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平成27年4月11日にNPO法人京都景観フォーラム主催のツアー企画「おむすび持って縁結び」の鴨川ツアーガイドとして、鴨川の魅力をご案内しました。
当日は、心配していたお天気も、雨の予報から曇りに転じ肌寒い風は吹くものの、雨は降らず一安心でした。ツアーガイドをする前に恒例の1人川歩きをして自然観察をしてみました。
高野川の水面スレスレを飛び交う「ツバメ」を見ていると、寄州の粘土質の土をくわえて飛んで行きます。
以前にも同様の様子を橋の上から見ましたが、今回は高水敷から近くで観察する事が出来ました。
枯れ草交じりの土を口いっぱいに咥えて運搬作業が進められています。ツバメの巣作りが盛んな季節となりました。昔の土壁の様に枯れ草が土の繋ぎの役目をしているようです。人間界の左官工事の技術が自然界で繰りひろげられています。
<写真中央にツバメ>
<カップルでしょうか>
<口いっぱいに頬張って翼を広げます>
ソメイヨシノは散りましたが、その後を引き継ぐ様に遅咲きの桜が満開になっていきます。肉厚の花びらの桜が咲き誇っています。
足元では、カタバミが黄色い花を咲かせる準備が整ったようです。知り合いの自然観察指導員で鳥羽・北嵯峨高校講師の西村 元 氏に尋ねたところ、外来種のオッチタカタバミではないかということで、鴨川では在来種のカタバミよりも多いそうです。
<カタバミの黄色い蕾>
川の中では、ドバトが集団で水浴びをしています。何だかお風呂にでも入っているような感じです。
<ドバトが水浴び>
秋に実が足元に落ちていた事でその存在を知った「びわ」も花が終わり小さな実を付けていました。黄色く熟するまでじっくり時間をかけるのですね。
<隣の花はサクラ>
<写真中央に小さな実>
そのお隣でも葉と共に花を咲かせるサクラが満開となっています。その花越しに眺める高野川も風情があります。こちらは、前出の西村氏から桜餅の塩漬けの葉に利用するオオシマサクラと教わりました。
<葉と共に咲くオオシマザクラ>
<花越しの高野川>
2年前の夏の増水時に被災した護岸の災害復旧工事も無事完了しました。工事中は通行止めなどでご不便をお掛けした事もありましたが、抜け落ちた護岸は綺麗に積み直されました。
<復旧した護岸(白い部分)>
試験的に順次実施している鴨川、高野川の中州・寄州の除去ですが、昨年度は高野川と鴨川の合流点から上流の区域で実施しました。完全に取り除いてしまうのではなく、少し残してワンドや澱みをつくり、生き物も住みやすい様に工夫しています。
この取組は賀茂川漁業協同組合の方の意見を参考にしながら、生き物の多様性に配慮した工事実施例となりました。
すっかり土砂で埋もれていた護床工(川底を安定させる構造物)も二十数年ぶりに姿を現しました。
<浮島の様に残した中州>
<こちらの中州には真ん中にワンド>
<河合橋上流には大きめのワンド>
<泉川との合流点付近>
<土砂に埋もれていた護床工も姿を現しました 護岸から突起の様に>
この取組でどんな効果が生まれるか期待したいところです。
合流点から鴨川を北上すると葵橋の左岸下流で、ベニヤエシダレザクラが満開を迎えていました。その下には、真っ白な花を咲かせた植物がありました。
<ベニヤエシダレザクラ越しに鴨川>
この白い花の名前も、西村氏にお訊ねしましたところ、下記のお返事を頂きました。
<以下返信メール>
お尋ねの植物はオドリコソウ(シソ科)ではないかと思います。ただし、花が付いている個体は先端部が折れているのでは?
半日陰の少し湿った林床などに見られる在来植物です。結果として自然度の高いところを好むので、昔に比べると数は減り気味です。
茎を丸く取り囲む花を、笠を被った踊り子に例えた和名です。個体差が大きいため、花色は真っ白から濃いピンクまで様々です。
一方、もっと早く2月後半から咲くのが、ヨーロッパ原産の外来種、
ヒメオドリコソウです。在来種のホトケノザとの中間雑種も増えています。
<以上>
<オドリコソウ(シソ科)>
自然観察指導員さんから送られてきたオドリコソウとヒメオドリコソウの写真はこちら。指導員さんのコメントに「結果として自然度の高い所を好む」とあります。鴨川にも自然度の高い場所がある事がわかりました。
<オドリコソウ(在来種>
<ヒメオドリコソウ(外来種)>
そして、集合場所の京都市営バス下鴨神社前バス停へと向かいました。
集合場所では、大勢の警察官の皆さんが警備体制を敷いておられました。この日は医学学会の総会に皇太子殿下が参加されるため、下鴨本通りを通られるとの事で大きなサプライズとなりました。
皇太子殿下は、黒塗りの車の後部座席の左右の窓を全開にして、沿道の両側で見送る皆様ににこやかに会釈されていました。
<この車に皇太子殿下のお姿が>
思いがけないサプライズに、鴨川ツアー参加の皆さんも「何というタイミング!」と少々興奮気味でした。
この後、下鴨神社から上賀茂神社まで、鴨川の景色を眺めながらご案内させて頂きました。
お昼には毎年恒例となった「半木の道」での「鴨川茶店」を覗いてベニシダレザクラのトンネルを楽しみました。京都府立植物園で葵祭のシンボルの植物フタバアオイの群生を半木神社で鑑賞し、再び鴨川を北上し上賀茂神社を訪ねました。
今回のツアーは私がガイド役でしたので、その様子を撮影する事は出来ませんでしたが、御参加頂いた方からの写真の提供が可能であれば、又の機会にご紹介したいと思います。
平成27年4月13日 (京都土木事務所Y)
<北山大橋・北大路橋間の飛び石の真ん中から上流を望む>
前回も遅咲きの桜をご紹介しましたが、今回も鴨川沿いで花を咲かせている遅咲きの桜を追いかけてみました。
最初にご紹介するのは、黄色いサクラです。街中の正面橋下流に、「御衣黄又の名を黄桜」と書かれた札の掛かったサクラを鴨川真発見記第179号でご紹介しました。
このサクラは歩道の植栽として京都市が管理されているサクラですが、これまで気が付かないでいました。今年の春は花が咲いているところを見ておかねばと現地に向かいました。
御衣黃と札の掛かったサクラは確かに薄黄色の花を満開に咲かせていました。それを確認してから、遠目にも確認しようと正面橋の上から眺めてみると、「あれれ」と声が出てしまいました。(平成27年4月15日撮影)
<黄桜>
<ほぼ満開>
<薄黄色の花びら>
今確認したサクラの上流側2本となりにこれまた黄色い花が咲いているではないですか。札の掛かったサクラに気を取られて、すぐ近くのもう1本の存在に気が付きませんでした。
<遠目によく見ると もう1本黄桜>
やはりサクラは咲いてみないとわからないと痛感しました。
<もう1本黄色く花開いています>
<よく見ないと気がつきません>
その上流側には、フゲンゾウと書かれた札の掛かったサクラが満開を迎えていました。観光客の皆さんもカメラを向けて、鴨川と共に撮影されていました。
<フゲンゾウ>
前回ご紹介しましたオオシマザクラの元へも行ってみました。前回は満開でしたが、既に大半の花は散っていました。自然観察指導員の西村氏に教えてもらったように花から桜餅の香りがするのか試してみました。
鼻を寄せて香りを試すと、かすかにあの桜餅の香りがしました。
<多くの花が散ったオオシマザクラ>
<香りを確認 オオシマザクラ>
<黄色い雄蕊が覗いています 同左>
京都鴨川には沢山の種類のサクラが植樹されていますが、札が掛かっているサクラ以外はどんな種類のサクラか判別出来ません。素人の私にはこの4月の一ヶ月間のみ確認する事ができます。といってもどの花が何の種類か教えてもらわないとわかりません。
そこで、京都府立植物園の樹木係の中井技師に写真をお見せして、判別してもらおうとしましたが、品種改良された鑑賞用のサトザクラは200種類を越えるほど多いそうです。
花ビラのカタチ、それを支えるガクのカタチ、花ビラの枚数、おしべ・めしべのカタチなどなど、少しの違いで品種が違うそうです。写真を見ただけでは確かな判別は出来ないとの説明を受けました。
京都府立植物園では、4月17日から22日までの間、「たそがれ・桜・そぞろ歩き」を実施されています。4月17日は前出の中井技師が桜の解説をされるという事で、わたしも少し勉強させて頂くために参加させて頂きました。
中井技師は桜の品種の同定はマニアックな世界と語られ、何か一つ今日の「そぞろ歩き」で知識を持ち帰ってもらえたらと話されました。桜の品種は花をひっくり返したりして、細かな違いを見極める必要がある事を知りました。
松谷名誉園長さんの「きまぐれ散歩」と、この日の「たそがれ・桜・そぞろ歩き」から得た知識を少しご披露したいと思います。
<以下中井技師のお話しから>
皆さんはサクラといえば花びらは5枚と答えられると思います。この基本の5枚が一重で、それ以上の花びらが着くと八重と呼んでいます。多いものでは200枚の花びらを着けるものもあります。
この5枚以上の花びらは、おしべが花びらへと変化したものです。
その変化の過程がわかる桜が「駿河台匂(スルガダイニオイ)」と札の付けられたサクラです。大きく開いた5枚の花びらの間から、6枚目の花びらが控えめに旗を揚げた様に付いています。これがおしべから花びらに変化する過程です。
<駿河台匂(スルガダイニオイ)>
<6枚目の花ビラが小さく>
別の日に松谷名誉園長さんの「きまぐれ散歩」の際に教わったのが、黄色いサクラ「御衣黃(ギョイコウ)」と「鬱金(ウコン)」の違いです。ギョイコウは一番外の花びらが、くるりと反り返っています。松谷氏はこれを称して「イナバウアー」と説明して頂きました。
この散歩の”ギョイコウ”の説明の際に「色は明らかに緑色、これは葉と同じ葉緑素・クロロフィルであり、花も光合成を行う。このことから、花は葉が変化したものである」
とのサイエンスの話題もちょこちょこされる、散歩です。
<松谷名誉園長さんのきまぐれ散歩 京都府立植物園にて>
<鴨川のウコン>
<府立植物園のギョイココウ>
さらに後日、松谷氏から桜に関する情報を頂きました。
そのメール内容とは、
・「ギョイコウ」と「キザクラ」は別品種のはず。
・「キザクラ」と「ウコン」は同品種の可能性大。
・「カンザン」という品種は花の無い時でも枝振りでわかる
・八重・濃い赤系の色・デカイ・西洋人好み
・病害虫に強い→外国に多い
・短枝が「近鉄バッファローズ」→若者にはわからない
という訳で、写真だけでのサクラの品種確定は難しいので、鴨川・高野川の遅咲きのサクラを名札の付いていないサクラは名前無しでご紹介したいと思います。
<ピンクの八重のサクラ>
<ベニテマリ>
<緑の葉と共に大きな白い花びら>
<薄いピンクの八重桜のサクラ>
<濃いピンクの八重のサクラ>
<存在感のあるピンクの八重のサクラ>
皆さんもどこにどんなサクラが植樹されているか巡ってみてはいかがでしょうか。
サクラは中井技師のお話にもあった様に人間の手によって沢山の種類が生み出されています。鑑賞用のサクラとして交配を進めた結果です。
交配とか交雑とか自然界のものに手を加える事は多く行われていて、原種が変化しています。
国の特別天然記念物に指定されているオオサンショウウオも中国種との交雑が進んでハイブリッドと呼ばれる種が出現し、鴨川水系ではその9割以上がハイブリッドとなって問題視されています。
<北山大橋下流 飛び石の傍でオオサンショウウオ>
源流付近に生息するとされていたオオサンショウウオも今では鴨川の最下流域まで生息範囲を広げ、そのほとんどがハイブリッドとなっているのが現状です。
<出町橋上流落差工に落ちる水を浴びるオオサンショウウオ>
その現状をなんとか改善しようと文化庁が動きはじめています。京都市の文化財保護課では、京都市域全域の河川で生息調査を実施されています。オオサンショウウオを捕獲してDNA検査を実施して種の確認とハイブリッドの隔離をして日本種の保存を試みておられるのです。
京都土木事務所の実施する河川工事の際にもオオサンショウウオを確認する場面も多く、施工業者さんあてにも協力の依頼がありました。
※目撃情報連絡先:京都市文化財保護課 TEL075-366-1498
ハイブリッドのオオサンショウウオは見ただけでは判別出来ません。みなさんも目撃された場合は京都市文化財保護課へ連絡してください。捕獲したり個体を移動する事は法律で規制されていますので御注意を。
<二条大橋上流ブロックの間から呼吸をするため浮上 オオサンショウウオ>
また、オオサンショウウオはノソノソとしている様ですが、エサを捕る時は凶暴で俊敏です。文化財保護課の方のお話しでは、ハイブリッドとなり捕獲の力や繁殖の力が強くなっているのではと話されます。それを証明するかのような衝撃の画像が届きました。
小学生の息子さんの生き物調査に同行されていた神谷達夫氏が撮影された写真に衝撃が走ります。オオサンショウウオが体を「つ」の字にくねらせて“マガモ”のオスの片足に食らいついています。
<逃げようともがくマガモオス>
マガモは翼を羽ばたかせて逃げようとする瞬間です。実は短いながら動画でも撮影されていて、その映像も頂きました。その映像を見ただけでは、無事逃げる事が出来たかに見えますが、神谷氏の証言ではマガモは自分の片足を犠牲にして逃げたということでした。
鋭い歯で食いちぎったようです。オオサンショウウオの体の模様は一見川底の色と似ています。知らずに近寄って噛みつかれると大変危険です。撮影された場所は鴨川と高野川の合流点あたりで、水遊びする子ども達も多い場所です。
<ズームアップすると 体を「つ」の字にくねらせてガッチリ食いつく オオサンショウウオ>
皆さんも水遊びをする際には、足を覆う履き物を着用される事をお勧めします。
災難にあったマガモですが、このカモ類も交雑が進んでいます。渡り鳥としての渡りを放棄した「マガモ」「カルガモ」の交雑が進んでいる事は鴨川真発見記でも何度かご紹介しましたが、今回紹介するのはどんなカモが交雑したの?と驚くような個体です。
サクラを追いかけている途中で「なにこれ?」という模様のカモを発見し夢中でシャッターを切りました。鴨川では初めて見るカモです。また新たなカモが鴨川真発見記に仲間入りかと、早速日本野鳥の会京都支部の中村副支部長に画像を送り確認してもらいました。返って来る返事はいかに?。
<返信メール>
完全なるカモの交雑ですね。
何と何の交雑かわかりませんが・・・。
<これは何という種類のカモ?>
<連れ添うメスはマガモに似ているが>
<脚まで真っ黒のオス 完全なるカモの交雑種>
電話でお話してみると、「こんな交雑見た事も無い。胸の白いところは“オナガガモ”にも似ているけれど・・・。カモの世界にも変なのが出てきましたね~。とお話しになりました。
※このカモをもっと詳しく見るPDF(PDF:2,030KB)
ペットの犬や猫の世界でも、昔は雑種とひとくくりにされていた交配種もミックスと呼ばれて好まれる種類のものも多くなりました。種の保存と種の改良?改変?少し複雑な感じがします。
サクラを愛でるとメインタイトルを付けましたが、その先に複雑なものを真発見でした。
最後に、京都土木事務所が管理するサクラの中で唯一の黄色いサクラが満開を迎えました。サクラ情報誌にも耳寄り情報として紹介された御薗橋左岸下流スロープの一本目の「ウコン」の黄桜です。
いつ頃見頃ですか?と何件かお問い合わせを頂いておりましたが、4月16日ほぼ満開となり、隣合うピンクのヤエザクラとのコントラストで見る人を魅了しています。今年が見納めかも?のウコンをご観賞ください。
<スロープの一番上にウコン>
<スロープ上から>
<日が経つと真ん中が赤色に>
<そして全体的にベニ色に変化します>
<ピンクのサクラに囲まれて ウコン(黄桜)>
平成27年4月16日 (京都土木事務所Y)
鴨川真発見記では、折りにふれて鴨川の治水工事の様子をご紹介していますが、今回も平成26年度に完成した工事の様子を、春の鴨川の様子と共にご紹介したいと思います。
暖かな日差しが届く平成27年4月22日に、工事完成箇所のいくつかの現場を巡りました。最初に向かったのは西賀茂橋の下流で補修工事をした飛び石です。
その前に、前号でご紹介しました御薗橋左岸下流のスロープ上部に咲いている黄色い桜「ウコン」の変化を見に行きました。前号でもお知らせしましたとおり、薄黄色かった花の真ん中の部分が赤く色づき、全体的にピンクがかってきていました。
<手前「ウコン」>
<真ん中が赤く全体的にピンクが広がる>
<こちらの枝はまだ薄黄色>
<全体的にはピンクと同化 手前ウコン>
西賀茂橋に向かう途中の寄州に出来たワンドでは、アオサギが獲物を狙っています。その傍では、流れの無い穏やかなスペースで大きな鯉が悠々と泳いでいます。この場所で産卵するのでしょうか。
<寄州に出来たワンド>
<流れの無い水面に写るアオサギ>
<大きな鯉の姿も>
<鯉を避けて移動するアオサギ>
西賀茂橋にやってきました。この場所の飛び石は、元々小さなブロックの飛び石でしたが、土砂が堆積して埋もれていました。土砂の撤去でその姿が再び現れましたが、小さくて渡りづらいのと所々破損していいましたので、大きめの四角いブロックで補修して渡りやすくしました。
この日は前日までの雨で水量が増していましたので、少し水をかぶっていましたが、川の様子を見にきた方が渡っておられました。4月22日はまだ供用を開始していませんでしたが、ゴールデンウィークには安心して御利用いただけます。
<西賀茂橋下流の飛び石>
<水がスレスレまで>
<川の様子を見にこられた方>
<増水時は渡れません>
<夏の晴れた日には子ども達の楽しげな声が聞こえてくるでしょう>
ゴールデンウィーク明けには、渡り鳥として大陸に向かう「キンクロハジロ」の姿も今季は見納めです。潜っては浮上して、水玉をはじかせながら気持ち良さそうに泳いでいました。
<名残惜しいキンクロハジロ>
<太陽の陽差しに光る水しぶきと共に>
四条大橋下流にある団栗橋までやってきました。鴨川夏の風物詩「納涼床」の設置工事が進んでいます。早いお店ではゴールデンウィークから営業が始まります。平成26年度は、御池大橋から順次整備した園路に引き続いて、団栗橋下流から仏光寺公園までの高水敷を「(公共空間整備)拠点整備」として園路整備(土系舗装)で整備しました。
<写真手前から下流に向かって整備>
写真奥の松原橋上流の護岸の白くなっている箇所は、一昨年の増水で被災した部分を災害復旧事業として補修しました。鴨川真発見記第172号でご紹介しました「生き物救出作戦」が展開された場所です。
<松原橋右岸上流>
<災害復旧工事>
<草の生えている部分は元の護岸を活用して補修>
右岸の園路が途絶える五条大橋から左岸へ移動して、青々とした葉の茂る桜を見ていると、僅かに残った桜の花の傍に、緑色の実がなっています。
テマリの様に咲くサクラは満開を過ぎ、その花を散らし始めました。木の足元には、小さな黄色い花を咲かせる「コメツブツメクサ」などの野草が緑の絨毯の様に繁り、散った桜の花がバラを散りばめた様にお日様の光で照らされていました。
<一輪の花の傍に実のりが>
<満開を過ぎて花を支えるガクごと落下していきます>
<白い小さな黄色いつぶが”コメツブツメクサ”>
七条大橋左岸下流へとやってきました。塩小路橋から九条跨線橋までの間は、高水敷が整備されていませんでしたので、その間を歩く事が出来ませんでした。
平成26年度は「(公共空間整備)高水敷整備」園路整備として整備し、九条跨線橋の手前まで800mの区間を歩いていくことが出来るように繋ぎました。
途中、下水や疏水運河の放流口、JR橋の橋脚などの支障物がありましたが、ボックス状の構造物や、橋脚を避ける園路を整備して歩ける様に整備が進みました。
<塩小路橋から九条跨線橋方面へ>
<疏水運河の放水口>
<疏水運河放流口を右岸から望む>
<塩小路橋上流>
<塩小路橋下流>
<JR東海道・JR新幹線上流>
<水吐け口>
<同左>
<JR奈良線下流>
<ボックスで整備>
<狭い橋脚の傍には手すりを設置>
<九条跨線橋手前で階段を上がる>
<九条跨線橋 耐震補強中>
工事完成箇所を巡って京都土木事務所へ向かう途中でも様々な様子を見る事が出来ました。高水敷の整備されていない区間の住宅地の中を移動していると、目の前のお宅の駐車場に二羽のアオサギが佇んでいました。
<つがいとなるのか2羽のアオサギ>
<すぐ傍は鴨川>
しばらく眺めていると、「ぐー、ぐー」とノドを鳴らすような鳴き声が頭上から聞こえてきました。見上げると電柱の上に1羽のアオサギが鳴いていました。
おっと3羽目の登場です。下から撮影しましたが、逆光だったので光の当たる方向へ回り込んで撮影していると、「なにこれ!」の光景が目に入りました。
<電柱の先に留まるアオサギ>
<脚がはみ出ています>
後に建つ大きなお宅の屋根に6羽のアオサギが陣取っています。いつも鴨川の中でジッと佇んでいるアオサギを目にしていますが、複数でも2羽程でそれ以上の数のアオサギが集っているのは見た事がありません。
この日はなんと合計9羽のアオサギが集っていました。人間の世界でも婚活という言葉を見聞きする今日この頃ですが、丁度この時期繁殖期を迎えたアオサギも婚活サミットでもしているかの様でした。
<思い思いのスタイルで置物の様にジッと佇むアオサギ集団>
<太陽の光を浴びて4羽目>
<翼を半分広げて虫干し5羽目>
<鬼瓦の様に6羽目>
<つんとすまして7羽目 奥に8羽目>
<翼を広げて羽毛を膨らませてボディービルダーの様に9羽目>
屋根の上から降りてきた2羽は、いわゆる告白タイムだったのでしょうか。
すぐ傍の建物に屋上からはトンビがその様子を見守っています。電柱の上のアオサギが司会進行、トンビが見届け人なんて想像が膨らみます。
<告白タイムか?>
<繁殖期には後ろ髪の様な羽を出して>
<見届け人か トンビ>
<お次の方どうそ 司会進行役か?>
この後どうなるのだろうと思いつつ、鴨川の高水敷へ戻りました。みそそぎ川では、ここでも納涼床の準備中です。その横では二組のお母さんと幼い子どもが裸足になって水遊びをしておられました。
御利用いただく皆さんの安全のためにも、川へはゴミや危険なものを投げ込まない様にお願いいたします。
毎年お寺から鴨川へお引っ越しをするカルガモのつがいでしょうか?オスメスの区別は難しいですが、仲良く泳いでいました。
<仲良く水遊びする母子>
<カルガモ つがい?>
鴨川で雛を連れて泳いでいたのは、カルガモではなくてマガモでした。鴨川でも繁殖しているカモは数多くいます。この日はお父さんも一緒でしょうか、オスメスペアで雛2羽一緒に泳いでいました。
<父・母?に囲まれて>
<後から見守る母ガモ>
久しぶりの晴天に気持ち良さそうに目を閉じるマガモのオスがいました。しばらくするとまぶたを開いて準備運動の様な動きをしてから川の中へと泳ぎだしました。
<目を閉じて マガモ>
<準備運動?>
今度は4羽の雛を連れたカモが姿を現しました。この母ガモはカルガモの特徴とマガモの特徴を併せ持っているようです。おそらく交雑種でしょう。数多くのたまごから雛が生まれますが、大きく成長する過程では外敵に襲われて命を落とすものも少なくないそうです。
<何羽大きくなれるかな カモの交雑種>
二条大橋右岸上流には「冷泉橋」という橋が架かっています。コンクリート製の橋ですが、木材で化粧が施されています。26年度に老朽化した桁隠しや高欄を改修しました。
お天気のよい日は塗料を塗った様に白く浮かび上がります。近くに行くと木の香りが漂っています。また雨の日は、濡れた木材が“木”の質感を見せてくれます。
<白く目立つ冷泉橋>
<京都らしいデザイン>
<東山をバックに>
<雨の日の冷泉橋>
荒神橋上流の飛び石まできました。西賀茂橋のご紹介でも書きましたが、この日は前日までの雨で少々増水していました。
でも荒神橋の飛び石には水が被っていません。飛び石の間をしぶきをあげて流れる鴨川の飛び石を恐る恐る渡る人が目に留まりました。
一つ一つ慎重に渡るのはカップルでしょうか?男性の後を追う女性は、飛び移る度に両手を広げてバランスをとっておられました。この微妙に広い間隔も鴨川の飛び石の特徴の一つと言えます。
西賀茂で改修した飛び石でも、多くの皆さんのが御利用されている様子を拝見出来る日を楽しみにしています。
<振り返って 大丈夫か?>
<大丈夫 バランスとってるから>
出町から上流に向かうと、ドーナツ状にポッカリ穴の開いた寄州があります。
少しの隙間から水が入り、湾の様になっています。その隙間から大きな鯉が数尾入り込んでいます。ここでも繁殖するのでしょうか。
鴨川の本川と隔離された様な状態の場所を浚渫した際に、中国原産の「タウナギ」が捕獲されました。ここにもタウナギがいるような気配を感じます。生き物調査をしてみたい場所です。
<少しの隙間から流れ込む水>
<大きな鯉の姿が見えました>
今回は、春の陽差しの中平成26年度完成工事の一部をご紹介しました。新しく整備した場所もこれからの年月を経て風景に馴染んでいく事と思います。
他の工事箇所も今後ご紹介させて頂きたいと考えております。様々な鴨川の様子と共に。
平成27年4月23日 (京都土木事務所Y)
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