選定理由 |
過去、標本の採集例は向島、鹿谷(竹内, 1962)と村田:近畿地方植物誌37(1996)に金井戸とあり、前者と併せて3ヶ所に過ぎない。近年では亀岡市千代川町で1995年に標本が採集されたのみで確認例は非常に少ない。 |
形態 |
溜池の畔や砂質の湿地にはえる小型の多年草。細長い地下走出枝を引き秋季には先端に紡錘形の越冬芽ができる。茎は円柱形、地下走出枝の節から単生し1列に並び高さ7〜20(ときに30)cm。小穂は1個、側生状で無柄、狭長楕円形、長さ〜10mm、幅3mm、鋭頭で黄褐色。果実は広倒卵形、両凸のレンズ状、長さは2mm、黒褐色で光沢がある。刺針状花被片は4〜5個、下向きにざらつく。
◎近似種との区別
同属の植物で、茎が細い円柱形、高さが30cm以下、地下茎をひき先に越冬芽ができるものは他にない。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:No.342,日本の野生植物I:178頁 |
分布 |
北海道、本州、四国、九州、琉球、台湾。
◎府内の分布区域
中部地域、南部地域(山城中部地域)。 |
生存に関する脅威 |
溜池の埋立てや改修。農薬の流入。河川の改修や河川敷の利用。 |
必要な保全対策 |
本種は小型で美麗な花や果実もつけず、ほとんど目立たないため希少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。溜池の埋め立てや改修、河川改修や河川敷の公園化などに先立つ詳細な生物調査が必要である。 |