選定理由 |
スジシマドジョウ種群として選定。本種は繁殖に河川敷などの一時的水域を利用することが多いため、近年の水域環境の変化により生息地が減少している。そのため、各地の地域個体群が消滅の危機にあり、京都府においてもきわめて局所的にしか見られない。 |
形態 |
淀川型:体長はオス4cm、メス5cm程度に達する。尾鰭基部表層の斑紋はあまり発達しない。尾鰭後縁の縁取りは細い。体側縦条は細くしばしば不完全。深層に色素帯がある。背中線上には横帯状の斑点が密に並ぶ。斑紋の色調は紫褐色。同所的に分布する中型とは、尾鰭基部深層の斑紋が発達することで識別できる。中型:体長はオス7cm、メス9cm程度に達する。尾鰭基部表層背側の斑紋はよく発達し、楕円形またはコンマ形。深層の斑紋は小さく、上下が離れる。尾鰭には2〜3列の弧状横帯がある。体側斑紋は深層の色素帯を欠く。斑紋の色調は赤褐色。同所的に分布する淀川型とは、尾鰭斑紋の違いで識別できる。 |
分布 |
淀川型:淀川下流域と宇治川。淀川では1987年以降、宇治川では1996年以降の採集例がない。
中型:本州、四国の瀬戸内海側に分布する。
◎府内の分布区域
中部地域、南部地域の主要河川。淀川型の分布は中型のそれに含まれる。 |
生態的特性 |
淀川型:淀川ではワンドに多く見られた。宇治川では柳などの茂る岸に近い、水の撚れたところに多かった。産卵期は5〜7月。増水時に河川敷にできる浅い水たまりに産卵する。雑食性。
中型:河川本流、中・下流の砂底に生息する。淵頭から上流に向かってできる、楔形の湾入部を好む。産卵期は6月中旬〜7月中旬。本流から支流を経て水田の近くまで溯上し、水田横の小溝などに産卵する。ふ化後、仔魚は稚魚になるまで一時的水域で過ごす。雑食性。 |
生息地の現状 |
淀川型:府内の分布は宇治川のみであり、かなり局所的な分布である。さらに、河川環境の悪化の影響を受け、ほぼ絶滅状態と思われる。
中型:府内の中・南部地域に分布しているが、小型種にくらべて生息する水系・範囲が広いため、ある程度の個体群地域が現存している。しかし、分布域および個体数は減少傾向にある。 |
生存に対する脅威 |
繁殖適地である一時的水域の変化・減少などによる、生息地の環境悪化や破壊が挙げられる。 |
必要な保全対策 |
生息地の環境保全を図る必要がある。 |
その他 |
近縁種が朝鮮半島に分布するが、型としては日本固有 |