人権口コミ講座 158
「部落差別という「本音」直視すべきなのは誰か?」
静岡大学人文社会科学部教授
山本 崇記(たかのり)
部落問題の深刻化と規制強化の両義性
2016年、部落差別解消推進法が施行され、「現在もなお部落差別が存在する」とされました。国連人種差別撤廃委員会勧告(2018年)、ネット上での部落差別情報の削除に関する法務省通知(2018年)等が続き、「全国部落調査復刻版出版事件」の高裁判決(2023年)が出されました。いずれも部落差別の規制強化を求めています。部落差別はネット上を中心に悪化しており、従来の結婚差別や地域差別もいっそう深刻化しています。
部落差別の規制強化の必要性が高まる一方、具体的な交流を通じて差別意識を低減し、より深く理解し合うことも重要です。京都府下36ヵ所には、社会福祉法に規定された人権福祉施設「隣保館(りんぽかん)」が存在していますが、十分に知られておらず、活用しきれていません。規制強化と交流促進を両立する最前線の拠点ですが、規制強化だけでは私たちの部落問題理解は空洞化しかねません。
部落問題のリアリティを知る「責務」
2022年に、『私のはなし、部落のはなし』(監督・満若勇咲(みつわか ゆうさく))というドキュメンタリーが公開されました。腹の底では差別感情を払拭できない高齢女性の結婚観、同和行政に不満を感じ部落の所在地をネット上に暴き続ける中年男性の嫌悪感情等、差別する側の「本音」を捉えています。差別に苦しめられる被差別部落の人たちよりも、圧倒的多数(マジョリティ)の府民にこそ、このような「本音」に向き合う「責務」があるのではないでしょうか。法律や判決、建物があるだけでは十分ではありません。それらを活用する私たちのアクションこそ急務なのです。
※令和6年1月発行の「人権口コミ講座25」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。
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