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送付先
1997年12月に地球温暖化防止京都会議〔UNFCCC-COP3〕を開催した京都から、地球温暖化防止に向けてのメッセージを送付いたします。
本年西暦2000年は20世紀の締めくくりの年であり、この記念すべき年において、私達は20世紀を率直さと冷静さとをもって振り返り、夢と希望のある21世紀の創造を展望しなければなりません。
その場合の最大の課題が環境問題であることは申すまでもありません。とりわけ地球温暖化問題は、20世紀の社会・経済・ライフスタイル等の在り方が根本的に問い直されるべき課題であり、それをいかに21世紀に引き継いでいくかが将来の人類の命運を左右すると言っても過言ではありません。
御承知のとおり、1992年のリオサミットに代表されるように、このための取組は世界中の国々や人々を巻き込んだ大きなうねりとなっています。その中で、COP3において、地球温暖化問題に根本的に対処する温室効果ガス排出削減についての国際的な取り決めである「京都議定書」が、世界中から寄せられた熱い期待にも支えられ、白熱した議論と関係者の多大の努力により遂に採択されました。
世界が地球温暖化防止に協調して具体的に取り組むための歴史的第一歩がいよいよ切り拓かれたのです。
私達は、「京都議定書」発祥の地ともなり、「京都」の名が冠されたことに心から名誉と誇りそして責任を自覚し、関係15団体共同で「地球環境京都宣言」を作成し、地球環境保全に向けての決意を世界に向けて発信いたしました。さらに、京都自らが率先して二酸化炭素排出量を2010年までに1990年比で10%以上削減という高い目標を掲げ、目下、住民・事業者・環境団体・行政等が挙げて地球温暖化対策に取り組んでいるところです。
さて、先にドイツのボンで開かれたCOP5では、2002年の「リオ+10」に向けての「京都議定書」の発効と交渉の進展の必要性が強く訴えられるとともに、発効のためのルールづくり等多くの課題が浮き彫りになり、本年11月に開催されるオランダ・ハーグでのCOP6が「京都議定書」発効の帰趨を左右する大きな山場になるものとうかがっております。「京都議定書」の一刻も早い発効は、人類と地球の未来を思う人類すべての心からの切実な願いです。ここ京都からも「京都議定書」の早期発効の願いを込めまして、本メッセージを送付いたすものです。
つきましては、「京都議定書」に寄せる私達京都の思いや願いを十分に御斟酌いただき、貴国(職)が地球温暖化防止に向け一層の御努力をされることを期待いたしますとともに、本年のCOP6では、「京都議定書」の早期発効に向け、人類や地球の未来を守る不退転の覚悟をもって貴国(職)の格段のリーダーシップと御見識を発揮されることを強く願うものです。
結びに、貴国の安寧(貴職の御活躍)とますますの御発展を祈念いたしまして、京都からの新年の御挨拶とさせていただきます。
2000年1月1日
京都府知事 荒巻 禎一
京都市長 桝本 賴兼
京都商工会議所会頭 稲盛 和夫
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