選定理由 |
全国的に本種の個体数が減少しており、京都府では現在、平安神宮内の池に生息する個体群が知られるのみで、他の分布域での採集記録はとだえている。 |
形態 |
オスの体長は5〜8cm、メスでは4〜7cm。側線は完全で、2対の短い口ひげを持つ。日本産のタナゴ類の中でも比較的体高が低い。肩部の点からはじまる緑青色の体側縦帯により他種との区別は容易である。 |
分布 |
濃尾平野を流れる各河川、琵琶湖・淀川水系、三方湖、加古川、円山川、紀ノ川など。
◎府内の分布区域
かつての自然分布域は琵琶湖・淀川水系の府内各河川。
◎近似種との比較
近縁なチョウセンイチモンジタナゴA. yamathutaeが朝鮮半島に生息する。
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生態的特性 |
食性;雑食性で付着藻類や水生の小動物を摂食する。
繁殖;4〜6月でドブガイなどの淡水二枚貝に産卵する。雌雄ともに満1年で成熟する。
生息場所;平野部の浅い湖沼や池、これらにつながる用水路、河川敷内のワンドなど。いずれも泥底または砂泥底の水草の繁茂する流れの緩やかな浅所を好む。 |
生息地の現状 |
府内で唯一、本種の生息が確認されている平安神宮内の池では、オオクチバスなどの外来魚の侵入以前に浄化装置が設置され、琵琶湖疏水からの外来魚の侵入経路が断ち切られている。また、神宮内の池の環境も安定しており、本個体群に関しては今のところ危機的な状況にはないと考えられる。 |
生存に対する脅威 |
農薬、工業廃水、生活排水などによる水質の悪化、魚食性外来魚による食害、河川改修による生息場所の減少、産卵母貝の減少、飼育目的による乱獲が本種の生存に脅威を与えると考えられる。 |
必要な保全対策 |
府内では琵琶湖・淀川水系とその流域の水路、池等に分布する普通種であったが、現在ではその個体数はきわめて少ないか、ほぼ絶滅に近い状態にある。府内で本種の生息が確認された場合には、水質モニタリング、魚食性外来魚からの隔離、飼育目的での乱獲の防止、河川等改修方法の検討などの配慮が必要である。 |
その他 |
日本固有種 |