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岩陰に何やらもぞもぞと動く黒い塊が見えます。近づいてみると体長5cmほどのゴンズイの群でした。この魚は、幼魚の時だけ群で行動する習性があります。体からフェロモンという物質を発散させ、その臭いで仲間同士を認識して、群から離れないようにしています。帯状になって泳いだり、押しくら饅頭をしているかのように丸くなったりします。この球状になった状態をゴンズイ玉と言います。
ゴンズイはナマズの仲間で、口元にヒゲを生やし、体型もナマズによく似ています。幼魚では茶褐色の体に、頭から尾にかけて鮮明な黄色の線が左右に2本ずつ入っていますが、体長30cmほどの成魚になるとその縞模様も薄れてきます。
見た目は可愛く、群でいるときには近づいてもあまり逃げようとしないため、思わず捕まえたくなりますが、この魚には毒があるため、触ると大変危険です。背鰭と胸鰭に毒を持つ棘があり、刺されると猛烈な痛みに襲われます。夜行性のため、夜釣りの外道として釣れることもあります。釣り上げた際には十分ご注意を。
京都府立海洋センター技師 白藤徳夫
(平成20年2月27日、京都新聞掲載)
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