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地球温暖化が一因と見られる気象災害の増加や、持続可能な社会に向けた国際的な潮流など、環境を取り巻く状況の変化を踏まえ、令和32(2050)年温室効果ガス排出量実質ゼロの脱炭素社会を目指して、京都府の将来像を描くとともに、その実現を目指した施策の基本的な方向を示すため、令和2年度に期間満了を迎える新京都府環境基本計画を改正し、第3次となる京都府環境基本計画を令和2年(2020)年12月に策定しました。
京都府環境を守り育てる条例に基づき、環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な政策の大綱を定めるものであり、京都府の環境行政の推進に関する個別の条例、計画及びアクションプラン並びに府民と協働して取り組む施策や事業などの指針となるものです。
21世紀半ばの京都府の将来像を見据えつつ、計画期間は概ね令和12(2030)年までを目途とします。
京都の「豊かさ」をはぐくむ脱炭素で持続可能な社会
~将来世代のために手を携え、環境・経済・社会の好循環を創出~
京都ではぐくまれた「豊かさ」を発展させ、その価値を再創造しはぐくみ続けるとともに、環境を守り育てる行動が当たり前のものとなり、世代、組織、地域等を超えた行動が、環境・経済・社会の好循環を生み出していく脱炭素で持続可能な社会を目指します。
複数の課題を統合的に解決することなどを目指す持続可能な開発目標(SDGs)の考え方を活用し、環境分野だけでなく、経済・暮らし・地域活性化などの観点も踏まえ、環境・経済・社会の三側面を統合的に向上させ、これらの好循環を創出する施策を展開します。
環境分野以外の課題も視野に入れ、複数分野の課題を統合的に解決していくこと(マルチベネフィット)を目指し、概ね令和12(2030)年までを目途とした分野横断的な施策の展開方向を提示します。
①グリーンな地域経済システムの構築 |
AI・IoT技術を活用したシェアリング・エコノミーや気候変動適応ビジネスなどによる新たなサービスやグリーンな製品に対する需要の拡大を図るとともに、環境ビジネスの振興や、環境に配慮した企業経営等を促進することにより、人や暮らしにもやさしい環境負荷の低減と経済の好循環を生み出す取組を展開していきます。 |
(1)環境ビジネスの拡大・環境配慮の主流化 |
②環境と調和のとれた強くしなやかな社会の実現 |
京都府の地域特性に応じた気候変動適応策を推進するとともに、グリーンインフラや多面的機能を有する森林等の自然環境を有効に活用した地域の防災・減災力の強化や、災害時にも途切れない多様なエネルギー源の創出と安定供給、速やかな生活基盤再建を果たす災害時の廃棄物の処理体制の確保など、環境保全と防災機能を併せて高める取組を展開していきます。 |
(1)京都府の地域特性に応じた気候変動適応策の推進 (2)グリーンインフラを活用した災害に強い地域社会の形成 (3)災害に強い自立分散型エネルギーシステムの構築 (4)災害時の廃棄物処理に備えた府域のレジリエンス強化 |
③地域資源を活用した持続可能で魅力ある地域づくりの推進 |
地域資源を持続可能な形で最大限に活用するとともに、これらの地域の取組を支えるネットワークづくりを促進することにより、あらゆる主体がよりよい環境づくりに向けて協働した持続可能で活力ある地域づくりに資する取組を展開していきます。 |
(1)交流による環境保全活動と地域活性化 (2)豊かな自然や資源を育む森の保全と利活用 (3)スマートシティの推進
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④健康で質の高い持続可能なライフスタイルへの転換 |
環境に対する望ましい選択が、健康的で豊かな暮らしや、人・社会にもよい影響を与えるという認識を広め、一人ひとりの自発的な低炭素型の行動変容を促進するなど、環境にやさしく、人や社会にも配慮したライフスタイルへの転換に資する取組を展開していきます。 |
(1)環境負荷低減と暮らしの質の向上 (2)低炭素で健康にやさしい住まいの普及 (3)エシカル消費の推進
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⑤持続可能な社会づくりを支える人づくりの推進 |
環境教育や環境保全活動の機会の充実、地域における環境教育の指導的役割を担う人材の確保及び育成の推進等により、世代、組織、地域等を超えたあらゆる主体が環境問題を自分ごととし、京都府の豊かな環境を将来に引き継いでいくことに資する取組を展開していきます。 |
(1)次代を担う子ども達への環境教育 (2)地域社会における学びと啓発 (3)地域づくりのリーダー・中間支援組織等を中心とした協働取組の推進 |
(1)の「分野横断的施策の展開方向」を踏まえて取り組む、あるいはそれらを支える基本となる環境施策について、令和12年(2030)までを目途とした展開方向を分野ごとに提示します。
①持続可能な脱炭素社会に向けた取組の加速化 |
温室効果ガス排出量実質ゼロに向けて、省エネ取組の加速化や再生可能エネルギーの最大限の導入、フロン対策等を推進し、持続可能な脱炭素社会の早期実現を目指します。 |
(1)省エネ取組等の加速化 (2)再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取組 (3)フロン対策の推進 (4)森林によるCO₂吸収の促進 |
②ゼロエミッションを目指した2R優先の循環型社会の促進 |
環境負荷のより少ない物品・サービスの選択が当たり前になるとともに、プラスチックごみをはじめとする廃棄物の発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)の2Rの取組がより進む社会システムが構築され、廃棄物が限りなく削減されたゼロエミッション社会の実現を促進します。 |
(1)産業廃棄物の2Rの牽引 (2)消費者の意識啓発 (3)プラスチックごみの削減 (4)食品ロスの削減 (5)循環型農業の推進 (6)流域一帯で取り組む海岸漂着物対策 |
③安心・安全な暮らしを支える生活環境の保全と向上 |
環境リスクの適正管理により、環境基準の達成に向けて人間活動による環境負荷の低減を進めるとともに、環境モニタリング結果の情報発信や気候変動による影響や災害に備えた環境対策を講じることにより、快適な環境を維持し、安心・安全な暮らしを支えます。 |
(1)府民の安心・安全を支える環境モニタリングの実施 |
④自然と生活・文化が共生する地域社会の継承 |
従来の生態系維持・回復対策に加え、多様な主体が積極的に関わる共生型の生物多様性の保全と利活用を進めることにより、生態系と生活や文化が共存共栄する社会を持続可能なものとして将来に引き継いでいきます。 |
(1)森里川海のつながりの回復による多様な生態系の保全 (2)人の積極的な関与による里地・里山の再生 (3)豊かな農林水産資源の保全・利活用 (4)生物多様性を未来に受け継ぐための知見の集積 (5)外来生物による生態系等への影響に対する早期対策 |
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