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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。
(掲載日:令和元年9月27日 聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
シーシーエス株式会社(外部リンク)(京都市上京区)MVソリューション部の福井課長、大澤担当課長、国内営業部の前田担当課長にお話をお伺いしました。
―まず、御社の概要について教えてください。
前田)1993年設立、現在(2019年6月末)、従業員327名で、画像処理用LED照明装置、その周辺装置の開発・製造を行っています。
―画像処理用LED照明というのは?
福井)例えばこちらをご覧ください。よくあるカプセル錠剤が入っている包装材ですが、表面がデコボコしており光が反射したりして、表面に傷があったり、穴が開いていたりしたとしても、判別が簡単ではありませんよね。
―そうですね。
福井)これを、こちらの照明に当てるだけで・・・
―あっ!!
福井)はい。御覧の通り、穴が開いている箇所が一目瞭然で判別できます。これは、画像処理しているわけではなく、単に照明を当てているだけです。
―すごいですね。
福井)あるいは、こちらも、この照明に当てると・・・デザインの下に傷があるのが判別できます。
―おおー!
福井)この茶葉を、こちらの照明に当てると・・・異物混入が明確に判別できます。繰り返しになりますが、いずれも画像処理しているわけではなく、単に照明を当てているだけです。
―なるほど。
前田)さまざまな生産現場では、品質を管理するために画像処理検査が活用されています。外観検査、位置決め、文字認識などの工程で、カメラの画像をもとに良・不良の判断を行います。検査工程以外でも、例えばワークの位置決めなど、様々な場面で画像処理が行われています。そこで重要となるのが「光」、すなわち照明です。光の選び方、すなわち、光の波長、照射距離、照射角度など様々な要素の組み合わせの違いにより検査精度等が大きく変わってしまうため、照明は画像処理検査の鍵を握っているのです。
―そうなのですね。
前田)カスタム品を含めますと当社のラインナップは4,500以上と、業界屈指であり、画像処理用LED照明で国内・海外ともにトップシェアを占めています。
―すごいですね。
前田)しかも、照明だけではなくカメラ、レンズの選定も、あるいは、そうしたハードだけではなくAIをはじめとする画像処理のソフトウェアの導入も、あるいはこれら全体のトータルパッケージとしてのご提供も可能です。このように、ワンストップで、お客様のご要望に応じて様々な形で、画像処理検査における問題を解決する「ライティングソリューション」としてご提案できるのが当社の強みです。
―なるほど。
大澤) そして、お客様自身が、どういった組み合わせがいいか実物を用いて検討できる場として「テスティングルーム」というものを全国10か所以上に設けております。豊富に取り揃えた検査用照明・カメラ・レンズから、最適なものをお客様に選んでいただける、あるいは一緒になって検討しご提案してまいります。さらに京都と東京には、「AIラボ」も設けています。
―AIですか。
大澤)「目視で検査しているけど、AIで自動化できないか?」「AIで検査してみたいけど、何から始めればいいか見当がつかない」「AIって種類が多くて、どう違うのかわからない」といったお声にお応えしようということで始めました。AIの学習機能やアルゴリズムは、各ソフトウェアによって異なります。「AIラボ」では、AI外観検査に特化した、いろいろなディープラーニングベースのソフトウェアをご用意しています。
―ユニークなお取り組みですね。
大澤)実際にこの場で、画像をAIソフトウェアに学習させ、判別させることができます。こういったアパレル製品の汚れや糸のほつれなども・・・こうしてすぐに判別できます。アパレル製品だと、同じ服でも、模様も変化しますので、
―アパレル製品なんかですと、同じ服でも、引っ張られたりなんなりでつねに模様も変化がありますし、まさにAIでの判別がなじみそうですものね。
大澤)はい。充実した設備を持つ「AIラボ」では、当社が、長年にわたって蓄積したノウハウを発揮して、AIによる画像処理をサポートしていますので、これまでAIになじみのない企業様でも、ぜひお気軽に御声掛けください。
―それにしましても、1993年創業で、現在100億円近い売上に至ってらっしゃるなど、すごい成長ぶりでらっしゃいますね。
前田)創業者の目の付け所が良かったのだと思います。今でこそ、多くの企業が参入されていますが、当社はいち早くLEDに着目しました。ちょうど青色LEDが出てきて、これで白色の照明ができるぞ、という時期でもありました。現在、目視検査に代わる画像処理による自動検査技術は、電子・半導体業界をはじめ、食品・医薬品・化粧品業界、自動車業界など幅広い業界へと浸透、拡大しています。
―創業されたきっかけは?
前田)もともと独立志向があったのだとは思いますが、創業者があるメーカーに勤めていた際、仕事がよくできる目視検査員ほど、仕事を熱心にすればするほど、目が疲れて辞めていくといったことがあって、その問題を何とか解決したい、ということから一念発起したと聞いています。
―そうなのですね。
前田)新規事業として、顕微鏡用、美術館・博物館用、メディカル用など特異分野市場向けに、LED照明の商品化もしています。
―美術館用ですか。
前田)光に照らされる物が持つ本来の色を忠実に再現する、ごく当たり前のことの様ですが、この技術をさらに追求した「自然光LED」は、太陽光のように紫色から赤色までの可視光域の波長を含み、照射物の色合いの再現にとても適した光を生み出すことができます。さらに専用設計により、不自然な見え方や、損傷を及ぼす原因となる光の波長のピークを抑えています。
―なるほど。
前田)さらにアグリバイオなど、その他の応用分野の研究開発も進めております。例えば、光の色や強さを変えると、植物はそれに応じて形や栄養成分を変化させます。これらの反応は、植物に含まれる色素が特定の波長の光を吸収することにより誘発されます。
―そうなのですね。
前田)光のエネルギーを用いて、二酸化炭素と水から有機化合物を合成する重要な光反応は、クロロフィルという色素が光を吸収し、その役割を果たします。LEDにより、発光色を選択し、特徴を抽出した実験や育成が可能です。
―非常におもしろいですね。
前田)引き続き、革新的な「お客様に役立つソリューション」を創造し広く提供することで、世界中の製造業企業にとって「無くてはならないソリューションベンダー」となるよう努めてまいりたいと思います。
今後の展開がますます楽しみです。
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