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令和7年度の当初予算案が概ねまとまりましたので、その概要を御説明します。
なお、昨年成立しました国の令和6年度補正予算を踏まえた京都府の令和6年度2月補正予算とあわせて、府議会へ提案することとして編成をしております。
議会への提案につきましては、2月12日の2月定例会開会日に提案する予定としております。
まず予算編成の基本方針については、「あたたかい京都づくり実感予算」と命名しております。
2期目の就任後、1年前倒しで京都府総合計画を改定しまして、令和5年度は「あたたかい京都づくり」を発進するための予算、令和6年度は成果をさらに加速化するための予算、令和7年度はこれまでの取組を踏まえ、「あたたかい京都づくり」を府民の皆様に実感していただくための予算として編成いたしました。
なお、物価高騰等から府民生活や事業活動を守るため、国の経済対策を活用しながら、切れ目のない14ヶ月予算として編成しております。
予算の施策体系は総合計画に基づいていますが、あたたかい京都づくりの8つのビジョンと基盤整備に沿って、順次説明してまいります。
まずは、安心できる健康・医療・福祉についてです。
「福祉医療制度の充実」につきましては、81.5億円規模です。
京都子育て支援医療助成制度につきましては、令和5年度に拡充いたしました。それから重度心身障害者への医療助成制度も令和6年度に充実しまして、令和7年度につきましては、そうした全国トップクラスの単独制度となります福祉医療制度を引き続き着実に進めていきたいと考えています。
「子どもの心の診療ネットワーク事業費」については、1,000万円規模です。発達障害の方の診療体制を再構築したいと考えており、初診の待機期間が非常に長いということで、令和5年末には最大9ヶ月だった待機期間を、令和10年4月からは何とか約1ヶ月に短縮したいと考えており、目標を掲げており、府立医大に専従医師及び心理士を配置することや、初診と再診の受け皿を明確化すること、特に診療内容に応じて診療の医療機関と一般の医療機関に分類をして、なるべく初診再診の分散化を図りたいと考えています。こうした様々な工夫によりまして、初診待機期間の縮小に取り組んでまいりたいと考えています。
下段は「小児期発症慢性疾患・移行期医療体制強化事業費」300万円規模です。小児期発症慢性疾患患者が成人された場合に、小児科医の方が専門外の診療をされているケースが増えておりますので、そこをうまく成人の診療科に繋げるための環境を構築するものです。
次が「京都版CDC設置検討費」100万円規模です。令和8年度の成立を目指し、国立健康危機管理研究機構と協力して、西日本の拠点としての機能を目指したいと考えており、京都府と京都市が連携して、常設の専門機関を立ち上げます。都道府県と政令市で構成する地方版のCDCは全国で初めてだと考えており、検討を進めたいと考えています。
2番目の「災害・犯罪等からの安心・安全」については、「衛星通信系防災情報システム整備費」14億円規模です。令和6年から取り組んでいますが、システムを更新して、昨年全面運用を開始した危機管理センターの機能強化にも活用したいと考えています。
次に「住宅・建築物耐震化総合支援事業費」3億円規模です。これは能登半島地震を受けて令和6年度と令和7年度の時限的措置として講じていますが、これによって診断・改修の実績が大幅に増加していますので、着実に推進していきたいと考えています。
下段が「避難生活環境改善事業費」1.4億円規模です。避難所の生活環境の改善は非常に大きな課題になっていますので、TKBといわれる「トイレ」「キッチン」「ベッド」の適切な配置を推進するための備蓄体制の強化に取り組んでいきたいと考えています。
次に「災害時孤立対策強化事業費」1.6億円規模です。能登半島地震では道路の寸断により孤立集落が発生しました。空路・海路による救助物資体制の強化が必要だということで、京都舞鶴港の第3埠頭に大型ヘリの離発着が可能なヘリポートを整備するとともに、孤立可能性の高い舞鶴市田井地区や綾部市奥上林地区の2ヶ所にヘリポートを設置する2市を支援したいと考えています。それから、孤立可能性地域における地域防災力の強化ということで、ふるさとレスキューが行う孤立対策に対する支援を行いたいと考えています。
下段「災害時学校支援チーム創設事業費」100万円規模です。災害発生時に学校教育活動を早期に再開するための様々な必要な知識技能を持った人材を育成していこうというものです。
次が「おもてなしのまち京都あんしん見守り事業費」500万円規模です。これは繁華街等に街頭防犯カメラを50台設置するものと、自転車による取締小隊「Be-Unit」の体制を拡充するものです。京都の街、特に繁華街等で観光客の方も増えていますが、そうした中で府民の皆さんの安全・安心も当然ですが、観光客の方にも安心して観光を楽しんでもらうということも含めて対応していきたいと考えています。
下段は「舞鶴警察署建設費」1.4億円規模、別途債務負担行為46億円です。いよいよ設計が完了しましたので、令和7年度から建設工事に着手するもので、令和10年度の竣工を想定しています。以上が「安心」です。
次から「温もり」ですが、まずは3番目の「子育て環境日本一・京都」については、「子育ての楽しさ広げる事業費」2,000万円規模です。京都サンガF.C.をアンバサダーとして、幅広い年代への様々な取組を実施したいと考えています。今も参加団体数57団体でいろいろな事業を行っていますが、活性化したいと考えています。
下段の「京都版ミニ・ミュンヘン」については、令和6年度は福知山市と八幡市で開催させていただき、予想以上の手応えがありました。令和7年度は京都市内で開催できないかと考えています。なお、令和6年度に取り組んだ市から事業を継続するという要望がある場合は、引き続き支援をしたいと考えています。
次に「子育てにやさしいまちづくり推進交付金」です。子育て環境日本一推進条例に基づいて取り組んでいますが、令和6年度はまず計画策定を行いましたので、令和7年度についてはその計画に基づく事業化の支援を行うとともに、新たに計画策定に取り組む団体については計画策定を支援します。いずれにしても、持続的な取組になるように支援していただきたいと考えています。6,000万円規模です。
次に「子育てにやさしい職場づくり事業費」7,000万円規模です。これは様々な取組をしており、かなり活用していただいていますし、職場づくり行動宣言企業数も2,607社、実践企業も1,268社です。今回は、その中に外国人材の就労環境を整備するための補助メニューを新たに追加したいと考えています。
下段、「きょうと婚活応援強化事業費」1,000万円規模です。婚活センターが10周年を迎えるということで、会員ではない方も対象とした婚活のフェスを実施したいと考えていますし、企業と連携した取組も実施したいと考えています。
次に「私立高等学校あんしん修学支援事業費」32.6億円規模です。これについても令和6年度で制度を拡充していますので、それに基づき、令和7年度は約1万8,000人の方に対して支援を予定しており、着実に進めてまいりたいと考えています。
下段、「京の高校生探求パートナーシップ事業費」700万円規模です。府市トップミーティングに基づいて「京都探求エキスポ」を12月21日に開催しました。高校生500人の他、中学生など1,100人規模の方に参加していただきましたので、これも引き続き開催します。新たに、世界で活躍する方との交流の探究活動を行う「京都探求アドベンチャー(仮称)」を文化遺産等で開催をしたいと考えています。
次に「妊娠・出産・子育て総合相談体制整備事業費」1,000万円規模、府市連携です。現在、京都府には3つの相談窓口ありまして、京都市にもあるということで、これを統合してアクセスしやすいようにして分かりやすくするということで、妊娠・出産・子育てに関する総合相談窓口を設置したいと考えています。予定では、予算が認められれば7月に開設したいと考えています。LINEの相談も活用したいと考えています。
次に「親子誰でも通園支援事業費」2,000万円規模です。令和6年度から始めて、国の「こども誰でも通園制度」に更に親育ちも支援していこうということで始めました。私も現場に行きましたが、それなりに評価されてるようですので、令和6年度は13施設でしたが、令和7年度は85施設に拡大して進めたいと考えています。この検証結果や成果をもとに、国に対して全国制度化するように引き続き働きかけていきたいと考えています。
次に「先天性代謝異常等検査費」3,000万円規模です。これは議会の質疑でも出ていましたが、重症複合免疫不全症と脊髄性筋萎縮症という2つを新たに公費検査の項目に追加するということで、今20疾患が対象のものが22疾患になるということです。これも府市連携です。
下段、「京のジュニアスポーツアカデミー推進事業費」です。これまでから検討していますが、500万円規模でスポーツ体験教室等、具体の事業に着手したいと考えています。
4番目は「誰もが活躍できる生涯現役・共生の京都」ということで、「京都府生涯現役クリエイティブセンター事業費」1.8億円規模です。生涯現役クリエイティブセンターも、かなり認知度が上がっていますし、実際かなり活用していただいています。これまでに約7万人の方に利用していただいていますので、引き続き活用いただきたいです。令和7年度は特に専門研修の講座数を増やすほか、対面型の研修も府域全域で実施することを目指したいと考えています。
下段が「障害者雇用促進・活躍応援事業費」1.6億円規模です。これは、発達障害のある学生の方が、オープン就労を選択できる環境を整備したいということです。最近は、障害を明かさずに就職したものの、離職してしまい社会復帰できないケースがありますので、そうしたことを避けるためにも、新たにモデル企業の育成塾や個別の座談会を開催したいと考えています。
それから、「地域交通総合対策費」3.7億円規模です。公共交通の担い手不足は非常に顕著ですので、運転士確保に向けた取組を総合的に支援するということで、今回、バスの事業者が行う従業員用の住宅確保について新たに支援することを含め、従来の二種免許取得に対する支援等を行います。また、省エネ設備やデジタル機器の導入等への支援を行います。
それから、地域公共交通事業者が行う利便性向上や利用促進の取組を支援するということで、ラッピングトレイン等々の取組をさせていただきたいと考えています。
次に「農林水産業人材確保育成戦略事業費」1,000万円規模です。今年の3月までに「京都府農林水産業人材確保育成戦略」を策定する予定でして、それに基づく施策を進めていくものです。
下段、「建設業人材確保対策支援事業費」2億円規模です。バックオフィスの改善の支援ということで、DX人材の育成と、工事現場の改善等の支援をしてまいりたいと考えています。
5番目が、「共生による環境先進地・京都」の実現ということで、「きょうと生物多様性センター事業費」1,000万円規模です。令和5年度に府市連携で設置いたしまして、特に今年は万博が開催されますことと関連付けて、「文化」と「自然(いのち)」の関わりを発信するようなワークショップを開催したいと考えています。
下段「住宅脱炭素化促進事業費」2,000万円規模です。高基準なZEH(ゼロエネルギーハウス)住宅の普及を促進するということで、これまでの取組により太陽光パネルの導入は拡大していましたが、ZEH(ゼロエネルギーハウス)の建築又は購入に係る経費を支援して参ります。
次に、「ZET-valley推進事業費」です。今年度も「京都モビリティ会議」を開催させていただきましたが、自動車メーカーや専門家と次世代モビリティを考える「京都モビリティ会議」を引き続き開催したいと考えています。
それから、今年の4月に向日市で「ZET-BASE KYOTO」を開設することにしておりまして、それを活用した様々なイベントを行います。
下段は、「藻場づくり推進事業費」ということで、気候変動・環境変化により、非常に藻場が減少しておりますので、その造成・保全活動を推進するということで、500万円規模です。
次は「「KYOTO地球環境の殿堂」事業費」1,000万円規模です。これは毎年開催しているので、今年は万博が開催され、しかもテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」なので、環境先進地の京都から世界に発信したいということで、過去の殿堂入り者と若者たちが、様々なテーマで議論を行う国際会議を9月20日に開催することを予定しています。
資料下に記載していますが、新たに4月から9月に国内外の高校生・大学生が京都の文化と自然環境との関係についてワークショップを通じて探求する「未来会議」を開催したいと考えています。
3つ目のカテゴリーの「ゆめ実現」です。最初に産業の関係で、「金融・経営一体型支援体制強化事業費」5.6億円規模です。厳しい経営環境にある中小企業には様々な支援のニーズがありますので、多様なニーズに対応可能な相談体制を強化するということで、専門的経営支援コーディネーターを配置します。専門知識を有するような金融機関のOBなどを想定していますが、相談体制の強化と補助金による経営改善支援を行うということで、新たに配置するコーディネーターによる課題解決のための支援枠を創設したいと考えています。
下段は「生産性向上・人手不足対策事業費」8億円規模です。これは令和6年9月補正で措置したものですが、非常に好評だということで支援枠を拡大するものです。
次は「産業創造リーディングゾーン推進事業費」5.5億円規模です。全体は資料に示したとおりですが、それぞれのゾーンの熟度に合わせて前に進めています。いくつかの例を申し上げますと、まず「太秦メディアパーク共創拡大事業費」1,000万円規模です。これは京都市との府市連携のプロジェクトということで、「京まふ」と「Bit Summit」の共同プロモーションや、「太秦NINJA PUTCH」の予選会を両イベントで実施するようなことにより連携を深めていきたいと考えています。
下段「伝統産業産地振興拠点創出事業費」9,000万円規模です。国内外のクリエイターなどを丹後地域に呼び込み、新たな発想による商品づくりの推進、海外展開を見据えた新商品開発、販路開拓への支援を行いたいと考えています。
次に「京都フードテック推進事業費」3.8億円規模です。これは京都ならではのフードテックの取組を通じて、食関連産業の成長産業化を促進するということで、フードコーディネーターの新規配置によりますモデル事例の創出等を新たに行うとともに、中食ラボの認知度の向上、産学公と「京もの」による新ブランド価値の創出に取り組みます。
下段「グローバル・スタートアップ・エコシステム構築事業費」8,000万円規模です。「IVS KYOTO」を2年連続京都で開催しましたが、今年も開催を決定していただいていますので、万博との連携の中で開催していきます。それ以外に、ディープテックの領域で起業を促進する海外インキュベーターの方を誘致したり、次世代のイノベーター会議「IVS YOUTH」をIVSと合わせて開催したいと考えています。
次は「京都次世代半導体産業推進事業費」1,000万円規模です。これは京都企業のビジネス機会の拡大や、国内外へのプレゼンスの強化ということで、半導体の関連学会「VLSIシンポジウム2025」と連動した京都企業セッションの実施と、「SEMICON TAIWAN」へのパビリオンの出展等です。もう1つは半導体産業の振興のため、産官学による構想推進体制の構築を新たに行いたいと思っています。
下段は「宇宙市場開拓・連携拡大事業費」、100万円規模です。丹後地域の機械金属業との親和性が非常に高い宇宙関連産業への参入を促進したいということで、コンソーシアムの設置によって連携のネットワークの構築に取り組みたいと考えています。
次に文化についてですが、「京都国際アート市場活性化事業費」1億円規模です。身近にアートに親しめる「文化が活きる京都」を実現したいということで、「Art Collaboration Kyoto(ACK)」を開催しますが、以前の府市トップミーティングでも話題に出ていました「京都アート月間(仮称)」を10月から11月頃に創設して、ACKと同時開催する様々な府市のアートイベントを全体として一体的に発信することや、周遊シャトルバスの運行と相互入場割引などを検討しています。
下段「文化の心次世代継承事業費」4,000万円規模です。これは小中学生にできる限り茶道や華道等の生活文化を体験してもらおうということで、令和6年度から始めています。令和6年度の参加校数は50校の見込みですが、令和7年度は150校に目標を引き上げて進めたいと考えています。
次からは万博です。一覧にしていますが、フラッグシップ・アクションと呼んでいる比較的広域でなおかつ関係者が多いものが11あり、それぞれ予算化をするものです。なお、京都市が主にやられるものは、京都府では予算化していませんが、いずれにしても進めていきます。
幾つか申し上げますと、「京都駅周辺エリアまるごとゲートウェイ事業費」1.5億円規模です。これは京都駅に情報発信拠点を設置したり、伝統芸能の実演などを行います。梅小路では「もうひとつの京都」のラッピングトレインバスの特別展示や「京都まるごと博覧会」を開催します。駅の北では東西の両本願寺を中心に、工芸美術とか日本画家の作家による展覧会を開催したいと考えています。
下段、「きょうとまるごとお茶の博覧会開催費」8,000万円規模です。今年度からプレイベントを様々開催していますが、北野天満宮等で茶会や体験イベント、国際交流を行い、締めくくりに10月中旬に北野天満宮で大茶会を開催します。また、生産現場も巻き込む形で、様々な所でお茶関係のイベントを開催したいと考えています。
次に、「和食と世界の食サミット開催事業費」5,000万円規模です。万博会場で海外と和食の料理人によるシンポジウムや、「京都 食の博覧会」ということで、和食と世界の食を味わえるような博覧会を開催したいと考えています。
それから、「京都の川巡り事業費」1,000万円規模です。淀川舟運の復活については万博半年前イベントでも実施しましたが、伏見港や八幡市の背割堤船着場など4つのエリアでにぎわい創出イベントを実施したいと考えています。
その下は「「けいはんな万博2025」開催事業費」2億円規模です。これは最も準備が進んでいましたが、まさに万博期間中の同じ時期にけいはんなで様々なイベントを開きたいと考えています。ロボットやアバター、ドローンなど様々な新技術を披露し、ビジネスマッチングにも結び付けばいいと思っています。
一番下の「Music Fusion in Kyoto音楽祭事業費」9,000万円規模です。これは万博を契機に室内楽コンサートを府域で実施しており、特に少人数の室内楽のコンサートを様々な場所で実施したいと考えています。
次は「府市連携「まるっと京都」推進事業費」7,000万円規模です。これは令和6年度に最初の府市トップミーティングで合意をして実施しましたが、12月末現在では34のツアーが造成されて、1,783人の方が参加していただいております。令和7年度については、更なる分散化ということで、朝観光や夜観光なども推進したいと考えていまして、府市連携による情報発信の強化のほか、府独自の事業として、もうひとつの京都エリアでの新たな観光コンテンツの掘り起こし等に努めたいと考えています。
「交流と連携による活力ある京都」の2つ目は「「移住するなら京都」推進事業費」、2.9億円規模です。もともと京都への移住のニーズは高いですが、特に都市圏の若者を中心とした移住検討者や潜在層がおられますので、そうしたところへのアプローチとしてデジタルプロモーションを強化したいと考えています。
中央は、「京都未来人材育成プロジェクト事業費」2,000万円規模です。京都の大学生が在学中に地域や企業と交流をして、理解を深める機会の拡大をするもので、これも府市連携で行いたいと考えています。
次は「府立大学スポーツ施設整備検討費」2,000万円規模です。府立大学の体育館やグラウンド等のスポーツ施設の整備のあり方について検討したいと考えています。
以上が8つのプロジェクトです。
基盤づくりにつきましては、道路整備等の公共事業費ということで、819.9億円規模です。山陰近畿自動車道の整備促進をはじめ、新名神へのアクセス道路を含めまして、着実に基盤づくりを進めたいと考えています。なお、この約820億円という事業費ですが、前年比で102.3%、当初予算比較でも102%ということで、地財計画の投資的経費101%を上回る伸びを確保しています。
それから、「強固な行財政基盤の構築」ということで、昨年の3月に策定しました京都府行財政運営方針に基づく取組を推進するということで、人件費の減で約7億円、府民ニーズに即した事業の見直しで約31億円、歳入確保の取組で約44億円、合わせまして計82億円の取組をしたいと考えています。
予算の規模ですが、令和7年度当初予算が1兆298億円台、2月補正予算が306億円台、合計で1兆604億円台です。下に記載していますが、前年度比は当初予算との比較で103.5%、2月補正を含んだ比較では105.6%です。昨年度は公共事業費について国の補正予算が早く編成され、京都府も12月補正予算で組みましたので、若干比較のベースが違います。当初予算で比較しますと103.5%ということで御理解いただきたいです。
次に、2月定例会提案予定の主な条例の概要ですが、「京都府人権尊重の共生社会づくり条例」について説明いたします。
府民一人ひとりが不当に差別されることなく、かけがえのない個人として相互に人権を尊重し合いながら支え合う共生社会を目指したいということで、府民の皆様と思いを一つにするために今回新たに制定するものです。
資料に記載していますとおり、人権尊重の共生社会づくりにあたっての基本理念について規定する他、施策を総合的かつ効果的に実施するための推進計画における基本的事項、また、懇話会の開催などについて規定をするものです。
我々としては、この条例に基づいて人権尊重の共生社会づくりの気運を広く醸成することによって、差別などの人権侵害の発生を防いでいきたいと考えています。
私からの説明は以上です。
知事は来年4月に任期満了を迎えるということで、2期目の総仕上げの新年度予算編成になると思う。改めて、新年度予算を組まれたねらいや思い、特に重点的に組まれた点を伺いたい。
2期目の就任をした時には、1年前倒しで総合計画の改定を行って「あたたかい京都づくり」を掲げました。令和5年度については、その「あたたかい京都づくり」を「発進」するために必要な予算、令和6年度はその成果が出始めましたので、それを更に「加速化」するために必要な予算を編成しました。令和7年度は、総合計画の推進について3年度目ということなので、もちろん施策によって様々な熟度の段階はありますが、府民の皆さんに「あたたかい京都づくり」いうものをできる限り実感していただけるようにという思いで予算を編成いたしました。また、合わせて物価高騰から府民生活や事業活動を守るということで、国の経済対策を活用した14ヶ月予算として編成しました。
簡単に特徴や考え方を申し上げますと、まず3つのカテゴリーのうちの1つ「安心」につきましては、やはり新型コロナウイルス感染症への対応が、私にとりましても日本全体にとりましても非常に大きな課題だったので、来るべき新興感染症への備えということで「京都版CDC」の令和8年度設立を目指すということでの検討着手です。
それから「安心」では何といっても能登半島地震で、孤立集落の発生や避難所生活の長期化に伴う様々な健康障害を含めて新たな課題が浮き彫りになりましたので、陸路に頼らない海路・空路による支援体制の強化です。そのためのヘリポート設置と、避難所での生活環境を改善するための備蓄体制の強化に取り組みます。
2つ目のカテゴリーの「温もり」については、何と言っても「子育て環境日本一推進戦略」を一昨年の12月に策定しまして、4つの重点戦略と20の重点プロジェクトをまずは着実に実施していくことが基本だと考えています。その中では、特に子育てにやさしい社会をつくるということと、子育てに対するポジティブなイメージを幅広く普及させたいということで、「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を更に展開し、今年度実施した「京都版ミニ・ミュンヘン」を更に拡充して、京都市内で府市連携にて取り組みたいと考えています。
それから、物価高騰や人件費の上昇によって様々な分野で人手不足の問題が顕在化していますが、特に運転手の不足によるバス路線の減便や廃止が相次いでいます。地域公共交通の支援ということで、バス事業者が行う従業員の住宅整備に新たに支援することで、運転士の確保に繋げたいと考えています。また、農林水産業でも建設業でも現場人材を確保するための施策を展開したいと考えています。
3つ目の「ゆめ実現」につきましては、何といっても今年は大阪・関西万博が開催されますので、それに関連する取組は重点的に実施したいと考えています。フラッグシップ・アクションについて説明しましたが、行政だけでできることは多くはないので、企業や団体、府民の皆様、多様な主体と連携して実施をしていきたいと考えています。
その中でオーバーツーリズムの問題等が取り沙汰されていますが、京都府としては府市連携での「まるっと京都」の取組のように、観光客の分散化を図るということが非常に重要なので、地域的な分散は松井市長ともども更に広げていきますが、今回朝観光や夜観光という時間体での分散についても積極的に取り組んでいきたいと考えています。
まとめになりますが、やはり物価高騰や資材価格の高騰が続いていますし、人口減少社会の到来による人手不足が非常に顕著だということで、これが社会経済活動に大きな影響を与えているということと、トランプ政権誕生によるものだけではありませんが環境問題や世界経済の影響にも非常に注視していかなければなりませんので、引き続き努力をしていきたいと考えています。
それから、「子育て環境日本一」について一言だけ申し上げますと、知事就任以来取り組んできて、やはり、なかなか道のりは険しいですけれども、粘り強く、少しでも前に進めていかなければならないと考えています。いずれにしても、京都府政の政策課題、それから乗り越えなければいけない課題というのは京都府だけではなかなか解決できないと思いますので、府民や事業者団体、市町村、国、いろいろな主体の力を合わせて取り組んでいきたいと考えていまして、その1歩として令和7年度予算を編成させていただきました。
予算規模は今回初めて1兆円超えたということだが主な理由や要因は何か。
当初予算比較では昨年度比103.5%の1兆298億円台となっていまして、令和3年度から5年度はコロナ対策がありましたので、その時を除けば当初予算としては過去最大の規模になっています。主な要因は社会保障関係経費で、これは毎年累増しています。また、職員給与費の増加に加えて、公債費です。もう1つは府税収入の増に伴って、税市町村交付金の義務的な費用の増があります。臨時的には国勢調査と参議院議員選挙の経費、それから丹後郷土資料館のリニューアル等といった投資的経費の増です。これらが主な増加の要因と考えています。
一方で、予算規模の大きさというのは必ずしも住民サービス、府民サービスに直結するものではないですが、社会保障関係費のうちでも、例えば子育て支援の医療費助成の拡充や、精神障害者の方に対する医療費助成の創設等、府の単費の医療助成制度としては10億円を超える伸びとなっている中で、厳しい財政状況ではありますが、府民サービスの低下に繋がらないような必要な予算は確保させていただいたということです。
「京都版CDC」の設置について、どういう背景があって設置しようという考えになったのか。
コロナの時の一つの教訓として、感染状況の把握・分析をするということと、有効な感染対策をどのようにしたらいいのかという時に、最初に起こった問題は、ゲノム分析などで(検体を)全て国立感染症研究所に物理的に持っていかなければならないということです。分析した後に結果が帰ってきて、それで初めて何株か分かることがありました。その後、分析器が都道府県に一台配備されました。次にどういうことが起こるか分かりませんが、できる限り早く、地域に合わせたような形で感染の状況を把握して分析し、課題を抽出したいということです。また、地方でいくつかCDCができ始めていて、そうした所は常に国立感染症研究所と情報交換をしています。そういう意味では、京都における感染症対策のベースの力を少しでも高めたいという思いで創設するということです。
ただ、日本版CDCも作るのは大変だったということで、道のりは険しいですが、京都の場合は、京都大学と京都府立医科大学の病院もありますし、それから企業でも分析機器を製造しているところも多く、例えば島津製作所などが下水からウイルスを検出するような技術を生み出しているなど、様々な背景もありますので、そういう研究力や技術力を生かした形で特徴あるものにしていければと思っています。ただ、それはまだこれからです。
京都版CDCは、西日本の拠点となることを目指すということだが、いずれは京都だけでなく大阪を含めた西側の拠点を目指すということか。
いずれ全都道府県で同じような組織が必要かどうかという話になってくると考えたときに、京都がある程度レベルが高い場合に、感染症予防に係る施設については、日頃のネットワークとかやり取りもあり、同じものが全ての都道府県に必要でないということであれば、西日本全体の拠点になれるかどうかは分かりませんけれども、京都が拠点性を持ったCDCになれば、日本全体の感染症に対する対応力が上がるのではないかとの思いで盛り込んだものですが、まだまだこれからの話です。
常設ということだが、場所はどこか。
物理的な場所はまだ決めていません。まずは、どういう機能を持たせるかということを含めた検討をします。
常勤の職員を配置するのか。
そうです。
府と市からそれぞれ職員を配置するのか。
府と市で一緒にやりましょうというのは決めていますが、そこまでは決めていません。
(資料6ページの)100万円は何のための予算か。
検討会議を設けるというのが一番の趣旨です。府と市が連携するのですが、それ以外にも医療関係の方や大学の方などの関係者に集まってもらって検討するための経費です。
京都版CDCについて、府市連携の部分があると思うが、例えばコロナ禍で情報共有が難しかった等の課題はあったのか。
全国的に見れば、コロナ対応において京都府・京都市の連携がうまくいかなかったことはないと考えています。
例えば京都の場合、京都市の保健所は1つで、その他は京都府が所管しているので、それらの情報を共有するだけで済みますが、例えば神奈川県や兵庫県のように保健所設置市がたくさんあるところは、まとめるのが大変だったということでした。その辺りについては、京都府と京都市の連携についてはうまくいったと考えています。
偶然ではありますが、コロナ発生前に、それぞれが専門的な機関である京都府保健環境研究所と京都市衛生環境研究所を1棟に集約していました。今回のCDCにおける府市連携というのは実務的な行政の対応というよりも、それぞれが持っているノウハウや研究機能がありますので、CDCを設置するのなら一緒に立ち上げた方が良いという思いでやってきました。
感染症への対応の実務的なことは、当然一緒にやった方が良いことはあるのですが、今回はもう少し研究や技術といった観点に立って、一緒にやっていければ良いと考えたものです。
京都版CDCの体制については、大学や民間企業の感染症に詳しい専門家や、医師などの資格を持つ京都府や京都市の職員をメンバーにすることは想定しているのか。
そこまではまだ考えていません。まずは検討の体制を作ることを目指しているので、その中で実施体制についてもどういう形が良いのか考えないといけません。それから、国立健康危機管理研究機構との兼ね合いもあって、どういった連携をしていくかや、そこでのノウハウをもらうことなども考慮しなければならず、そうした受け皿も含めて、体制についてはまだ考えていません。
コロナの際には大阪府や兵庫県といった近隣府県との連携が行われたが、京都版CDCにおいて近隣府県との連携はするのか。
最終的にそれなりの広域的機能を備えられたり、機能が高いものができれば、そうした連携の呼びかけもできるのですが、今の段階では分かりません。
どういう形でCDCを設置するのが効果的なのかを検討した上で、周辺からの研究を受託することであったり、平時と感染拡大時で必要な機能は違うので、そうしたことについても検討しなければいけません。
できれば拠点を目指したいという中には、周辺府県との連携を強化したいという思いがありますが、その前に「どのようなものをつくるのか」と聞かれた時に「こういうものです」と言えるようきちんと取り組みたいと考えています。
京都には、京都大学にノーベル賞を受賞した先生方がいるが、そうした方に所見を伺うことも考えているか。
医療という観点では、京都大学附属病院と府立医科大学附属病院という2つの拠点病院があります。実際、新型コロナウイルス感染症対策の際にも、この両病院の連携を核として、京都府内の病院の連携体制をいち早く構築できたということがあるので、平時の研究においても両大学を中心に京都が持っている様々な医療的知見や研究のポテンシャルを最大限に活かしていきたいと考えています。
今回の予算案では、府市連携や府市トップミーティングの成果によるもの等が非常に目立つが、京都市との連携が京都府の予算の組み方や政策決定にどういった影響を与えているのか。
まず、昨年2月に松井市長が就任され、京都府・京都市の府市協調を一段レベルの高いものにしたいと考え、原則年1回で開催していた府市懇談会を「府市トップミーティング」と名称を改めて、機動的にやっていこうということになり、今年度既に3回開催しております。議論の仕方についても、ある程度テーマは決めますが、ある程度フリーな意見交換をして、合意できたものの熟度に合わせて予算化してきました。
府市トップミーティングでの議論をベースとして予算化しているものもありますが、それだけではなく、これまでから府市で似たような事業をやっていることもあり、例えば、子どものことに関する相談の窓口が重複しており、住民サービスの観点からは同じものなので、窓口の一本化をしようとしています。
京都市がどう思っているか分かりませんが、私自身は、まだまだこれからだと考えていますが、府市トップミーティングによって府市協調を一段高いレベルにしようというベースの意識改革が進んできて、この際、一緒にできるものは一緒にやったり、重複を省いて効率化するなどといったことを、ある程度フランクに意見交換できる形に一歩踏み出せたと考えています。
強調しすぎている部分もあるかもしれませんが、府市連携については、例年の予算より府市連携の事案が多いのは、そうした成果の表れだと考えています。
府市協調の成果が出始めれば、この成果を活かして京都市以外の府内市町村との連携にまで広げる考えはあるか。
京都府と京都市の連携を強調しているのは、やはり京都市は政令指定都市であるということと、府内人口の6割近くを京都市が占めており、府政との関わりが強いためです。
逆に言うと、他の市町村と京都府が連携することは当たり前で、わざわざ資料には書いていません。かなり多くの事業は実施主体が市町村であり、例えば、「京都版ミニ・ミュンヘン」も市に手を挙げていただいてやっていただきましたし、「子育てにやさしいまちづくり推進計画」は、市町村が計画策定・事業化をするものです。とり立てて強調していませんが、基本的には基礎的自治体である市町村が行う事業に対して京都府が支援していくというのがベースです。
京都市だけでなく市町村が抱えている様々な政策課題をできる限り京都府が支援していくという姿勢は変わりません。
観光を例に挙げますと、夏に知事と市町村長の懇談会がありまして、その席で松井市長から京都市周辺の観光での連携だけでなく、もっと広く、例えば天橋立に行った後に京都市内に来る周遊も良いという発言をされており、そのことは府市トップミーティングでも話されていました。
京都市とは水平な関係かもしれませんが、他の市町村との連携も松井市長が研究されていますので、その意味でも京都府・京都市の連携が、さらに周辺の市町村を巻き込むような動きもこれから出てきたら良いなと思っております。市町村の施策への支援を重視する姿勢は、さらに強めていきたいと考えています。
資料の39ページ、歳入確保の取組の中に「他会計からの借入」とあるが、具体的にどの会計からいくら借り入れをするのか。
水道事業会計からの借り入れを行う予定をしています。借入額について、予算に計上しているのは20億円です。
ただ、直ちに20億円を借り入れるということではなく、税収等も含めた財政運営上の様々な状況を見て、最終的に借りる借りないの判断を含めて検討したいと考えています。
当初予算で借り入れを前提として予算を組むのは珍しいと思うがどうか。
平成20年度以来17年ぶりです。
実際に借り入れるかどうかわからないが、それを予算に組まないといけないほど財政状況が厳しいということかと思うが、改めて今の財政状況の認識はどうか。
それはもともと言っていますように、京都府の財政状況は非常に厳しいことは間違いないと考えています。
ただ今回は、その他にも例えば、地方債の発行によって収支差額を補填するというのもありますが、予算の均衡の中でどういう財源確保が必要かと考え、借り入れで計上させていただいたということです。
いずれにしても、財政状況については、非常に厳しいという認識は変わりません。
府立大学のスポーツ施設整備について、今後施設整備のあり方を検討されるということだが、もともとアリーナの整備を検討していて、それは別の場所で整備することになった経緯があるが、知事として府立大学の体育館をどのような施設にしたいと考えているのか。
これまでから府立大学の体育館については、学生の利用を大前提としながら、多機能・多目的の利用について、専門家や学生の方から幅広く意見を伺ってきました。もちろんアリーナもその一部の要素でした。今回の予算については、体育館やグラウンドなどのスポーツ施設について、災害時には防災拠点としての避難所機能も有するような地域に貢献する開かれた府立大学というものを目指すために、府民開放についての必要な機能というものを検討したいと考えております。
その検討によって、どのような施設にするのかっていうことを具体化していきたいと考えています。
学生だけではなくて、府民も使えるようにするということか。
災害時・緊急時に地域に開かれた大学を目指したいという思いがあり、体育館だけではなくて、かなり広いグラウンド等もありますので、それはどういう形がいいのかということも合わせて検討させていただきたいというふうに考えています。
予算について、どれぐらい不足していてどういう対応をしたのか。
最終的に収支不足額としては165億です。去年が155億でしたので、10億増えたということです。収支不足額については行政改革推進債の発行によって賄うことを前提としています。
収支不足額が増えた理由は何か。
結局、歳入と歳出のバランスの問題で、歳出規模が増えていると申し上げた時に挙げたことが全てですが、収入については府税収入もそれなりの伸びは示していますし、我々はできる限り有利な起債や国庫補助を活用したいという思いの中で、バランスを取った形ということです。
財政調整基金は、今回積み立ては行わないのか。
厳しい財政状況もあり、元々財政調整基金は年度間調整のための基金ですので、今回の財政調整基金の積み増しは当初予算では計上していません。
「京都府人権尊重の共生社会づくり条例」については、市民団体から差別を明確に禁ずる文言がないという指摘があるが、どのように考えているのか。
この条例は「人権尊重の共生社会づくり」についての理解を広げて、府民や関係者の方が思いを一つにして、主体的に取り組んでいく気運を醸成しようとするものです。差別する人と差別される人という二項対立ではなく、個人の尊厳も人権の尊重も全ての人に等しく保障されなければならないということを共通の価値として認識することが必要だと考えておりますので、この条例に差別の定義や禁止の規定を設ける必要はないと判断させていただきました。
付言しますと、差別を法令で禁止しようと思えば、何が差別に当たるのかを厳密に定義する必要があります。そのことは全ての国民に関わるものですので、自治体の条例というよりも、国が法律で定めるのが、私自身は適当だと考えています。二項対立ではなくてあくまで、気運醸成のために設ける条例だということです。
「京都府人権尊重の共生社会づくり条例」について、禁止事項を決めるのは国でやるべきとのことだが、市民団体からは京都特有の事件、例えば朝鮮学校の襲撃事件などを踏まえた条例にしてほしいという要望があったが、今回の条例に反映させる予定はあるか。
今回の条例は、人権尊重の共生社会づくりの気運を広く醸成して、それによって差別等の人権侵害を防ごうとするものであり、ヘイトスピーチだけではなく、人権を侵害するような部落差別や性的少数者に対する偏見や差別、高齢者や障害のある方、子どもへの虐待、DVなど、決して許されない人権問題が色々とあります。それぞれを条例で個別に規定するものではなくて全体として気運を醸成することによって人権侵害の発生を防ごうとするものです。
ただ、京都府では、人権教育や啓発の相談体制の整備はもちろんのこと、ヘイトスピーチであれば、インターネット上の差別的な投稿に対する削除要請等、それぞれの個別事案に積極的に対応しています。個別事案にはきちんと対応していくことが必要ですが、条例の中で一つ一つの事案について記載するということは、今回の条例制定の趣旨に合わないので、記載していません。
北陸新幹線について、石川県の馳知事が、1月25日の新年県政報告会で「小浜・京都ルートで納得しろと言われても納得できない」といった趣旨の発言をしており、「選択肢を増やす必要のある段階に入っているのではないか」という趣旨の発言をしているが、受け止めはどうか。
馳知事の発言は、部分を切り取るとそういうことなのですが、色々なことを仰っており、しかも会見によって少しずつニュアンスも違ったりしていますので、直接お話を聞いていないので、私がコメントするべきではないと思います。
北陸新幹線の敦賀以西については、馳知事だけでなく、色々な人が色々な立場で発言されていますので、我々はそれらにコメントする立場にないですし、その必要もないと考えています。
小浜・京都ルート以外の選択肢と言えば、かつて京都府は舞鶴ルート案を提案していたが、2016年に小浜・京都ルートが選定された経緯もあるが、今どう考えているか。
与党の手続きを踏んだ形で、ルートが決定されており、現時点では法律に基づいて事業主体である鉄道・運輸機構が環境影響評価をやっておられるという事実しかありません。我々はそれに基づいて施工上の課題や地方負担について与党PTで発言させていただきました。それ以外に決まっていることは今のところないので、それ以外のことについて我々の方で考えたり発言したりすることはありません。
米国でトランプ大統領が就任し、今後、関税引き上げ等が懸念されるが、受け止めはどうか。
あくまで報道ベースの話ではありますが、トランプ大統領は、カナダ・メキシコ・中国からの輸入品に、早ければ2月1日から関税を課すことを検討しているようです。それ以外にも、EU・コロンビアからの輸入品にも関税を課す可能性を示唆されています。
今言った対象地域の国に工場を持っている日本企業には、当然、直接的に影響が出ることが想定されますし、日本からその国に製品を輸出している企業にとっては、関税を課すことで相手国の景気が後退すれば取引に影響が出るかもしれないと懸念されます。ただし、あくまで頭で考えていることなので、実際の関税に関する措置が分からないことと、まだこれからのことなので、きちんと動向を注視していきたいと考えています。
全体的な話として、日本は開かれた国際的な取引によって一定の経済規模を拡大し、維持してきた経緯がありますので、できる限り自由で公正な取引が確保されることが望ましいというのは一般論として言えると考えています。
日銀の利上げについては、どう考えるか。
府内経済への影響という意味においては、日銀も金利を引き上げましたが、物価上昇との関係で、いわゆる実質金利は引き続き大幅なマイナスが続くことになるので、緩和的な金融環境は継続しているという認識を日銀が示されています。
ただし、お金を借りている企業にとってみれば返済負担に影響を及ぼしますので、経済への影響については注視していかなければいけません。
先ほど説明した「金融・経営一体型支援体制強化事業費」を拡充し、相談体制を強化しますので、その中で金利引き上げに対する影響についても相談をきちんと聞いていきます。なお、京都府の制度融資については直ちに金利を引き上げることはありません。
また、金利上昇による府の財政への影響もある程度ありますが、もともとリスク分散を図ることや多様な投資家を獲得したいという思いで5年債や10年債、20年債等、発行年限の多様化をしておりますので、今のところ当初予算では一定のリスクを見ていますし、カバーできると考えております。ただし、長期的に見れば財政への影響も注視しなければいけないと考えています。
石破総理が施政方針演説で政府機関の地方移転に言及したが、受け止めはどうか。
石破総理は、施政方針演説で「防災庁など政府関係機関の地方移転、国内最適立地を推進する」と言われ、防災庁はあくまで例示として挙げられております。
政府機関の地方移転については、関西広域連合として、国主導で政府機関の移転や出先機関の地方移管を推進することと、防災庁の拠点を東京のほか関西に設置することを要望しております。その意味では、総理の演説は関西広域連合の要望とは一定の方向性が一致しておりますので、一定評価したいです。
ただ、施政方針演説で言われただけなので、これからどう具体化されるのかについてはよく見ておかなければいけないと考えています。
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