿泊者数は105万2740人ですが、2023年の外国人1千213万3480人と比べると、約11.5倍に増加しています。
図5は2023年中の延べ宿泊者数について都道府県別に宿泊者数が多い順に並べ、上位10位を抜き出したグラフです。
図5:延べ宿泊者数の都道府県別ランキング(2023年)
出典:宿泊旅行統計調査(観光庁)
2023年の延べ宿泊者数の総数を都道府県別に見ると、京都府の延べ宿泊者数は全国で5位となっています。(図5)
京都府は他の都道府県と比べ外国人の宿泊者数が多いので、宿泊者に占める外国人の割合を比較してみます。
図6:宿泊者に占める外国人割合の都道府県別ランキング(2023年)
出典:宿泊旅行統計調査(観光庁)
外国人が占める割合を都道府県別に見てみると、京都府は東京都に次いで2番目に高くなっていることが分かります。(図6)
図7は2023年中に京都府に宿泊した外国人宿泊者について、国籍(出身地)別の内訳を示したグラフです。
図7:国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数の内訳(京都府、2023年、従業者数10人以上の施設)
出典:宿泊旅行統計調査(観光庁)
2023年に京都府に宿泊した外国人を国籍(出身地)別に見てみると、地域別ではアジア圏の方が約半数を占め、次に北米、欧州の方が多くなっていることが分かります。
国籍別にみると、米国の方が15.3%と一番多くなっています。(図7)
図8:国籍(出身地)別宿泊者数の特化係数(京都府、2023年)
出典:宿泊旅行統計調査(観光庁)を加工
2023年の京都府の外国人宿泊者の国籍(出身地)割合について全国平均を1として特化係数を算出してみると、イタリア、スペイン、フランスの順に高くなっており、全体的に欧州圏で全国平均よりも高く、アジア圏で全国平均よりも低くなっていることが分かります。(図8)
これは、京都府に宿泊した外国人のうち、欧州圏出身の方が全国よりも相対的に多く、またアジア圏出身の方が全国よりも相対的に少なくなっていることを意味しています。
宿泊施設総数 | 4,108 | |
宿泊施設タイプ | 旅館 | 590 |
リゾートホテル | 60 | |
ビジネスホテル | 450 | |
シティホテル | 170 | |
簡易宿所 | 2720 | |
会社・団体の宿泊所 | 10 | |
宿泊施設タイプ不詳 | 108 |
出典:宿泊旅行統計調査(観光庁)
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2023年12月時点の京都府内の宿泊施設数は、4108施設で、宿泊施設タイプ別にみると、簡易宿所が半数以上を占めています。(表1)
図9:宿泊施設数の宿泊施設タイプ別内訳(京都府、全国、2023年12月時点)
出典:宿泊旅行統計調査(観光庁)を加工
京都府の宿泊施設の内訳を宿泊施設タイプ別に全国と比較してみてみると、簡易宿所の占める割合が全国と比べて高くなっていることが分かります。また、シティホテル及び簡易宿所以外の宿泊施設タイプで全国と比べて低くなっていることが分かります。(図9)
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令和3年経済センサス活動調査による産業分類別従業者数でみた「宿泊業,飲食サービス業」の産業小分類別の特化係数でも、「簡易宿所」の従業者数が全国の約3.5倍となっていましたが、宿泊旅行統計調査では「簡易宿所」の施設数も全国と比べて相対的に多いことが分かりました。(図2,9)
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