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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成28年1月12日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
針を使わない縫い付けキット「ファンジーステッチ」。ドット状に穴を空けた皮革に紐を通すことで、針を使わずに刺繍等を縫うことができる商品。高齢者は、危険性等への配慮から、針を使用する刺繍が困難であることに着目し、安心安全に刺繍等が縫えるように開発された、新たなリハビリテーション及びレクリエーション用商品です。
今回、そんな商品を開発された植村株式会社の植村社長、植村課長にお話をおうかがいしました。(平成26年度元気印・経営革新企業)
―まずは、会社概要を教えていただきたいのですが、社長は何代目でらっしゃいますか?
社長) 創業110年を超え、私は4代目です。役員・従業員合わせて36名で、「INAZUMA」というブランド名で、手芸用パーツの企画・卸売をしています。
―手芸用パーツの卸売は、どういった経過で始められたのですか?
社長) 私が社長に就任した頃は、提灯や資材用の組紐や編み紐を製造卸していました。しかし、市場全体は大きく伸びないと見えていましたし、素材を卸す側としては、価格競争が激しいという業界でありました。そこで、徐々に組紐や編み紐の販売は、資材ルートだけではなく手芸ルートにも広げてしていきました。その手芸ルートにて新たなニーズを発掘し、現在ではちりめん生地やBag Partsといったジャンルを確立することができました。
―主力商品はどんなものですか?同業他社とはどう違うのですか?
社長) バッグ手芸といえば、そのカバンの形も材料も限られていました。そんな中で、当社は様々な材質・色・形状のBag Handle、Bag Partsの製造販売を始めました。今や手芸でバッグづくりをするのは当たり前になってきましたが、昔はなかったのです。現在も同業他社はほとんど見当たらず、特に当社のように新商品を継続的に展開しているところはありません。
―アイテム数はどれくらいですか?
課長) 3000種類以上です。色違いを含めると1万5000種類以上です。手芸は、人と違うものを作りたい人たちがされてらっしゃいますから、必然的に小ロット多品種対応になります。
―新商品開発はどれくらいのペースでされているのですか?
課長) 毎月10種類は新商品を出していると思います。企画会議は、毎月、社内の各部署からの選抜7名で行っています。
―顧客ニーズを掴んで開発、という流れですね?
社長) もちろん基本的にはそういう流れですが、逆に、当社から仕掛けていくこともあります。流行りを当社が作ったということもあります。
―例えばどんな事例がございましたか?
社長) 「蝋引持ち手」が流行った時代があるのですが、安い中国製が入ってくるようになったので、「合皮持ち手」を導入しました。合皮の方が様々な種類を作りやすいですし、価格も落とせるので、流行が合皮に変わったということもありました。
―しかし、小ロット多品種ということは、それに対応できる協力工場を探すのは大変ですね?
社長) 協力工場は国内外含めて6~70程ありますが、海外も私自ら開拓してきたものです。楽しんで廻っておりまして、苦とは思っていません。
―在庫管理や受注・発送対応はどうされていますか?
課長) 在庫切れがないよう、すべて自社の倉庫で管理しています。販路は問屋さんのほか、小売店、手芸教室等ですが、FAXでの注文が多く、1日数百枚の束になります。ネットも増えていますが、まだ1割くらいです。資材・在庫の点検、商品ピックング・梱包は、人手をかけて丁寧に行っています。
―FAX注文にカタログが必要なわけですね?
課長) はい。なにぶんBag Handle、Bag Partsという業界がもともとなかったものですから、当社単独でカタログを作るしかありません。年1回作っておりまして、問屋さんや手芸教室、さらに一般のお客様にも直接展示会等を通して配布しています。現在ver10を作成中です。
―最後に、課題や今後の展望についてお聞かせください。
課長) 現在、手芸教室で手芸をされる方は、一般的にご高齢の方が多いですので、若い方向けの「新しい手芸」マーケットを生み出していきたいと思います。そのために、若い方向けにブランド発信や手芸を始めるきっかけの場づくりなど検討していきたいと思っています。
問屋や小売店の悩み対応にも丁寧に応じてらっしゃるなど、業界の牽引者として、新しい市場創造にまで同社の歩みは続いていきます!今後の展開が大変楽しみです。
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