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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和2年7月6日、ものづくり振興課)
マスク製造ロボット発売予約受付開始(令和2年7月6日プレスリリース)
(掲載日:令和2年7月1日 ものづくり振興課 足利)
ハムス株式会社(外部リンク)(京都市南区)の宮地代表取締役社長様と、営業部の新保様にお話をおうかがいしました。
--京都府・京都産業21「新型コロナウイルス感染症対策技術結集事業補助金」で開発いただいている、マスク自動製造機、概ね出来てきたとのことですが、よく短時間でここまで!
宮地)はい。8月初旬には発売開始できそうです。新型コロナウイルス感染症に伴う「新しい生活様式」の実践、第2波への備えなど、マスクが大量に必要となっている背景を踏まえ、必要な人や企業が自らマスクを製造できるよう、安価な製造ロボットを開発しました
--ロボットですか。
新保)はい。1台で4サイズのマスクが製造可能ですし、フェイスシールドも製造できます。全自動で生地をカットし、耳に引っ掛ける部分に穴を開けるというものです。
--随分シンプルですね。
新保)生地は引っ張ると伸びますし、歪みやすいものですので、それを自動でカットするには、通常は、吸引機による吸引で固定するのですが、そうすると出力の大きいエアーコンプレッサーが必要になり、音もうるさいですし、重さやサイズも大きくなってしまいます。そこで、当社が縫製工程自動機開発で培ってきたノウハウを活かして、通常とは違う手法で生地を固定したり、カッターの角度等もよく考えて、ロボットがカットしやすいように工夫しているのです。
--切り口がほつけたりしないのですか?
新保)超音波カッターですから大丈夫です!
--操作は難しくないのですか?
宮地)生地をセットし、サイズを選ぶだけです。専門業者でなくても対応できますので、一般の企業様や官公庁様であっても、生地と電源コンセントさえあれば、外部調達することなく従業員用マスクが自ら製造できます。生地は、ポリエステル、綿など国内で入手できる素材を使用できます。
--なるほど。安価ということですが。
宮地)クルマ1台と同じくらいの価格です。1時間で約60枚のマスクを製造できます。仮に製造したマスクを販売なさったとしたら、1か月で元がとれます。
--ほう。1時間で60枚ということは、1分で1枚ですか。
宮地)もともと開発したきっかけが、当社の海外の顧客企業から、従業員のためのマスクが不足しているので、ないか?なければ、作ってくれないか?というものでした。日本製のマスクがほしいというのです。
--なるほど。
宮地)日本国内のマスク消費は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前は、年間約100億枚弱で、その半分強が輸入でしたが、新型コロナウイルスによって、需要はその何倍にも膨れ上がり、海外からの調達も一部でストップしたというのはご承知のとおりです。
--そうですね。
宮地)今は流通してきましたが、それでも今後長く新型コロナウイルスと付き合っていく社会になりますし、第2波、第3波への備えとしても、輸入ばかりに頼っていてはリスクがありますので、必要な方や企業が、自ら自社等で作れるように、ということで開発したのです。だからコンパクトで、安く、操作も簡単なものとしているのです。
--なるほど。
宮地)ですので、海外調達に頼る不織布ではなく、国内で調達できるポリエステルや綿の生地をカットできるものとしています。
--サプライチェーン分断への対策のやり方の1つですね。
宮地)多くの方々や企業様、自治体の方々にもご利用いただければ幸いです。
(掲載日:平成29年2月20日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
平成26年度元気印企業、ハムス株式会社(京都市南区)の宮地代表取締役社長様にお話をおうかがいしました。
―まず、御社の概要を教えてください。
宮地) 従業員28名で、ブラジャーホック自動縫製機、ジーンズベルトループ自動縫製機、シートベルト縫製自動機、立体型縫製ミシンなど、縫製工程の様々な自動化・省人化機械を製造しています。
―こういう業態は他にあるのですか?
宮地) 縫製工程全般を対象に総合的に自動機を製造しているメーカーは、国内で当社だけでして、下着、ジーンズ、エアバック縫製機国内第1号機を開発してきました。それに、ミシンにおいても、専業メーカーは当社以外にはないかと思います。大手ミシンメーカーにおいても、ミシンだけではなく、他の事業部門も持ってらっしゃいます。
―国内は人口が減っているものの、全世界的には縫製というのはまだまだ市場が拓けているのではないのですか?
宮地) 業界全体としては大変厳しい状況で、普通にやっていては生き残れません。アメリカの世界初のミシンメーカーも既に存在していません。一言で言えば価格競争で淘汰され尽くしてきた業界です。そんな中にあって、当社は価格競争がない製品を開発しています。売上の8割が輸出ですが、100%メイドインジャパンでして、機械、電気などの技術者を揃え、メーカーのミシンをカスタマイズしながら、ギア・カムなどの特注品を含め、9割以上が京都市内の協力工場による様々な部材を組み合わせるなどして、オリジナルの装置を開発しているのです。
―そうなのですね。製品を少しご紹介いただけませんか。
宮地) 例えば、ブラジャーのホックを付ける機械は、国内シェア100%、世界でも50%です。お客様のメーカーさんにとっても、手作業だとコストがかかり、自動機でないとブラジャー生産自体が成り立たないので、買っていただけるのです。
―すごいですね。
宮地) あるいは、デニムにベルトループを縫い付ける機械は、世界中のリーバイスの工場で導入いただいています。昔は分厚いループの生地をはさみで切ってミシンで手縫いされていましたが、オペレーターが針で指を突いてしまうリスクが高かったのです。それもこの機械で回避できます。
―素晴らしいですね。
宮地) あるいは、スニーカーのかかと部分などの湾曲した、球面の部分を自動で縫う機械、すなわち、立体縫製機も世界で初めて開発しました。これも世界的シューズメーカーさんが困ってらっしゃったところ、何とかならないかと依頼があったもので、大変感心いただきました。大手ミシンメーカーと共同で特許を有しています。大容量のメモリーを有しており、大量の縫製データをミシン本体に保存できますので、プログラムを変えた際に毎回データを読み込む手間も不要です。
―なるほど。
宮地) 様々な製品がありますが、和布団縫製自動機は世界で当社のみ、のぼり旗縫付け自動機も国内シェア80%です。こうしたミシン以外にも、ブラジャーなどに付いています「リボン」の自動結び機なども開発しています。これも海外の工場で、人が一日中、リボンをカットして結んでらっしゃったというところをサポートするものです。当社製品は、現在約20か国へ輸出していますが、まだまだこれから開拓されてくる国があると考えています。
―オンリーワン企業でらっしゃるからではありますが、こうした高いシェアを占められるに至った理由は何でしょうか。
宮地) さきほど申しましたリーバイスさんをはじめ、世界的企業様にご利用いただけてきたということです。大変ありがたい限りです。
―謙遜しておっしゃいますが、「選ばれる理由」が必ずあるはずです。
宮地) 営業に足繫く通っているのは事実ですね。1年のうち150日は海外の顧客を回っているかもしれません。しかも、当社は、様々な自動化機械を開発し、高度な技術ノウハウを蓄積してきた技術屋でもある人材が営業も回っていますので、その場で判断、提案もできるというのは大きな強みですね。
―どうして、他社とは違って御社ではそういうことができるのですか?
宮地) 当社は昭和29年の創業当時は、ミシンの販売からスタートし、客先でのお困りごとに応えるべく、その改造を手掛けるようになったことも関係があるのかもしれませんね。
―営業活動を得意とされながら、改造で難しい技術も磨いてらっしゃったということですね。
宮地) お客様からは生地の強さや厚さ、縫い付けの強度など様々なご要望があり、それに応えるべく日々研鑽しています。そうして今では、アパレルだけではなく、シートベルトや座席シートの縫製機等の自動車分野からもお声がけいただくようになり、輸出国だけでなく、分野も拡大しています。
―良いことですね。さて、最後に今後の展望はいかがでしょうか。
宮地) まず、将来的な事業も考え、炭素繊維への縫製も数年前よりテストを重ねております。そして、現在、人材不足・省力化の流れから、ロボット開発にも着手しております。加えて、自動車分野からも新たな依頼をいただいています。やはり自動車は非常に大きな市場です。もちろん要求水準も半端なく高いものです。こうした分野に身を置き、技術を磨き、更なる飛躍を遂げてまいりたいと思っています。
今後の展開がますます楽しみですね!
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