人権口コミ講座 148
ビジネスと人権
京都における企業・自治体の役割
立命館大学衣笠総合研究機構教授
国際平和ミュージアム館長
吾郷(あごう) 眞一
企業をも名宛人(なあてにん)とする国連指導原則
社会における企業の責任が、環境や消費者保護の枠を超えて人権一般との関わりで語られるようになったのは、割と最近です。とりわけ2011年の国連において「ビジネスと人権に関する指導原則」という名の決議が採択されてから、すべての企業活動を視野に入れた「ビジネスと人権」という語り口が定着してきました。
その国連指導原則を実施に移すため、日本政府も他の国々に遅れながらも2020年にNAP(国別行動計画)を発表し、2022年9月には「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定しました。いよいよ企業も地方自治体も本腰を上げて取り組まなくてはならなくなってきたと言えましょう。その際に依拠すべき指導原則の特徴は、それが普通の国連決議とは異なって、国に対してだけでなく、直接企業と市民社会に働きかけているところです。
人権尊重を推進する公器として
そこでは企業に対して、今までより一歩進めて、サプライチェーンでの人権侵害をチェックすることや、結果として起こり得る人権侵害を事前にチェックすること(デューディリジェンス)も要求されています。
指導原則実施という国際社会の要請に応えるために、企業が自発的に対応することが求められ、自己検証の制度も必要とされています。これは、従来の法令順守という枠を超え、積極的な人権尊重推進活動となっていくことを意味します。そこでは、人権侵害をしないという消極的な努力だけではなく、企業も人権尊重を推進していく公器であるという意識を持つことが大切です。
※令和4年1月発行の「人権口コミ講座23」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。
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