選定理由 |
外来魚で同種別亜種のタイリクバラタナゴとの交雑が進み、全国的に絶滅が危惧されている。府内に現存する個体群はない。 |
形態 |
体長2〜4cmのタナゴ類で、体は著しく側偏する。体の側線は不完全。体側に背鰭中央直下より始まる1本の縦帯を備える。成熟するとオスではバラ色と青紫を基調とする婚姻色が発現し、メスは2〜5cmの産卵管を持つようになる。幼魚の背鰭には明瞭な黒斑がある。
◎近似種との区別
タイリクバラタナゴとは腹鰭の前縁部にグアニン層からなる白色帯を欠く点で区別される。 |
分布 |
かつては濃尾平野以西の本州、四国北東部、九州北西部の平野部に普通に見られた。現在では、比較的大きな個体群が残るのは九州のみで、それ以外の地域は大阪府、兵庫県、岡山県、香川県にあるため池に局在する。
◎府内の分布区域
過去に深泥池(京都市北区)に生息していた記録がある(細谷、2001)。タイリクバラタナゴの侵入前には淀川水系を中心とした府南部地域に広く分布していたと思われる。 |
生態的特性 |
池沼や農業用水路などの止水域を主な生息地とするが、河川の緩流部でも見られる。雑食性。ドブガイ、タガイなどの二枚貝の鰓葉内へ産卵する。産卵期は3〜8月、1年に2世代を繰り返す。 |
生息地の現状 |
深泥池では1970〜80年代にはタイリクバラタナゴに置換され、その後オオクチバス・ブルーギルの密放流に伴い、タイリクバラタナゴも絶滅している。 |
絶滅の原因 |
本亜種にとって最大の驚異はタイリクバラタナゴによる交雑とオオクチバス・ブルーギルによる食害である。 |
必要な保全対策 |
外来魚が侵入できないような隔離された水域の確保。 |
その他 |
日本固有亜種 |