<場内で土砂を運搬 交互通行>
<工事内容説明 施工業者設置>
臨時便工事編第4弾として、現在進められている鴨川の整備工事をご紹介しました。今後始まる工事もありますので、鴨川真発見記の通常便でもご紹介したいと思います。なお、25年度完成工事の様子は全体をまとめて臨時便にてご紹介する予定です。
「鴨川で工事が始まっているけど、何してるんやろ」という言葉をよく耳にします。少しでも多くの方に「鴨川真発見記」を御覧いただいて、鴨川の工事を理解していただく場の一つとなる事を期待して、この辺で失礼いたします。
平成26年2月4日 (京都土木事務所Y)
第134号 鴨川の冬の光景 生き物達を観察
目にしたものをそのままに
鴨川真発見記も最近では、テーマを絞った企画もお届けしていますが、今回は「たまたま出会った」冬の鴨川での生き物達の様子をお届けします。
今シーズンは鴨川ではあまり見かけない「キンクロハジロ」も顔を見せてくれました。鴨川真発見記第128号「琵琶湖からも鴨川へと水が来ています」でご紹介しましたとおり、今季は多くが琵琶湖疏水で過ごしている「キンクロハジロ」ですが、鴨川にも来てくれました。オスメス揃って潜水していました。
<キンクロハジロ>
<潜る瞬間>
「カイツブリ」も良く目にはしますが、大抵の場合は単独もしくは2羽のペアです。この日は8羽のカイツブリが一緒に泳いでいました。しばらくすると、揃って寄り州の中に消えていきました。この辺に塒(ねぐら)があるのでしょうか。
<家族連れ?8羽の「カイツブリ」>
<まだ色の薄い個体も>
「カワセミ」に会うと嬉しくてすぐにカメラを取り出します。出している間に飛び去る事も多いのですが、この日は比較的長く、近距離でお付き合いしてくれました。
しかしながら、手前の草が邪魔だなという感じで撮影しました。けれども、じっくり写真を見てみると、カワセミ自身は鮮明に撮影できており、草もそれはそれで有りという感じに仕上がっていました。
<カワセミの綺麗な姿>
「マガモ」のオスが水中に顔を突っ込んでお尻を水面から上に出している姿は、ユーモラスということで、何度か紹介しました。
この日は、オスとメスが綺麗にシンクロしていました。それも、このポーズを綺麗に決める「オナガガモ」の目の前です。「オナガガモ」の十八番を奪うように目前でのシンクロです。
「オナガガモ」と「マガモ」のシンクロ競演を期待しましたが、そこまでうまくはいきません。マガモの傍を通ってオナガガモは離れていきました。
<「オナガガモ」の前で“シンクロ”する「マガモ」>
<どうですか「オナガガモ」さん>
<息はぴったり>
<マガモさん「まだまだだね」とでも>
渡り鳥のカモは、渡りをするために鴨川では繁殖しないのですが、鴨川に留鳥として残留するカモ(通称アヒル)は鴨川で繁殖しヒナを連れて歩く姿を目にします。この日は、その繁殖行動に立会ました。
お互いに首を垂直方向に上下に動かしながら、リズムを取りながらダンスをしていました。これが求愛行動なのでしょう。すると、一方が水面スレスレまで体を沈めました。そこへもう一方が乗っかって妊活のようです。
この一瞬だけ、普段オスとメスの区別がつかない「カルガモ」の雌雄が判断できました。
<遠くでダンスしていた「カルガモ」>
<何か不自然>
<下のメスは顔だけ出ています>
<妊活完了>
昨シーズンは、オスの姿しか見ることが出来なかった「カワアイサ」も今シーズンはオス・メスペアで姿を見せてくれました。日本野鳥の会京都支部の方に報告すると、「私はオスしか見てません。悔しい。」とお返事がありました。
カワアイサは、他のカモ類のメスに比べると少し派手な感じがします。カワアイサも潜水するので、オスメス揃った一瞬を待ちました。
<「カワアイサ」写真 上=メス 下=オス>
<カワアイサのメス>
高野川に鹿が降りて来ることは珍しくなく、「鴨川真発見記」でもご紹介しましたが、これは大原から下流に下ってくる鹿です。
北大路橋と北山大橋の間の高水敷に落ちていたのは、どう見ても鹿の糞です。写真中央に黒く見えるのが、御存知黒い小さな粒状の糞です。ここで鹿は何をしていたのでしょう。
<高水敷の芝の上に残された「糞」>
高野川の高水敷を歩く鹿の事は前述の当記事でもご紹介しましたが、ある日の朝、出勤途中の高野川で、転落防止の植え込みを通過して見通しの良い場所に出たところ、前方から見覚えのある動物がやってきました。
高水敷を大胆不敵にこちらに向かってくるのは、鴨川で今話題の「ヌートリア」ではないですか。京都府と京都市の担当部署で試験捕獲実施の準備が進められていると聞きます。川の中や、エサやりにつられて高水敷に上がっている様子はこれまでから何度も見ていますが、高水敷で歩いていて対面するのは初めてです。
しばらく様子を見ていると、こちらに臆することなく向かってきます。目の前まで来て、植え込みに飛び込むと、そのまま高野川へ入り悠然と泳いでいきました。この辺の寄り州に居を構えたのではないでしょうか。
<少しずつ近寄ってくる「ヌートリア」>
<人間の存在には臆せず 大胆不敵>
<まだ来るか>
<ここからダッシュで高野川へ>
鴨川真発見記では、鴨川・高野川の植物も多くご紹介してきましたが、冬の時期12月から2月の植物の様子はあまりご紹介してきませんでした。そこで、この間に見つけた植物の様子をご紹介したいと思います。今回も京都府立植物園の植岡技師に協力いただきました。
護岸の石積みにしがみつくようにピンクの花を咲かせているのはなんでしょうか。ピンクの「金平糖」が付いているようにも見えます。その名は「ヒメツルソバ」だそうです。
<石積みの間を割って「ヒメツルソバ」>
(平成26年1月18日撮影)
<人知れず咲く花のよう>
(平成26年1月18日撮影)
鮮やかな濃い黄色のつぼみが一つだけついています。この木はヤマブキなので、花を咲かせるのは春を迎えてからなのですが、気の早い一輪がつぼみを付けたようです。
<一つだけのつぼみ「ヤマブキ」>
(平成26年1月18日撮影)
枯葉の間から一輪の花が開いています。最低限に短く茎を伸ばして、落ち葉にくるまる様に咲いているのは「シロバナタンポポ」です。春には目一杯に茎を伸ばした「シロバナタンポポ」を見る事ができますが、寒冷地仕様の一輪でしょうか。
<踏みつけてしまいそうな「シロバナタンポポ」>
(平成26年1月18日撮影)
<自身の葉に枯葉のふとんを掛けて>
(平成26年1月18日撮影)
白いサクランボの様にたくさんの実をぶら下げているのは、「センダン」です。葉の落ちた枝にぶら下がる実は大変目立ちます。冬の野鳥に食料を供給しながら子孫繁栄をもくろんでいます。
<たわわにぶら下がる「センダン」の実>
(平成26年1月18日撮影)
<サクランボの様に甘くは無いようです>
(平成26年1月18日撮影)
<12月はまだ青い実でした>
(平成25年12月14日)
葉を落とした低木に赤い実を見つけました。トゲトゲが露わになったその枝に、小さな唐辛子のような、トマトのような実がなっています。よく見ると、黄色・橙と熟す過程の実もついています。
<クコの実?>
(平成26年1月18日撮影)
トベラは、熟した実を全開に広げて中の種子を放出しようとしています。鴨川の各所に「自然生え」しているトベラの木もこの様な種子から命を伝えているのでしょう。
<トベラの種子>
(平成26年2月6日撮影)
その名のとおり寒い時に咲く花の代表的な存在が、「カンツバキ」です。鮮やかな色の花の少ないこの季節、一人舞台の独断場といった感もあります。
<カンツバキ>
(平成25年12月14日撮影)
(平成26年2月1日撮影)
鴨川真発見記記事作成を通じて、かなりの真発見をしてきたつもりですが、少し何かに注目しながら歩いてみると、何か「真発見」できる鴨川です。
冬の鴨川の魅力はと聞かれて、「冬は・・・・」と言葉が出なかった一年前を思いお越し、興味を持てばいろんな魅力が見えてくる事を再確認するこの冬となりました。
平成26年2月6日 (京都土木事務所Y)
第135号 高等学校2年生の目で見た「鴨川真発見」
“知らなかった”の連続 あなたはどうですか?
京都土木事務所では、ホームページ立ち上げ時の縁もあって「京都府立すばる高等学校」の生徒さんを2日間インターンシップとして受け入れています。旧商業高校の生徒さんということもあって、他の受け入れ先は製造や接客のお仕事が多いです。
受け入れ始めた当初は、窓口担当の補助のお仕事もしてもらっていましたが、企画科ということで、情報発信のお手伝いをしてもらう事にしました。
例年は2名の受け入れですが、今年は1名の女子生徒です。
情報発信をする為には、鴨川を知ってもらう必要があります。2日間のうち1日半をかけて鴨川を案内し、写真を撮ってもらいました。
彼女は、高野川の近くにお住まいで、鴨川・高野川に親しんで育ったそうですが、今回の1日半で多くの「初めて知った」があった様です。たくさんの驚きを記してくれました。今回はそんな高校2年生の目で見た「鴨川真発見記」をお届けします。
<元気で明るい 宮脇 早(さき)さん>
以下は宮崎さんが撮影した写真と書き残してくれた文章です。
◇◇「鴨川を歩いて」◇◇
◆送り火の舟形が見える。
家からは大文字しか見えないので見ることができてよかったです。今年のおくり火は舟型を見に来てみたいと思います。
<北大路橋上流から見える送り火の「舟形」>
◆いろんな種類の鳥がいる。
カモやサギ、鳶、からす、はとなど、気にしていないと気が付かないような小さな鳥も 見つけられて楽しかったです。
<ドバト>
<ハシボソガラス>
<キジバト>
<セグロセキレイ>
◆冬の定番はゆりかもめ。
ゆりかもめがどんな鳥なのか、今回初めて知りました。真っ白で小さくてすごく可愛らしい鳥でした。
<ユリカモメ>
◆カモの種類にもいろいろある。
→コガモ、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、キンクロハジロ
普段は全く気にしてみていなかったので鴨川にこんなにカモがいることやカモの種類が元から知っていた種類数よりもはるかに多いことに驚きました。
<コガモ>
<マガモ>
<ヒドリガモ オス>
<寄州の草を食べるヒドリガモ>
<オナガガモ>
<キンクロハジロ>
◆カモは飛べる!
カモが飛ぶことを初めて知りました。小学校の時のカモはずっと小屋の中にいて歩いていただけだったので飛ぶとは思いませんでした。
飛ぶことを知って飛ぶ姿を見て意外と首が長いことにも驚きました。あと、飛ぶときに必死で羽を動かしている姿が頑張っているなと思えておもしろかったです。
◆サギも3種類ほどいる。
→コサギ、ダイサギ、アオサギ
サギという存在は知っていましたが、違いがよくわからなかったので知れてよかったです。学校の近くにいるのもサギということで、今度見たら気にしてみたいと思います。
<カワウ コサギ ダイサギ>
<ダイサギ>
<アオサギ>
◆雨が降ってなくて川が濁っているときは上流で工事をしている。
朝に工事をしているところを見てその後に下流の方に行って川が濁っているのを見てここまで濁りが続くんだなとびっくりしました。工事をすることで川が濁ってしまって苦情もあるとおっしゃっていたので、なるほどな、と納得できました。
<四条付近でも少し濁りが>
◆川の中を重機通れる。
これには驚きました。水の中を重機が“すーっ”と動いていて感動しました。
<重機による中州除去工事>
◆賀茂川の河川敷は広くて人とすれ違うときにも余裕がある。
高校の持久走で“走っている人”や自転車の人たちと何回かすれ違ったんですが、危なかったことはありませんでした。
普段私が通る高野川の河川敷では自転車と歩いている人が当たりそうになっていることがあります。なので、有効に広さを利用していて歩きやすかったです。
<広い高水敷の公園で遊ぶ園児>
◆地面が平らに整備されている。
→車いすやベビーカーでも河川敷を利用しやすい。
私は自転車やランニングで河川敷を走ることがありますが、がたがたしているところがあったりして走るのがしんどかったのですが、久々に走るときれいに整備されていて走りやすかったです。でも、平らになってスピードを出す人が多いと聞いたのでこれから走るときは気をつけていきたいです。
<ジョギングコース整備>
◆柊野まで行くと岩がある。
普段見ている鴨川は川底が平らで緩やかに流れているので、上流の方で大きい岩を見たときは驚きました。その岩の上に立っている木がすごく堂々としていてかっこよかったです。
<柊野砂防ダム>
◆桜の木の中で1本だけ黄桜がある。
黄桜という桜が本当にあるとは知りませんでした。お酒の名前で黄桜というのは知っていましたが、見たことがなかったので今度の春にぜひ、見に行ってみたいです。
◆川が広く感じる。
川を歩きに行くたびに思っていたことです。公園のスペースがとても広くてのんびりとした空気が流れていた気がします。私の河川敷の印象が高野川の河川敷なので河川敷は狭いものというか、あまり広いものではないと思っていたので、今回賀茂川を歩いて遠くの方まで河川敷が見えていて見渡しのいい景色がすごくきれいでした。
<広く感じる川>
◆空も広く見えるから大きく感じる。
時期にもよるかもしれませんが、木に葉っぱがないのでより大きく空が見えた気がします。
<空も広く>
<トンビも舞飛ぶ>
◆桜の木が多い。
新しく工事をしていた現場でも、あそこに桜の木を植えるだとか、この木は寄付された桜とか、川の周りにある木のほとんどが桜で、今は葉もなく寂しいですが春になると桜ですごいことになるので春が来るのが楽しみです。小さい桜の木もたくさんあって、何年後かに見てどれほど大きくなっているのかも楽しみになりました。
<半木の道 ベニシダレザクラ>
◆人が多い。
1日目に河川敷を車で走っていたときにたくさんの人が遊んだり、走ったり、休んだり、川を見ていたりと、すごく優雅に見えました。
それも整備をして河川敷が広くなり、公園の敷地が大きくなったからなんだと思いました。河川敷で座っている人たちの気持ちがよくわからなかったんですが、歩いていろんなものを見てわかった気がします。
<気持ちの良い空間>
◆鴨川を好きな人が多い。
お話をしていて苦情がよくあると、おっしゃっていました。好きなのがわからないですが、興味がなかったらまず目は行かないし、気にもならないと思います。
地域の方々が鴨川のことを気にしているから、今の鴨川の姿があるように思いました。
◆流れがよくわかる川
宇治川や木津川はあまり近くで見たことがないので知らないだけかもしれませんが、鴨川は浅くてきれいなので水が流れているのがよく見えます。
なのでどんどん進んでいくように見えるので鴨川を橋の上から見るのが好きです。
<浅い流れ>
<橋の上から眺める流れ>
<しぶきを上げて流れる>
◆遊べる川
1日目に歩いたときにも言ったんですが、私の学校の友達は川で遊ぶのは危ないと言っています。宇治川は深く、木津川は流れが速いそうです。
小さい川などは大丈夫と言っていますが、私にとって川遊びと言えば鴨川でした。確かに雨が降った後などは危ないですが、それ以外の時などは危険という認識はありませんでした。川で遊べることは貴重だと思いました。
<飛び石でも遊べます>
以上、彼女が感じ取った、そして彼女にとっての「真発見」の内容です。
今回、宮脇さんをインターンシップとして受け入れさせていただいて、自分も3年前まで「鴨川」の事は何も知らなかったと思い出しました。彼女の驚きが「誰かに伝えたい」と変化した時、「鴨川真発見記」同様に鴨川のそして京都土木事務所の情報発信役を担ってくれることと思います。
これが、今回、京都土木事務所がインターンシップを受け入れた成果として実を結ぶことを期待しつつ。
【おまけ】
土木事務所へのインターンシップという事で、周囲から「ヘルメット被るの?」と言われていたそうです。それに対しては「そんな事無いと思う」と答えて臨んだ京都土木事務所での就労体験でしたが・・・。
工事現場では「ヘルメット」の着用が必要です。この日生まれて初めて工事現場用ヘルメットを被った宮脇さんの記念の一枚がこちら。
<ヘルメットを被ってピース>
平成26年2月14日 (京都土木事務所Y)
第136号 プロの野鳥観察を初体験
鴨川リレー探鳥会 鴨川最下流の様子をご紹介
「鴨川真発見記」では、これまでから素人野鳥観察記として数多くの野鳥を見つけては、日本野鳥の会京都支部事務局長の中村桂子さんに「これは何という鳥ですか?」と教えてもらいながらご紹介してまいりました。
いつも一人で川を眺めながら野鳥図鑑も持たずに見つけた野鳥を写真に収めてきましたが、今回は日本野の会京都支部主催の「鴨川リレー探鳥会」に初参加させていただきました。(平成26年2月22日)
この探鳥会は、一年をかけて鴨川の上流から桂川合流点までを野鳥観察されている企画で、今年で14回目を迎えるそうです。今回はその最下流「京川橋から桂川合流点」までのコースです。
「行ければ行こう」という曖昧な予定でしたので、事前に参加する事はお伝えせずに、集合場所である地下鉄竹田駅へと向かいました。集合場所には早くも野鳥の会の会員さんが大きなカメラやスコープを持って集まっておられます。突然の参加に中村さんに「神出鬼没ですね~」とのお言葉をいただきました。
私も小学生の時に買ってもらった双眼鏡を引っ張り出して持参しました。もう20年以上しまい放しの双眼鏡ですが使えるものです。
竹田駅から今回の出発点である「京川橋」までは少し距離があります。とりあえず鴨川へ出て京川橋を目指します。最寄りの鴨川の橋は「竹田橋」ですが、そこから京川橋までは約2kmあります。
<竹田駅を出発>
<竹田橋に到着>
鴨川に到着すると、出発点に到着する前に既に探鳥会は始まってしまいました。2km進むのももどかしそうに野鳥の会の会員さんの「野鳥魂」に火がついたようです。鴨川も下流域までくると川幅がかなり広がります。それでもスコープを手に次々と野鳥の名前が飛び交います。
<既に野鳥観察が始まっています 竹田橋下流>
普段肉眼とデジカメのズームだけが頼りの私には要領を得ません。「どこですか」と聞いてもなかなか見つけられません。少しだけ野鳥の事が分かり始めた私が、全く興味が無い人に「あそこに××が居る」と言っても、「どこ?」と言われるのと同じ感覚です。
「それなら」と、双眼鏡を目にしますが野鳥をとらえるには時間がかかります。それでもなんとかとらえて会話についていくことが出来はじめました。
<寄州で休むカルガモ>
日本野鳥の会の皆さんということで、河川内に重機があることには敏感です。「絶滅危惧種の植物が生えていたら中州は残しますか?」との質問も受けました。「植物は保護して別の場所で生かします」とお答えさせていただきました。
<対岸では河川改修工事が行われています>
そうしている間にも、大きな望遠レンズのついたカメラで次々と野鳥を撮影されていく会員さんがおられます。私の小さなデジタルカメラでは、精一杯ズームしても小さな小鳥を撮影するには限界があります。
なんであんなに大きな望遠レンズが?といつも思っていましたが、今回の探鳥会に参加して納得しました。普段鴨川を歩いていて、直ぐに取り出して瞬間の出合いを撮るには小さなデジカメが重宝しますが、遠くの小さな野鳥を撮るのにはそれなりの道具が必要なのだと知りました。私も欲しいです。
<肩に担がれた大きなカメラ>
<やっとのことで「ハクセキレイ」>
川の方ばかりが探鳥会ではありません。高水敷にも目をやります。すぐ傍の木に「ジョウビタキ」のメスが留まっています。オスほどの華やかさは無いですがその姿を見せてくれました。
<「ジョウビタキ」のメス>
約2kmの道のりをゆっくり進んで、出発点の京川橋に到着しました。ここまでの下流域にはプライベートでは来たことがありません。ここでの野鳥の様子は初体験です。今年はまだ出会っていない野鳥に会うことができました。「イカルチドリ」です。しかも「イソシギ」との接近遭遇で俄然テンションが上がります。
<イカルチドリ>
<左:「イソシギ」 右:「イカルチドリ」 同上>
いよいよ今回のコースの始まりです。
ここで一人の男性が、「あれはトビでしょうかね?」と指をさされました。双眼鏡で覗くその姿は私には「トビ」としか見えません。「そうですね」と答えました。しばらくするとあれは「ノスリ」ですと女性の声。
高く舞う姿はトビのそれと同じに見えます。双眼鏡を覗きながら、特徴を教えていただきました。上空を舞う野鳥を双眼鏡で見るなんて事は初めてですが、チャレンジしてみました。なんとかとらえる事ができました。ゆったりと舞う「ノスリ」を追いながら「これが探鳥会か」と新たな魅力を感じました。
<肉眼ではほんの小さくしか見えません>
足元には「タンポポ」の大きな花が咲いています。「春ですね~」といいながら先へ進みます。前方に「ホオジロ」の群れが現れました。私一人で歩いていたなら「スズメ」としか認識できません。
その道の専門家の方と歩く事の意味はこういう所にあるんだとつくづく感じました。
<ひな壇に並ぶ「ホオジロひな」の出来上がり>
予定より時間が経過してしまい、桂川合流点の手前で一次解散となり、残った人で合流点まで向かいました。
すると今度は「ミサゴ」が上空に現れました。獲物を狙う様に上空でホバリングしている姿を見て皆さん「オスプレイ」と呼んでおられます。
「オスプレイ」ってあの話題の航空機の様だから?と思いました。後で調べてみました。すると「オスプレイ」は鳥の「ミサゴ」を指すとありました。
「今回は最後に大物が出ましたね」との言葉を聞いてラッキーと思うのでした。
桂川との合流点に到着し、「鳥あわせ」と呼ばれる探鳥の確認をもって探鳥会を終えました。
<桂川との合流点 中央遙かに見えるのは「比良山系」>
<鳥あわせ>
初参加の探鳥会でしたが、とても楽しく新鮮に過ごす事ができました。今回の参加は31名で会員以外の一般参加は私を含めて3名でした。とても親切に教えて頂いた皆様ありがとう御座いました。
私が目にする事の出来なかった野鳥やその行動を会員さん達は見ておられた様です。後日、会員さんの撮影された写真を御提供いただきました。「さすが」の写真ですので是非皆さんにもご覧いただきたいと思います。
<イソシギ>
(写真提供:日本野鳥の会京都支部)
<カワセミ>
(写真提供:日本野鳥の会京都支部)
<ホオジロ>
(写真提供:日本野鳥の会京都支部)
<ハクセキレイ>
(写真提供:日本野鳥の会京都支部)
<ヒドリガモの群れ 飛翔>
(写真提供:日本野鳥の会京都支部)
<トビよりも小柄な「ノスリ」>
(写真提供:日本野鳥の会京都支部)
<獲物を探す「ミサゴ」>
(写真提供:日本野鳥の会京都支部)
<春を告げるタンポポ>
(写真提供:日本野鳥の会京都支部)
平成26年2月26日 (京都土木事務所Y)
第137号 自然の水の力を実感
平成25年台風18号の残した中州・寄州の変化は
鴨川の中州や寄州をいろいろなやり方を試行しながら除去していることは、臨時便工事編第4弾でも触れました。そして、その変化を定点観測して検証していることも以前ご紹介させていただきました。
今回は、その定点観測から見えてくる台風18号がもたらした影響を、その傾向が顕著に表れている箇所を中心にご紹介したいと思います。
平成25年9月16日の台風18号による増水の後の鴨川の印象はというと、全体的に中州や寄州の上層に堆積していた土砂が雑草もろとも押し流されて、大きめの石がゴロゴロとした「河原」のイメージが強く感じられる様になった事が一番強いです。
また、出町の飛び石が土砂に埋もれて、その上に水が乗ってしまい、渡れなくなった事は新聞にも報道され、緊急的に一部土砂を寄せる事により渡る事が出来る様に対応した事も大きな影響の一つです。
<高野川 水没 平成25年10月11日>
<鴨川 半分程度埋没 平成25年10月11日>
<カメの姿無し 平成25年10月11日>
<鴨川 平成25年10月11日>
<高野川 平成25年11月14日>
<鴨川 平成25年11月14日>
<出町橋から下流賀茂大橋を望む 平成25年9月16日増水時>
そんなイメージや緊急対応を必要とした箇所だけでなく、実際に台風直前の昨年8月の様子と、年が明けてからの様子を同じ位置から比較していきたいと思います。定点観測担当職員が感じ取った台風18号の影響考察から紹介します。増水時の様子も併せてご覧ください。
最初は「礫河原(れきかわら)再生」の箇所です。先程も一番の印象として紹介した石の河原の出現です。「礫河原再生」は各地の河川で土の堆積が進み、石の露出が減少する中「礫河原再生事業」として取り組まれています。
その「礫河原再生事業」は、洪水を繰り返した自然が作り上げてきたものを、人工的に再生する事業ですが、今回の台風18号は本来の自然の力で成し遂げたということになります。
代表箇所としては、二条大橋下流左岸と丸太町橋上流右岸です。
二条大橋下流左岸は台風前は両岸にあった寄州が流され、左岸に少し残されたのが「礫河原」です。
<二条大橋下流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
<二条大橋から上流を望む 平成25年9月16日増水時>
<渦巻きながら流れる濁流 平成25年9月16日増水時>
丸太町橋上流では、河道の半分ほどの面積の寄州がありました。表層は土で一面に雑草が生い茂っていました。その表層がすっかり流されて後に残ったのが大きく広がる「礫河原」です。
この礫河原が形成されたことで、以前にも増して「石切り」とも呼ばれる水面を連続ジャンプさせる石投げや、小さなお子さんが石を川へ投げ入れる姿を目にするようになりました。
<丸太町橋上流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
<学校帰りにチョット寄り道 石投げ>
「捨てる神あれば拾う神あり」ではありませんが、流される箇所もあれば、堆積する箇所もあります。次は中州再生(拡大)ということで、台風前に比べて中州が大きくなった箇所です。
代表的な箇所は、丸太町橋下流、葵橋上流、御薗橋上流の中州です。
丸太町橋下流では、手前の砂州が広がっています。一方で昨年8月時点で写真奥の下流側にあった中州・寄州は綺麗に流されています。
<丸太町橋下流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
葵橋上流では、寄州の面積は半分程に減っていますが、土の層が残されているようで枯れ草が見えています。反対に小さかった中州は大きく発達しました。
<葵橋上流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
御薗橋上流では、写真奥の上流側の様子は大きく変化していませんが、手前の中州は表層が流されると同時に形を変えて堆積面積が増加しました。
<御薗橋上流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
次に中州が減少した箇所をご紹介します。代表的な箇所は出町橋上流と上賀茂橋上流です。
出町橋上流では、写真奥の上流側にヌートリアの巣として僅かに残っていた中州は綺麗に流されました。
写真手前の大きめの中州は、一気に流れる水に中央に寄せられる様にモヒカン状に残りました。実際の中州除去工事でもこの様な形態も試行しています。
<出町橋上流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
<小さな中州で身を寄せ合うヌートリア 中州中央に5,6匹>
<出町橋上流 9月16日増水時>
上賀茂橋上流では、台風以前は川を覆い尽くすかの様にどっしりと構えていた中州がありました。
ここでは、先程のモヒカンとは対象的にその真ん中を引き裂く様に削り取られています。御所南小学校の児童達の提案にもあった、中州の両側を残して真ん中に水を通す形態です。自然がその提案を実現したかのようです。
<上賀茂橋下流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
河川整備の対応流量は、何十年に一度という尺度で表現します。ということは何十年に一度は今回の様な増水によって中州や寄州は形態を変えるのでしょうか。
<柊野砂防ダムを越えて市街地の鴨川へ 平成25年9月16日増水時>
<流れは上賀茂地区へ 平成25年9月16日増水時>
先にご紹介しました箇所にもありましたが、最後に中州・寄州が消滅した箇所をご紹介します。その代表的な箇所は、荒神橋上流、荒神橋下流、御薗橋下流です。
荒神橋下流では、左岸側の中州は寄州と共に礫河原の形態で残りましたが、右岸側の中州はすっかり無くなってしまいました。モヒカンで残った出町橋上流とは違い、ほんの少しの川の流れ蛇行が左右岸の流れの強さを変えたのでしょうか。
<荒神橋下流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
荒神橋上流です。この場所は飛び石もあることから中州も出来やすい場所です。台風以前は、飛び石から中州へ渡って遊ぶ人々の姿をよく目にしましたが、中州は全面的に消失しました。
<荒神橋上流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
<荒神橋から上流を望む 平成25年9月16日増水時>
御薗橋下流では、消滅と拡大が見られます。真ん中に伸びていた中州は小さな離島の様にポツンと残るのみで少しの雨で水没します。一方左岸の寄州は礫河原として大きく拡大しています。
<御薗橋下流 平成25年8月14日>
<同左 平成26年1月15日>
台風18号による増水では、全体的には堆積した土砂よりも鴨川の下流域へと流された土砂が多かったという印象です。人間が重機を使って一ヶ月程かけて行う工事を、僅か一日足らずで仕上げてしまう自然の力を再確認しながら、更なる試行は続きます。
この自然が示した川の中の変化が、今後の中州、寄州管理にいろんなヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
今回は鴨川の様子をご紹介しましたが、鴨川以上に変化が大きい印象のある高野川についても又の機会にご紹介したいと思います。
平成26年2月20日 (京都土木事務所Y)
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