「第2回文化力創造懇話会ビジョン検討会議」開催結果
日時
平成24年5月21日(月曜) 午後5時00分から7時00分まで
場所
御所西 京都平安ホテル 2階 「嵯峨の間」
出席者
大田喜好委員、加柴和成委員、栗山圭子委員、佐藤卓己委員、畑正高委員、濱崎加奈子委員、藤本英子委員、松尾恵委員、村井康彦委員、山極壽一委員、山本壯太副座長、六嶋由美子委員、鷲田清一座長 (五十音順、敬称略)
議題
- ビジョンの改定について
- 意見交換
- その他
委員意見の要旨
「基本理念、基本目標」について
- 京都府民、日本国民のみならず、全世界に発信するビジョンとしたい。世界の中の京都を意識し、ローカルだが、普遍的な価値を示すビジョン。
- 世界への発信を目指すのなら「京都」という言葉を外すべき。
「和(輪)のこころの里(園)」はどうか。京都は里(府域)と都市(京都市)が文化的につながっていた。震災後のコミュニティづくりに府がモデルになる事を目指してはどうか。
- ビジョンは、世界に向けた発信と、府域を活性化することの両方が必要。
- 過去から現在までの文化的なアイデンティティをビジョンに掲げるのみならず、未来の京都の価値、これからの文化的価値を発信していきたい。京都が「文化のふるさと」であることは公認されている。これからどんな文化的価値を大事にしていくべきか、未来の価値を掲げた方がよい。
- どの地域も過去は財産である。過去を忘れないようにした上で、未来に向けた発信が必要。
- 過去を学ぶことによって、未来力を育むことが必要。
- 「こころの(和の)未来力」はどうか。どういう未来を作るのか具体的に記述すればよい。
- ゲーテやダビンチのような、総合的な人間力を持った次世代を打ち出したい。「こころ」は人間としての総合的なパワー。京都は1300年の歴史の中でその素地が築かれている。
- 基本事項、理念と言った行政的な言葉ではなく、誰にでもわかる魅力的な言葉でビジョンの大項目を表現したい。例えば、京都市民憲章のイメージ(美しいまちをきずきましょう等)。
- 国の価値観を表すものとして、ブータンのGNH(国民総幸福量)は一つのモデル。福井県なら「ここにいたら安心できる」、広島県なら「平和」、北九州なら「ファッション都市」、名古屋なら「デザイン」。
- 理屈ではなく、わかりやすい表現、図表など、目で見て理解してもらうことが必要。
- 歴史と地域を座標軸に、立体視することが必要。
- 府として、地域や歴史を踏まえて「府はこういう地域だから、こういう事を提案する」という個性が大事。
- 府域の悩みや改善点などを提案してもよい。府域のマイナス要因を直視することも必要。
- 地域名をしっかりと打ち出すなど、もう少し個性を出したビジョンとしたい。
- 京都市から府域へ熱意を持った芸術家等がちらばり始めている。
- 「府域」や「郡部」などは、抽象的な表現で済まされるなど発信力が弱い。文化地理的な議論を行い、丹後、山城など、具体的な文化圏及びその地の文化を検討するべき。
- 丹後、南丹など、地域を一括りで記述することは難しい。京都市内でも区によって文化は異なる。それぞれの共通項、違いがわかるようにしたい。
- 「丹(に)の国」、「山背の国」、「千年のみやこ」というように3つの文化圏で考えていくこともできる。
- 山城地域でも、京田辺市を境に、奈良に近い地域とそうでない地域では、文化が異なる。
- 自然が文化を作っており、自然を強調すれば、京都市とそれ以外の地域がつながる。
- タックスペイヤーである府民だけでなく、観光客のほか、住所が他府県で勤務地が府である方々も対象として検討する必要がある。
- 住所は他府県でも京都で勤務していたら「京都人」と思っている。京都で生活している観点でみればよい。
- 基本理念については、「こころの文化の深化」、 「文化のみやこ圏構想」、「文化力による京都の活性化」の3本柱にしてはどうか。
「重点施策」について
- 文化は行政が指導するものではない。文化事業を免税にすることを提案。
- 行政も文化を側面的に支援する必要がある。プロは自立化に向けて進展させる必要があるし、アマは個人に負担がかかりすぎているので、支援する必要がある。
- 地域の伝統文化の掘り起こしだけでなく、多くの人々が新しいものに取り組める環境を構築するべき。
- 京都市内は慢性的にホテルが満杯状態である。滞在型の宿泊者を府域に導くようなガイドを育成してはどうか。有名料亭で使われている食材にしても産地は京都市内ではなく府域であることが多い。京都市と郡部を、例えば食材でつないではどうか。府が率先してそのようなことをPRして府域を活性化するべき。
- キッザニア(こども向けの職業体験テーマパーク)の伝統工芸版など、教育とのリンクを図ってはどうか。
- 消費者が欲しい物を自分で作ることが、デザインの世界的な流れ。府民がものづくりに携われる場所(ファブラボ)を提供してはどうか。
- 川と道がまちをつないでいる。鯖街道のように、道に名前をつけ直してはどうか。「道の駅」を増やすことを提案。
- アーティスト・イン・レジデンス(施設)を整備し、施設とそこで生活する芸術家をコーディネートするようなアーツカウンシルの創設を提案。
- 長岡京の地域ボランティアと恭仁京のボランティアがつながろうとしている。丹後王国ともつなげる等、地域のボランティア活動をつなぎ、交通費等助成を提案。さらなる地域の活性化につながる。
- 中高生を府内へ留学に出す「府内留学制度」を提案。