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京都府沿岸には、4種類のアワビが生息しています。大きさの小さいものから順にトコブシ、クロアワビ、メガイアワビ、そしてマダカアワビです。このマダカアワビ、殻長20cmを越え、国内で最大、世界で2番目に大きなアワビです。アワビの仲間は殻の形がよく似ていますが、マダカアワビ(写真左)では、殻にある呼水孔と呼ばれる孔がクロアワビ(写真右)など他のアワビに比べて円錐状に盛り上がっています。
全国的に漁獲量は少なく、「幻のアワビ」とも呼ばれています。その理由は、もともと資源量が少ないこともありますが、主に水深20mより深い所に生息しているため、漁獲され難いからです。希に浅い場所で目にすることもありますが、アワビや海藻の調査などで周年潜水観察をしている我々でも、年に1個体見るかどうかです。
刺身でもいただけますが、ステーキや蒸しアワビなど加熱調理したものは、甘みや香りが引き立ち、アワビ類の中で最も美味しいそうです。新鮮なものは、肝も美味だとか。幻の味、一度味わってみたいものです。
京都府立海洋センター技師 白藤徳夫
(平成20年1月16日、京都新聞掲載)
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