京都府環境審議会脱炭素社会推進部会議事要旨(令和6年11月27日)
1 開催日時
令和6年11月27日(水曜日)13時30分~15時
2 場所
京都ガーデンパレス2階「桜」(京都市上京区烏丸通下長者町上ル龍前町605)及びオンライン(Zoom)とのハイブリッド開催
3 出席者
【部会委員】
浅岡委員、浅野委員、阿部委員、伊庭委員、尾形委員、奥田委員(※)、薗田委員、内藤委員、本庄委員、松原委員、三ツ松委員、善積委員(※)、渡邉委員、信谷特別委員(※)
(計 委員13名、特別委員1名)
※上記のうち、次の委員は代理出席
奥田委員 (代理:古瀬 事務局長)
善積委員 (代理:長野 地球温暖化対策課長)
信谷特別委員 (代理:石場 環境・資源循環経済課 調査係長)
【事務局】
笠原総合政策環境部技監、中埜脱炭素社会推進課長、平脱炭素社会推進課参事、小林脱炭素社会推進課参事、その他関係課員
【傍聴者】1名
4 報告事項
- 京都府地球温暖化対策推進計画の見直しについて(諮問)
京都府地球温暖化対策推進計画の見直しに係る基本的な考え方についての諮問を受け、環境審議会より脱炭素社会推進部会に付議されたことを部会長より報告した。
- 京都府再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例の見直しについて(諮問)
京都府再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例の見直しに係る基本的な考え方についての諮問を受け、環境審議会より脱炭素社会推進部会に付議されたことを部会長より報告した。
5 議事事項
- 京都府地球温暖化対策推進計画の進捗状況及び見直しについて
事務局より、京都府地球温暖化対策推進計画の進捗状況の評価について説明し、その進捗状況について、御意見等をいただくとともに、計画見直しにあたり、今後の検討を進める上で、新たに盛り込むべき視点などについて御意見をいただいた。
また、事務局より計画見直しに向けた部会の開催スケジュールを報告した。
主な意見は以下のとおり。
<委員からの主な意見等>
<委員>進捗状況の評価において、2030年度の指標の数値の根拠を示した上で、2030年度目標に対する評価を記載した方がいいのではないか。
<委員>2022年度の府内温室効果ガス排出量については、排出係数の増加が増加要因とのことだが、電力会社の経営努力だけでなく、府民の排出量削減努力がわかるよう、排出係数を反映させたものと一定としたものの両方とも示すべき。また資料3P13のデカプッリングはどういう意味で使用しているのか記載されたい。温室効果ガス排出量あたりの総生産という考え方の方がわかりやすい。
<委員>排出係数を一定とした場合のデータも併記する方がいいのではないか。またデカップリングの用語を使用する場合はその内容も注記いただきたい。
→<事務局>今回は府民の削減努力をお示しできるようエネルギー消費量で比較できるデータで分析をしている。削減努力も示すことができる資料も今後、検討する。
<委員>計画策定時とは時代も変化してきている中、施策の取組状況について〇の評価が多い印象であることから、次の計画見直しにあたっては、目標そのものを再考していただきたい。
<委員>事業者では脱炭素化を進めるうえで、再生可能エネルギーの購入が進むと、省エネがおろそかになる傾向があるため、再エネの導入を進めつつ、省エネも促進するようなメッセージの発信の仕方を注意いただきたい。進捗状況の評価の×部分について、未着手なのか、事業廃止なのか明確にし、未着手のものはなぜなのか示すとともに、時代に合わないものは見直しの際に廃止し、新たな事業に変えていくべき。
<委員>評価について定性的なものが多く、なぜ〇なのかわかりにくい。数値化された評価を組み込むなどメリハリをつけていただきたい。
<委員>ボトムアップ型(ひとつひとつ排出量削減に必要な施策を評価)とトップダウン型(全体で排出量状況をトレースして部門ごとに割り振って評価)の両方のアプローチが必要。一方、目標達成のための手段が多くなると、規制が多くなり、動きがとりづらくなるので、全体については今回の見直しのなかで、不必要な施策は落としていくべきと考える。
<委員>進捗状況の評価の公表にあたっては、府民にとってわかりやすいものとしていただきたい。具体的には、計画のなかで「豊かさ」というワードがあるが、どう豊かさにつながっているかわかればよい。また評価指標を内部点検用だけでなく、その結果どういう成果が生じたかを、アンケートで意識・行動変容を調査するなどで把握すると良いと考える。
<委員>計画の見直しにあたって、京都独自の視点、京都らしさをいかに盛り込むかが重要。温暖化対策推進にあたっては、SDGsの取組を行うための受け皿となるプラットフォームが我が国においては欠如しているのではないか。できれば府の関連部局等も一緒になったプラットフォームを作っていくとよいのでは。企業のなかでも、社員教育等につながる取組のニーズはあると考える。
<委員>SDGsのなかで、とりわけ生物多様性については、京都府では、きょうと生物多様性センターが発足し、NPO等環境活動団体との仲介窓口となるなど取組が進んでいる。しかし生物多様性や環境だけではなく、植林に係る中小企業向けモデルフォレストセミナーや再エネの共同購入など中小企業単独で活動できない取組をいかに促していかくが重要。
<委員>中小企業対策として、中小企業の取組をサポート、機運醸成ができる仕組みが必要。
<委員>中間支援組織など取組を推進できる母体・担い手など現行の組織を越えるプラットフォームづくりまで事務局には視野を広げて検討いただきたい。
<委員>中間支援組織など取組を推進できる母体・担い手など現行の組織を越えるプラットフォームづくりまで事務局には視野を広げて検討いただきたい。
→<事務局>中小企業へのアプローチは非常に重要と認識しており、「地域脱炭素・京都コンソーシアム」や「地域脱炭素化に向けたESG投資研究会」における取組に加えて、中間支援組織の活用も含めて、窓口機能やマッチングできる組織について、次回以降も含めて御意見いただきたい。
- 京都府再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例の改正等について
事務局より、計画策定後の環境を取り巻く状況や社会情勢等の変化について説明し、これらを踏まえ、計画見直しに新たに盛り込むべき事項はないか御意見をいただいた。
また、事務局より計画見直しに向けた部会の開催スケジュールを報告した。
主な意見は以下のとおり。
<委員からの主な意見等>
<委員>2030年の再エネ導入目標と現状の導入状況の乖離が大きい。京都は再エネの導入ポテンシャルが低く域内での再エネ電源開発が難しい部分もあるため、府外から再エネ電力を調達することも重要。一方で、地域経済やレジリエンスのためには、地域での電源開発を進める必要もある。目標達成のためには先進事例の収集・展開など引き続きの努力が必要と考える。
<委員>企業における脱炭素について、今後大企業がサプライチェーンでの温室効果ガス排出量削減を考えたときに、取引先の中小企業にも排出量削減を求めていくことになる。その受け皿として、中小企業向けに屋根や駐車場への太陽光導入やオンサイトPPAを普及促進する施策が重要である。
<委員>他府県と比較したときに府の進捗は遅いのか早いのか、その要因は何か。
→<事務局>再エネ導入適地が多くメガワット級の設備導入がある都道府県は再エネ導入が進んでいる印象であり、近隣では、兵庫県において風力発電やため池への太陽光導入が進んでいる。適地が少ないところは府と同様の状況。
<委員>府域においては一般送配電事業者のグリッドアクセスが厳しいこともメガワット級の設備導入の障害となっている部分がある。ある地域について、府が接続確認を行うとともに需要家の確保や税優遇などの促進施策を実施するような、再エネ導入のポジティブゾーニングをすることも有効と考える。
<委員>岡山県真庭市では製材業が盛んであり、森林資源を活用したバイオマス発電を行っている。府においても森の京都ということで林業を推進しており、森林資源を活用したバイオマス発電を促進すべき。
<委員>環境教育について、教育により再エネの必要性やメリット等を理解してもらうだけでなく、災害対策等まちづくりの観点から府民主導で地域への再エネ導入計画を立てられるようになれば良いと考える。
<委員>議論の進め方について、環境基本計画や温対計画とも密接にかかわっているため、改定に向けた内容の共有や連携したスケジュール管理が必要である。
<委員>促進区域の設定にあたっては、区域の情報提供だけではなく、政策的に当該区域への導入を誘導する必要がある。国において、人口が多い地域での屋根を活用した太陽光の設置・自家消費を推奨する施策が加速する見込みであり、それに対応した戦略が必要と考える。
<委員>屋根への太陽光の導入については屋根の耐過重の問題があるが、その解決策としてペロブスカイトが考えられる。
<委員>ペロブスカイトについてはまだ技術的課題も多いが、色を変えることができるため景観への適合性も高く、導入可能性が高いと考えている。雇用創出という産業振興の観点からも、ペロブスカイトの導入に向けた長期的なビジョンを立てることが重要。
6 当日資料