選定理由 |
全国的に絶滅が危惧されている。かつて府内にも分布していた可能性がある。 |
形態 |
体長2〜3cm、小型のタナゴ類で、体は著しく側扁する。体の側線は不完全。体側に背鰭起点より前からより始まる1本の縦帯を備える。オスの婚姻色はバラタナゴに似るが、より透明感がある。メスは成熟すると2〜4cmの産卵管を持つようになる。幼魚の背鰭には明瞭な黒斑がある。
◎近似種との区別
タイリクバラタナゴとは体の大きさと体側縦帯の始まる位置で区別される。 |
分布 |
兵庫県、岡山県、広島県など山陽地方の河川の中・下流域に局在する。
◎府内の分布区域
不明。 |
生態的特性 |
河川の中流域から下流域の緩流部、それに続く灌漑用水路に生息し、砂泥底を好む。動物食性。産卵期は3〜6月、メスはイシガイ、マツカサガイなどの二枚貝の鰓葉内へ産卵する。 |
現状・脅威・保全 |
日本のいずれの分布域においても危機的状況にある。河川改修や圃場整備に伴う生息環境の人工化。すなわち、河川では産卵場となるワンドの消滅、灌漑用水路では三面コンクリート護岸。さらにそれらに伴う産卵用二枚貝の絶滅なども二次的に影響する。素堀の灌漑用水路、河川の蛇行やワンドなどを保全するとともに、二枚貝保護のため土砂が流入しないような配慮が必要である。 |
特記事項 |
京都府からは確実な記録はない。しかし、スイゲンゼニタナゴであることが強く示唆される、“Acheilognathus smithii”の模式産地は京都近辺のNodogawa Riverである(Reagan, 1908)。Nodogawa Riverは淀川の誤記とも考えられ、京都府内にスイゲンゼニタナゴが分布していた可能性は否定できない。 |