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8月に入って毎日のように大雨洪水注意報や警報が発表されています。そんな中でも局地的に激しい雨が降るという現象がみられます。降雨レーダーを見ると激しい降雨を示す赤い場所が小さく示されます。
<京都府雨量/水位観測システム>
京都市域には注意報・警報が発表されなかった8月5日(木)の夕刻、帰宅途中に高野川の松ヶ崎橋の上から見た光景にその現象を見たような気がしました。
大きな岩の柱のように白い雲の塊が風に流されるでもなくそびえていました。そこへ黒い横筋状の雲が近寄っていきます。黒い雲が接近するに従って白い雲の上部が乱れはじめました。
<立ち上る白雲>
<右方向から黒雲>
黒い雲の先頭集団が白い雲の上部を攻撃しているようにも見えます。(ここからは白・黒と表現)白の上部の乱れが大きくなり、黒の最後尾から接近するその形はカメのようにも見えます。ガメラ雲とでも表現しましょうか。
<黒雲アタック 18:52>
<白雲に乱れ 18:52>
<黒雲はガメラのように形を変えて 18:55>
白と黒のバトル、どちらが残るのかと見ていると、白の上部も薄らいでいくと同時に黒のガメラ雲にも白がまといつきはじめました。
<黒雲ガメラにも乱れ 18:56>
<18:57>
<白黒互いに薄れゆく 18:59>
<18:59>
<白雲 上下分離 19:00>
<黒雲 散り散り 19:00>
しばらくすると黒いガメラ雲も白の上部も消失してしまいました。バトルとは無縁の周りの白い薄雲は夕陽に照らされて赤く漂っています。
<白黒互いに僅かに残る 19:01>
<黒雲消失 19:02>
<夕焼け雲>
勝ち残ったかのようだった白の下部の色が次第に黒く変色していきます。そしてその黒い塊も少しずつ小さくなっていきました。
<白雲下部が黒く変色 19:08>
<消えゆく下部 19:16>
気象の詳しい事は存じませんが、雲は水蒸気の塊です。それが黒く変色して消えていくということは、その水分が雨となって地上に降り注いだのではないでしょうか。この間の時間は約25分間でした。
<約25分間の空の物語 18:52 → 19:16>
気象情報でキャスターが「雲の動きを見てみましょう」と紹介されるのは、移動する雲の動きですが、一点で大きく成長した白い雲が、その場で消えて行く雲の動きを目の当たりにしました。
局地的に短時間の激しい雨という現象に”ずぶ濡れ”になった経験はありますが、その上空で何が起こっているのかはあまり考えた事はありません。
黒い雲と白い雲に直接の因果関係があったのかどうかは定かではありませんが、大空で繰りひろげられる雲の物語を垣間見た気がしました。
平成27年8月6日 (京都土木事務所Y)
鴨川真発見記では、これまで鴨川で見ることが出来る野鳥を「日本野鳥の会京都支部」の皆様の御協力を得て紹介してきました。
以前“鴨川リレー探鳥会”に参加させて頂いた時にあるイラストを見せて頂きました。そのイラストに目が釘付けです。
そのイラストの一枚のタイトルが「なすびのやっぱりサギフェチ」でした。
様々な種類のサギの特徴がコミカルに描かれています。
作者は漫画家の“富士鷹ナスビ”さんです。ナスビさんに連絡を取って、いつか鴨川真発見記でご紹介させて頂きたいとお願いしていましたところ快く了承して頂きました。今回そのイラストを皆様にご紹介したいと思います。
「なすびのやっぱりサギフェチ」文・イラスト 富士鷹ナスビ氏 作
(出展:「BIRDER」より)
ナスビさんの目から脳に伝わったサギ達が指先を通して実にコミカルに命を吹き入れられ、今にも動き出すのではと思わせてくれます。
それでは、鴨川で見ることの出来るサギ達の実際の写真と一緒にお楽しみ下さい。
最初にご紹介するのは、夜行性で目の赤い「ゴイサギ」です。
その特徴文がこちら
・日本の白いかんざしがオシャレ
・夜「グワッグワッ」と鳴きながら飛ぶので「夜ガラス」と呼ばれている
・ルビーの様な赤い目が魅力的
・紺色と灰色、白のコントラストが美しい
・幼鳥「ホシゴイ」と呼ばれている
<白い“かんざし”がタラリ>
<獲物を狙う>
<幼鳥「ホシゴイ」1本足で>
<背中に星の様な白い斑点>
続いては、鴨川真発見記でも常連のアオサギです。
こちらの特徴文もユニークです。
・最近どこでもよく見かけるよ
・ちょんまげがかわいい
・日本種サギ類で最大
・背中の羽がきれい
・翼を広げて太陽光発電?
・「ヒュードロドロ」正面顔がこんな風に見えるのは私だけ?
<背中の羽+ちょんまげ>
<太陽光発電?>
<ヒュードロドロ>
続いて登場は真っ白なサギの中でも一番大きいダイサギです。首が不自然な感じに曲がります。ナスビさんが表現されるとこんなにユニークなイラストになります。
特徴文はこちら
・長い首が美しい
・こんな風に曲がる
・背中の飾羽も美しい
・夏鳥の亜種(チュウダイサギ)と冬鳥の亜種(オオダイサギ)がいる
・大大中大 なんだかややこしいな~
・くちばし <夏:黒 冬:黄>
<首に関節があるのかな?>
<コンパクトに折りたたみ>
<首を水平に伸ばして獲物を狙う>
<首を垂直に伸ばして遠くを眺める>
ダイサギと対象的に体が真っ白なサギの中でも最も小さいのがコサギです。“せかせか”と忙しなく動き回りながら小魚が飛び出して来たところを狙います。
特徴文はこちら
・2本の長い冠羽がオシャレ
・1年中黒いクチバシ
・足を震わせて魚をさがす
・フワフワの夏羽はとてもキレイ
・黄色のくつ下はいているみたい
<フワフワの夏羽はとてもキレイ>
<足を震わせて魚をさがす>
<黄色のくつ下はいているみたい>
<2本の長い冠羽がオシャレ>
続いては真っ白のサギでも大きさが“ダイサギ”“コサギ”の中間くらいの大きさの、その名も“チュウサギ”です。水田や草地を好むようですが、鴨川にも姿を現します。私は一見して“ダイサギ”と“チュウサギ”を見分ける事はできませんが、野鳥観察のプロにはわかるようです。
特徴文はこちら
・川や干潟よりも水田や草地がすき
・何事も中くらいがイイのだ
・大中小白鷺トリオ
・くちばし <夏:黒 冬:黄>=ダイサギと同じ
(夏に飛来する夏鳥)
残念ながら、鴨川でこれが“チュウサギ”と自信を持ってご紹介できる写真を持ち合わせていません。申し訳ありません。
そして今回ご紹介するサギたちの“とり”を努めるのは2015京都府レッドデータブックで「準絶滅危惧種」に指定されている“ササゴイ”です。私も写真撮影出来たのは2回だけです。それにしてもササゴイの特徴の1つに驚きです。
特徴文はこちら
・とがったウロコ模様が美しい
・コレ(短い首)が“ビヨーン”こうなる(長く伸びる)
・小枝や葉などで魚をおびき寄せる
「釣り師みたいこれにはビックリ驚きです」
<まだ幼鳥のようですが>
<せいいっぱい首を伸ばして>
<獲物を狙う>
<この流れでは枝や葉の小技は使えません>
<別の川でササゴイ 写真提供:日本野鳥の会京都支部>
今回は、鴨川で見ることができるサギの仲間達をクローズアップしてご紹介しましたが、サギにも多くの種類があることに驚きました。皆さんの近くにもその他の多くのサギがいるかもしれません。
皆さんも特徴的な他のサギを見つけて“富士鷹ナスビワールド”を楽しんでみてはいかがでしょうか。
富士鷹ナスビさん楽しいイラストをありがとうございました。大人も子供もこれを見て思わず笑顔になる事でしょう。鴨川にカモが飛来するころ、もう一枚の楽しいイラスト「カモの生活断面図」をご紹介させて頂きたいと思います。
平成27年8月20日 (京都土木事務所Y)
平成27年8月23日(日)は夏休み最後の日曜日、鴨川探検再発見!第39弾が開催されました。小学生を対象に毎年4回開催を予定しているこの企画ですが、夏は水に入って生き物を観察します。
残暑厳しい中、約20名の小学生と保護者の方々に御参加頂きました。京都土木事務所の会議室に集合して、川に入る時の注意点などの説明を受けた皆様は、早速鴨川へと向かいます。
<京都土木事務所の会議室に集合>
<京都土木事務所の傍の鴨川へ>
<北山大橋下流へ>
冷たい水に足を浸けて網を草むらの根本に入れると、小さな生き物達が網に入ります。「これなに?ミミズ?」「いえいえ、水の中にミミズはいないでしょう」指導員の方に聞いてみると「ヤツメウナギです」とのこと。
<日差しを感じながら>
<さあ捕るぞ>
<これはなに?ミミズ?>
<ヤツメウナギでした>
<早速生き物ゲット>
<これはなに?>
小さなドジョウが次々と網に入ります。この辺りで産卵して孵化したようです。今年は7月に大きな増水がありましたので、かなりの魚が流されたようですが、新しい小さな命が育まれているようです。
<小さなドジョウが次々と>
<ヤゴや小魚も>
小さな魚が知らぬ間にバケツに入っていました。外来種のブルーギルです。こちらは処分対象です。
網に入った大きな獲物は「アメリカザリガニ」です。指導員のお兄さんに捕ってもらったそうです。
<大きなアメリカザリガニ>
<アメリカザリガニと記念撮影>
ハグロトンボがヒラヒラと飛んでいます。胴体がメタリックに輝いているのがオスで、黒く輝いていないのがメスだそうです。
<ハグロトンボ オス>
<ハグロトンボ メス>
京都土木事務所の職員も童心に帰ったのか、野生の血が騒ぐのか、網を壊す勢いで次々と獲物をゲットしていきます。今度はサワガニを捕まえて少年にプレゼントです。
<次は何が入ったかな>
<サワガニをもらったよ>
<そこそこ綺麗な水を好むヘビトンボ>
<小さなお子様も興味津々>
晩夏というか初秋の雰囲気を感じさせてくれるのは、「アキアカネ」です。指先に留まってくれないかな?と指を差し出しますが、そう簡単には留まってくれません。
<アキアカネがたくさん飛んでいます>
<この指留まれ>
大きな石にくっついている小石の中からは、トビケラの幼虫が出てきました。お子様は、直接手で触るのはためらわれるようで、小さな網ですくい捕っておられました。
<大きな石を拾ってきて>
<小石を剥がすと トビケラの幼虫>
<こっちの石にも>
<ほら出て来た>
夏らしい空が広がる中、服が濡れるのも気にしないで一生懸命網を入れる親子の姿は微笑ましく映ります。
<夏の終わりの鴨川>
<水の冷たさも心地良く>
<何が捕れるかな 待っててね>
<シャツまでずぶ濡れ>
あっという間に時間は過ぎて、みんなで捕った生き物の解説と観察が始まりました。
<集合してください!>
<空き缶を拾ったよ>
ヤツメウナギは、体の側面に目みたいな斑点が八個あるからその名前が付けられたと聞いて「なるほど」と納得のご様子でした。
<はい説明しますよ>
<体の側面に8つの斑点>
「下から覗いて見てごらん」と指導員さんの言葉に、大人も子供も下からじろり。「吸盤みたいなものがある」と声が上がります。
<水槽を上にかざして>
<なるほど 見えた>
最後に水質調査をして、観察した生き物を鴨川へかえしてあげて解散となりました。この様子は京都新聞社の記者さんにも取材頂いて、翌朝の新聞で紹介して頂きました。
掲載された記事の中から参加者の感想をご紹介します。「生き物がいっぱい捕れて楽しかった。こんなにたくさんの種類がいるなんて知らなかった」と話していたとあります。
ほんの1時間余り、川に入っただけで知らなかった生き物を知る事が出来たようです。夏のひととき我を忘れて過ごした思い出が出来た事でしょう。こうして自然に親しむ、関心を持つ、自然観察から自然保護を感じとって頂けると幸いです。
平成27年8月24日 (京都土木事務所Y)
私がその石の存在を知ったのは、昨年の秋の事でした。ある知人と鴨川べりでお月見をしながら酒を酌み交わしていた時「加茂七石を知ってるかい?」と問いかけられました。
忘れ去られようとしている鴨川流域の石の事こそHPで紹介してはどうかと持ちかけられました。
その時まで、有名な石があることぐらいは知っていましたが、「加茂七石」という言葉は知りませんでした。その後鴨川流域の石ということで、少し調べてみることにしました。
石を水ではったお盆に置いて愛でるという文化「水石」の存在も知りました。日本水石協会のホームページを覗いてみると、そのトップページに解説があります。それをコピペさせて頂くと
水石(すいせき)とは、山水景石の総称です。水石は、一石のなかから大宇宙を感得する物で、趣味の中でもっとも奥を極めたものといわれます。また、水石と盆栽は車の両輪ともいわれています。自然芸術趣味の極致といわれる水石は、日本的美意識の神髄です。水石の観賞は、大自然に心あそばせ、すぐれた山水景石や姿石、紋様石を見て森羅万象を感じ、自然の風物詩に溶けこんでゆく幽玄な侘び寂びに通じる沈潜した無限の世界があります。
ある方に、石に詳しい方を御存知ありませんか?と訪ねると、「石の趣味は究極の趣味で日本文化の極み、あなたにはまだ早いのでは」ともいわれました。
確かに石にそこまでのものを感じとるのは私にはまだまだ無理なお話です。それでも気になるので調べてみる事にしました。三十三間堂の傍の交差点付近に加茂七石を並べた小さな庭の存在を知りました。
平安建都1200年を記念して造られた庭で、それぞれの石に名札が付けられています。
<写真中央の白壁の左の一角に加茂七石の庭>
案内板には、紫貴船石(むらさききぶねいし)、鞍馬石(くらまいし)、畚下石(ふごおろしいし)、紅加茂石(べにかもいし)、八瀬真黒石(やせまぐろいし)、雲ヶ畑石(くもがはたいし)、賎機糸掛石(しずはたいとかけいし)とあります。
<加茂七石庭 案内板>
<紫貴船石>
<鞍馬石>
<畚下石>
<紅加茂石>
<八瀬真黒石>
<雲ヶ畑石>
<賎機糸掛石>
<小さな加茂七石庭>
貴船、鞍馬、加茂、八瀬、雲ヶ畑とよく耳にする地名に混じって、畚下や賎機といった聞き慣れない文字も並んでいます。この庭の加茂七石は草や木に覆われていて、その前を通る人もその存在を知る人は少ないようです。
加茂七石を「鴨川真発見記」で紹介しようと思っているうちに月日は流れ、加茂七石の事も忘れかけていたある日そのキッカケとなる縁を頂きました。
京都を紹介する雑誌で鴨川が紹介される事となり取材を受けました。
その完成を記念した展示会が東京で開催されるにあたり、鴨川由来のものを提供願いたいとの申し出がありました。
ここで、加茂七石を思い出す事となりました。加茂七石に詳しい方を御存知の上賀茂社家 梅辻諄氏にお願いして、「京の社家を学ぶ会」の伊藤尚治氏を紹介して頂きました。
そして、編集者の方を案内して加茂七石を貸して頂きました。加茂七石も7つの種類だけではなく、細かく細分化しているそうですが、七石を揃えて所持されているのは大変珍しい事だそうです。
<東京での展示の様子1>
<東京での展示の様子2>
※展覧会名「d design travel KYOTO EXHIBITION」
東京での展示を終えた七石をじっくりと鑑賞させて頂きました。お盆に石を乗せて水で濡らしてみました。太古の昔に日本がまだ海底だった頃、海底火山の活動や、地殻変動で形成された石という思いで眺めると、何だか自然や宇宙を感じる様な気になるものです。
伊藤氏に再度お話しを聞いて、改めてそれぞれの個性を感じながら水石の奥の深さを噛みしめました。
<加茂七石名>
<七つ揃って加茂七石>
どんと大きく存在感のある「鞍馬石」は、最低でもこの位の大きさでないと値打ちが無いそうです。漬け物石にピッタリのサイズですが、漬け物石にするにはもったいないですね。
<鞍馬石>
貴船石の貴船ノ青石は、水をかけると更にその青味が際立ちます。水と石が出会うとそこに“自然”を感じる事ができます。
<貴船石 貴船ノ青石>
貴船石 貴船ノ紫石は、紫にも見えますが、緑がかった部分もあります。中に含まれる成分が表に現れているようです。
<貴船石 貴船ノ紫石>
賎機糸掛石は、文字どおり糸が掛かっている様な筋が浮き出ています。より自然を感じるフォルムです。
<賎機糸掛石>
八瀬真黒石は、水を浴びて黒さが増します。真黒をマグロと発音するところが面白いですね。魚のマグロを連想するのは私だけでしょうか?
<八瀬真黒石>
肉の塊の様な紅加茂石は雲ヶ畑石と同様に赤白珪石です。上等の油のサシが入ったものの方が珍重されるようです。赤身の肉よりも、特上ヒレ肉、特上ロース肉といったところでしょうか。
<紅加茂石 雲ヶ畑石>
畚下石は、真ん中の白い部分が火打ち石となるそうです。時代劇のドラマが激減した現在、「気を付けていってらっしゃい “カンカン”」と縁起もののシーンも見る事が少なくなりました。若い方は御存知無いでしょうか。
<畚下石>
珍重される加茂七石ですが、今では採掘はされていません。貴重な石の数々を鑑賞させて頂きましてありがとうございました。
鴨川の礫河原で加茂七石を探してみるのも楽しいのではないでしょうか。但し、お持ち帰りにはならない様にしてください。河川法で禁止されていますので鑑賞した後は元の場所に戻しておいてください。
平成27年8月24日(京都土木事務所Y)
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