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エゾボラモドキは水深200メートルよりも深い海に棲み、殻高15センチにも達する大型の巻貝です。丹後では冬季に底曳網によるズワイガニ漁で、ズワイガニやカレイなどと一緒に獲られています。また、6~8月の夏季には、水深230メートル辺りで行われるバイ籠漁でも水揚げされます。
底曳網で獲られる貝類には、殻の色が赤い本種とチジミエゾボラ、殻が白いエッチュウバイとがあり、一般的には、前者を区別せず赤バイ、後者を白バイと呼んでいます。
なお、本種とチジミエゾボラの識別を図鑑で調べると、殻表面をらせん状に巡る彫刻の強弱や、殻口部分の形態、色彩、反り方等に違いがありますが、いずれも明確ではありません。最近の研究では、両種は形態変異の大きい同じ種類の可能性が高いといわれています。
白バイは無毒ですが、本種を含む赤バイは唾液腺にテトラミンという毒を含み、食べるとめまいなどの中毒症状を起こします。唾液腺を取り除けば、他の部分は無毒なので、食べられます。その刺身は甘くて美味です。
京都府立海洋センター専門員 辻秀二
(平成19年5月16日、京都新聞掲載)
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