選定理由 |
全国的に生息地の破壊が進み、京都府でも産地が少ないため。 |
形態 |
体長メス23mm、オス17mm。灰褐色で白毛の目立つ大型のコモリグモで、腹部下面は黒色である。 |
分布 |
北海道、本州(青森県から鳥取県までの日本海沿岸、太平洋沿岸は青森県と茨城県)に分布する。府内の分布区域は久美浜町(箱石浜)、網野町(琴引浜)、丹後町(宇川河口)。 |
生態的特性 |
海浜性のクモ。砂浜に10〜20cmの垂直の穴を掘って住居をつくり、その中に潜む。穴の側壁の砂は糸で綴られており、砂が崩れて穴を塞がないようになっている。夜間は住居から出て近くを通る昆虫などの海浜性動物を捕食する。日本海沿岸では、海浜植物が生育していない砂浜にも巣穴が多数見られることがあるが、おそらくは暴浪によって破壊されるために、冬には巣穴がほとんど見られない。それよりも岸よりの海浜植物帯には年間を通して巣穴が見られる。2年で成体となる。 |
生息地の現状 |
本種の基本的な生息地は海浜植物帯であり、海浜植物帯が存在しない砂浜には、イソコモリグモは生息しないか、生息してもその密度は極めて低い。コンビナート・住宅・海水浴場・道路・防潮堤などの建設によって、本種の生息環境は全国的規模で非常に悪化している。石川県では、1950年には総延長91キロの砂浜に本種が生息していたと思われるが、防潮堤などの建設によって1998年には生息地の総延長は17キロ(1950年の19%)に減少している。福井県や鳥取県でも同様なことが起こっているという。 |
生存に対する脅威 |
京都府で生息を確認した砂浜のうち、箱石浜と琴引浜は海浜植物帯とその背後に防風林を備えた自然度の高い砂浜であるが、箱石浜では、1975年頃に比べて本種の密度はかなり低下しているという。その原因ははっきりしないが、砂浜へのバイクや四輪駆動車の乗り入れによる海浜植物の破壊とも関連しているであろう。 |
必要な保全対策 |
1.海浜植物が存在する自然度の高い砂浜の開発をさせない。2.バイクや四輪駆動車の進入を許さない(箱石浜では、車避けのポールなどが破壊され、浜には無数の轍が見られる)。 |
その他 |
日本固有種 |