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時には暑苦しさを感じさせるセミの鳴き声もコオロギなどの涼やかな鳴き声にとって代わり、朝晩肌寒くなってまいりました。秋の花咲く鴨川・高野川を歩きながらその様子を見てみました。
ランタナの花にはツマグロヒョウモンが蜜を吸いにきています。複数のオスメスが舞い、繁殖のお相手探しもしているようです。花から花へと飛び交う蝶を介してランタナも実を結んでいきます。
<ランタナの蜜を吸うツマグロヒョウモン>
<ブドウのような実を結ぶ>
秋の花といえば、その名に秋を持つ“秋桜(コスモス)”です。秋の風に吹かれながら今年も花を咲かせました。朝日を浴びるコスモスも綺麗ですね。
<秋風に揺れるコスモス>
<朝日に照らされるコスモス>
朝日にすかされているのはエノコログサです。周りの毛の部分が透けてなんともいえない佇まいです。
<朝日に浮かび上がるエノコログサ>
<回り込んで見てみると>
綺麗に剪定された枝に一輪だけ花を咲かせているのは“ビョウヤナギ”です。初夏に花を咲かせるはずが季節外れの一輪咲き、何か勘違いしているのでしょうか。
<剪定された“ビョウヤナギ”>
<黄色い一輪咲き>
オシロイバナもピンクの花を咲かせています。そんな花の向こうに見え隠れする鴨川・高野川では、冬の渡り鳥たちがちらほらと姿を見せはじめています。
<オシロイバナの向こうに鴨川>
10月5日(月)の早朝、そろそろ冬鳥達の姿が見えないかと散策してみると、まだ群れではありませんが、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモが数羽確認できました。カワアイサのメスは、とうとう一夏を鴨川で過ごしたようです。
<コガモ>
<ヒドリガモ>
<おそらく“オナガガモ”>
<越夏したのか“カワアイサ”メス>
鴨川真発見記第202号では、漫画家でイラストレーターの富士鷹なすび氏の「やっぱりさぎが好き」のイラストと共に鴨川・高野川で過ごすサギ達の様子をご紹介しました。今回は秋から春にかけて鴨川を賑やかにしてくれるカモ達の生活を先取りして同氏のイラスト「カモの生活断面図」と共にご紹介したいと思います。
<サギ特集では主役のサギ ダイサギ、コサギ仲良く並んで魚を待つ>
それでは、富士鷹なすび氏のカモの生活断面図の全図はというと、このとおりです。カモ達の特徴がコミカルに描かれています。今回もこの中から鴨川、高野川で見る事が出来るカモ達の様子をピックアップして、過去の画像と併せて紹介させて頂きます。特に水の中の様子は興味深いものがあります。
<「カモの生活断面図」 文・イラスト 富士鷹ナスビ氏 作>
出典:「BIRDER」2011年11月号より
最初にご紹介するのは、シンクロナイズドスイミングの様に、長い尾羽を水面から垂直に突き出して、揃ってエサを食べる“オナガガモ”です。普段目にするこの光景も、水の中ではどんな事になっているのかわかりませんが、イラストでわかり易く紹介されています。
長い首をめいっぱいのばし逆立ちになってエサをとってるオナガガモ。他のカモより首が長いのでそれだけ深い水底を利用できる。
<シンクロナイズドスイミング?>
続いては、鴨川でもよく目にする雛を連れたカルガモの様子です。某お寺から鴨川へ引っ越しするカルガモが有名ですが、最初から鴨川で繁殖しているカルガモも数多く存在しています。
カルガモの巣は草むらややぶの下につくり、10~12個の卵を産む。子育てはメスのみで行う。
<お母さんに連れられて>
<大きくなってもまだ“こども”>
はじめて潜る瞬間を目にした時「なにこれ!」と思ったのが、“キンクロハジロ”です。その時はまだそれがカモの仲間とも知らず、ただただ驚いた事を思い出します。その後潜水する“カワアイサ”との出合もありました。
キンクロハジロなどの潜水ガモは体の後ろ側についた足を使って巧みに水中を泳ぐ。キンクロハジロは貝を主に食べ他に魚やエビ水草なども食べる
ウミアイサやカワアイサとは違う太くて短い嘴 貝を食べるのに適している。
ウミアイサやカワアイサの嘴は細長くて先がカギ状に曲がりギザギザがあって魚をとるのに適している
<カワアイサは魚が主食>
<キンクロハジロの群れ>
<潜水しますよ~>
<はい消えた>
<浮かんできたぞ>
<カワアイサ メス>
<カワアイサ オス>
<カワアイサ オスメス同時に潜水>
続いては、「マガモだって潜る時があるのです」です。私も一度マガモが盛んに潜っているのを見た事があります。その時は????なんで?とおもいましたが、なすび氏のイラストと文を見て納得した次第です。
水中に潜って水浴びする時もあるマガモ。(狭山湖でなすびはよく見てるよ)
「うーキモチイ~♡」
<マガモのメスが>
<“ざぶん”と潜水>
<しばらくして浮上 オスも同様に潜水>
次は、「潜水するカモ」と「潜水しないカモ」の足のつきかたに注目です。でも潜水するカモが陸上に上がっている姿を見た事がありません。キンクロハジロが陸上で歩く姿を見てみたいものです。
潜水しないカモのマガモは足が体の中央についているので陸では体が水平になる。潜水するカモのキンクロハジロは、足が体の後についているので陸では体は起きる。地上を歩くにはちょっと不便な足のつきかたなのだ。
<マガモ バランスの良い立ち姿>
続いてはマガモの逆立ち姿です。“オナガガモ”のスッと垂直の逆立ちに対して、マガモのなんと愛嬌のある逆立ち姿でしょうか。ある方からその画像を見て「癒される~」とコメントを頂いた事を思い出しました。
水中の草を求めて逆立ちになっているマガモ
<ももひきを履いた様な足>
<まさに必死のパッチ>
次に登場するのは、多数の集団で行動している姿が印象的な“ヒドリガモ”です。高水敷の草を集団でついばんでいる姿を目にします。そのあとには、緑色のペレットのような糞が残されています。(緑の上に緑の糞で目立ちませんが・・・)
潜水しないヒドリガモは陸上で草の若葉や芽、海岸の岩場で藻などを引きちぎって食べるので太くて短い嘴をもつ。
<寄州や高水敷で草の若葉や芽をひきちちぎる>
鴨川では見かけませんが、高野川の上流にある宝ヶ池に毎年飛来する“オシドリ”の説明に興味を引かれましたのでご紹介したいと思います。オシドリは果たしてオシドリ夫婦なのか。
国内で繁殖するオシドリは、カモ類では珍しく大木の樹洞内に巣をつくり、抱卵や子育てはメスのみ行う
ヒナの巣立ちは樹洞から飛び下りかなりの距離を歩いて水辺に移動する
<オシドリ オス>
<手前が子育てをするメス>
最後は子孫繁栄の交尾です。このシーンは私も幾度か見た事があります。オスメス共に首を上下に動かして求愛ダンスのあと、オスが上になって妊活完了です。
カモ類の交尾は水面で行われ、オスの重みでメスの体は水中に沈む
<マガモの交尾 沈むメス>
<カルガモの交尾 オスの顔下にメスの顔>
以上、今回は富士鷹なすび氏のイラストを使用させて頂いて、これから鴨川・高野川を賑わしてくれるカモの生活の一端をご紹介させて頂きました。皆さんも今シーズン”カモ”をお見かけになりましたら、「カモの生活断面図」を思い出して「あっ、これか」と思って頂けると幸いです。
平成27年10月6日 (京都土木事務所Y)
平成27年10月8日(木)の午後3時30分から、御所南小学校の4年生以上の児童を対象に「ゴリ押し漁体験」が実施されました。
授業終わりの放課後の時間に、有志を集めて「京の川の恵みを活かす会」の主催のもと、子供達の歓声が響きました。
「ゴリ押し」という言葉に“ん!”とあまり好印象を受けません。広辞苑を引いてみると「理に合わない事を承知でその考えをおし通すこと。強引に事を行う事。無理押し。」とあります。
では、ゴリ押し漁とは「ゴリ押し漁体験」のチラシから紹介させていただきます。
【ゴリ押し漁】
ゴリは、ハゼ科やカジカ科の総称で、鴨川にいる身近なゴリはカワヨシノボリです。カワヨシノボリはヨシノボリの中でも特に美味とされ、飴炊き、吸い物、茶漬けなどに欠かせない京都の味わいです。
魚偏に「休」と書くように「鮴(ゴリ)」は川底にじっとして休む様に生息しています。その習性を利用して、ゴリの漁は、数人が輪になり、わらの束を川底に這わせる様に強引に押し上げ、輪を狭めて網に追い込んで捕る「ゴリ押し漁」が効果的です。無理矢理に物事を進める「ゴリ押し」の語源になったようです。
やはり、「ゴリ押し」の語源がここにあったようです。
当日の会場にお邪魔してきましたので、ゴリ押し漁体験の様子をご紹介したいと思います。
会場は丸太町橋上流右岸の浅い流れの区間です。ソメイヨシノなどの桜の葉が薄紅に色づきはじめた初秋の鴨川で、ゴリ漁体験の準備は整いました。あとは参加者の到着を待つばかりです。
<会場は丸太町橋上流 桜の葉も色づきはじめています>
<道具類も揃ってスタンバイOK>
早くから会場に駆けつけてくれた、少年2人は川の中を歩き回ったり、これから漁をするゴリを眺めたりしながら開始時間を待ちます。
<バケツには小ぶりのナマズ>
<今日の獲物“ゴリ”確認>
いよいよ開始時間となりました。11名の児童と保護者の皆さんの参加のもと、「京川の恵みを活かす会」の竹門代表からあいさつと、漁の方法の説明がありました。
<それでは始めます>
<竹門代表のあいさつ>
ここで竹門代表からの質問「バンと足を鳴らすと魚はどこに逃げるでしょう?」すかさず「上へ逃げる」と一人の男児が答えます。「良く知ってるね。一般の人はあまり知らないんだけど・・・」と竹門代表。
<下流に口を向けて設置>
<足をバンと鳴らすと ゴリは上流へ>
「それじゃあ“ゴリ”はどうやって川底で休めるの?」の質問にまたもや即答で「吸盤があるから」と声が上がります。普段から魚の事に興味を持ち、知識を備えた児童も参加されている様です。
<“ゴリ”を下からみてみると>
<お腹に吸盤があります>
そして、礫河原の寄州の上で予行練習です。
竹門代表から、「場所は瀬の部分を選ぼう。わらの束を持って、川底を押し上げていく途中で上げてはダメ。隣の人とスピードを合わせて。石に当たってもグイグイと押し上げて。」とアドバイスを受けました。
<漁場は瀬を選ぼう>
<わらの束を持って>
<並んで>
<グイグイ前へ>
予行練習を終えて、いざ川の中へ入ります。わらの束を川底に付けて中腰で前へ進みますが、学校でのぞうきん掛けの習慣も無いであろう児童には、この体制はキツイ様で、思わずわらを持ち上げてしまう児童も見受けられます。
<靴の女児は靴下を脱いで>
<少し網が遠いかな>
<キツイ わらの束少し持ち上がった>
<ようやく網の手前に到着>
<さあどうか>
<“ゴリ”が一匹いた!>
一回目のトライは、ゴリ1匹、オイカワ2匹の捕獲に止まりました。上流でゴリ押し漁にトライした大人のグループからは大漁の声が上がっています。
<一回目のトライ“ゴリ”は1匹>
<大人チームも網に向かってゴリ押し>
<大漁!大漁!>
これには、児童たちも「もう一回!」と闘争本能に火が着いたようで、一回目の反省点を確認しながら再度のトライです。
丸太町橋の上からは、外国人観光客の皆さんが興味深くその様子を見学されています。地元の住民にも珍しい「ゴリ押し漁」は彼等の目にはどの様にうつったのでしょうか。
<外国人ギャラリーからも声援が>
2回目は息も合って、多くの“ゴリ”を網に押し上げる事ができました。その姿に、現在ラグビーワールドカップで活躍中の全日本チームの健闘がダブります。その後も大人グループとの数争いに何度もトライを重ねたところ、最終的には子供グループが勝利することができました。
<息を合わせて>
<最後は両サイドを囲い込む>
<水中の“ゴリ”の様子>
写真提供:京都府水産課
<やり切った感が漂います>
<さ~てその成果は>
<ゴリがたくさん捕れました>
<バットの角に集まるゴリ>
「これにて終了。それでは試食してみましょう」との声に、今捕獲した“ゴリ”を試食するのかと思った児童からは「え~」の反応でしたが、それは事前に捕獲した“ゴリ”を竹門代表が自ら飴炊きにされた試食用のゴリでした。
始めて口にするゴリの味に「美味しい」と口々に感想が漏れました。普段は体験出来ない貴重な「ゴリ押し漁体験」となりました。
<竹門代表お手製の飴炊き>
<美味しい!>
<楽しい“ひととき”を有難うございました>
社会生活ではあまり遭遇したくない「ゴリ押し」の場面ですが、ゴリ押し漁は伝統的な漁文化として受け継いでいって欲しいものです。
平成27年10月9日 (京都土木事務所Y)
体育の日といえば10月の第2月曜日に変更されて15年が経ちますが、体育の日は“10月10日”と記憶にインプットされたままの我々世代には、平成27年10月12日が体育の日と言われてもピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
そんな10月12日体育の日は、朝からお日様が顔を出す暖かい日となりました。自宅のある修学院からのんびりサイクリング&ウオーキングで下流域へと向かいました。
ゆっくりと自転車を走らせていると、目についたのは“カワセミ”の姿です。あわててカメラを取り出したものの、ピントはユラユラと光る川面に・・・。
ピント合わせを待つこと無く“カワセミ”は飛び去りました。カワセミはエサを求めて川面を見つめるのでしょう。久々に会えただけでも少し心が弾みます。
<写真真ん中 “カワセミ”発見>
<ピントは川面に>
出町の飛び石では、今年生まれたばかりと思われる小さなサカナが泳いでいます。“鷺知らず”(京の名物とされた小魚の佃煮)といわれる、鷺も知らない程小さなサカナかと思いながら下流へと向かいました。
<出町の飛び石>
<小さなサカナ発見>
平成26年度の工事で“JR鴨川橋”の下流“九条跨線橋”上流まで繋がった左岸を進むと、昨年に続いて二回目の鴨川での開催となった、「第34回全日本ハエ釣り王座決定戦」の選手の姿が見えてきました。
<ハエ釣り王座決定戦 選手発見>
<九条跨線橋の下にも>
ここで、魚がいるかなと川の中を覗いてみると、河川流下阻害物を少なくするため、架け替えにあわせて橋脚が一本になった奈良線の旧橋橋脚基礎跡が目に入りました。最初に単線で架けられた橋脚の基礎は、煉瓦で造られています。そして後から付け加えられた基礎はコンクリートで造られています。ここにも建材の歴史を感じます。
<改修前のJR奈良線 上流から>
<同左 下流から>
<改修後 上流から>
<改修後 橋の下>
<煉瓦造の基礎 下流側>
<コンクリート造 上流側>
話を戻して、今年はハエの食いが悪いと言われていましたが、“びく”の中を見せて頂くと沢山のハエが入っていました。競技は上流区間への移動時間となりましたので、上流区間でのハエ釣りには後ほど合流する事にして一旦下流へと向かいました。
<この区間の釣果は>
<このとおり>
この日下流域へと向かった目的の1つは、勧進橋(かんじんばし)から水鶏橋(くいなばし)間の右岸洪水敷きの様子を見る事です。
今年の6月に、鴨川真発見記を御覧頂いている一般の方からのメールを頂きました。その中にこの区間に関する質問と感想が含まれていました。その内容は次のとおりです。
<メール本文より>
小生、鴨川河川敷をジョギングするのを趣味としている伏見区の住民です。
そこで質問です。
最近、鴨川の勧進橋とくいな橋間の右岸工事が進捗し、河川敷の遊歩道が整備されましたが、その道に使用されているのは、どういう材質のものなのでしょうか。
木片などが混じっているように見受けられ、土と木片の「アスファルト」というような感じなのですが、走っていてコンクリートやアスファルトと異なり、クッション性が高く、気に入っています。
とありました。
当所からの該当部分への回答は、
勧進橋からくいな橋間の右岸高水敷の遊歩道は、ウッドチップ舗装と呼ばれるもので、チップ化した木材とアスファルトを混合した材料を使用しています。解体廃材や間伐材を利用するため環境に優しく、また、適度な弾力性を有し衝撃吸収があるため今回採用したものです。今後は劣化状況などを確認しながら他区間での使用も検討していきます。
と回答させて頂きました。
<勧進橋から下流を望む>
<同左 右岸側>
今年の7月の台風による増水で鴨川の水が高水敷を流れましたが、それによる劣化は見られず、綺麗な園路が保たれています。改修した高水護岸に被せた土には緑が覆い、気持ちの良い秋の散歩道となっていました。
<ウッドチップ舗装>
<拡大すると木片が>
この日も、散歩にジョギングに、広々とした鴨川の河畔を御利用頂いていました。今後、この区間の堤防上には桜の木を植樹して、春の桜名所として整備して参ります。桜の並木道がお目見えするまでもうしばらくお待ちください。
<走る人の姿も>
<土手滑りに丁度いい感じ>
<ただ真っ直ぐではなく蛇行する園路>
水鶏橋でUターンして、ハエ釣り王座決定戦を追いかけるように団栗橋までとってかえしました。昨年の順位が背番号ということで、背番号1が昨年の優勝者です。順調に竿が動いてハエがびくに入れられていきましたが、途中から食いが悪くなりました。
<団栗橋下流で最終決戦>
<ゼッケンナンバー1番>
<ゼッケンナンバー2番>
鴨川の高水敷から、二人の釣りを眺めるギャラリーも増えてきました。大会役員の方から「観客が見ているぞ~ ガンバレ~」と声が掛かりました。
丁度ススキの穂が秋風になびく中、ひたすら竿を降り出します。
<ここか>
<ススキがなびく中で>
私も中州に降りて、選手達の目線でその風景を堪能し、会場を後にしました。
<礫河原の中州から見た風景>
高水敷を利用する方、川の中でハエ釣りを競う方、などなど様々な方が快適に鴨川を利用して頂ける様に整備、管理をするのが京都土木事務所です。
平成27年10月14日 (京都土木事務所Y)
後日、京都府水産課の方から競技成績をお聞きすると、昨年の優勝者は連覇を逃されたようで、若手の優勝という結果だったそうです。今回の大会で釣り上げられたハエは、比較的ハエの生育の悪い区間へ放流されたそうです。これもまた生態系を保つ取り組みの1つなのです。
<全国屈指の競技者の皆さん>
<栄えある優勝は 中央の方>
そして、小学生の「ハエ釣り教室」をはじめ、ハエ釣り大座決定戦期間中の3日間には、鴨川に落ちているゴミも拾う美化活動も実施されました。
参加者の皆様有難うございました。
<昨年の優勝者もゴミ運び>
<各競技区間で集められたゴミ>
平成27年10月25日(日)は、晴天ながら近畿で今シーズン初の木枯らし1号が吹き抜ける肌寒い日となりました。その中で、鴨川探検!再発見!が開催されました。
参加者22名、保護者21名の参加者が京都土木事務所に集合し事前説明を受けて鴨川へ向かいます。今回は、雨天中止となった第38弾で予定していました「自然観察ビンゴカード秋バージョン」も使用して、楽しく自然観察に望みました。
<参加者の皆さんにご挨拶>
<今回用意したビンゴカード>
<2班に分かれて観察場所の北山大橋下流の鴨川へ>
鴨川を吹き抜ける風は少々強く肌寒いですが、子供達は指導員の方の説明に熱心に耳を傾けます。
<鴨川に一歩踏み入れると既に自然観察は始まります>
指導員さんが、黄色い花を摘んで説明です。茎の先に連なる様に咲いている花をばらしてみると、小さな花の集合であることがよく解ります。探偵さんが使用するようなルーペでじっくり観察しました。
<黒い板の上で小さな花を並べる>
<ルーペでじっくり観察>
今回は、鴨川での自然観察の後、京都土木事務所へ戻ってより詳しい説明を全員にしました。その様子を織り交ぜてご紹介したいと思います。
「セイタカアワダチソウ」は北アメリカ原産の外来種です。この黄色い花が実を結び種を持つ頃になると、黄色は白く変色し「泡(アワ)」を立てた様になります。この「背の高い泡立つ草」という特徴から「セイタカアワダチソウ」と名付けられました。観察した黄色い花の傍にも、既に泡立ち始めている花もありました。
<黄色い花は石けんを泡立てた様に>
<黄色に混ざって泡立つものも>
そして、鴨川探検では定番となりつつある“ヤマブキ”の茎遊びです。短く切った“ヤマブキ”の茎の真ん中を細い串の様な木で押すと、中のスポンジ状の繊維が飛び出すという遊びです。うまくいくと“ポン”という音と共に飛び出します。何度も挑戦してその感触を楽しみました。
<う~ん なかなか難しい>
<出て来たよ!>
<ヤマブキの茎遊び>
水の中の小さなサカナは見えませんが、大きな鯉が秋晴れの空の下悠然と泳いでいました。
<空は青く雲が流れる>
<次第に赤く色づくケヤキ>
<悠然と泳ぐ鯉>
最近飛来したばかりのカモの仲間も姿を見せてくれました。“コガモ”“ヒドリガモ”“カルガモ”“マガモ”を観察できました。カモの様子は鴨川真発見記第207号のカモの生活断面図でお楽しみください。
サギの仲間は、コサギを一羽観察できましたが、大きな“ダイサギ”や“アオサギ”は姿を見せてくれませんでした。これも木枯らし1号の影響でしょうか?コサギも風にあおられて、羽のセットが乱れていました。
<強風にあおられて>
<踏ん張るのもひと苦労>
鴨川でよく見かけるサギの大きさを実物大で見てみましょう。「コサギ」と名のつく小さいサギでも全長はこんなに大きいのです。そして、大きな“ダイサギ”“アオサギ”はこんなに大きいのです。
さて、皆さん「サギの足先は人間に例えるとどこでしょう?」それは指です。サギの“ヒザ”の様に見えるここは、実は“カカト”なのです。“ヒザ“と”太もも“は翼の下に隠れていて見えません。
食いしん坊の私はつい“鶏のもも肉”を思い浮かべてしまいました。山賊焼き・・・。
<サギの足の構造は?>
次に指導員さんが差し出したのは、いがいが付きの種です。“ひっつき虫”と呼ばれる野草の種は数多くあります。この種は球体ですので、どの角度で繊維に当たってもひっつきます。ひっつきやすい的に向かって投げると、ピタッとくっつきます。天然素材のダーツゲームの出来上がりです。
その名は“オナモミ”です。
<トゲトゲの種>
<ビンゴカードの植物見つけた>
<一番小さい的をねらって>
<見事“大当たり>
“オナモミ”のトゲトゲの先は、釣り針の様に曲がっていて、そのフックで繊維にとりつきます。この性質をヒントに作り出されたのが“マジックテープ”です。現在では、運動靴や衣服など様々な用途に使われています。これも人間が自然から学んだ技術の1つでしょう。
ちなみに”オナモミ”と似た形の種を持つ外来種の“オオオナモミ”の方が勢力が強く、在来種の“オナモミ”は減っているのが現状です。
<先がフックに>
<細かいトゲが沢山>
観察出来るだろうと期待した“蝶”は、小さな“シジミチョウ”が低空をヒラヒラと舞うだけで、この時期いたる所で目にする“ツマグロヒョウモン”は全く姿を現しませんでした。風の強い日は蝶は飛び回らないそうです。
<唯一姿を現したのは“シジミチョウ”>
蝶の幼虫の写真です。目はどこにあるでしょうか?頭の所にある模様は目のように見えますが、実際の目は、口の近くの小さな点です。ここから見つめているのです。
<この模様が目のように見えますが>
<ここに目があります>
風が強いこの日だったからこそ、上手くいく遊びもありました。細長い葉に切れ目を入れて、茎の部分をスッと引くと、葉が風に乗って飛行します。
風のながれに乗せて上手く飛びました。
<上流からの風に乗せて>
<飛行しました>
この日の主役となったのは、バッタの仲間です。少し残して除草された中州では、多くのバッタの仲間が飛び交います。
“トノサマバッタ”“イナゴ”“コオロギ”と次々と捕獲して、じっくり観察しました。“コオロギ”のオスメスの見分け方や鳴き声の特徴なども教わりました。
コオロギは「コロコロコロ」と涼しげな鳴き方をします。この鳴き声は、メスを呼んでいる時の鳴き声です。「チ、チ、チチチ」と短く鳴くときは、オス同士の威嚇の鳴き声です。
メスのお尻の真ん中に突き出ている剣のような管は、卵を産む管です。これでオスメスを区別する事ができます。
<コオロギ捕まえた>
<これはメスのようです>
帽子でコオロギを追いかける少年は、夢中でその後を追います。その様子を見にきた少年の網には、知らぬ間に“コオロギ”が・・・。「入っているよ」と教えてあげると、知らなかったと驚いていました。
<“コオロギ”まてまて>
<自ら網に飛び込む“コオロギ”も>
ショウリョウバッタを初めてつまんだ少女は、一度逃がして上げた後で、もう一度その感触を確かめるために、優しくつまんで捕まえる事ができました。寄州に降りて再度挑戦です。人生初のバッタ採り、思い出になることでしょう。
<人生初のバッタ捕まえた>
<もっと捕まえてみたい 寄州へ>
<今度は1人で捕まえるぞ>
指導員さんの「バッタ欲しい人!」の呼びかけに、「バッタ欲しい」の声が一斉に上がります。トノサマバッタを捕まえて他の参加者に渡す少年の姿も見られました。
<ほら“トノサマバッタ”>
それでは、バッタの目は幾つあるでしょう。2つ?3つ?4つ?いやいや5つです。明らかに目とわかる2つの主眼に加えて、主眼の間に1つ、主眼の上に2つの複眼があります。バッタは合計5つの目を持っています。
<4つだと思う人>
<正解は5つです 複眼があります>
<バッタの目は5つ>
冬眠前のカエルの姿もありました。トノサマガエル、ツチガエル?よく似たヌマガエル?といった種類です。木枯らし1号吹く中で、冬眠の準備が始まる事でしょう。
<イボのある“ツチガエル?”それとも“ヌマガエル?”>
楽しい時間もあっという間に過ぎ去って、自然観察会もお開きの時間となりました。最後のまとめの時間に指導員さんから教わった、昆虫の生態を更に2つご紹介したいと思います。
今回のビンゴゲームの一コマにも「蜘蛛の巣」が採用されていますが、蜘蛛の巣にクモの姿は見えませんでした。それでは、クモはいつもどこにいるのでしょう。
クモは、図の下のトンネルの様になった所で獲物が糸に掛かるのを待っています。獲物が掛かると飛び出していって、獲物を糸でぐるぐる巻きにして、トンネルの中に運び込んで食事をします。
夜になると、糸の乱れを修復しに出てきます。
<蜘蛛の巣 クモは何処に?>
<下のトンネル状の所から>
<飛び出してきます>
最後にカマキリの目の色についてお話しします。体が緑色のカマキリの目は、皆さんも知っていると思いますが「緑色」です。では、夜になっても同じ色でしょうか?夜になると目の色は変わります。
<夜のカマキリの目は黒くなる>
<サングラスをかけたようです>
今回の鴨川探検!再発見!も、指導員さんの興味深いお話しを聞いて、発見の連続となりました。指導員さんのあれこれと趣向を凝らした下準備に感謝して、また次回の発見に期待しながら今回の記事を終えたいと思います。
平成27年10月26日(京都土木事務所Y)
鴨川真発見記第181号では、“ざぶん賞2013”「文化賞入賞」の「鴨川とわたし」という作文を鴨川のイメージ写真と共にご紹介しました。
ざぶん賞について詳しくは公式ホームページを御覧ください。
同じく「ざぶん賞2013」の環境賞入賞作品「長代川に生きる」という作品と出会いました。長代川は鴨川流域に流れる一級河川で、鴨川の支流高野川のそのまた支流にあたります。
その川の生き物を通じて、川の状態を知る、確認するといった自然観察の目で綴られた作文が「長代川に生きる」です。
<鴨川流域「長代川」 位置図>
今回はそんな自然観察の目で綴られた作文を手元にある写真を添えてご紹介します。
<添えさせて頂く写真>
京都府でも「鴨川探検!再発見!」と題した自然観察会を年4回開催し、鴨川の生き物を調査するイベントを開催しています。その中で子供達は川の事を知り、様々な知識を身につけていきます。その活き活きとした様子をイメージしました。
また、作文に登場する魚の写真は、5年に一度実施している全国的な川の生き物調査「水辺の国勢調査」結果など、京都府が実施している生き物調査の資料を織り交ぜてご紹介したいと思います。
<作文とアーティストの画を添えて仕上げられた作品「長代川に生きる」>
文:粟島 桜香(小学校5年)
画:コジマ ナオコ
ちょっと家から遠いけど、毎年夏休みに長代川で遊ぶのを楽しみにしている。
わたしが住んでいる近くにも川はある。整備されたばかりで水もきれいで、遊歩道があって、飛び石もあってすごくおしゃれな川だ。
都会のオアシスって感じでとてもすてきだけど、川底がコンクリートで残念なことに生き物がいない。
それに比べ長代川は自然の川だ。川辺は雑草だらけだし、川底には大きな石や小さな石があってあるきづらい。うっかりすべって全身がびしょぬれになった事もある。
<長代川>
<雑草も生い茂る>
流れもゆっくりなところや速いところがあるし、深いところや浅いところ、草や石で流れが止まってよどんでいるところもある。
川辺には雑草が生い茂っているし、川底の石に混じってごみもあるから整備された川とは見た目が雲泥の差かもしれない。
<浅瀬>
<川の中にも雑草>
<流れが速い所>
<木も生い茂る>
だけどこの川にはたくさんの生き物がいる。それがわたしにとっては最大の魅力だ。
<綺麗な流れに>
<トンボもヒラヒラ>
川に着いたらまずはペットボトルで作ったもんどりを仕掛ける。えさのにおいにさそわれ魚が入ってくる。それから網とバケツを持っていろいろな所へ行ってみる。一番つかまえやすいのはヤゴだ。
<ペットボトルモンドリ エサ練り>
<重りの石にくくりつけて沈める>
(出典:鴨川探検!再発見!より)
網であたりをごそごそするとコオニヤンマやカゲロウのヤゴがたくさんとれる。沢ガニもいる。前に捕まえたカニはお母さんガニで、おなかいっぱいに子どもを抱いていた。
<何が捕れたかな?>
<水と戯れる>
(出典:鴨川探検!再発見!より)
<コオニヤンマのヤゴ>
<鴨川でもサワガニ>
<水辺の生き物>
魚もいろんな種類がいる。カワムツ、カマツカ、ドンコ、ヨシノボリ、オイカワ、ムギツク、ドジョウなど。ゲンジボタルの幼虫やカワニナ、トビケラの幼虫、川エビもいた。
<カワムツ>
<カマツカ>
<ドンコ>
<シマヒレヨシノボリ>
<トウヨシノボリ>
<カワヨシノボリ>
<オイカワ>
<ムギツク>
<ドジョウ>
<ゲンジボタルの幼虫>
<ゲンジボタルの幼虫とカワニナ>
<トビケラの幼虫>
<スジエビ>
つかまえた生き物を調べていくと、いろいろなことが分かってくる。生き物の名前はもちろんだけど、びっくりすることに水質だ。
きれいな水でないと住めない生き物、多少汚れていても住める生き物、汚れた水に住む生き物で水の状態が見分けられるのだ。
<住んでいる生き物で水の状態が見分けられる>
前に大学で研究している先生に教えてもらったことだけど、薬品を使った水質検査はそのときの水の状態しかわからない。だけど生き物にはある程度の生育期間があるから、一定期間この川がどんな状態にあったかわかるらしい。
<川の生き物を調べよう 環境省水・大気環境局 国土交通省河川局 編>
<薬品による水質調査 その瞬間の水質がわかる>
私は毎年夏に来てこの川で生きる生き物たちを探す。カワムツやカマツカなどきれいな水に住む魚たちを見つけると、この川がきれいな水のままだったことがわかってほっとする。
※綺麗な水に住む
<カワムツ>
<カマツカ>
だけど、この川もごみや生活排水など周辺の生活から少しずつ影響を受けているはずだ。多少汚れた水でも住める生き物も混じっているからそれがわかる。
つかまえた生き物たちは捕まえた場所に返すことにしている。そこが住みかだからだ。
来年もきれいな水に住むたくさんの生き物たちに会えるといいなと思っている。
以上が作文の全文です。
粟島桜香さんは、大人が準備して実施するような自然観察を毎年1人でコツコツと続けるとともに、その川の環境を確認し、そこに住む生き物の事に関心を持つという素晴らしい取り組みをされてきました。
現在、中学生になられた彼女は、長代川に入る事は無くなったかもしれませんが、これからも変わらずに「川の事」「そこに住む生き物の事」「水質の事」を考えながら人生を歩んで欲しいと思います。
“ざぶん賞”の作文に出会って「鴨川とわたし」を紹介した事をご縁に、“ざぶん賞関西実行委員会”のお手伝いをする事になり、私も沢山の応募作品を読ませて頂きました。
多くの応募作品の中から、「2015ざぶん賞」の受賞作品が発表されました。
表彰式は11月28日(土)に金沢市で開催されます。
今年も全国から多くの素晴らしい作文が寄せられました。特に優秀な作文は表彰され、プロのアーティストの皆さんのイメージ画とともに作品として仕上げられます。
そして、全国各地で展示されますので、皆様もお立ち寄り頂ければ幸いです。
この“ざぶん賞”は、環境に関心があまり無い大人の方に小中学生の作文を通して少しでも「関心」と「理解」と「行動」を期待するものです。小中学生の皆さん、来年の2016ざぶん賞にあなたの水に対する想いを届けてみませんか?
目頭が熱くなるような感動の作品も多数あります。作文をお読みになった皆様の胸にそのメッセージが届く事を祈りつつ今回の「鴨川真発見記」を終えたいと思います。
平成27年10月28日 (京都土木事務所Y)
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