京都ジョブパーク 総合就業支援拠点
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関係者の理解が得られれば、いよいよ具体的な計画をつくります。まず、どの業務を担当してもらうかを決定します。障害のある方の場合は得意・不得意領域がはっきりしているケースが多く、担当できる業務を選ぶことが肝心です。場合によっては、様々な業務の中から一部の業務を切り出すことも検討します。
そして、働く環境を整えます。働きやすい物理的な環境整備と雇用形態・労働条件等を検討し、現場リーダーとともに訓練計画を立てて受入準備を進めます。
「計画」ステップの時点で押さえておくべき具体的な内容は以下を参照してください。
業務の選定は障害のある方を戦力化する上で非常に重要です。
障害者雇用を進める際に「業務の切り出し」という表現を一般的に使うことが多いですが、言葉のニュアンスから、障害のある方の業務は限定したものになるから必ず切り出さねばならないとの誤解を与えることにもなりかねません。
考え方としては、本人の得意とする領域を見極めて業務とマッチングさせることです。できるだけ通常の業務分担の中で最適な業務を見つける努力が大切です。通常の業務環境そのままでは無理でも、少しの環境整備や工夫によってマッチングできるかもしれません。それができなければ、次にさらなる業務改善(業務分割等)や切り出しという手法を考えます。企業にとって何より大切なことは、どうすれば戦力として活躍してもらえるかという視点です。
企業にとって何より大切なことは、どうすれば戦力として活躍してもらえるかという視点です。そのために、本人の得意とする領域を見極めて業務とマッチングさせることが必要です。少しの環境整備や工夫で既存業務とスムーズにマッチングできれば理想ですが、マッチングの努力が必要となる場合もあります。
この努力が「業務改善」と「働く方の能力開発」です。
「業務改善」と「能力開発」。これは一般人事でも同じです。ただし、障害者雇用においては「同じ視点で少し丁寧なマネジメント」が求められることに留意する必要があります。
基本的に本人の特性と業務がマッチングすれば何でもできます。本人の特性を見極めた上で業務を選定することが大切です。とは言え、各企業の業務内容には限界があります。一般的にマッチングした事例は、<事例を把握したい>を参考にしてください。
京都障害者雇用企業サポートセンターまでご連絡ください。担当者が訪問し、具体的なアドバイスをいたします。また、業種や障害別の相談に応じることができる実践アドバイザーもいますので、各企業の課題を踏まえ、よりマッチしたアドバイザーを派遣します。
業務の選定ができれば、おのずと配置部署が決定すると思います。障害者雇用だからと構えすぎずに、まずは一般人事と同様の考え方で配置部署を決め、その上で業務遂行に必要な配慮をするためのマネジメント体制を検討されることをお勧めします。
一般的には、現場リーダーが業務の指導や配慮事項の一次対応を行い、人事担当者が側面的に補完するという体制をとる場合が多いです。障害のある方を複数採用する場合は、特定の部署に業務を集約して指導員を配置する体制をとる場合もあります。
配置部署に対するアドバイスは、各企業の状況によって異なりますので、訪問して現場を確認した上で実施しています。京都障害者雇用企業サポートセンターまでご連絡ください。
現場リーダーがやるべきことは、各企業のマネジメント環境で異なります。
現場リーダーだけに全てを預けないように、まずしっかりと経営トップ層と管理職が基礎知識を知り、会社としての障害者雇用の方針を立てた上で、現場リーダーへ役割を付与することが重要です。
その際、現場リーダーがまず障害者雇用の基礎知識を理解しておくことが大切です。
一般的には、現場リーダーが業務の指導を行います。慣れない間は支援機関からのジョブコーチ派遣を活用し、障害のある方にとってわかりやすい指導ノウハウやコミュニケーション方法等を身につけられることをお勧めします。配慮事項については、現場リーダーが一次対応を行い、人事担当者が側面的に補完することが多いです。現場リーダーだけに任せきりにせず、上司や人事部門からのフォローが重要です。
そして、知識習得と実践のバランスが重要です。
ある程度基礎知識がないと大きな失敗につながりますが、一方で実践から学べることも多くあります。
大きな失敗は損失も大きいですが、小さな失敗から学べることは多くあります。課題を何とかしようとする意志があることが大切で、共に働くことでお互いが学んでいくことができます。
また、現場リーダーが業務指導する際に重要となる視点として、定着のマネジメント、業務改善、職場環境改善、能力開発等がありますが、これらの項目については、<「定着」ステップ>を参照してください。
一般的には、現場リーダーが業務の指導や配慮事項の一次対応を行い、人事担当者が側面的に補完するという体制をとる場合が多いです。
障害のある方にとっては、キーパーソンを明確にすることが安心感につながります。業務に関しては現場リーダーがキーパーソンとなってやり取りし、その他の相談については人事担当者がキーパーソンとなって行う、という方法があります。
現場リーダーが1人で悩みを抱え込んでしまうというケースもありますので、人事担当者が定期的に現場リーダーに声掛けをするということも重要です。抱えている課題によっては、該当部署だけでなく、企業全体で課題解決を検討するということも大切です。
雇用形態・労働条件ともに障害者雇用だからといって特別なことはありません。本人の意志と企業の求人条件をマッチングします。ただし、障害があることを理由に雇用形態・労働条件を決定することは差別にあたります。
また、特定求職者雇用開発助成金等の助成金を受けようとする場合には、雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用する等の条件があるので、留意する必要があります。
障害者雇用だからといって特別なことはありません。
雇用形態は、一般求人と同様、正規・契約・パート等、多様化しています。
労働条件も企業の賃金体系等の処遇システムと齟齬が生じないように決定することが大切です。ただし、障害のある方の場合は、ない方に比べて能力向上のスピードが遅い場合や向上幅が狭い場合もあるので、本人の成長感を担保してモチベーションにつなげるためには、よりきめ細かい評価ができるような工夫も必要です。
なお、障害があることを理由に雇用形態・労働条件を決定することは差別にあたります(障害者差別禁止指針(外部リンク))。
他社の雇用形態・労働条件を知りたい時は、企業と個別にコンタクトを取って確認しなければなりませんが、初めから電話等でお願いしても応じてもらえるとは限りません。まずは障害者雇用に関するセミナーや勉強会等に参加して、他社との関係づくりをすることから始められることをお勧めします。
また、京都障害者雇用企業サポートセンターでアドバイスが可能な場合もありますので、ご相談ください。
特定求職者雇用開発助成金を受けようとする場合には、雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用する等の条件があります。他の助成金についても様々な条件がありますので、詳しくは活用しようとする助成金の詳細を確認してください。
障害者雇用における職場環境づくりは、本人の戦力化や生産性の向上のために重要です。施設、生産設備、OA機器等のハード面やマネジメント環境等のソフト面の両面で職場環境づくりをすることが大切です。
合理的配慮という言葉のニュアンスから、本人を無理させないように配慮することばかり検討しがちになりますが、能力(可能性を含む)を軽視した配慮は成長を阻むことになり、かえって本人に失礼となります。
企業として雇用した以上、戦力になってもらうためにはどのような職場環境が必要かという視点で検討してください。通常のマネジメントを少し丁寧に行う感覚で、本人の特性・意志と現場の要請をマッチングすることが大切です。短期的に判断するのではなく、「障害のある方が働きやすい職場は全ての方が働きやすい職場である」との思いを持って継続的に職場環境づくりに取り組まれることをお勧めします。
環境づくりはハード・ソフトの両面から検討する必要があります。
身体障害のある方の場合は、肢体不自由者へのバリアフリー対応や視覚障害・聴覚障害の支援ツールの設置等が挙げられます。
知的障害のある方の場合は、わかりやすいマニュアルの作成、表示の工夫等、指示の明確化という視点が大切になりますし、場合によっては家族とのコミュニケーションも重要となります。
精神・発達障害のある方の場合は、休憩場所の設置や音・光・温度・臭い等の過敏症対策等のハード面に加え、通院時間の確保、日々の体調管理、定期的な心のケア等のソフト面の対応も重要となります。
本人の特性への配慮と生産性向上とのバランスを意識して取り組むことが大切です。
はれものを触るような感覚で本人に指示をする担当者が稀にありますが、これは企業にとっては生産性という視点で問題ですし、何よりも可能性を持った本人に対して失礼です。
企業である限り、いかに戦力化するか、いかに生産性向上を図るかという視点を大切にする必要があります。
本人の特性を慎重に見極め、チャレンジできるような目標を設定することが大切です。少しずつ難しいことにチャレンジし、少しずつ業務の範囲を広げていくこと等です。
例えば遠慮と配慮の違いです。
企業である以上守らねばならないことや行わねばならないことに対して遠慮は不要です。
ただし、それを本人が理解できる説明方法や実行する上での工夫等には配慮が必要です。「遠慮はいらない、配慮はいる」ということです。
また、マネジメントを充実するためには特定の部署だけでなく周囲の協力も必要となります。特に、上司や人事部門との連携が重要となります。
具体的には、<現場リーダーはどのようなことをすればよいか知りたい>や<現場と人事・総務部門はどのように連携すればよいか知りたい>を参照してください。
障害者雇用促進法における合理的配慮については国の指針(外部リンク)を参照してください。基本的にこの方針を順守した上で、積極的に障害者雇用を進めようとしている企業においては、本人を戦力化するための工夫は何かという視点で実行することが合理的配慮になります。
具体的な事例は、以下の障害別の職場環境づくりを参考にしてください。
障害者雇用においても能力開発は重要です。
<業務選定の考え方を知りたい>で述べたように、障害がある方の能力開発は少し丁寧に行うことが大切です。業務指導だけでなく社会人としての基礎知識等、OJT、OFF-JT両面で教育することが大切です。特に、知的障害のある方の場合は本人の理解度を確認しながら繰り返し丁寧に行うことが大切です。
必要により支援機関と連携して取り組まれることをお勧めします。
障害者雇用においても能力開発の重要性は言うまでもありません。<業務選定の考え方を知りたい>で述べたように、本人を戦力化するためには欠かせないものです。業務に必要な能力開発はもちろんのこと、社会人としての基礎知識や能力向上するための基礎学習(語学、数学等)を習得できるように指導することが大切です。
障害のある方だからといって最初から区別することなく、通常の教育体系がある場合は、同様に教育するよう検討することをお勧めします。本人の特性によってできないところがある場合は、より細かな目標レベルを決めて少しずつ習得できるように工夫する必要があります。特に、知的障害のある方の場合は本人の理解度を確認しながら繰り返し丁寧に行うことが大切です。理解しやすくするための工夫には、支援機関から助言を得ることもお勧めします。
初めて障害のある方を雇用する場合等、企業としての経験が浅い場合等にジョブコーチの派遣を受けることができます。
ジョブコーチは、障害のある方や企業双方に対して、どうすれば業務や職場環境に適応できるかや雇用管理に関する支援を行い、職場定着を目指すものです。ただし、ジョブコーチの支援を永久に受けることはできません。数か月の支援を受ける間に企業としてノウハウを習得し、障害特性に応じた効果的な雇用管理、作業指導ができるようになることを目指します。採用前に現場実習を行う場合は、実習時からジョブコーチ支援を受けることができます。
知的障害のある方や精神障害のある方を初めて雇用する時には、ジョブコーチ支援を積極的に活用されることをお勧めします。
具体的な内容については、以下を参照してください。
ジョブコーチは、高齢・障害・求職者雇用支援機構から派遣してもらうほか、企業内にジョブコーチ資格を持つ社員(企業在籍型職場適応援助者)を養成することもできます。
ジョブコーチ養成研修(外部リンク)は定期的に開催されています。
また、毎年開催されているアビリンピックを活用することも障害のある社員の能力開発に有効です。
アビリンピックは障害のある方々が日頃職場等で培った技能を競う大会です。これに出場して能力発表をすることを目標に、モチベーションを維持して日頃の能力開発に励むことができます。様々な競技種目がありますので、業務に応じた種目に出場できます。地方大会で優秀な成績を収めた方は全国大会へ進むことができます。詳しくは、以下を参照してください。
京都障害者雇用企業サポートセンター
ご利用時間:月曜~土曜日/9時~17時(日・祝、年末年始休み)
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