イベント開始の時間が近づいたので、会場へ向かいます。面識の無い方と色んな事を話合うイベントへの参加は、とても刺激があって興味深いものでした。
新たな出会いを喜びつつ会場を後に帰宅の途につきました。日が暮れゆく大原の里と高野川の様子を眺めながら少し散策しながら帰る事にしました。
彼岸花が咲き乱れ、暮れゆく大原は、日本の原風景と表現すれば良いのでしょうか。童謡“里の秋”が似合う風景です。知り合いの大原出身の方が子供の頃の話をしてくれました。「大原の里山は素晴らしい景色ですよ。」と。“これ”が“それ”なのだと感じました。
<暮れゆく大原 中央付近に彼岸花の赤が>
高野川沿いに歩いていくと、普段は自動車で通過する国道の遙か下に流れがあります。普段見下ろす事のない“山あい”の高野川は、里山の様子とはまた違った味わい見せてくれます。
<竹林の傍を流れる高野川>
少し視界が開けたところに来ると、「役場橋を渡って 里の駅 大原 寂光院へ」という看板がありました。通行止めとなっています。橋が老朽化しているのでしょうか。
それにしても、今までこの橋の存在すら知りませんでした。渡れる様になったら渡ってみたいです。皆さんも今はお渡りになりませんように御注意ください。
<役場橋 案内 でも通行止め>
<こんな橋があったのですね>
山あいから高野川へと向かう谷筋があります。この辺は砂防指定地となっています。砂防堰堤には、「亀甲谷川筋第参号堰堤 昭和16年3月竣工」とあります。これも昭和10年の大水害を契機に整備された砂防堰堤なのでしょう。
<山から流れ出る谷筋>
<高野川へと向かいます>
<砂防指定地を示す看板>
<昭和16年竣工>
しばらく歩くと高野川と国道の距離がまた縮まって、眼下に見下ろすスポットにやって来ました。山あいの“渓谷”そのものです。河川が自然にカーブを描き流れていきます。
<谷を見下ろす高野川>
<木の間から垣間見る高野川>
<少しカーブを描きながら>
少々急勾配の国道を下っていくと、すぐ傍に高野川の流れが近づいて来ました。大原の山里ですぐ傍を流れていた高野川が、自然の蛇行を繰り返し国道から距離を置いたり、高低差を見せたりする変化に富みます。
<すぐ傍の堰堤を落ちる高野川の流れ>
<三段の落差>
<瀧の様に流れ落ちる>
直線的に流れる市街地の様子も魅力がありますが、上流域では自然河川の魅力も楽しめます。
八瀬に入ると、高野川沿いに民家が並び護岸も整備されています。
<里山から下りてきました>
<新八瀬橋>
<新八瀬橋上流>
<新八瀬橋下流>
この辺で日も暮れ、足も疲れてきましたので、バスに乗って帰る事にしました。八瀬の高野川を振り返り、いつか高野川の上流域の流れの中を歩いて遡上して見たいと思いつつバス停へ向かいました。
今回は、大原から八瀬までの高野川の様子をご紹介しました。鴨川の支流は他にも沢山あります。また違う支流もご紹介出来ればと思っています。
平成26年10月15日 (京都土木事務所Y)
<八瀬の高野川を眺めて>
(号外)鴨川真発見記番外編 建設業界は今
「シンポジウム建設未来京都フォーラム2014」
建設業の未来づくりを模索する
平成26年10月10日(金)に建設業の未来を考えるシンポジウムが建設未来京都フォーラムの主催により開催されました。会場の京都市立国際交流会館イベントホールには、100人余りの参加者が詰めかけ、盛大に開催されました。
<イベントホール前>
<受付 笑顔でお迎え>
建設業界の人手不足は、東北大震災や東京オリンピック特需もあいまって深刻な事態を招いています。京都土木事務所も建設業界あってこそ成立する業務です。今回は、その業界の未来を考えるシンポジウムの様子をご紹介したいと思います。
<会場の様子>
<フォーラム設立趣意書>
昨年開催されました、第2回京都建設技術フェアの様子は鴨川真発見記第92号でご紹介していますので、併せてご覧ください。
冒頭、今回のフォーラム開催を記念して募集された作品集「建設業を見守る人々」の作文の1つが読み上げられました。
その後、最初に京都大学大学院工学研究科教授・NPO法人道普請人(みちぶしんびと)理事長の木村亮(きむらまこと)氏による基調講演が「建設業の未来づくりは人づくり」と題して語られました。
木村亮氏略歴<京都サンダーのカワラバンより>
専門は地盤工学、基礎工学、トンネル工学。また専門の土木工学はもとより、20年来、国際協力を活発に行い、2007年には「NPO法人道普請人」を設立。理事長としてアフリカなど世界15カ国以上の途上国で活動を展開中。日本発の世界中をフィールドとする、世界一の「人々の暮らしを守り豊にする」国際土木NPOを目指している。
<基調講演:木村氏>
<熱く語る木村氏>
木村氏の「NPO法人道普請人(みちぶしんびと)」の活動は、途上国の未舗装の道路が少しずつ傷んで、放置した結果傷みが激しくなってぬかるみが広がり、自動車が走れない程になってしまっている状況を修復・改善する活動です。
重機を用いずに現地で調達できる材料で道を改善するという命題を“土のう袋”を利用することで解決されました。世界中どこにでもある土のう袋を道路の路盤にして、上から締め固めて損傷を防ぎます。現地の方にこの方法を指導することで、高度な技術無くして生活改善が可能となりました。
<整備方法>
<整備手順>
<構造の説明>
(木村教授の資料から)
<道づくりに励む現地住民と木村教授>
(木村教授の資料から)
途上国に対しての援助は、小学校建設や医療など様々な形で行われていますが、そもそも道路が使用出来なければ、病気の人を運ぶ救急車も走れず、学校へ通うにも相当の時間を要します。
<幹線道路への移動が困難>
<整備された道>
(木村教授の資料から)
道が快適に利用できてこそ、様々な支援が有効になる事を熱に語られました。そしてその代表的な事例を挙げられて、今日の私の講演では、この事例を覚えて帰って頂ければとおしゃっていました。
その事例とは、道が使用困難となり、対価を得る作物の搬出が出来なくて、自分達の食べる作物を細々と栽培していた農家がありました。人手を雇う事も出来ず、小学生の息子が農作業を手伝っていました。道普請人の指導により、現地の方の手作業で道が安全に利用できるようになりました。
出荷が可能となった事から、対価を得る事が出来る様になり、人手を雇う事が出来、息子も学校に通う事が出来る様になりました。土嚢による道改修技術を現地にもたらす事で、その技術による道改修の雇用も創出されました、というお話しです。社会基盤整備の基本がここにあると感じました。
<NPO法人道普請人の活動の成果事例>
(木村教授の資料から)
木村氏のお話しの中で、これは素晴らしいと納得した事例をもう一つご紹介したいと思います。長野県天竜川水系の西天竜幹線水路に関する事例です。
農業用水に関しては、水争いと呼ばれる衝突が各地で起こっていました事は、今は無き農業用水路“蓼倉川”の紹介で第165号でお伝えしましたところです。
そこには農業用水を平等に分配するための仕掛けがあるのです。その名も“円筒分水工”と呼ばれる施設です。一方向から流れて来た水を一度サイフォンして円筒型の池の様な溜まりに集めます。
<円筒分水工 写真>
(木村教授の資料から)
その円周に等間隔に穴を空けて、仕切りを動かす事でその先へ導く水量を調節します。その先にある耕作地の規模によって平等に水を分配する仕組みです。
鴨川や高野川といった本川上では、この施設は設置出来ないと思いますが、農業用水路での末端への分配には非常に良くできた仕組みです。
<円筒分水工の仕組み>
<数ある円筒分水工>
(木村教授の資料から)
木村氏は、時折りジョークを織り交ぜて会場を沸かせながら基調講演を終えられました。
休憩を挟んで、パネルディスカッション(Ⅰ)「建設業リアルー建設業を描く」テーマ:建設業のイメージアップのための表現とは?が進行されました。
コーディネーターは、新井清一氏(京都精華大学デザイン学部建築学科教授)
パネリストは、
山下尚治氏(京都府建設業協会広報委員長)
河上大志郎氏(マンガ「雨のち晴れ」著者 京都精華大学マンガ学部卒業生)
竹宮惠子氏(京都精華大学マンガ学部教授)
大黒澄人氏(京都府建設交通部指導検査課入札制度・建設業担当課長)
<マンガ広報誌「雨のち晴れ」が映し出されたスクリーン>
このパネルディスカッションでは、河上氏が京都府建設業協会からの依頼を受けて描かれた“マンガ広報冊子「雨のち晴れ」”の作成経緯をめぐって、土木業界の現状が語りあわれました。
山下氏からは、広報委員長として土木業界をアピールする方法がないかと、構想を温めていたところ、マンガミュージアムからの紹介で精華大学の学生さんにマンガとして描いてもらう事が実現したことが語られました。
<新井氏 竹宮氏>
<山下氏 河上氏 大黒氏>
河上氏は、土木業界に対して全く興味を持っていなかったが、おおまかな“あらすじ”をもらって肉付け作業をしていった事。自分も興味が無かった業界の美談を大きく取り上げるのではなく、手にとって先ずは興味を持ってもらえる様な内容とした、などと作品を仕上げた経過が語れました。
※河上氏は週刊マンガ雑誌で8月から連載デビューされました。
京都府建設交通部の大黒氏からは、災害が起こった時に真っ先に協力願うのは、建設業の皆さんの災害対応であり、建設業界の人手不足は深刻な問題だ。京都府でも人材の確保に苦慮しているところで、今年から初級採用(高校卒業)の門戸を開いたが、京都府下で土木系の学科を教えているのは、伏見工業高校の1学年30名のみで、3kと言われる建設業離れから、高校の学科が減少しているのが実態と現状のお話しがありました。
竹宮氏からは、今回の様な“生活マンガ”というジャンルのマンガを描く事により、学生の技術の向上にも繋がる。卒業と共にデビュー出来る学生は1割程度であるが、教授陣であるプロの漫画家と肩を並べて話が出来る技術を磨く良い機会とのお話しがありました。
<学生への想いを語る竹宮氏>
<行政の立場から大黒氏>
会場からは、この様な取り組みを継続させるためにどの様な事を考えているかとの質問があり、山下氏から「今後は地元放送局の協力を得て、ラジオドラマの製作を予定している」と取り組みの広がりを紹介されました。
<会場からの質問>
第1部のパネルディスカッションが終了して、休憩を挟んで(Ⅱ)「建設業を考える」テーマ:地方のインフラを安定的に維持していくために、なにをすべきか?のパネルディスディスカッションの始まりです。
<第2部パネルディスカッション開始>
コーディネーターは、建山和由氏(立命館大学常務理事 理工学部環境システム工学科教授)
パネリストは、
木村亮氏(基調講演者)
宮脇恵里氏(ミヤシステム株式会社 常務取締役)
神原孝行氏(株式会社五星 取締役副社長)
最初に建設業界を取り巻く現状の推移など、統計的な報告が建山氏からありました。高度経済成長期に一気に整備されたインフラは、時期を同じくして劣化その後パネリストのお話がありました。
<建山氏>
<木村氏 宮脇氏 神原氏>
神原氏からは、建設業のイメージについてマスコミの報道の現状についてお話しがありました。災害現場での救助活動についての報道は、警察、消防、自衛隊と展開される救助シーンが大きく報道される。救助に向かう救助隊にカメラが向けられるが、その背後では建設業者が塞がれた道を重機で通行出来る様に土砂や瓦礫を撤去している。
お亡くなりになった方を発見すると、手を合わせて救助隊に引き継いでいる。その姿が全くと言っていいほど報道されない。とかく建設業に対するイメージは良いとは思われていないようだが、救助作業に向かう為には、建設業者の働きがあってこそ前に進めるのである。そんな姿をもう少し取り上げて欲しいと目頭を熱くされながら語られました。
宮脇氏からは、土建屋に生まれ、土建業界に育てられた生い立ちから建設業界をサポートする建設業の原価管理システムを開発・提供している。「土木業界の技術者不足には、若者を技術者として育てる事が大切」と本フォーラム発起人代表の新井氏と“暑苦しい”議論を交わしていると語られました。
<土建屋魂 宮脇氏>
<大胆提案 木村氏>
木村氏からは、急速に進行するインフラ構造物の劣化と限られた予算に関連して、大胆な視点が必要とした上で「劣化した構造物は通行止めにして、不便にすればよい」「自分も含めて50歳を超えた人間の考える事では全くダメ」などとまさしく大胆なご意見がありました。
また、インフラが劣化していく事を伝える例えとして、「家電製品を見て下さい。同じ時期に潰れます。社会基盤も同じです。修理するか買い換えるの判断が必要です。こう話すと主婦の理解が得られます」と更に熱く語られました。
神原氏は、単年度予算のぶつ切り発注では効率性の確保は難しい。PFIの様な組織が構造物の効率的な補修の運用と、それを取り巻くソフトを併せて管理することにより、経済の流れを作りながら取り組む事も必要と提案がありました。
※「PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。(内閣府ホームページより)
<PFI導入を提唱する神原氏>
会場からも声が上がりました。最初の声は技術者の資格の問題です。資格を持った技術者も持たない技術者も同じ雇用条件である。資格による利点が無いのに時間を割いて勉強する技術者が減っている。技術者不足を解消するには、資格の利点を与えて欲しい。
続いて工期の問題です。受注しても、設計変更が多く工事に着手するまでに時間がかかる。その上で工期は限られており、効率的に工事が進まない現状がある事。
そして休暇の問題です。建設業界では、突貫工事などがあり、週休2日が確保出来ていない。充分に休養出来ない状況では、建設業離れは解決出来ない。
この声に対して、木村氏からは「京都府の建設業界は、水曜日と木曜日を休日にするとか」とまたしても大胆提案がありました。
滋賀県で休みを平日に設定しようと試みた事があるが、子供など家族が休みの時に休めないのは困るという声が多く寄せられ実現しなかった。
などと多くの意見が出て、会場とパネリストが一体となり盛り上がりを見せ、時間いっぱいの盛会となりました。
最後に発起人代表の新井恭子氏から、一般の方にも建設業の未来を考えるキッカケになればとの挨拶でフォーラムは無事終了となりました。
<新井代表から閉会の挨拶>
建設業界の皆様の生の声をお聞かせ頂く良い機会となりました。この様なフォーラムを企画されました、発起人のお三方(新井恭子氏 新井清氏 建山和由氏)そして事務局の京都サンダーのスタッフの皆さん有難うございました。
※「建設未来京都フォーラム2014」の概要はこちら(外部リンク)
平成26年10月15日 (京都土木事務所Y)
【追伸】
京都土木事務所のHP「鴨川真発見記」冊子版も会場に展示して頂きました。重ねてお礼を申し上げます。「有難うございました。そしてお疲れ様でした。」
<“鴨川真発見記”冊子版>
<バックナンバー紹介>
第169号 鴨川で全国釣り大会
「全日本ハエ釣り王座決定戦」開催されました
鴨川で鮎や鯉を釣っておられる様子はよく見かけますが、今回ご紹介するのはハエの釣果を競う「ハエ釣り王座決定戦」です。JFT全日本釣り技術振興評議会が主催して開催されました。
<全日本ハエ釣り王座決定戦>
私事ですが、「自然観察指導員」の一員に名を連ねることとなった私の興味をそそりました。
あまり自然に関心の無い方に目を向けてもらう活動も「自然観察指導員」の役割です。この釣り大会をご紹介する事で、その役割の一部を担いたいと思います。
10月11日(土曜日)の午前中は少年・少女の釣り教室が開催されていました。お昼前に会場到着となりましたので、少年・少女が釣りをしている場面には出会えませんでしたが、その釣果を見せて頂く事ができました。
<荒神橋・丸太町橋間が会場>
<親子連れの姿が>
カタカナで“ハエ”という字を見ると、「ぶんぶん」と飛び回る虫の“蠅”を連想する方もおられるかと思いますが、小魚の“ハエ”です。正式には“オイカワ”という名前の魚です。
少年・少女が釣り上げた“ハエ”を見せていただきました。釣り教室の指導員さんは、翌日から始まる「王座決定戦」の選手の皆さんや、賀茂川漁業協同組合や大会役員の方々です。
<飛び出さない様に蓋をして>
<本日の釣果>
丁寧な指導で釣り上げた“ハエ”は、クーラーボックスに入れてお持ち帰りです。「どんな料理で美味しく頂けますか」と尋ねると「甘露煮か唐揚げ、今の時期は唐揚げがお勧め」と指導員さんに教わりました。
一人の少女が大きめのアユを大切そうに手に持っていました。「自分で釣ったの」と尋ねると、賀茂川漁業協同組合の澤理事長が手づかみで捕まえてくれたそう。「美味しく頂きます」とのコメントを頂きました。
<賀茂川漁業協同組合の澤理事長“手づかみ”のアユ>
釣り教室で釣りをする傍ら、川の中で目にした“ゴミ”を拾う事も忘れません。自然保護の第一歩清掃活動も同時進行で行われました。その日はその辺で会場を後にしました。
<ゴミもこんなに拾いました>
台風の上陸を控えた10月12日(日曜日)は、天候を心配しつつ会場を訪れてみました。高野川沿いを進んでいくと、蓼倉橋付近で釣りをする親子を発見です。
<西山和治郎くん親子>
鴨川真発見記でもお馴染みとなった“西山和治郎くん”親子が釣りを楽しんでおられました。会場到着が遅くなった前日の釣り大会に、西山くんも参加されていたそうで、早速その成果を試しておられたようです。
会場に着くと、鴨川の中に釣り人発見です。遠くから眺めていると、竿を降り出してエサが水面に落ちてから「1、2、3・・・・7」秒くらいで竿が立てられ、手元には“ハエ”が次々とキャッチされていきます。
<エサを付けて>
<竿を出し>
<あっという間にゲット>
<すぐに次の一投>
さすがは全国のトーナメントを勝ち抜いた精鋭8人の釣り師の皆さんです。
会場を離れて、お昼休みの時間に再び集合場所を覗くと、おびただしい数のハエ(オイカワ)がオケに移されて、その釣果が確認されていました。
<一匹、一匹丁寧に確認>
<生きたままに>
「何をエサに釣っておられるのですか?」と尋ねると、“練りエサ”と返事が返ってきました。午後からの対戦に向けて、新たにエサを仕込んでおられました。
あの“ハヤワザ”のエサ付けには、専用のマシンが欠かせないようです。そのマシンに仕込んだ練りエサを、注射器の原理で少しだけ出して針に付けるそうです。
<練りエサを仕込んで>
<ワンプッシュで必要分が出ます>
<それを小さな釣り針に引っかけて>
ただでさえ口の小さな“ハエ”釣りです。毛針かなと思っておりました。昨年のNHKBSプレミアムの番組「新日本風土記 京都鴨川」で料理店の女将さんが鴨川で自分が釣った魚を提供されている事を知りました。その女将さんは自然の虫を捕まえてエサにされていたのを思い出しました。
この練り餌が大量釣果に繋がっていたのですね。知らない世界を覗いて新発見です。驚きです。
澤理事長にスコアカードを見せていただきますと、午前中で三桁の数字も並びます。
<最多の数字は295匹>
そうこうしているうちに、午後の部が始まりました。ここで少しルールを教えて頂きました。鴨川の南は五条大橋から北は賀茂大橋までの間で、橋と橋の間に2人の選手が川に入ります。橋間の真ん中で上流、下流の漁場を分けます。各自決められた場所で一定時間釣ります。そして、時間が来ると上下流を入れ替えて、同じ時間釣り糸を垂れて、釣果を競います。
<二人の選手が競います>
<上下流の場所を決めます>
<さあ、午後の競技開始です>
<ご自分の持ち場へ>
<座り込む選手あり>
<たたずむ選手あり>
午後の部が始まると、西山和治郎ファミリーも競技の観戦に会場へ足を運ばれました。「あの方のハヤワザを観に来ました」と。
翌日は非常に強い台風が上陸するとの状況で、大会の継続が危ぶまれる状況でしたが、後日主催者の方から大会結果の概要をお送り頂きましたので、ご紹介します。
大会は12日の1日、8名、90分、1人5試合。総釣果は、5,311匹だったそうです。1試合一人平均132.8匹もの“ハエ”が釣り上げられたそうです。「そんなに釣れるの」というのが正直な感想です。
釣り上げた“ハエ”は、上流にリリースして再び繁殖するようにされるそうです。
時間と場所による釣果や、大会の総評価、選手の話など大会結果の詳細は、公益財団法人日本釣振興会京都府支部副支部長の多賀紀文氏が、まとめられた資料をご覧ください。
※大会結果を見るPDF(PDF:537KB)
印象に残ったのが選手の話です。「撒き餌をするとハエが多く集まり人影を見ても逃げない、観光客馴れしているのか」のくだりです。逆に釣られる事が少ないので、警戒心が無いのかも?とも思いますが・・・。
平成26年10月15日 (京都土木事務所Y)
第170号 鴨川探検!再発見!第37弾開催しました
いつもに増して盛りだくさんに
10月26日(日曜日)は、鴨川探検!再発見!第37弾が開催されました。残念ながら中止となった前回の分まで楽しもうと小学生18名、保護者14名の合計32名が集まってくれました。
<川に入る時の注意事項説明>
<用意されたテーブルを囲む参加者>
<満席となりました>
<指導員の皆さんの自己紹介>
京都土木事務所で事前説明と自然観察指導員さんの紹介の後、早速元気よく鴨川へと向かいます。その玄関先には、指導員さんが事前に捕獲しておいてくれたお魚がいました。みんな興味深くみますが、それは外来魚のブラックバスでした。「鴨川にもいるの!」と驚きを隠せない保護者の方の声も聞こえてきます。
<もう何か捕まえた?>
<指導員さんが事前に捕まえた“ブラックバス>
<勢いよく鴨川へ>
<バケツと網も用意>
鴨川に着くと、前半は川沿いの植物や昆虫を見てみようです。
エノキに赤い実がなっています。シジュウカラもちょこまかと実を食べに来ているようです。みんなも鳥の気持ちになってみようと、その赤い実を食べてみました。「甘い!鳥の気持ちになれました」との感想もいただきました。
<秋晴れの観察会場>
<エノキの実 初めて食べました>
”落ち葉をめくってみよう”の指導員さんのところでは、たまった落ち葉を容器に入れて”ごそごそ”と探っておられます。すると、色んな小さな虫たちが姿を現します。動きの速い虫もいれば、のんびり動く虫も小さな空間に個性豊かに観察できます。
<ここにも“虫”が>
<たまった落ち葉をかき分けて>
<用意した容器に広げて観察>
野鳥担当の指導員さんのスコープには、つい先日渡ってきた鴨の仲間“ヒドリガモ”や、サギの仲間の中でも最大級の“ダイサギ”が目の前に見えています。「うわ~、目の前に居る」の言葉が嬉しいですね。
<ダイサギ>
<ヒドリガモ>
植物担当の指導員さんが取り出されたのは、目打ちと爪楊枝です。“まあるい”どんぐりの平たい部分の真ん中に目打ちで穴を開けて爪楊枝を差し込みます。すると“こま”の出来上がりです。用意された紙箱の中でくるくると回りました。
<穴を空けて爪楊枝をさすと>
<ドングリ“クルクル”のコマ完成>
バッタを捕まえたよと、少年が見せてくれました。「口が赤いよ!」と教えてくれました。よく観察出来ました。
バッタの口が赤いなんて事は気にもしませんでしたが、捕まえるとソースの様な液体を口から吐くのを思い出しました。
<バッタ>
<よく見ると赤い口元>
保護者の方の嬉しいお言葉を聞かせていただきました。「家の娘は虫なんて触ることが出来なかったのですが、この企画に参加してから虫を平気で触る事が出来る様になりました。」そう語るのは、前回(春の回)でテントウムシの羽化過程をお持ち帰りになった保護者の方です。無事成虫になったそうです。
<第35弾で発見したテントウムシ>
<無事羽化したそうです>
「ぴゅー、ぴゅー」と川原に音色が響きます。細くて柔らかい草の葉で“草笛”です。唇に大きめの葉をあてがって吹く草笛とは少々趣が違います。
両手の親指の間に細長い葉を固定するのですが、指の関節と間接の間は密着させずに、隙間を空けておくことで葉が振動するスペースを確保して音を出すのです。
<草笛がピュー>
<保護者の方も挑戦>
<コツをつかんで“ピュー”>
<子供達も次々と>
子供たちだけでなく、大人も夢中で鳴らしていました。こつをつかめば誰でもできそうです。みんなもお友達に教えてあげたくなりますね。
<両手の親指の隙間を利用して草を震動させます>
続いて登場は、ヤマブキの茎鉄砲です。ヤマブキの茎を切って、中の芯を爪楊のとがっていない方で“ぎゅー”と押すと、圧縮されたスポンジ状の芯が“ポン”と飛び出るというお遊びです。お見事芯が飛び出ました。
<芯を爪楊枝で押し出すと>
<“ぽん”と飛び出しました>
そろそろ川に入る時間がやってまいりました。秋の川の中、冷たいかと思いましたが、晴天に恵まれた鴨川は心地よい冷たさです。
子供たちは網を片手に思い思いに川に入ります。中には“おっかなびっくり”の参加者もおられますが、馴れてくると大丈夫です。シリモチをついて完全にずぶぬれの参加者も何人か見受けますが、一様に笑顔です。
<いざ鴨川へ 浅い所から入ります>
<さあ捕るぞ>
「エビ採れた!」「小さい魚採れた!」「カニ採れた」とバケツの中に次々と運ばれてきます。エビは外来種の“沼エビ”だそうです。
植物担当の指導員さんが、また面白い遊びを教えてくれました。子供たちよりも保護者の方が楽しんでおられた感がありますが・・・。三角形の茎の軸を持つ植物が用意されました。二人で両端から二つに裂いて裂け目を広げていくと、最終的に四角に広がれば“相性良し”のお遊びです。四角く広がらない場合はM字型になるそうです。
<三角形の茎を裂いて>
<四角く広がると“相性良し”>
この植物はこうして四角く広がる事から、”蚊帳(かや)つり草“と名が付けられているのだそうですが、今の子供たちには”蚊帳“が何なのかさっぱりわかりませんねとコメントされていました。
<河原に沢山生えている“蚊帳つり草”>
子供の頃は鴨川で夢中になって魚を追いかけていたとおっしゃる保護者の方、川に入る時には「子供の頃とは違って身体が重い」とおっしゃっていましたが、しばらくすると、川のなかで“ダッシュ”しておられました。まだまだ若いです!!!
<川の中を“ざぶざぶ”と>
<エビが捕れたとテンションアップ>
今回の企画の情報をお知りになった賀茂川漁業協同組合の澤組合長が会場に駆けつけてくださいました。駆けつけていただいただけでなく、投網を披露してもらえるとあって、ますますテンションがあがります。
<飛び入り参加の澤組合長>
<鮮やかに投網が放たれます>
何度かの投網で、小魚が入りました。浮かべられた衣装ケースの中には、“オイカワ”“ズナガニゴイ”が泳いでいます。
澤組合長の目線が“ナマズ”を捕らえました。その大きなナマズめがけて投網を放ちます。ナマズは驚いて逃げます。網には入らず、食べかけていた魚を口からこぼして逃げました。こぼされたもののその魚は生きてはいられない状態でした。その瀕死の魚を少女が拾いあげました。
<写真中央に「ヌラリ」と”ナマズ”>
<ひん死の小魚 これも”ズナガニゴイ”でした>
その大きなナマズは、護岸の下に頭を隠して逃げ込んだのを澤組合長は見逃さなかったのです。子供たち呼び寄せて囲うことで捕獲しようとしましたが、少々はやる気持ちもあって逃げられました。
<ナマズめがけて>
<網を打つ>
<護岸の石の間にナマズが逃げ込んだ>
<みんなで囲って 逃げられた>
ここで、澤組合長の漁業魂に火がつきました。狙ってしとめる“なまず”投網です。ナマズの姿を確認しながら、そのうえに被せるように網を打ちナマズゲットです。鴨川探検史上最大の獲物となりました。
<漁業魂に火が着いた澤組合長>
<よし捕まえた>
<大きな“ナマズ”ゲットです>
<澤組合長 ひと仕事終えて笑みがこぼれました>
川の中生き物担当の指導員さんが、子供達との共同作業で生き物を追い込む方法を指導してくださいました。上流と下流そして横から三方から追い込んで一箇所に集まります。そうすると網の中に何か生き物が入っています。
<何人か集まって>
<足で川底を“ゴソゴソ”しながら>
<範囲をせばめていきます>
<何が入るかな>
<こんなの入りました>
<“コオニヤンマ”のヤゴです>
植物担当の指導員さんから、「この草の葉を噛んでみて」と野草を差し出されました。一枚ちぎって噛んでみると、最初は何の味もしなかったのですが、しばらく噛んでいると“ピリピリ”とキツイ辛みが舌先を刺激しました。
保護者の方や、スタッフも口にしてみましたが、やはり強烈な辛みにビックリです。「ヤナギタデ」という蓼科の植物です。
「もっといい味がするのかと思ったら」と指導員さんに話すと、自然観察指導員成り立ての私に返って来た言葉が、「そんな単純なもの食べさせませんよ“自然観察指導員”は」と厳しいお言葉でした。自然観察指導員の道も厳しいと、後引く辛さをかみしめました。
「蓼食う虫も好き好き」という言葉の味をかみしめる事で、また一つ学習させていただきました。
<好んで食べる虫もいる タデ>
その足元にピンク色の花を咲かせている植物が生えています。それは、「ミゾソバ」と教えて頂きました。日本野鳥の会京都支部の方から、先に紹介しました「ヒドリガモ」が好んで食べる草と聞いていましたが、実物を確認していなかったので、また発見です。
<「ヒドリガモ」の好物「ミゾソバ」>
昆虫担当の指導員さんが手にして説明されているのは、「エンマコオロギ」です。
「オスかメスか分かるかな」と言いながら、解説して頂きました。写真の「エンマコオロギ」はオスです。メスにはお尻の真ん中から長い管が突き出ていて、土の中に卵を産み付けるそうです。
<エンマコオロギのオス>
楽しい時間が過ぎるのは早いもので、「まとめの時間」が来ました。参加者一堂木陰の階段に集合して、今日のまとめです。
最初に、魚や水生生物の担当の指導員さんから、今日捕まえた生き物の説明がありました。
なんと言っても、今日の主役は大きな“ナマズ”です。見事捕獲した澤組合長に大きな拍手が送られました。澤組合長も帽子をとってそれに応えられました。
<今日の主役は“ナマズ”>
<拍手に応える澤組合長>
<この日捕まえた生き物>
捕まえた生き物の生態や特徴を丁寧に説明されました。参加者の小学生は、自分が捕まえた生き物が紹介されると、「私が捕まえた」と声が上がりました。
少し紹介しますと、
「ミズカマキリ」はお尻長い管から息をしながら獲物を探す
<ミズカマキリ>
「コオニヤンマのヤゴ」はあまり動き回らないけれど、お尻から水を吸い込んで、勢いよくお尻から噴射して“ぴゅっ ぴゅっ”と前進する
<“コオニヤンマ”のヤゴ>
「ヘビトンボ」は水質の綺麗な場所に生息する水生昆虫です。
<綺麗な水を好む「ヘビトンボ」>
“オイカワ”という魚は小さい時は、ほとんど銀色ですが、もう少し大きくなって繁殖期に入ると、これがあのオイカワなのと思う位にカラフルな色に変化します
<今の時期 オイカワの腹は銀色>
野鳥担当の指導員さんからは、今日見た野鳥の紹介がありました。「シジュウカラ」を写真に写す事が出来た参加者の紹介や、目で見るだけでなく、鳴き声を聞く事でその野鳥の存在を感じる。五感を駆使して自然観察をする事も教わりました。
<この野鳥見た人>
昆虫担当の指導員さんからは、落ち葉の中に沢山の虫がいる事を皆さんに知ってもらって大変有意義な自然観察会になったと締めくくられました。
参加頂いた小学生の皆さんのみならず、保護者の皆さんも童心に帰って楽しいひとときを過ごして頂く事ができました。自然観察指導員京都連絡会の皆様、そして飛び入り参加で大活躍頂きました澤組合長、有難うございました。
“まとめ”終了後も、捕まえた生き物達との“ふれあい”が続きましたが、時間が長くなると生き物達が弱ってしまうので、なごりを惜しみながら川に帰してあげました。
平成26年10月28日 (京都土木事務所Y)
<生き物を眺める参加者>
【追伸】
大きな“ナマズ”は、ケースの中で弱った小魚を口にあてがうと、その鋭い歯で捉え、胃袋の中に運んでいました。食物連鎖を目の当たりにする事となりました。
<ガッチリくわえました>
<次第に口の中へ>
<少し大きな小魚も>
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