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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和2年7月10日、ものづくり振興課 足利、中尾)
京都アトリエCoCo(外部リンク)(京都市)の井元さん、スタジオクロノ(外部リンク)(京都市)の中西さんにお話をお伺いしました。
--まずは中西さんから、現在どのようなお仕事をされているかお伺いさせてください。
中西)僕は以前、アニメ制作会社で映像編集や合成を担う役職をしつつ監督のアシスタント業務の経験もあったので、フリーランスとなった今も、制作全体の流れを見渡せるアニメーションディレクターとしてお仕事をさせていただいております。
--ディレクション、と言いますと…?
中西)ひとつのアニメ作品に携わる人数は少数~大勢と、様々ですが、まずは、すべてのスタッフとイメージを共有することが大事です。作品の世界観や、伝えるべき演出内容を正確に把握できるかが、作品の質に大きく関わってきます。
--たしかに、アニメのエンディングロールなどでは、本当にたくさんの方のお名前を見ます。
中西)アニメ作品は本当にたくさんの方が支えて出来ています。僕もはじめは、アニメーターに憧れて業界を目指しましたが、適職は、撮影という編集合成の役職でした。
--みなさん、どのように役職を選択されるのですか?
中西)隣にいる井元さんは、現役のアニメーターで、作画監督をされていますが、仕事振りを見ていると、技術力に圧倒されます。本当にアニメーターにならなくてよかったと思っています(笑。僕はディレクターとして、制作の段取りと品質管理といった作品全体をまとめる形でお仕事をさせていただいてます。
--では、井元さんは作画監督もされていて、アニメーターの第一線でご活躍とのことですが、もともと絵を描くことが好きでアニメーターになられたのでしょうか?
井元)幼い頃、先生に絵を褒めてもらった、ということが切っ掛けだったか、絵を描くことは特に好きだったと思います。後に専門学校を経て、アニメーターを目指しました。
--絵が好き、というよりは、描くことが苦ではない、という感じでしょうか。
井元)そうかもしれません。アニメーターは、指定されたキャラクターを頭の中で指示通り動かして、忠実に元の絵を再現する職人です。私は一から創造するよりも、絵を模写したりする方が得意ですので、アニメーターに向いていたのだと思います。
--頭の中で指示通りに…?
井元)はい。まず、設定資料に基づいて、脳内にキャラクターのモデルを作ります。絵コンテを元に、それを動かしながら指定された角度から撮っていく、といった方がいいでしょうか。
--いやあ、さらっとおっしゃいますが…言われてできるようなシロモノではないですね。学校の勉強で言ったら、美術に加えて数学の図形が得意とかそんな感じですね。
井元)まずは原画と原画の間を繋ぐ動画をこなしながら、少しずつカットの元になっていく原画をこなしていく…という、本当に経験の積み上げになっていきますね。その先の作画監督は、原画や動画をチェックして、作品全体の作画のばらつきがないように全体を整えます。
京都アトリエCoCoにて、向かって左が井元氏、右が中西氏
--それぞれ得意なことをいかして、アニメーション制作のお仕事に携わっておられるのですね。
中西)そうですね。通常業務と並行して大事にしているのが、育成事業ですね。アニメ教室やデザインの専門学校で講師をしています。アニメを作る楽しさと共に、確かな技術を多くの方に身に付けて欲しく、活動を続けています。
--教室の話題が出たところで、こちらの京都アトリエCoCoさんではアニメーション教室を開催されているということですが、私でもアニメーターを志して通えばなれるものなのでしょうか。
中西)資格などは無いので誰でもなれますが、必要とされ、長く続けれるアニメーターにステップアップするには、適正など条件があると思います。教室の方は、大きく分けて2つのクラスがあります。ひとつは、僕が担当する初心者向けクラスです。こちらはアニメが動く面白さと基礎的なレッスンが受けられます。クレイアニメなど、自主制作アニメを作りたい作家志望の方も受講されています。アニメ作りに興味を持ったら、まずはこちらのクラスを案内しています。
--初心者向けクラスは手描きだけではなく、広義でアニメーションを捉えていておもしろそうですね。もう一つの方は…。
井元)私の受け持つプロアニメーター志望のクラスです。単に絵が描けるから、ということだけではアニメーターに向かない場合もありますし、アニメーターの専門学校に入るのも一大決心になります。中西さんのクラスから入って、本格的にということになれば、こちらでプロアニメーターに求められる素質を一緒に見極めていく形の教室です。
活動する若手アニメーターさんの様子
--学びながら自ら業界に進むかどうかを見極められるのは、非常に得難い時間ですね。
井元)さきほど中西さんも言っていたように、アニメーション制作に携われるのは作画以外にもいろんな役割があります。作画だけを見て業界に入ってミスマッチを起こしてしまうより、実際の仕事の様子などを横で見ながら、向いているかどうかを自分で考えていける教室になっていれば嬉しいですね。
--こうして二人三脚でアニメーションづくりを支える人を育てておられるのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
中西)東京でのアニメ会社勤務を経て、独立しました。大好きなアニメの仕事を自分のペースで出来るようになりました。本業に加えて、井元さんも僕も、若手育成への関心が強く、それぞれ別にアニメ教室を開いていましたが、京都で出会い、一緒に教室運営をすることにしました。若手育成ができる環境作りにおいて、お互いの強みを活かして学びたい生徒たちにも、メリットのある場所ができました。
井元)中西さんと同じく、自分のペースで仕事をしたいと思ったのが会社を出るきっかけではありました。仕事をこなす中で作画監督も任せていただけるようになって、培った実績と人脈で地方でも仕事を受注できるようになったのは大きかったです。教室の方では、生徒に実際の仕事を実践してもらい、アニメーターとして就職してからも、通用する人材を輩出できています。
--ありがとうございます。京都で今後ともアニメーションづくりを一緒に応援できれば嬉しいです。
井元)中西)アニメーション業界は、東京に仕事が集中していますので現在も東京からの仕事が多いですが、ぜひ地元京都から発信できる作品を産み出せるよう、活動を続けていきます。
今後の活躍も楽しみです!
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