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平成19年9月、海洋センター桟橋近くに奇妙な形のクラゲがたくさん現れ、何人かの方から問い合わせがありました。傘の上にたくさんのツノの付いた突起があり、まるで仏塔(パゴタ)のように見え、下から見た口腕はカリフラワーそっくりでした。 調べてみたところ、丹後の海ではあまり見かけないエビクラゲでした。口腕の間に小さいエビがしばしば付いていることが名前の由来です。
エビクラゲは根口クラゲ目イボクラゲ科に分類され、傘の大きさは10~25センチで半透明の薄い褐色をしています。夏季に瀬戸内海や九州でしばしば見られますが、若狭湾付近ではあまり見られません。よく似たイボクラゲとは、突起が小さいことと触手が極めて短いことで区別できます。
日本三景の一つ、天橋立周辺でも数多く出現していました。今までエビクラゲがこれほど多く見られたことはありませんでしたので、たいへん珍しいことだと言えます。
京都府立海洋センター主任研究員 上野陽一郎
(平成19年10月24日、京都新聞掲載)
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