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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:令和元年5月28日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利、是洞)
株式会社京都動物検査センター(外部リンク)(京都市伏見区)の浦代表取締役CEO様、中西代表取締役社長様にお話をおうかがいしました。
-御社の概要から教えてください。
浦) 1973年に私が創業し、長らく動物用医薬品の開発業務、すなわち、動物薬申請業務等の受託を行ってきました。加えて近年は人体薬の分野も手掛けており、売上の数割を占めるに至っています。おかげで、従業員数も近年30名以上となりました。
-まずは「動物用医薬品の開発業務の受託」について、もう少し詳しくお願いします。よく、CRO(Contract Research Organization)と呼ばれるものですね。
中西) 医薬品などの開発においては、製造・管理・保管・流通段階における製品の安全性や信頼性を確保することを目的に、政府などの公的機関で策定された基準がいろいろございます。そうした、たとえば、GLP(非臨床試験実施基準)、GCP(臨床試験実施基準)、GPSP(製造販売後調査・試験実施基準)に対応した試験や、一般試験を行っています。
-なるほど。
中西) 具体的には、今日も4名程、現場にでかけて検査に行っておりますが、様々な道具を使って現場で検査をしております。また、こうした装置を使って、そのために必要なウイルス、細菌の培養や保管も行っています。ウイルス、細菌は購入するケースもあれば、当社自ら現場の動物からウイルス、細菌を採取し、1次分離をすることもあります。
-一貫対応されているということですね。
中西) そうです。また、動物用医薬品は、薬機法だけではなく、家畜の場合、食用にされることが大半ですから、食品衛生法藻関係してくるなど、残留性試験も必要でして、高速液体クロマトグラフ装置等を用いた試験も行っています。
-業界の動向、特に顧客の動向については、いかがでしょう。顧客企業は国内で試験をされるのですか?
中西) たしかに、国内メーカーによる試験は減少傾向にありますが、海外のメガファーマ等が国内に参入してきています。人体薬と同じですよ。メーカーも重複が多いですしね。
-御社のような受託業務をなさっているところは、他にあるのですか?
中西) 国内では3社程度しかありません。
-そうなんですね!
浦) その中でも、当社は特に豚のハンドリング等が強みです。私も、中西も、もともと豚病学を学んできましたし、実際に飼育もしています。
-豚を扱うというのは、難しいものなのですか?
中西) 豚って、見た目で誤解されがちなのですが、とてもストレスに弱い動物なんです。ですので、ストレスを与えずハンドリングをするのには、様々なノウハウが必要です。抱っこすること一つとっても、やり方があります。私どもは、豚の顔を見たら、どういう状態か、ストレスがどうか、分かります。
-すごく「豚愛」にあふれたお話ですね。とても豚が可愛く見えてきました!しかし、動物実験をなくそうという動きがあると聞くのですが。
中西) たしかに、動物愛護の観点等から、犬、猫等の利用は減らそう、なくそういう動きが欧米を中心に広がっています。しかし、逆に、その代わりに豚を利用しようという動きなのです。動物実験における人道的な使用と管理を促進する非営利組織AAALAC(国際実験動物ケア評価認証協会)の総合動物実験施設認証の基準でも、むしろ家畜であるブタを動物実験に活用することがグローバルスタンダードであり、海外では圧倒的にブタを使用しているのです。
-なるほど。
中西) また、ラット等の小動物は手軽ですが、ヒトにおける安全性・有効性の確認の面では、随分と不十分です。一方、豚は、ヒトとの類似性が高く、近年、注目をされてきているところなのです。
-そうなのですね。
中西) はい。しかし、たとえ、大きな大学等であっても、豚の試験に対応した設備や体制を整えているところがないというのが実態です。例えば、犬のすぐ隣に豚の小屋があったり、逆に、全く仲間とコミュニケーションがとれないような環境に置かれたりといったこともありますね。
-「豚愛」が重要ですね!そして、近年、人体薬も手掛けられていると。
中西) はい。京都リサーチパークさん、京都大学の先生方の研究会、セミナー等に参加しているうちに、是非にと、依頼を受けるようになりました。再生医療を始め、お役に立てるのではないかと思っていますし、大きなお話も現在進めています。
-従業員も増えてらっしゃるとのことでしたが。
浦) 当社は、試験受託だけでなく、実際に飼育もしている現場も持っておりますから、大学生のインターンシップの受け入れを継続しています。大変重宝されていますし、私どもにとっても学生さんに認知していただけてありがたいです。ぜひ、社会のために、今後も役に立っていきたいと思っているのです。
今後の展開が大変楽しみです!
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