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岩礁域で潜っていると、ギョロギョロと大きな目でこちらの様子を伺っているカサゴに出くわします。体色が保護色になっていて、うまく背景に溶け込んでいるため、近づいて初めてその存在に気づくこともあります。
一般に魚類は卵を産みますが、カサゴはウミタナゴやメバルと同様にお腹から子供を産む卵胎生魚です。秋に交尾した雌は、お腹の中に精子を貯蔵しておき、一月後に受精させます。お腹の中で孵化した子供は、冬から春にかけて全長5ミリ程度の大きさで産み落とされます。
関西ではガシラとも呼ばれ、波止釣りや磯釣りの対象として人気があります。活きエビやイカの切り身などを餌にして釣りますが、近頃はルアーなどの疑似餌を使って釣る人も見かけます。日中でも釣れますが、夜に動きが活発になるため、夜釣りのほうがよく釣れるようです。
淡泊な白身で、刺身、空揚げ、味噌汁の具など色々な料理法でいただける美味しい魚です。以前は大衆魚として扱われていましたが、近年は漁獲量が減ったため高級魚になりつつあります。
京都府立海洋センター技師 白藤徳夫
(平成19年7月25日、京都新聞掲載)
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