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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
連携企業・ソリッドレイ研究所様プライベートショー「VR体験会2023」開催中(外部リンク) (これは以前訪問した際の動画です。上記体験会とは関係ありません) |
(2023年5月15日、ものづくり振興課 足利・山口)
(2022年12月22日、ものづくり振興課 足利・恩地・丸田・濱田)
株式会社テック技販東日本営業所の柳澤様にお話をおうかがいしました。
感覚で行っている作業を、センシングを通じてデータ化し、技能伝承・技能育成に活用するといった取組は既に見かけるようになりました。では、そこにXR技術を加えたら?
「力」という見えないものが(少なくともこれまで数値化・グラフ化にとどまっていたものが)、矢印や斑点、音など明快な「コンテンツ」に変換されて表現されることで、「感覚」が「一目瞭然」となります。
「見えないもの」を「わかりやすく表現する」というXRの本質を突いた取組です。
また、作業手順をARで示すといった取組も既に見かけるようになりました。では、逆にそうしたXR技術にセンシング技術を加えたら?
単に「定められた手順」を示すだけでなく、リアルタイムで「フィードバック」したり、「理想的作業を見せること」も可能となります。
XRを「リアルタイム・フィードバック」にできる、一歩進んだ取組です。
アバターとセンサーを組み合わせたら?
触覚センサーを使うことで、アバターをリアルに感じ、人とアバターが握手することも可能になるなど、一歩進んだテレイグジスタンスが実現しそうです。
(令和3年1月4日、ものづくり振興課 足利、是洞)
株式会社テック技販(宇治市)の和田主幹様にお話をおうかがいしました。
--触覚を他者と共有するデバイスを開発されましたね。いよいよ、リモート・バーチャルリアリティやロボットのリモートコントロール時代の幕開けを予感させます。
和田)名古屋工業大学大学院の田中由浩准教授と共同で、世界初の触覚記録装置(ユビレコ、ゆびレコーダー)を開発しました。田中准教授は、人が対象に触れた時の皮膚を伝搬する振動に注目し、高分子圧電素子のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムを用いて、各人の触覚を情報化するセンサを開発しました。センサの出力は、対象の表面の粗さ、テクスチャーの識別、人の主観的粗さ感とも良好な対応関係を示し、振動子により、他人にそうした触覚を振動として伝えます。手触り感、筆記感、もの越しの触感、スイッチなどの押し込み感にも有効です。
同社プレスリリース資料より
--おお!
和田)イコライザ機能により取得したセンサ信号の周波数特性を調整でき、さらに特定の周波数を大きくするなどして比較したり、評価ポイントとなる周波数を触覚提示を通じて検討したりといったことのほか、再生用アダプターでセンサ信号の再生も可能です。例えば、同じようなペットボトルのキャップでも、どの商品のキャップが外しやすいかなども、これで一目瞭然で分かります。高齢社会の製品の在り方などにも一石を投じると思いますし、おっしゃってるようなことはもちろん、機械、繊維、化粧品、医療、福祉、生産技術など多くの分野・業種での応用が期待されます。
--なるほど。御社のセンサは、多様でおもしろいですね。
和田)例えば、ものの柔らかさを測れることによって、新製品の触感を、分かりやすく伝えることにも貢献します。例えば、「マシュマロのような柔らかさの下着」とか。
「YAWASA」
--いいですね。
和田)また、脳波測定では、人間によるマッサージと、機械によるマッサージの,心地よさ、つまり「幸せ」度合いの違いも分かります。当社には脳波・心電・筋電・眼電位など様々な生体信号を同時に記録できるリアルタイム生体信号記録システム「Livo」もあります。
--なるほど。脳波測定と言えば、自動車の運転などを想起するのですが、御社のセンサは、これからの時代のロボット化、自動車のハイテク化にも大いに貢献されていることでしょうね。
和田)そうですね。自動車で言えば、アクセルやブレーキ、シフト操作に係る力、タイヤに係る力、あるいはシートの柔さなど、様々な計測に活用されていますね。
--こうした開発で、私どももけいはんなロボット技術センターに有しているのですが、モーションキャプチャーを使ったり、VRを使ったりすることもあると聞きました。
和田)モーションキャプチャーは、それによって人体の動きや位置を図りながら、センサでどのような力が働いているかを重ねて把握するといった具合によく用いますし、VRは、計測対象者に様々な動きをしていただきたい際に、それで映像を見せるといったようなケースで用いますよ。そういう観点で言えば、ARで指示を出しながら、把持力を測定するといったこともあるでしょうね。
次代を拓くセンサの数々!今後、ますます楽しみです。
(掲載日:平成29年5月9日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
株式会社テック技販(宇治市)の纐纈代表取締役長様にお話をおうかがいしました。
―まずは御社の概要から教えてください。
纐纈) 従業員35名で、研究開発分野等で用いられる「3軸力覚センサ」「6軸力覚センサ」などの各種センサや周辺機器・システム、スポーツ分野等で用いられる「フォースプレート」「トレッドミル」などの計測装置、医療・リハビリテーション分野等で用いられる「BASYS」という姿勢調整のための新たな装置などの開発・製造を行っています。各種センサ、データロガー、計測・制御ソフトウェアから試験・検査装置まで一貫生産できる点が当社の強みです。
―特許も多く、オンリーワンの製品が揃ってらっしゃるようですが、まず、センサ関係から、少しご紹介ください。
纐纈) 薄くてダイナミックな計測が可能なセンサから、指に装着して触角を測る計測器、モノの柔らかさを測る装置まで、ユニークで高精度な製品を作っています。例えば、3軸力覚センサは、厚さ5mmの薄さで3軸の検出が可能な世界最小クラスの荷重センサです。2cm角の小さいものですが、最大500ニュートンまで測れ、スポーツ用具・福祉機器・ロボット開発など汎用的にご使用いただけます。また、6軸力覚センサは、厚さ10mmで3軸+各軸モーメントの検出が可能です。
―どうして御社には世界最小クラスが実現できるのですか?
纐纈) まさに一貫生産できる強みを活かしているのですが、小さいセンサですので、X軸方向の測定においてもY軸、Z軸方向の干渉が発生しまいます。それをソフトウェアで補正するシステムを作っており、X軸方向だけの正確な値が出てくるのです。おかげ様で、多くのご利用をいただいており、大手シューズメーカー様の新シューズ開発、大手楽器メーカー様のピアノの鍵盤、バイオリンの絃などの調整、開発などにも用いられています。
―素晴らしい。
纐纈) あるいは、指に装着して触角を測る「HapLog」は、指の触感を残したまま、モノに触れる・押す・なでる・つかむ動作を物理量(荷重)として計測するものです。指腹を邪魔しないコの字状のセンサ形状とし、接触面に触れると指が変形する、その変形具合をコの字形状部に内蔵センサがセンシングし、荷重に換算、検出します。用途・応用例としては、医療分野では、手術における教育ツール、リハビリの効果測定、自動車産業では、ハンドル・社内装備品の操作性評価、家電・消費産業やゲーム・スポーツ産業では、指操作におけるユーザビリティ評価、バーチャルリアリティでは、指先感覚のセンシングなど様々です。
―おもしろいですね。
纐纈) あるいは「YAWASA」は、客観的な物理量「弾性係数(ヤング率)」による定量化が可能で、これまで分からなかった、モノの柔らかさを測ることができるものです。食材、材料、皮膚など様々なモノに対して、ハンディタイプですので手軽に、指に触れるような感覚で、すなわち、低侵襲で柔らかさを図ることができます。
―次に、フォースプレートなどについて教えてほしいのですが、フォースプレートとは何ですか?
纐纈) 歩行や走行における力学解析に必須な装置で、3軸+各軸モーメント、すなわち6分力の計測が可能です。6分力から圧力中心点を求めることもできます。例えば、水泳競技の飛込台や、陸上競技のスターティングブロック台等に組み込んでご使用いただいている例もあります。
―なるほど。
纐纈) あるいは、靴にも装着可能な超小型の「M3Dフォースプレート」や、指をなぞるぐらいの細かな感覚の計測が可能な「触覚フォースプレート」もあります。スマートフォンのフリック・タッチ力や布地の滑らかさや化粧品や薬品の塗布する力など小さな滑り力のダイナミック計測が可能です。
―素晴らしい。
纐纈) 当社のフォースプレートは、ひずみゲージ式で直線性・温度特性に優れています。キーとなる内臓センサやトッププレートの設計・組み合わせ手法にも、一貫生産の当社のノウハウを活かしておりますし、計測システムの提案から、設置工事・動作確認、試験、アフターサービスまで万全のサポートを行っています。
―いいですね。
纐纈) ゼロバランスやレンジ設定もリモコンで一括制御できますし、レベル調整等も専用ソフトで手軽に行えます。出力は、パソコンを接続するだけで簡単に検出できますし、モーションキャプチャと繋げてのアナログ出力もできます。
―そして、フォースプレートを組み込んだものがトレッドミルですね?!
纐纈) そうです。国内で唯一の開発・製造メーカーでして、6分力やその圧力中心点を計測するフォースプレートをトレッドミルに組み合わせることで、スライド長やステップ数の計算も可能です。最大30km/hで回転し、ランニングからウォーキングまで幅広く対応できる汎用タイプ、リハビリテーションに重点を置いたプログラムを組み込んだリハビリタイプの2種類を用意しています。
―素晴らしい。では次に、「BASYS」について教えてください。
纐纈) 国立障害者リハビリテーションセンター研究所の河島則天先生と共同開発した、新しい姿勢調節リハビリテーション装置です(薬機法医療機器)。リアルタイムで検知した立位姿勢時の重心動揺を、本人の知覚にのぼらないレベルで「増幅、減弱」させることで、立位姿勢調節における随意調節と反射調節のバランスを潜在的かつ合目的的に調整する姿勢リハビリ用プラットフォームなのです。
―どういうことですか?
纐纈) 人間が、どうやって立位バランスを保っているかということと関係します。脳であってり、脊髄の反射であったり、あるいは筋力であったりするわけです。例えばバランスボースなどは筋肉を鍛えたりするものかと思いますが、本装置は床面を動かすことで、人間が本来持っている反射による立位バランス調節機能を促進させようというものなのです。
―なるほど。
纐纈) 例えば、本来の自律的な姿勢調節が損なわれている高齢者などに対しては、ご本人の揺れと「逆方向」に装置の床面を振らして、揺れを「増幅」させます。一方、反射亢進や起立性震戦などにより立位姿勢動揺が大きい患者などに対しては、ご本人の揺れと「同方向」に地面が振らすことで、揺れを「減弱」させます。ただし、本来の自律的な姿勢調整を促進するものですので、床面の振れを人間が感じてはダメですので、本人の知覚にのぼらないレベル、すなわち、重心動揺量の5~15%としています。おかげ様で、BASYSを使った方々から、大変ありがたいというお声を多くいただいております。
―素晴らしい。では、最後に今後の展望はいかがでしょう。
纐纈) 新しい技術を開発するためには、様々な事象を計測し、データ化する計測技術が欠かせません。技術の発展とともに計測技術のフィールドは広がり、無限ともいえる「未知」の領域が存在しています。私たちは計測を専門とするベンチャー企業として、市場の様々なニーズに柔軟に対応して、本当に求められるものを作り出していきたいと思っています。
今後の展開がますます楽しみですね。
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