きょうと府民だよりナビゲーション
トップページ府民だよりトップ2024年1月号新春対談 さあ、文化の都・京都へ。

新春対談 さあ、文化の都・京都へ。

昨年、京都府文化観光大使に就任され、自他共に認める"京都通"として知られる常盤貴子さんをゲストにお招きし、京都の暮らしに息づく文化やその魅力、日本文化の発信拠点としての在り方を展望します。

京都府知事
西脇 隆俊

俳優
常盤 貴子さん

神奈川県横浜市生まれ。1993年に俳優デビュー。95年にドラマ「愛していると言ってくれ」でブレイクし、2000年「ビューティフルライフ」で最高視聴率41.3%を記録。04年には映画「赤い月」で第28回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど映画、舞台、CM、ドラマ、ナレーションなど多岐にわたって活躍。21年からはテレビ番組「京都画報」に出演し、京都の魅力を発信している。23年、京都府文化観光大使に就任。

千年の都・京都に根付く文化

西脇まずは京都府文化観光大使をお引き受けいただき、ありがとうございます。以前から、京都が大変お好きだったそうですね。

常盤初めは和菓子や小物のような「かわいい」ものに惹(ひ)かれたのがきっかけだったのですが、歳(とし)を重ねるにつれて、歴史的背景にも興味を持つようになりました。面白いと思ったものを自分で調べたり、地元の方に聞いたりして、知れば知るほど新しい魅力に出合えるのが京都の良いところですね。

伊根町伊根浦には、約230棟の舟屋が海岸沿いに建ち並ぶという趣ある景観が現在も残されている

南丹市美山町内では、築100年を超えるかやぶき民家を一棟貸しの宿泊施設として活用している例も

西脇千年を超える文化の蓄積が、今も生活の中に息づいていますからね。今日お召しになっている着物も、その一つといえます。常盤さんは京都の魅力を掘り下げる番組でナビゲーター役をされていて、毎回、着物で各地を訪ねておられますね。

常盤出演が決まったとき、自分から「着物を着たい」とお願いしたんです。やっぱり京都は着物が似合うので、視聴者にも「着物を着て京都を歩きたい」と思ってもらえたらいいなと。

西脇コロナ禍で生活様式が急変し、各地の風景や人々と直接触れ合う機会は減ってしまいました。だからこそ常盤さんが発信される日本の文化に対する憧れや、大切にしたいという思いも深まったのではないでしょうか。

常盤私自身、実際に袖を通すことで改めて知った着物の良さがたくさんありました。その点、京都ではお家(うち)にお伺いすると、例えば床の間飾りなどにも気を配っていらっしゃることに感動します。生活が便利に変化する中でも、そこに根付く文化をきちんと意識されているというか。

西脇生活文化というところでは、茶道や華道などもそうですね。着物をはじめとする伝統産業に加え、こうした有形無形の文化も守り継いでいきたいと思います。

「もうひとつの京都」の奥深さに触れる

西脇京都は文化財が数多く残るかつて都であったエリアだけでなく、府域にも素晴らしい場所がたくさんあります。その「もうひとつの京都」の中で常盤さんがお好きな場所や、行ってみたい場所はありますか。

常盤歴史的な建造物が好きなので、伊根の舟屋に番組で訪れたときは本当に楽しかったです。海に面して家が建ち並んでいて、舟のガレージがあって。こんな建築の仕方があるんだなと驚きました。

西脇舟屋が建ち並ぶ風景を海から眺められる遊覧船も人気がありますよ。個人的には夏の風物詩「伊根花火」もぜひ一度ご覧いただきたいですね。他のエリアはいかがですか。

常盤気になっているのは美山です。まだ行ったことがなくて。

西脇美山はかやぶきの里が有名ですが、今はそうした築100年を超える古民家に一棟貸しで泊まれる宿もあるんですよ。

常盤すてきですね。宿泊してこそ見える、その地の良さがありますものね。あと宇治にも行ってみたいんです。

西脇外国人観光客の中には「一日ゆっくり巡るなら宇治」と言う方もいらっしゃるくらい、たくさんの見どころがあるんですよ。実は宇治だけでなく、府南部の山城エリアは国宝の宝庫。八幡市の石清水八幡宮や木津川市の浄瑠璃寺など素晴らしい文化財がたくさんあります。

常盤わぁ、まだ知らない魅力がいっぱいですね。「今回はこういうテーマにしよう」と決めて旅をするのが好きなので、これから府内をいろいろ巡って、「もうひとつの京都」を深めていきたいと思います。

平等院や宇治上神社といった世界遺産、宇治茶、源氏物語ミュージアムなど、見どころ盛りだくさんの宇治

文化は人の中に蓄積されるもの

西脇昨年、文化庁が京都に移転し、京都は名実ともに「文化の都」として歩み始めました。ここまでお話ししてきたように、「文化」といっても非常に幅広いわけですが、常盤さんはどんなイメージをお持ちですか。

常盤京都に来ていつも思うのは、この町を形づくっているのは"人の志"なんだな、ということです。京都の方は文化を日々身近に感じながら、それを守っていらっしゃいますよね。その矜持(きょうじ)と、文化を未来につないでいこうという心意気を持って暮らしておられるように、私には感じられるんです。そんな人々の思いこそ、京都が誇る一番の文化なのではないかと思います。

西脇ええ。それを如実に物語る例が「古都京都の文化財」といえますね。現在、鹿苑寺(ろくおんじ)(金閣寺)をはじめ、17の神社仏閣などがユネスコの世界文化遺産に登録されていますが、これらの多くは経年劣化や災害などの影響で補修や再建が行われ、実は創建時のまま残っていないものもあるんです。それでも登録に至った要因の一つは、たとえ焼失しても元通りに造れる技術や素材が、千年の時を超えて受け継がれてきたことにあります。そうして伝統をつないできたのは、まさに人々の思いなんですね。建築や工芸品など、目に見えるものとして残る歴史的価値はもちろん重要ですが、文化の本質は「心」だと私も思います。

常盤本当にそうですよね。以前、伊根町にお伺いした際も、皆さん「観光するだけでは分からない本質を見てほしい」と話されていました。それも、場所だけではなく、そこに住み文化をつないできた人を感じてほしいという意味だったのではないかと思っています。

京都が誇る一番の文化は"人の志"

伝統と革新の地、京都

西脇昨年2月には、「苔寺(こけでら)」の名で知られる西芳寺(さいほうじ)で、スタートアップ企業の支援プログラム「イノベーターズ・パス」の発足式、記者会見を開きました。また、10月には大山崎町に「アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都」(ATVK)をオープンしました。アートとテクノロジーの融合という考え方が世界の産業の主流になる中、京都独自の文化力・芸術力を活かした新しい産業が生まれることを期待しています。

常盤昨年3月には京都文化博物館や東本願寺渉成園(しょうせいえん)などを会場に「ARTISTS’FAIR KYOTO」も開催され、現代アート作品が展示・販売されていましたね。こういうところでも、京都の柔軟さとおおらかさを感じます。「歴史ある建物をイベントに使うなんて」という声が上がってもおかしくないのに。

西脇例えば京都の産業をけん引する企業の中には、仏具や焼き物、染めなどの伝統産業をルーツに持つ所も多いんです。伝統の中から革新的な文化を生み出してきた、という意味では、今も昔も本質的には同じなのかもしれません。

常盤歴史をさかのぼれば、「それはない」と批判されながらも、いつの間にか文化として定着したものもたくさんあるんでしょうね。私も何か革新的なものに出合うたび、「これはどうなんだろう」と考えますが、同時に、今の私には理解できないだけで、千年後の人にとっては当たり前になっているかもしれない、とも思うんです。今の私たちにできることを精いっぱいやって、未来へとつないでいく。それが大切で、それこそが今を生きている意味なのではないでしょうか。

昨年10月にオープンした「アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都」(ATVK)。新たな産業創造のために府内各地で整備を進めている産業創造リーディングゾーンの一つ。世界に類を見ないオープンイノベーション拠点となることを目指す

昨年3月、美術展とアートフェアの境を取り払った新しいアートイベント「ARTISTS’ FAIRKYOTO 2023」を東本願寺渉成園などで開催
撮影:顧 剣亨

文化の都・京都の実現に向けて

歴史ある京都を、日本の文化の発信地にしたい

西脇昨年、「京都府観光総合戦略」を改定し、「交流」と「持続性」を2つの視点として定めました。観光客と地域の方々との交流を深化することで地域を活性化し、「持続性の高い観光」を実現していきたいと思います。京都を愛するファンの一人として、文化観光大使としての常盤さんの思いをお聞かせいただけますか。

常盤世界中を見渡しても、京都のように世界中の方々が憧れる街は限られると思います。それは京都の個性が今も大切に守られているから。生活に根付いた文化を維持していくことの大切さ・難しさを知って、次世代に託そうと努力している人たちがいるからだと思います。京都が好きな人たちはもちろん、今は興味を持っていない人たちも一緒になって京都の文化を知り、守っていくことで、日本ならではの文化を再認識できるようになるのではないかと思っています。まずは私自身が実際に本物を見て、触れて、文化に対する知識を広げていきたいですね。

西脇来年には「大阪・関西万博」が控えています。京都の文化を国内外に発信し交流を促進するこのチャンスを最大限に活かし、文化の都・京都としての歩みを進めてまいります。

常盤大好きな京都が盛り上がるように、私もどんどん魅力を発信していきたいと思います!

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
電話番号:075-414-4074
ファックス:075-414-4075
[email protected]

おことわり

掲載されている連絡先等は掲載時点のものです。
組織改正等により変更されている場合がありますので御了承ください。
ご不明な点がございましたら、広報課までお問い合わせください。

ページの
先頭へ