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カメノテは潮間帯の岩の割れ目などにたくさん集まって固着しています。大きさは4センチ程で、体の上半分は石灰質の硬い殻、下半分は鱗(うろこ)状の皮で覆われて、小片でできたゴツゴツした殻は、確かに亀の手のように見えます。
姿形は貝のように見えますが、エビなどと同じ節足動物で、フジツボに近い生物です。潮が引くと、乾燥に耐えるために殻を固く閉じてしまいます。潮が満ちると殻のすき間から蔓脚(まんきゃく)と呼ばれるつる状の脚を伸ばし、プランクトンなどを捕まえて食べます。
丹後には食べる習慣はありませんが、見かけによらず美味しく、浜の珍味のひとつとして楽しめます。塩水で数分間ゆでてから下部の皮を外し、なかの小さな身を食べます。そのままみそ汁に入れても良いダシが出ます。
京都府立海洋センター技師 西垣友和
(平成18年7月26日、京都新聞掲載)
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