特集1京都の海を未来へつなぐ
京都府の海岸の総延長は約315km。起伏に富んだリアス海岸や波の穏やかな内湾、沖合の天然魚礁など、多彩な環境を有する京都の海には500種類ほどの魚介類が生息しています。海の京都エリアでは、古来この豊かな海がもたらす恵みを活かした漁業が行われてきました。そして今、府では水産物の生産・流通の拡大や、次世代の漁業を担う人材の育成に力を注ぐとともに、漁村の景観を観光資源として活用するなど「海業(うみぎょう)」としての幅を広げることで京都の漁業と漁村を活性化する動きが始まっています。
日本海沿岸に位置する4市町の各地に33カ所の漁港と、
5カ所の産地卸売市場が開設されています
取り組んでいます!
海の恵みを活かすために
恵まれた環境を守り持続可能な産業へ
漁業
京都府の漁業の特色の一つは、漁業生産量の約8割を定置網漁が占めること。そのため漁獲量の多くを回遊魚が占めており、中でもブリやサワラは全国で有数の産地となっています。府では京都縦貫道をはじめ進化する物流ルートを活かし、水揚げ当日に都市部で販売できる態勢の拡充に向けた支援が進行中です。
また、定置網以外の漁法で取れる少量多品種の水産物の規格を揃えるなど高付加価値化も推進し、丹後とり貝や丹後ぐじなどは府内のみならず首都圏でも好評です。一方、水産資源を持続的に守るため、ズワイガニの保護区を設定するなど自主的な資源管理を実施しています。
さらに、将来の漁業を支える人材を育成するため、漁業団体や市町と協働し、京都府漁業者育成校「海の民学舎」を運営。地域を挙げて後継者を育てることにも取り組んでいます。
京都府海洋調査船「平安丸」
美しい景観とともに
ここにしかない体験を資源に
観光
国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている伊根の舟屋群をはじめ、漁村の景観そのものが観光資源として注目されている昨今。漁船に乗って海辺を巡る海上タクシーや、漁港のそばで食事を楽しめる飲食店のほか、漁家に宿泊して漁を体験できる漁家民宿、e-バイクで海岸沿いを巡って景色や漁村の風情を楽しむ周遊ツアーなど、”ここにしかない”体験を観光資源として活用する取り組みを、海の京都DMOなどとの連携のもとに進めています。
地元漁業会社の
協力で行う
定置網体験
レンタルe-バイクを
利用した海岸線の
周遊観光も推進中
地元漁師の案内で
「青の洞窟」などを
巡るツアー
京都府の漁業
TOPICS
地球に優しい漁業に
取り組んでいます
京都府における基幹漁業である定置網漁は、沿岸に網を設置し、来遊してきた魚を取る「待ちの漁法」。そのため魚が取れ過ぎることがなく、漁港から定置網までの距離が遠いところでも5km程度しか離れていないため他の漁業に比べ船の燃料も少なくて済みます。また、稚魚を保護するため編み目の大きい定置網を使い、環境にも資源にも優しい漁業に取り組んでいます。
府内の漁業種類別生産高
※令和4年 水産事務所調べ
サワラの生産量で日本一を
これまでに5回記録
京料理に欠かせない魚の一つ、サワラの京都府における生産量が2000年以降増加し、これまでに5回も生産量日本一を記録。府内の漁業において非常に重要な魚種となっています。
都道府県別サワラ生産量(令和4年度)
※農林水産省
海面漁業生産
統計調査より
天然クロマグロの資源管理に
取り組んでいます
府内では、天然のクロマグロについて、漁業者による資源管理の取り組みが行われています。限られた資源を大切にし、高品質で出荷するため、京都府産のクロマグロは豊洲市場でも高い評価を得ています。
育てています!
未来の漁業を担う人材たち
京都の海で漁師になる
海(うみ)の民学舎(たみがくしゃ)
今年で開設10年目になる「海の民学舎」の新規就業者研修では、漁業の知識や技術、府内各漁村の特徴などを2年間の研修を通じて学び、京都の海で一人前の漁師になることを目指します。漁協などの漁業団体はもちろん、京都府と地元市町が研修から就業、定住までを強力にバックアップ。府内外から意欲的な人材が集まり、これまでに32名の漁業就業者を輩出しています。
また学舎では、意欲ある若手・中堅漁業就業者を対象に、経営力向上のための研修も実施。漁村ビジネス起こしを担うリーダーの育成にも力を入れています。
新規就業者研修の特徴
研修内容
- 漁業就業に必要な知識と技術を基礎から応用まで分かりやすく丁寧に指導
- 水産物の加工や流通販売など6次産業化を視野に入れた研修プログラムも用意
- 就業時の漁村への移住、定住を見据えた研修を実施
研修中のサポート
- 要件を満たす方に、次世代人材投資(準備型)事業により給付金を支給(最大1年間/月額12.5万円)
※2年目は研修先の漁業経営体から給与が支給されます - 研修期間中の住居として専用宿舎や近隣の住居を紹介
- 慣れない土地での生活不安をサポート
研修後のフォロー
- 研修後も学舎修了生として漁業技術から経営まで幅広くサポート
- 就業、住居の確保、組合員資格や漁船・漁具の取得を強力にバックアップ
\ 学舎生の声 /
子どもの頃から好きだった道へ進むために
海の民学舎10期生
仲野 悠月さん(下京区出身)
小学生の頃から釣りやキャンプが好きで、知り合いの漁師さんの船に乗せてもらって船釣りに行くこともありました。海の民学舎では、早朝から漁に出たり、何時間も続けて操業したりと、大変な実習もありますが、海と釣りが好きな仲間たちと一緒に学ぶ毎日はとても楽しいです。特に印象的だったのは、野原漁港での実習で漁師の人たちの温かさに触れたこと。将来は京都の海で定置網漁に従事するのが目標です。
\ 修了生の声 /
実習での出会いから天職への道が開けた
海の民学舎3期生
金羽 海さん(京丹後市出身)
いつも近所の海や川などで釣りをしていたこともあり、自然な流れで漁師を目指しました。海の民学舎では、延縄漁や底びき網漁などいろんな漁法を学び、実習で間人の船長に出会ったことがきっかけでカニ漁師の道へ。冬場の漁は過酷ですが、その分、大漁だったときのやりがいや喜びも大きく感じます。漁師の仕事に興味のある人は、ぜひ挑戦してみてください。京都の海でしかできない経験がたくさんありますよ!
漁師を目指してみませんか
海の民学舎第11期生を募集中
募集人数 10人
研修期間 2年
出願資格 おおむね40歳未満で、研修後、府内
に定住して漁業に従事される方
出願期間 応募書類を持参または簡易書留で
郵送(~10月11日必着)
授業料 11万8,800円(年間)
※研修期間修了後、府内で5年間
漁業就業の場合は返還制度あり
[お問い合わせ]
京都府水産事務所 「海の民学舎」係
場所 〒626-0052 宮津市字小田宿野1029-3
TEL:0772-25-3030 FAX:0772-22-3289
「京都の漁業を、さらに魅力的な産業へ」
京都府知事 西脇 隆俊
府ではこれまでから、漁業振興に向けた養殖生産の技術開発を続け、トリガイやイワガキといった貝類の養殖などで大きな成果を挙げてまいりました。また、地元自治体との連携により設立した「海の民学舎」は今年で10年目を迎え、毎年、新たな担い手となる若手漁業者を多数輩出しています。今後はICTを活用した漁の効率化や、新たな養殖技術の確立によるブランド水産物の生産拡大を推進するとともに、漁業従事者の就業環境の改善、漁業の6次産業化や観光との連携強化など、京都の漁業をより持続可能で魅力的な産業に発展させるための取り組みを進めてまいります。
KBS京都テレビ 毎月第4月曜日 19時30分~20時
京都府の温もりと「こんな所に魅力が“あったか!”という発見」をお届けする番組「あったか京都!」。
7月放送分では、海の民学舎の人材育成や、京都の海の幸の魅力について、お笑い芸人アルミカンの2人が元気いっぱいにレポートしています!
[お問い合わせ]
京都府水産事務所
TEL:0772-25-3030 FAX:0772-22-3289
お問い合わせ
知事直轄組織広報課
京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
電話番号:075-414-4074
ファックス:075-414-4075
[email protected]
おことわり
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組織改正等により変更されている場合がありますので御了承ください。
ご不明な点がございましたら、広報課までお問い合わせください。