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京都府立るり渓自然公園
府立るり渓自然公園の概要
四季折々に表情を変える清流の谷
南丹市園部町の南西部、標高500メートルの高原に位置する、るり渓。その清流と両岸の自然林がつくり出す繊細な景観は、四季をとおして観光やレジャーに訪れる人々を楽しませています。
かつて、明治から昭和にかけて、多くの著名な文人や墨客たちがこの地に訪れ、詩や書画など様々にこの地のすばらしさを称賛したことが記録として残されています。我が国最後の文人画家と言われている富岡鉄斎も、明治40年に、ここ「るり渓」に遊び、その美しさを漢詩に詠んで讃えています。
「千尺蒼巌周囲 一条懸水向天飛 幾回欲写無成功 恰入宝山空手帰」
(JPG:5,009KB) 「瑠璃渓 丹波名勝」(昭和初期頃)(京都府立京都学・歴彩館所蔵)
こうして、「るり渓」の名が世に高まる中、地元の方々の努力の甲斐もあり、昭和7年に渓谷の主要部が国指定の「名勝」となり、さらに昭和39年に「京都府立るり渓自然公園」に指定されています。
→ 大きいサイズの画像が表示されます(るり渓十二勝ほかを見られます)。(PNG:570KB)
るり渓は、園部川が高原の斜面を侵食してできた長さ4キロメートルの渓谷です。上流部は花崗岩、下流部は石英粗面岩からなっていて、清流に点在する個性豊かな岩や滝、深淵が、景観のアクセントとなっています。特に見どころをピックアップした「るり渓十二勝」にはそれぞれに「玉走盤(ぎょくそうばん)」や「双龍渕(そうりゅうえん)」等の特徴のある名前がつけられ、その印象を強めます。両岸は広葉樹やアカマツが四季折々の色彩を添え、清洌な川のなかからは時折、カジカの美声が聞こえます。特別天然記念物のオオサンショウウオも生息しています。
最上流部には人造湖「通天湖」をはじめ観光レクリエーション施設が整備され、休日には近郊からレジャーに訪れる人で賑わいます。
所在地:南丹市園部町大河内
指定年月日:昭和39年4月1日
面 積:36.3ヘクタール
府立るり渓自然公園の見どころ・映えスポット紹介
およそ4キロメートルの渓谷散策コースで、「残したい日本の音風景100選(外部リンク)」や「京都の自然200選」にも選定されている「るり渓」の水音を楽しみながら、「るり渓十二勝」と呼ばれる見どころをたどります。るり渓は、紅葉の名所としても有名ですが、4月下旬頃になると「ヤマツツジ」や「ミツバツツジ」(外部リンク)が渓谷一帯を薄紫色や紅紫色に染め、色鮮やかな世界が広がります。
最上流部にある「通天湖(つうてんこ)」は、周囲を森に囲まれ、野鳥の鳴き声を楽しみながら、貸ボートでのんびりと釣りが楽しめます。また、るり渓の周辺には、日帰り温泉も楽しめる「るり渓温泉」があり、温泉からグランピングまで楽しむことができます。
るり渓をさらに奥に行くと、三府県の境にまたがる北摂最高峰の標高約791mの「深山(みやま)」があり、山頂では360度の大絶景を楽しむことができ、天気の良い日には大阪湾まで眺めることができます。
KYOTO SIDE「新緑のるり渓で森林浴♡マイナスイオンたっぷりハイキング」(外部リンク)
「るり渓十二勝」散策マニュアル(下流から上流へ向かって)
~ 駐車場・トイレ・お店等 ~
車でお越しになる場合はこちらに車を止めて、準備を整えた上で散策を開始します(上流部から散策する場合は「通天湖」近くにある駐車場を利用することも可能です)。また、こちらの駐車場に隣接するお店「琉雅亭(りゅうがてい)」で腹ごしらえや、夏は渓流沿いでバーベキュー、冬はぼたん鍋を楽しむ(外部リンク)(外部リンク)こともできます。
<第一勝> 掃雲峰(そううんぽう)
雲にそびえる高い峰ということで名づけられています。天狗岩とも言われ、樹木が生い茂ってふもとからは形が判別できませんが、山の頂上に天狗の鼻のように斜め上方に突き出ている大きな岩があり、天狗がこの岩で休んだといわれからこのように呼ばれています。昭和初期まで干ばつの年にはこの岩の上で柴を焚いて雨乞いをしたと言われています(なお、「掃雲峰」の名は、第23代内閣総理大臣だった清浦奎吾が昭和初期にこの地を探勝し命名したと言われています)。
~ 「名勝瑠璃渓」の石碑と展望デッキ ~
見どころ「鳴瀑(めいばく)」の手前に「名勝瑠璃渓」の石碑と展望デッキがあります。
<第二勝> 鳴瀑(めいばく)
滝の裏が空洞になっており、音がすることからこう呼ばれています。いつも豊富な水が滝となって見事な景色を見せています。滝の正面には休憩所もあり、ここからの眺めはまた格別です。雨乞いとして地蔵をくくり滝壺に沈めたという故事があります。この滝は「日本の音風景100選」に選ばれた「るり渓」の顔ともいえる名勝地です。
~ 天女洞(てんにょどう)~
鳴瀑(めいばく)の向かって右側にある洞窟が天女洞と呼ばれています。この洞窟に反響することから鳴瀑と名付けられています(上の写真では樹木で隠れて見えませんが。。。)
~ 千秋潭(せんしゅうたん)~
紅葉の時期には、両岸の紅葉が水面に映り、また落ち葉が一面に敷いたようになり、美しい淵であることから、このように呼ばれています。
<第三勝> 座禅石(ざぜんせき)
幅6m、高さ2m、奥行き2mの平らな石で、ところどころ苔むしており、座禅をするのに格好の巨岩です。寛永年間(1630年)一絲和尚(仏頂国師)がこの岩の上で座禅をしたと伝わっています。
<第四勝> 錦繍巌(きんしゅうがん)
秋の紅葉が絹の縫い取りをしたように見える美しい岩山という意味で名づけられています。紅葉の時期にはまさに錦のようになり、写真におさめる人たちにとって格好のスポットになっています(看板が立っているあたりは少し木が繁り気味で視界が悪いですが。。。)。
~ 掃雲峰(そううんぽう)の登り口 ~
<第一勝>で紹介した「掃雲峰」の登り口があります(頂上まで片道約一時間かかります)。
~ しばらく車道を歩きます ~
川沿いの車道をしばらく歩きます。途中、誘導標識が何か所か立っています。
~ 遊歩道入口 ~
「渓流歩道入口」と書かれた木製標識が立っています。ここからいよいよ本格的な散策道です。
~ コンクリート舗装の歩道を歩きます ~
ゴールの「通天湖」までは、コンクリートと石で作られた遊歩道を歩きます。ところどころ濡れている場所もあり、滑りやすくなっていますので、足元にご注意ください(軽登山靴など滑りにくい靴がおすすめです)。
~ 快刀巌(かいとうがん)~
大きな岩の真ん中を、刀でスパッと割るように松の木が生えています(確かにスパッと割れています。割れたところに生えたのか、それとも生えたら割れたのか?)。
~ 巨盆巌(きょぼんがん)~
お盆のような平らな巌(巨岩)です(お盆のように?平らのようには見えないですが。。。)。
<第五勝>螮蝀泉(たいとうせん)
滝の水しぶきによって美しい虹ができる泉ということから名づけられています(ちなみに「螮蝀」とは虹の別称です)。
~ 龍軻潭(りゅうかたん)~
「軻」は歌の替え字でしょうか。龍が歌を歌っている深い淵という意味で名づけられています。
<第六勝>渇虯澗(かつきゅうかん)
龍の水飲み場という意味から名づけられています(龍とは「オオサンショウウオ」のことを例えているのでしょうか)。
<第七勝>双龍淵(そうりゅうえん)
雄と雌の龍が水中に泳いでいる深い淵という意味で名づけられています。別名「なたふち」とも呼ばれ、白いうなぎがナタを吸い込んだという伝説があります。
~ つり橋・トイレ等~
双龍淵のところにつり橋があります。つり橋を渡った先にトイレと休憩所があります。ここで一旦ひと休み。
~ 沈虎潭(ちんこたん)~
虎のように見える大きな岩のある淵であることから名づけられています(低い姿勢で獲物を狙う虎のように見えます)。
<第八勝>玉走盤(ぎょくそうばん)
岩の上を流れる水がまるで盤上を転がる玉のようで美しいことから名づけられています(詩的な表現ですね)。
~ 高臥石(こうがいし)~
寝床のような平らな岩であることから名づけられています(確かに寝転がれるくらい広いです)。
~ 暢申澗(ちょうしんかん)~
のびやかなせせらぎという意味で名づけられています。
~ 弾琴泉(だんきんせん)~
広いせせらぎの至るところに突き出た石が、たくさんの滝をつくり、さながら琴を弾いているような様子に見えることから名づけられています。
~ 玉裳灘(ぎょくしょうたん)~
美しい衣のような浅瀬であることから名づけられています(ロマンチックな呼び名です)。
<第九勝>水晶簾(すいしょうれん)
滝の落ちる様子が、まるで水晶のすだれがかかっているように美しく見えることからこう呼ばれています(水量が多い時にはもっと簾のように見えるはず)。
~ 宝亀巌(ほうきがん)~
亀のような形をした岩であることから名づけられています(頭をもたげているところなど、確かにカメに見えます)。
~ 天鼓湍(てんこたん)~
美しい音色をたてる鼓のような早瀬であることから名づけられています。
~ 浣紗瀬(かんさせ)~
平らで大きな岩が並ぶ浅瀬で、 ここを水が流れ落ちて小さな滝をつくっている様子が、うす絹を洗いすすいでいるように見えることから、このように呼ばれています。
~ 碁顛石(ごてんせき)~
碁盤のような正方形な姿をした石であることからこのように呼ばれています(確かに碁盤のように立方体ですが、見た目は長方形のような気がします。。。)。
<第十勝>爛柯石(らんかせき)
木で作った斧の柄(持ち手)のように見えるのでこのように呼ばれています(「爛柯」とは、人が打つ碁を見ているうちに斧の柯(え)が爛(くさ)ってしまうほどの時が経ってしまっていたという故事にちなみ、囲碁の別称ともされています。爛柯石は斧の持ち手(柯)のような石という意味です)。
~ 濯錦汀(たくきんてい)~
清らかで美しく水が波立たないような静かな水ぎわであることからこのように呼ばれています。
~ 千幻瀑(せんげんばく)~
大きな岩を流れ落ちる飛瀑で、階段状になった岩です。滝が何段にもなって流れ落ちていく様子には圧倒されます。
<第十一勝>会仙巌(かいせんがん)
仙人が集まって、滝の流れ落ちる水に杯を流して曲水の宴を楽しんだ大きな岩という意味からこのように呼ばれています(確かに大きな平べったい一枚岩です)。
<第十二勝>通天湖(つうてんこ)
天にも届かんばかりの高いところにある湖ということから名づけられています。るり渓最上流の湖。るり湖ともいいます。ダムから流れ落ちる高さ12.5mの水の大カーテンは、見ごたえがあります。また、通天湖では、のんびりと釣りやボートを楽しむことができます。
コラム
宝石のような自然。
この地はもともと「滑(なめら)」と呼ばれ、江戸時代には、一絲和尚(仏頂国師)や園部藩主、近隣の亀山、篠山藩の人たちがよく探勝したといわれています。やがて、明治38年にこの地に遊んだ当時の船井郡長があまりの美しさに感動して「琉瑠渓」と命名したことにより、一躍有名になりました。「琉瑠」とは、紫色をおびた紺色の宝石のこと。人の手の入っていない神秘的な地にありのままに存在する緑と渓谷は、宝石にも値する素晴らしさだったのでしょう。
そのため、明治時代には、富岡鉄斎をはじめ、清浦奎吾(第23代内閣総理大臣)など、我が国の著名な文人・画人らがここ「るり渓」に遊び、その美しさを讃えるため、多くの漢詩をよんでいます。
(JPG:4,517KB)
「丹波名勝瑠璃渓」(昭和初期頃)(京都府立京都学・歴彩館所蔵)
なお、るり渓の詳しい歴史などについて、お知りになりたい方は以下の文献をおすすめします(いずれの書籍も京都府立歴彩館・南丹市立図書館に所蔵されています)。
- 「郷土誌丹波古道第2集 るり渓」2002年4月10日発行 編集・発行者 本梅探友会
- 「るり渓と南丹の名所 (名勝指定90周年・令和4年度春季企画展)」2022年3月31日発行 編集・発行者 南丹市立文化博物館
府立るり渓自然公園アクセスマップ
詳しい地図情報を見る(京都府・市町村共同地理情報システム)(外部リンク)
詳しい地図情報を見る(環境アセスメントデータベースEADAS〔イーダス〕)(外部リンク)
- JR園部駅から京阪京都交通バス「八田」下車、ぐるりんバスに乗り換え「るり渓」下車
連絡先
- 観光に関する問い合わせ先
南丹市農林商工部観光交流室(電話番号:0771-68-0050)
- 公園管理に関する問い合わせ先
京都府南丹土木事務所(電話番号:0771-62-0320)
お問い合わせ
総合政策環境部自然環境保全課
京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
電話番号:075-414-4706
ファックス:075-414-4705