選定理由 |
府内唯一の生育地である京都市伏見区の放棄田が区画整理のため絶滅の危機に瀕している。この工事は稀少種発見のため中断されているが、具体的な保護対策は決まっていない。 |
形態 |
水田周囲にはえる多年草。稈は下部倒伏し、下部の節に新苗を生ずる。これが翌年株となって生育する。穂は点頭せず、成熟すれば穂全体が脱落する。
◎近似種との区別
カモジグサの仲間はそれぞれよく似て、外見からの区別は容易ではない。上記形態に加えカモジグサからは内穎の上半部に翼がないこと、タチカモジやアオカモジからは内穎は護穎と同長であることで区別できる。
◎参照 日本の野生植物I:117頁,日本イネ科植物図譜:426頁 |
分布 |
本州、九州、中国大陸。
◎府内の分布区域
南部地域(京都市乙訓地域)。 |
生存に関する脅威 |
水田開発(圃場整備を含む)。 |
必要な保全対策 |
外見が雑草そのものであるため、希少種と気づかれぬまま開発され、絶滅へと追込む。圃場整備や宅地化など、開発に際しては詳細な生物調査を行うべきである。 |
特記事項 |
カモミグサ属をElymusと合一して、E. humidus (Ohwi et Sakamto)Osadaとする意見(長田、1989)もある。 |