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鴨川真発見記 平成25年9月

 第106号 夏の終わりの鴨川を散歩してみました

改めて鴨川の日常を真発見

 前号の105号は、100号突破記念特集として花の特集でお送りしましたが、今回は、まだまだ残暑厳しい鴨川を半日散歩して出会った様子をご紹介させていただきます。

 この日8月31日(土曜日)は、鴨川で「わらしべ長者」(第89号)に挑戦していた学生起業家が四条新京極の貸しホールでイベントを行うとの案内を受けて、その行き帰りに鴨川を通って行くことにしました。

 今にも雨が降り出しそうな空模様で、ムシムシしていますが、川を通り抜ける風で幾分か暑さが緩和されます。

 高野川の護岸に繁茂したつる草のツルが目にとまりました。2本のツルが人の手でより合わせように絡み合い、強度を増して先に伸びていきます。そして違う方向から伸びてきた同様のツルと絡み合い、支えあってそのまた先に進んで行きます。

<青々とした葉を絡み合ったツルが先導します>

 細い一本のツルでは、伸び行く力にも限界がありますが、お互いの繋がりと合わせた力で力強く生きています。人も誰かと繋がっていなければ生きていけない、生きがいも生まれないと思います。自然界も同じ構造で成り立っているようです。よく見ると“人”という字を形作っているような・・・。

<器用に交互にねじれています>

<右からの2本と左からの2本が出会って一本に>

 その横には、エノコロクサが生えています。このエノコロという名前は、犬の尻尾に似ていることから“犬っころ草”と言われていたからとの事です。別名を“猫じゃらし草”とも呼ばれていて、こちらは猫の目線でこの花穂を見ると“じゃれつく”ことから来ています。

<手前がエノコロクサ>

 小さな小さな花を、沢山直線的に花を付けている植物や、一面に小さな蕾を付けて開き始めた花を敷き詰めようとしている植物も目に入ります。

<高木の上に咲く小さな花にも似ています>

<小さな粒がつぼみです>

 前号(第105号)でその花をご紹介しました“ワルナスビ”が実を付けています。大きさは1センチくらいの丸い実で“カモナス”のような感じですが、模様はスイカに似た感じです。

<ワルナスビの実>

 賀茂大橋の下流には、植樹された樹木を囲むベンチが設置され、その周辺に木材を土に埋め込んだ小さな舞台と、そこから続く客席のように等間隔に配置された踏み板が配置されていました。生ギターのプライベートコンサートが出来そうです。

<小さな舞台です>

 普段、昼間に鴨川を散歩するときは、その存在に気づきませんが、先日夜間に鴨川沿いを歩いた時に確認すると、荒神橋上下流の西の端に10基の照明が設置されています。

<先の丸いタイプと行灯タイプがあります>

 自然公物であり、利用において“危険”も内在する河川には、一般的に照明は設置しませんが、この区域は河川でもあり公園でもあります。そして、川の流れと設置位置との間が広く、夜間もそこを安全に通行することが出来るため、例外として公園整備の一環として設置しています。

 この明かりの下で、ソーランなどの団体演技を練習するグループがあります。彼らには貴重な練習スペースとなっています。

 そんな照明器具を見上げていると、何だか甘い香りが漂ってきました。よく見ると香りの方向には青い実があります。見覚えのある特徴的な形は、“イチジク”の形です。自然生えなのか誰かが植えたのか、とにかく鴨川に“イチジク”とは真発見です。

<まさしく“イチジクなんとか”と同じ形です>

 今の季節に比較的高い位置に咲いているのは“サルスベリ”です。これもまた先入観なのでしょう。“赤い色の花”と少し薄い“ピンクの花”は認識していましたが、“ほぼ白”の花を付ける“サルスベリ”もあるのですね。ネットで検索してみるとそれぞれ“ウスムラサキサルスベリ”と“シロサルスベリ”だそうです。

<手前“シロサルスベリ” 奥“ウスムラサキサルスベリ”>

<“ウスムラサキ”と“シロ”の混在する木>

<中央、山紫水明どころと左、シロサルスベリ>

 この区間の広い高水敷には、芝生が広がっています。以前にも勝手道の事をご紹介しましたが、これもまた管理者が道として管理している訳では無いのですが、ベンチを利用される方や、日差しを避ける方、自転車との空間分離を求める方がこの部分を通行されます。

 毎日、大勢の方が通行されますと“ぺんぺん草”も生えない綺麗な一本道が出来上がっています。踏まれても負けない“雑草魂”も想定外の踏みつけには耐え切れないようです。

<歩行者専用道みたいな感じです>

 丸太町橋下流にも樹木の下に小さな舞台の様な大きなベンチが設置されています。この日はお昼時、ランチタイムを楽しむ人達にご利用いただいています。

<少々変わった形状のベンチ>

 みそそぎ川の“蛍スポット”付近の“アベリア”の植え込みの間からは、“ヤマブキ”でしょうか。白と黄色で花びらは八重です。一輪だけ顔をだしていました。

<ヤマブキ?>

 そして、三条へ来ました。ここでは、“ナンキンハゼ”が青い実をつけています。1つの実の中に3つの部屋があり、それぞれ1つの種子が入っているそうです。“ナンキンハゼ”の秋の色づきは独特で、大変美しいと聞きました。この秋は“ナンキンハギ”に注目です。

<この緑の葉が“赤”“橙”“紫”に 「ナンキンハゼ」>

 その先には、春先に真っ赤な若葉を芽吹いた「デショウテイ」が夏の間にすっかりその色を緑色に近づけています。元々緑の若葉を付けていた「イロハモミジ」はというと、心なしか紅葉に向けて色づいてきているようです。

<”デショウテイ” 春は真っ赤、秋を前にして随分“緑”の部分が増えました>

<”デショウテイ” とは逆に枝の先端部分から色づき始めた“イロハモミジ”>

 さあ目的地の四条はもうすぐです。2時間余りのイベントを拝見して、今度は鴨川を上流へ向けて進みます。

<三条・四条間 ここでもモミジの先端部分が色づき始めています>

<三条・四条の芝生

<先ほどの一本道とは違い ランダムにご利用頂いてこのとおり>

 アメフトチームのチアリーディングが熱心に練習しています。新しい振り付けの練習でしょうか。その横では、アメフトの練習が行われています。昨年の秋に出会った時は、練習終わりに落ち葉掃きをされている姿をご紹介しました。

<ハイ!右手を上げて>

<フォーメーションの練習のようです>

 川の中では、涼みがてら童心に戻ろうというのでしょうか。大人が大きな水鉄砲に“鴨川の水をたたえて”かけ合っています。北に向かってなにやら手を合わせてから、お互いに水を発射です。残暑厳しい中、水に濡れるのも1つの暑さ対策でしょう。

<鴨川の水を入れて準備完了>

<北山に向かって合掌>

<鴨川の水が飛び交います>

 まだ歩く足元も“おぼつかない”赤ちゃんも、お母さんに抱えられて鴨川に足を浸けて涼んでいます。鴨川で“産湯”を使ったとまではいかないものの、物心付く前から鴨川に足を浸けて育った“鴨川っ子”と将来は名乗って欲しいものです。

<えっ、ここに僕の足を浸けるの?>

<おー!冷たくて気持ちいい>

 親子で水生の生き物を捕まえていた少年に、「なにか獲れた?」と聞くと、返ってきたのは「ザリガニ」。手に持って写真を撮らせてくれました。

<立派なアメリカザリガニが獲れました>

 愛犬も暑かろうと、水の中へと誘う飼い主さんですが、少し水が怖いのか“犬”はためらっています。写真左の下流側でご主人が呼んでいます。しばらくして、決心がついたのか“下流”で待つご主人の元へと行きました。

<飛び石の上で躊躇する“ウェルシュコーギー”>

<ちょっと不安だな>

<あっ!呼んでいる 行かねば>

<冷たくて気持ちいいですね>

<飛び石の上でお互いにスマートフォンで記念撮影の取り合い>

 ここで、雨が降り出しました。足元が悪くなるので、ここからは河川区域から出て帰路に着きました。「鴨川は歩いて眺めているだけで退屈することの無い空間だなと、今更ながら頷きながらの帰路となりました。

 

平成25年9月2日 (京都土木事務所Y)

 

 第107号 初の“特別警報発表” その時鴨川は 「速報!」

うねりながら濁流が飲み込む高水敷き

 今回の台風豪雨で浸水被害を受けられました皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 8月30日から気象庁により運用が開始された“特別警報”が9月16日に初めて発表されました。午前5時過ぎに、一斉に携帯端末が鳴りました。このメールで起きたという人も多いと思います。

 京都土木事務所では、15日夕方の大雨注意報の発令により、水防待機班が直ちに出勤、その後の大雨警報発令により増員体制をとり、夜遅くにかけ管内の管理河川の水位上昇が顕著になる中、16日の未明には10名を越える職員が参集し、水防警報の発表、水位情報の通知、鴨川・高野川洪水予報の発令をはじめ、高水敷への立入禁止措置、各種通報への対応に当たりました。

 私は、16日8時30分からの召集の連絡を受けて、「時間前に鴨川の様子を見てから」と思い七条大橋まで車を走らせました。走っている車もマバラで程なく七条に着きました。橋の上は強風で傘も役に立ちません。

 七条大橋下流の落差工では、ゴウゴウと滑り落ちる激流が反転するようにしぶきを上げています。上流にカメラを向けると、高水敷は見えず流木やごみが“ぷかぷか”と流れてきます。

<七条大橋下流 激流>

<七条大橋上流 こんなに満杯です>

 五条大橋へとやって来ました。辺り一面に土の香りがしています。ここまで水位が上がった鴨川は見たことがありません。雨粒を強い風が運んできてシャッターを切る手が“ぶれ”てしまいます。

<五条大橋上流左岸から>

<五条大橋から上流を望む>

 松原橋から上下流を見ると、大きな切り株のような流木も流れてきます。みそそぎ川も全く見えない程に冠水しています。

<松原橋上流 みそそぎ川は全く見えません>

<松原橋下流>

<松原橋上流 木の塊や木材が流れてきました>

<流れ着いた流木で濁流をかわす鴨たち>

 三条大橋まで来ると、豊臣秀吉が造営して以来の橋脚といわれる石の橋脚も濁流で洗われています。三条大橋右岸下流のスロープ下の小さな橋も濁流に飲み込まれています。

<三条大橋下流から>

<三条大橋から下流右岸>

 二条大橋から下流を覗くと、高瀬川とみそそぎ川が分流する場所でも、みそそぎ川に落ちる階段落差が半分位冠水しています。川の下に設けた“鴨川ギャラリー”も河川が浸しています。

<二条大橋から下流を望む>

<二条大橋下のギャラリー ベンチも水没>

 高水敷に整備した園路が比較的高い位置にある荒神橋付近でも、あと1メートルも無い位置まで増水しています。

<荒神橋上流 飛び石も何も見えません>

<荒神橋上流から 橋脚にも流出物が>

 出町橋では、魚道が設けてあるのですが、全くその存在を覆い隠すように濁流が飲み込んでいます。出町デルタでは、いつもは住民の憩いの場ではなく、野鳥たちの避難場所となっています。

<出町橋上流 この両端に階段状の魚道があります>

<出町橋下流 写真右の芝の上の黒い線が最大水位でしょう>

<鴨川デルタ サギ、カワウ、カモが避難>

 そして、市街地最上流の大きな落差を持つ“柊野砂防堰堤”を確認に行きました。叩きつけられた水しぶきが、雨に混ざって顔を叩くほどの勢いで水が流れています。「ここまで顔を変えた鴨川は初めて見た」と誰かに話したいと感じながら事務所へと向かいました。

<柊野堰堤 大きな岩も一のみです>

<柊野グラウンド 一面の浸水>

 災害対策要員として事務所に到着すると、夜を徹した職員が、被災状況を知らせる電話の応対や、水防警報等の発令にバタバタ状態になっています。

 河川以外の被災情報も入りますので、それぞれの管理者を紹介するなどの対応も必要となります。

 午後からは、市民から寄せられた情報の確認や施設被害状況の調査が始まりました。私は鴨川の被災状況確認班に従事です。早朝とは逆に柊野砂防堰堤からの確認です。

 早朝には全く見えていなかった岩が見えてきました。それでもまだまだ水しぶきは橋の上まで飛んできます。ごみが堰堤下でくるくると滞留しています。

<柊野堰堤1>

(まだまだ飛び散った水しぶきを感じます)

<柊野堰堤2>

(濁流のうねりにゴミが翻弄されています)

 柊野砂防堰堤のすぐ上流では、柳の木が根元から倒れています。グラウンド側でも大木がゴロンと横になってしまっていました。

<柊野堰堤3 横たわるヤナギ>

(根の張りだしが少なく踏ん張りが効いていません)

<柊野堰堤4 倒れた大木>

(園路の舗装をめくり上げて倒れました)

<浸水した柊野グラウンド>

(カモがグラウンド内を泳いでいます)

 高水敷が低く、最も浸水し易い北大路橋(右岸)下の園路は、この時間もまだ浸水状態で通行止めの措置がとられています。それでも水位は次第に下がっており、祝日ということもあって、家族づれが鴨川で憩います。まるで、何も無かったかのように。

<賀茂大橋右岸上流>

(手前のゴミの位置まで増水しました)

<賀茂大橋右岸下流>

(こんな鴨川見たことないとカメラを向ける人が絶えません)

<賀茂大橋左岸上流>

(お弁当を広げる家族連れも)

 鴨川の落差工の中でも高低差の大きい出町橋上流では、水が激しく落ちていきます。魚道もスロープ状の輪郭は見えてきましたが、階段状の水の流れは現れていません。

 最近、デレビ番組や新聞でも話題となっている“ヌートリア”も激しい濁流に耐えてカモと一緒に姿を見せました。

<出町橋上流>

(魚道もまだその階段状の姿を現していません)

<出町橋上流 カモとヌートリア>

(大きな個体はなんとか持ちこたえたようです)

<こんなところにもヌートリア>

(精魂はてたという感じでこちらを睨んでいます)

 鴨川の中では、カモが護岸に寄り添うように泳いでいます。護岸沿いは流れが幾分ゆるやかになっているのでしょう。 

<丸太町橋右岸下流 カモ>

(残った草につかまるように)

 御池大橋~三条大橋間に整備された園路は水が上がって荒れています。三条大橋下は水が溜まっていて、立入禁止措置がとられています。見た目はそれほどの被害では無いようです。高水敷に取り残された小魚が、太陽の日差しに干されて、出汁じゃこのようになっています。

<御池~三条間右岸1>

(遠目には大きな被害は無いようですが・・・)

<御池~三条間右岸2>

(取り残された小魚)

<御池~三条間右岸3>

(近寄ってみると、かなりのダメージ)

<三条大橋下>

(切り下げた部分に水が溜まります)

 三条~四条間は更に激しいダメージで、三条側も四条側も完全に芝生がめくれてしまっていて、洪水に耐えるために芝の下に敷かれた構造物が丸見えになってしまいました。

 みそそぎ川に渡された高水敷と連絡する小橋の高欄も、流木に突き破られて破壊されてしまいました。

 更には、ブロックで敷き詰められた部分もはぎ取られています。

<三条大橋下流右岸1>

(こちらも芝がはぎ取られました)

<三条大橋下流右岸2>

(突き抜けるように残された流木)

<三条大橋下流右岸3>

(高水敷を擦りながら流れた流木などが削り取ったのしょうか)

<四条大橋右岸上流>

(側溝を掃除したように“ごっそり”と土ごと芝は流れました)

 新聞紙上でも、利用者が多いこの区間の“芝”の根付き不足が指摘されたばかりですが、自然の力には為すすべもありません。

 次回は、大増水から一夜明けた鴨川の様子や、復旧に向けての取組をご紹介したいと思います。

 

平成25年9月18日 (京都土木事務所Y)

 

 第108号 豪雨から一夜明けた鴨川

中州、寄州の草花も根こそぎ流されました

 いつもは穏やかに流れる鴨川・高野川ですが、台風18号に伴う豪雨でうねりを上げて濁流が河川内で大暴れしました。自然の持つパワーを目の当たりにして、改めて河川管理や整備の重要性を皆さんにも認識していただけたのではないでしょうか。

 そんな豪雨が去り一夜明けた川の様子を見て回りました。台風一過という言葉がピタリとはまる雲一つ無い“秋晴れ”の青空が広がっています。

<広々と流れる高野川と青空>

 川の水量はまだまだ普段よりも多く、飛び石もカメの背中が見える程度で、渡ることが出来ません。いつもは、人が行き交うこの場所も今日は“コサギ”が川の様子を眺めるだけです。

<高野川の飛び石>

(川の流れに対して横向きの3つだけ少し見えます)

<コサギが一羽川の流れを見つめます>

 前日まで、緑の草木で覆われていた寄り州も土の地肌が露出しています。中州に堆積した土砂は激流に流されて、ごろごろとした石が残されています。

<高野川の寄州>

(緑の部分は“ほとんど”流されました)

<高野川の中州>

(中州に堆積していた土が流れ石が残りました)

 低水護岸が一部抜け落ちている所には、立入禁止措置が講じられています。お手数ですが、一旦道路側に迂回して御利用願います。

<清水町バス停付近 抜けた低水護岸>

 いつもは川の中を「ちょこまか」と動き回る“コサギ”と「ゆったり」とした動作で魚を狙う“ダイサギ”も川面から顔を出した石の上で仲良く2対になり水の引くのを待っています。

<“ダイサギ”“コサギ”2ペア>

 園路の上では、昆虫たちも活動を始めているようです。“バッタ”が近づく度に先へ先へとジャンプして園路に着地していきます。まるで道案内をしてくれているようです。

<バッタ>

(1回のジャンプでかなりの飛距離です)

 蝶も2匹で、園路の地中から何かを吸い上げています。こちらは近づいてもお構いなしに夢中です。

<蝶>

(何を吸っているのでしょうか)

 下鴨神社から流れ出る泉川が高野川へ合流する地点では、小魚が“いけす”の様に群れていて、少年が手作りの竿で魚釣りを楽しんでいました。バケツには数匹の小魚が入れられていました。

<小魚>

(色んな大きさの魚がいます)

<少年に釣り上げられた小魚>

(結構大きいのも釣れていました)

 増水前のこの付近は、堆積した土砂で堰き止められて、対岸に向かって水路の様に流れていましたが、堆積土砂が流されて、下流へと水の道が変わっています。

<河合橋下の流れ>

(右の護岸沿いの流れが復活しました)

 前日は野鳥達の待避場所となっていた鴨川デルタでは、晴れ渡る青空の下で記念撮影でしょうか。はやりのユニットアイドルの様な若い女性がポーズを取っています。

<記念撮影?>

(川の水は濁っていても背景は抜群です)

 流量の多い鴨川から取水している“みそそぎ川”の取水口では、調節の為の遮断板が設置されていますが、楽器の練習をする人も普段どおりの場所で、その音色を響かせています。

<“みそそぎ川”取水口>

<楽器の練習>

 細かな砂の砂州となった部分には、上流から流れてきたのでしょうか、バンカーに捕まったように、ゴルフボールが点々と乗っかっています。鴨川でのゴルフ練習は危険ですので御遠慮願います。

<バンカーショット>

(鴨川でのゴルフ練習は危険行為です)

 草むらでは、チョウが羽を休めていました。鴨川からバッタが消えたと嘆く声も耳にしますが、結構いるのです。水際では、カルガモが水草に乗って流されないようにしています。

<蝶>

(さっきの蝶と同じ種類でしょうか)

<バッタ>

(草の伸びた草むらも鴨川には残されています)

<濁り水の中のカルガモ>

 晴れ渡る青空で空気も澄んだ風景は、写生にもってこいの一日となりました。いろんな場所で絵筆を取る方の姿がみられました。

<木陰から景色を写生する人>

 少しだけ残された中州へとたどり着こうと、カモが水際から泳ぎ出しますが、いつもとは勝手が違ってなかなか前へ進めません。流れが速くて飛ぼうにも離水が難しい様です。

<残された中州>

(“アオサギ”“コサギ”“ダイサギ”サギ三種盛り 昨日はどこにいた?)

<必死に泳ぐカモ>

(残された中州へと泳ぐが 流される~)

 鴨川の名所の一つとなった出町の飛び石の“カメ”や“チドリ”も完全に水没して姿が見えません。飛び石に引っかかった流木でかろうじて位置がわかる程度です。

<出町の飛び石>

(カメの間に石が詰まったのでしょうか飛び石に水があたる気配なし)

 出町のヌートリアも昨日の疲れを癒すかのように、頭を草の中に突っ込んでじっと動きません。

<ヌートリア>

(昨日は大変だったな~ なんて思っているのでしょうか)

 透き通るような青空をバックに大文字が鎮座しています。近年にない大雨を流した後の鴨川を写真に収めようと、多くの人がその流れにカメラのレンズを向けています。

<出雲路橋下流 大文字>

 鴨川の絶景の一つである「出雲路橋」からの上流の風景も「20年程前の姿に近づいたのでは」と思う位に中州、寄州が洗われています。こちらの姿を好む方も多いと聞きます。

<出雲路橋から上流を望む>

 比叡山をバックにする「出雲路グラウンド」は、水はけが良く既に使用可能となっています。

<出雲路グラウンドと比叡山>

 鴨川の中にあった緑の草は根こそぎ流されて、鴨川の川幅はこんなに広かったのかという感想が聞こえてきます。川の中の様子はすっかり変わってしまいましたが、これが自然の姿なのでしょう。

 高水敷を利用される方の憩いの場としての鴨川は、市街地ど真ん中の三条・四条間は別として、いつものやさしい鴨川に戻りつつあるようです。

<北大路橋右岸から上流を望む>

 今回の増水で、鴨川は安心と思っておられた方にも、万全ではないという認識を持っていただけたかと思います。いざという時の為に、日頃から「どういう行動をして自らの命を守るのか」という事を考えるキッカケにして頂きたいと思います。【速報】↓へ続く! 

 

平成25年9月20日 (京都土木事務所Y)

【速報】

災害復旧の様子

 高水敷が大きなダメージを受けて立入禁止措置をとっている三条大橋から四条大橋間の右岸では、1日も早い立入禁止措置解除に向けて、仮復旧工事が進められています。はぎ取られた土系舗装は、残った舗装を一度すっかり取り去って、コンクリートの部分を歩いていただく準備を進めています。

<残った土系舗装をはぎ取るバックホウ>

<高水敷一面が土に覆われた三条・四条間>

 そして、今回の大雨で大きなダメージを受けた、京都土木事務所管理の「嵐山公園中ノ島地区」その復興も急ピッチで進められています。

 

 第109号 穏やかな流れを取り戻した鴨川

芸術の秋がリレーされました

 9月16日の増水から約1週間が過ぎました。濁っていた鴨川の水が透き通り、秋の太陽を受けて輝いています。そんな鴨川でパフォーマンスをする企画と出会いました。

 題して「鴨川ダンス駅伝」となっています。駅伝発祥の地三条大橋付近から出発して出町柳までの区間のいくつかのスポットでダンス+αを披露するという内容で、飛び入り参加自由です。

<三条大橋左岸の駅伝発祥の地記念碑前 記念撮影>

(その場で通りかかった人も飛び入り参加)

 美しい鴨川の流れに沿って多様な表現を披露し、ダンスに普段触れることの少ない人に不意にダンスと出会うキッカケを作り、ダンス・鴨川・ヒト・生活の交差点を創造する表現活動活性化プロジェクトだそうです。

 私も不意に出会ったこの企画に同行させていただきましたので、その様子をご紹介したいと思います。

 最初は、御池大橋右岸上流の少し上がった所で、第一走者の実効委員会代表の方のウクレレの弾き語りです。「般若心経」をウクレレの伴奏で表現した替え歌的内容で、納涼床のお客さん達も突然のパフォーマンスに拍手喝采です。

<ウクレレのやさしい音色>

(般若心経とは意表をつかれました)

<般若心経がカタカナで書かれた歌詞カード>

(通行の邪魔にならない様に通路を開けて)

 続いて二条大橋では、第二走者の登場です。勇ましくカラフルな“法被姿”に“ねじりはちまき”の2人の女性が阿波踊りの男踊りを披露です。“右手右足”“左手左足”を同時に前に出してと教えてもらいながら、参加者も踊りに加わります。

 ここでも通路を確保して他の利用者に配慮してパフォーマンスを披露です。

<阿波踊り>

(威勢の良いかけ声と共に)

<仕上げのパフォーマンス>

(かけ声に合わせて旗が振られます)

 第三走者は、“動”に対して“静”の出番です。参加者の顔のイメージを多彩な色鉛筆を使って画用紙に描き出します。子ども達も楽しんでいました。

<モデルの少年>

<イメージ画>

(君のイメージはこんな感じかな)

 第四走者のパフォーマンスは、丸太町橋下流の少し広めのベンチで始まりました。お昼寝中の男性や、休憩中の方の横で女性2人が無言で転げ回る表現です。突然始まったパフォーマンスに回りの人もビックリといった感じです。

 ベンチの上から転げ落ちるように土の上に移動してパフォーマンスが続きます。何を表現されているのかは、理解出来るだけの知識も能力も持ち合わせていませんが、これが路上パフォーマンスなのでしょう。

<ベンチの上のパフォーマー 写真中央>

<そして土の上へ>

<回りの方もにこやかに見守ります>

 丸太町橋上流右岸の開けた高水敷では、第5走者がしなやかなダンスや、大きな動きで自由な表現を繰りひろげました。関東から駆けつけたという女性は、全身の動きで高水敷を舞っておられました。

<駆け巡る女性>

<ヒラリとはためかせて>

<ゆったりとした動きから>

<一転スピード感が>

<またゆったりと>

 そして男性にたすきを繋ぐようにバトンタッチです。そのまま、荒神橋を通過して飛び石まで表現を続けます。荒神橋の飛び石は、水が下がって通行可能となっています。その飛び石では、舞台の花道を進む様に阿波踊りの女性が一人舞台です。

<たすきを繋ぐように>

<駅伝は続きます>

<阿波踊りのソロ>

<ポーズがビシッと決まります>

 もう第何走者かわからなくなりましたが、またまた静のパフォーマンスが始まりました。

<突然駆け出す女性>

<ネコのように>

<子どもに支えられて>

 ここで、代表の女性が落差工下の広い水叩きの真ん中へと進み、手を挙げました。何かパフォーマンスが始まるようです。左岸までたどり着くと、流れ着いた草木の固まりを持ち上げました。そして上流へと運びます。胸の辺りまで水に浸かりながらで、「大丈夫?」と思うほどです。

<注目>

 そして、落差工下まで来るとその草木の固まりをマットレスの様に引いて、仰向けに寝転がると、何かメッセージを叫んでいるようですが、落差工の水音にかき消されて聞こえません。

<漁師が網を担ぐように>

<大きな声でメッセージ>

 最後は座布団のように敷いた草木の固まりに膝をついて、髪を川の中に浸しました。大きく広がる鴨川の中を舞台としての体を張った一人芝居のようです。おそらく鴨川で一番目立つ舞台ではないでしょうか。

<祈りを捧げるように>

 最終区間のゴール地点の鴨川デルタに進みます。ここで参加者全員が阿波踊りで締めくくりです。賀茂大橋の飛び石は、先日の増水で上流から運ばれて来た石ころが間に詰まって埋まってしまっている所もあり、景色がすっかり変わってしまいました。

<ゴールの鴨川デルタへ>

 そんな中、たまたま居合わせた方も誘い込んで輪になって“阿波踊り”を披露し、この日の「鴨川ダンス駅伝」は幕を閉じました。

<阿波踊りの輪が広がります>

 以前から、色んなパフォーマンスの練習を目にしてきましたが、今回偶然にも出くわした「鴨川ダンス駅伝」で、普段目にしない芸術に触れることができました。

<最後はみんなで中央に集まって>

 鴨川では、多種多彩なパフォーマンスが繰りひろげられていますが、他の利用者の迷惑にならない様に気を付けていただいて、広く文化活動を発信して欲しいと思います。

※工事編 災害復旧へ続く↓↓↓↓↓

平成25年9月24日 (京都土木事務所Y)

 

 鴨川真発見記臨時便 工事編 災害復旧

御池大橋から四条大橋までの右岸復旧 

 鴨川の御池大橋から四条大橋までの右岸は3年間かけて高水敷の再整備を実施し、この春に全体が完成しました。土系舗装と芝生で市民の皆様により快適に御利用いただく為の環境が整ったわけですが、鴨川真発見記第107号でご紹介しましたとおり、台風18号に伴う増水で大きなダメージを受けたため、通行止めの措置がとられていました。

 多くの皆様が御利用される街中の空間ということで、応急復旧という形で土を入れ、また凸凹になった土系舗装を削り取り、歩きやすくすることで、通行止めを解除して御利用していただける環境をととのえました。

 削り取られた芝生の部分に土を搬入して、バックホウで均した後で、ローラー車が踏み固めます。応急復旧後、鴨川納涼床の撤去を待って本復旧となります。

<御池大橋・三条大橋間 トラックで土を搬入>

<重機が動く御池大橋・三条大橋間>

(少し芝が残った部分もあります)

<三条大橋上流>

(しばらくは、レジャーシートを御利用ください)

<三条大橋下流>

(流木や漂着ゴミも片付けられました)

<三条大橋下流>

(みそそぎ川に架かった小橋の高欄も応急復旧)

<三条大橋下流>

(はぎ取られた石張りにはコンクリートで応急復旧)

<四条大橋上流>

(一面を表土で覆われ、遠目には芝が生える前と同じです)

<三条大橋四条大橋間>

(土系舗装を削り取った部分では、縁石との段差があります。お気を付けて。)

 9月28日(土)には、御池大橋から四条大橋まで全面開通し、鴨川を楽しんで頂けるようになりました。

<通行再開 御池大橋下流>

<御池大橋下流>

(早速御利用いただいています)

 鴨川の御池大橋・四条大橋間の右岸以外にも、多くの小枝やゴミが残されていましたが、ほぼ全面的に回収が終わりました。

 回収は緊急業者の手でも行われましたが、近隣の住民の方や、学生などがゴミ袋を手に回収いただいた分もあるようです。いつも御利用頂いている方の善意にも助けられて、鴨川は普段の姿を取り戻したようです。

<二条大橋下流右岸>

(川の中のゴミも拾って頂きました)

<二条大橋上流>

(一人黙々と)

皆様のご厚意に、京都土木事務所一同感謝申し上げます。

 

平成25年10月3日撮影(京都土木事務所Y)

 

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