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この魚は、おば?!、「アバチャン」です。体は寒天質でブヨブヨ、色は半透明で、赤橙色の流状の斑文があります。口の周りにはひげがあり、お腹には吸盤を持っています。水族館でも時折見ることができ、水槽のガラスに張り付いたりする様子が観察されています。ひだのある大きな胸鰭を手のように使い、体をほぼ垂直に立てて、口先を海底に近づけ、泥の中のヨコエビ類などを食べます。通常は水深数百メートルの海底に生息する深海魚ですが、北海道では冬から春に沿岸の浅場に出没し、ダイバーの人気を集めています。
丹後沖ではズワイガニなどを獲る底引き網に時々混ざって入ります。食用にしないため海上で放流されますが多くは死んでしまいます。京都府の底引き網漁の皆さんは、改良した網を使い、このような魚を無駄に獲らないよう努めており、海の生態系に配慮した漁業としてアジアで初となるMSC認証(海のエコマーク)を取得する見込みです。海洋センターでは新しい漁具を開発するなど、漁師さんを支援しています。
京都府立海洋センター技師 藤原邦浩
(平成19年9月12日、京都新聞掲載)
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