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共栄製茶株式会社(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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抹茶輸出×ブレンド×検疫・有機・脱炭素

(令和4年10月13日更新、ものづくり振興課 足利・足立・稲継)

共栄製茶株式会社(外部リンク)社の森下康弘代表取締役CEOに、京都テクノセンター(木津川市)にて、改めてお話をおうががいしました。

研究センター

「早くからコーヒーも手掛けてきた」と語る森下CEO。そうした縁がきっかけとなり、世界への抹茶輸出をフロントランナーとしてリードしてきた同社。海外の世界的食品メーカーらにOEMでお茶を提供しておられます。

ブレンド工程は茶師の腕の見せどころ。すべてのお茶は、おいしくするためにブレンドされているのですが、原料となる茶葉は、同じ農家のものでも、自然が相手であるため、毎年微妙に異なります。それでもお茶の製品として、常に一定の品質、味に保つため、ブレンドのバランスも常に調整が必要になるのです。まさに、神業!

特に欧米に輸出する際には、サプライチェーン全体で気を遣わねばならないことが多いのだそう。

  • まずは、残留農薬やコンタミの問題をクリアするための殺菌工程が大変重要。
  • 次に、有機農法であることも重要だ。オーガニック肥料等には大変関心があり、コーヒー豆のかすをお茶栽培の肥料に用いるなど、同社ならではの工夫も多数。
  • そして、特に今後は脱炭素対応。例えば農業資材やお茶のパッケージの脱プラスチックや、工場での再エネ活用など。

 

「宇治茶」の風味に徹底的にこだわった、京都クラフト宇治茶リキュール

(令和3年9月14日更新、ものづくり振興課 丸山)

抹茶リキュール

共栄製茶株式会社(外部リンク)らが共同で、「宇治茶」の風味に徹底的にこだわった、宇治茶を100%使用したリキュール「KYOTO CRAFT UJI-CHA LIQUEUR」を開発しました。

抹茶を世界に― 老舗製茶「森半」

(掲載日:平成29年3月15日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 

 共栄製茶株式会社(外部リンク)の森下大輔部長・執行役員にお話をおうかがいしました。

世界に抹茶を輸出する“先駆的”名門老舗企業

―まず、会社の概要を教えてください。

森下) 天保7年(1836年)、宇治小倉にて創業し、現在は従業員105名で、緑茶、紅茶、コーヒーの製造販売を、それぞれ「森半」「MINTON」「ROYAL FLAVOR」というブランドで展開しています。まず、緑茶は、玉露や煎茶などのリーフティーや抹茶です。特に抹茶は、食品原料としても国内外に卸しているほか、それを使った清涼飲料やお菓子の製造を自社あるいは外注により行っています。次に、紅茶は1996年から取り組んでおり、近年は「和紅茶」商品も発売し、季節に合わせたフレーバーティーも取り揃えています。また、コーヒーは1963年から自社で焙煎し、レギュラーコーヒー、ドリップコーヒー、カセットコーヒー、インスタントコーヒーなどを販売しています。

―御社の特長の1つは、何といっても日本茶の名門、老舗でらっしゃることだと思います。余談ですが、御社のホームページにもお茶の歴史(外部リンク)お茶の種類(外部リンク)お茶の道具その他留意点(外部リンク)など、わかりやすくご紹介いただいていますね。「闘茶」や「お茶壺道中」のことなど、初めて知りました!

森下) ありがとうございます(笑)。おかげさまで、農林水産大臣賞、全国茶審査技術競技大会優勝など数多くの賞を受賞してまいりました。全国優勝の茶師により厳選された良質の茶葉、積極的な新技術の導入など、つねに高い品質の日本茶づくりに専念してまいりました。百貨店とのつながりから本社こそ大阪に置いていますが、3か所の工場、商品センターなど京都、宇治を拠点にしています。

  

―なるほど。他にどんな特長をお持ちですか?

森下) 伝統に甘んじることなく、革新的な商品づくりに励んできた、というのが実態です。昭和初期には、当時画期的な水出し茶「氷茶」を、近年では「泡立つ抹茶オーレ」、抹茶生クリームどら焼き などの「抹茶スイーツ」を生み出してきました。バブル崩壊とともに、業界全般として低迷が続いておりましたが、2000年代に入り抹茶を飲料やスイーツなどの原料に活用するという流れにいち早く乗りました。当社の抹茶の供給能力は全国でも2、3番目の規模でして、世界の有名食品ブランドが当社製の抹茶を採用するなど、海外へも多く抹茶を輸出しています。抹茶はその香りや味が際立っている故に、1つのお菓子の中で、実際に使用される抹茶の量はごくわずかですから、大手と大量に先んじて取引を行うということが、安定したサプライヤーとなるためにも重要なことなのです。

  

世界が認める高い品質保証とトレーサビリティ

―世の抹茶ブームの中でも、フロントランナー的な存在でらっしゃるわけですね。そうした特長を支える、御社の強みについてはいかがでしょうか?

森下) 大手食品ブランドとの取引に応えうる設備投資を行ってきたこと、海外とのコミュニケーション力、そして何より高いレベルの品質保証だと思います。

―それらを理解するために、製造工程について、簡単に教えていただけませんか。

森下) 抹茶の例で申しますと、摘み取った茶葉を蒸機で蒸し、乾燥炉の熱風で乾かすという、碾茶の「荒茶」製造までは、宇治茶の産地では農家が行い、当社はその後の「仕上茶」工程を担います。まず、切断機で乾いた茶葉を細かく切ります。次に、風力選別機で風の力で葉と茎を選別した上で、大小様々な形の葉をふるい分け機で整えます。そして、更に乾燥機で乾かして独特の香りを作り出したり、更に選別機でより細かく分けたりした上で、挽臼にかけて抹茶に仕上げます。この臼を作る職人さんが、今や全国でもわずかとなっているのが業界としての問題ではあるのですが、臼を回す速さなどにも当社のこだわり、ノウハウが詰まっています。

 

―では、高いレベルの品質保証とはどういうことでしょうか?

森下) まず1つは、先ほども申しましたように、全国優勝の茶師が素材を厳選しているということです。茶葉は形や色、香りなどで鑑別されますが、それには熟練した官能審査技術を要するのです。

―なるほど。

森下) 2つ目は、厳密な品質検査を行っているということです。例えば、まず、素材を受け入れる段階で「残留農薬検査」として、ガスクロマトグラフ質量分析計で残留農薬の分析を行っています。食品衛生法で、ポジティブリスト制度(食品において、基準外の農薬混入を認めない制度)が導入され、厳しい農薬基準が定められました。茶・コーヒーなどでよく使われる農薬を中心に、267種類の残留農薬の定量分析を行っています。また、原材料や半製品段階で「細菌検査」、すなわち、一般生菌検査と大腸菌群検査を行っています。食品衛生法では、食品の種類によっては規格基準が設けられており、これを上回る製品の販売は禁止されています。例えば、粉末清涼飲料の場合では、「一般生菌数 3,000個/g以下」「大腸菌群 陰性」と定められています。そして、製品完成時点で「成分検査」を行っています。お茶には、カテキン、カフェイン、テアニンなどのアミノ酸類などいろいろな成分が含まれています。これらは、お茶の味を左右するとても大切な成分で、旨味や苦味、渋味の重要な指標となりますので、キャピラリー電気泳動装置などを用いて分析していますし、抹茶の粒度や色を測定したり、茶葉の水分量などにも気を配っています。その他にも様々な理化学検査を実施しています。

  

―そうなのですね。

森下) そして3つ目は、トレーサビリティ制度です。契約農家には農薬をできるだけ使わない栽培を推奨してきていますが、原料を川上まで遡って調べ、自社製品の安全性を間違いなく保証するために、宇治茶と有機原料などの栽培履歴、製造履歴を管理しています。

思い切った若手登用

―工場長さんをはじめ、幹部に若い方も多いですね。

森下) そうですね。自己主張が激しい若い幹部社員が多いかもしれませんね(笑)。みんな、「やりたいことができる会社だ」と言ってくれていますし、逆に「やりたいことを発信しないと、埋もれてしまう」とも言ってますね。これまで伝統に甘んじることなく、改革を続けて生き延びてきた会社ですから、常に改革が進む体制を組んでいく考えです。

―素晴らしいですね。

森下) 例えば、生産現場では、日々より効率化を目指すことも必要ですし、食品衛生法等も年々厳しくなっていく中で、どう仕組みを作って対処していくかということもありましょう。営業の現場では、営業力で取り扱ってくれる商社は開拓をできたとしても、実際に消費者の皆様に売れるかどうかは、商品力がないとどうしようもありません。だから、営業がフィードバックして商品づくりに携わるようなことも重要になってくるわけです。

―では最後に、今後の展望についてはいかがでしょうか。

森下) お茶に対する世間一般の認識は、ここ20年くらいで大きく変わってきたと思います。以前は水にお金を払うなど考えられないことだったのが、健康志向の高まりで、今や水がお茶と肩を並べるようになったほか、多種多様な飲料が台頭するなど、必ずしも「お茶」である必要性が失われつつあります。しかし一方で、かつて、生活必需品、デイリーユースとして親しまれてきたお茶が、「特別な時」用の嗜好品路線を進んでいる気がします。ですので、まず1つは、日常品としての需要を高める取り組みを進めながら、極上のリラックスタイムをお手伝いできるような取り組みにもチャレンジしていきたいです。

―なるほど。

森下) また、オーガニックの宇治抹茶のプロジェクトも進めています。他の農産物に比べるとお茶の有機栽培のウェイトは高いのですが、そうは言っても未だ2%程度と言われています。この関係でも新商品を開発していこうと思っています。あるいは、大学等との連携にも取り組んでまいりたいですし、機能性のあるお茶なども追求していきたいと思っています。

―素晴らしい。

森下) そして、やはり「森半と言えば、これ!」という、オンリーワンブランドを創り上げていきたいですね。関西だけでなく全国ブランドとして認知度を高めてまいりたいと思います。

 

今後の発展がますます楽しみです!

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