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我々は、フィンランドとイギリスの調査先だけを体験した訳ではありません。言葉を聞き、空気を吸い、水を飲み、土地のものを食べ、町並みや自然の景観を眺め、歴史を感じ、文化や娯楽を味わうといった全体的な体験が、調査地での学びも深めました。そして、関空に着いた時の残暑の蒸し暑さに、「帰ってきたな」と、自国への認識を深めるきっかけも得たのだと思います。
さてフィンランドは、人口が530万人程度の北欧の小国で、スウェーデンやロシアに支配された歴史が長く、今年が独立100年であり、そうした経緯から西側にも東側にも配慮した外交を行ってきた。小国ゆえに、それこそ「国民総活躍」が必要で保育等の社会保障制度は手厚くならざるを得ないし、EUに加盟し移民に加えて難民の受入もあり、自国の労働力とすべく教育をしています。
一方、「大英帝国」であったイギリスの首都ロンドンは、分厚い歴史・文化を有し、現在旧市街Cityの再開発でヨーロッパの金融の中心となり、業界の富裕層がロンドンに住み、人種・民族の多様性が増しています。EU加盟による移民・難民の受け入れが、自国民の失業や財政支出の増加等の不利益を生んでいると、高齢者を中心にEU離脱に動き、グローバル経済の恩恵を被っている現役世代との確執が深まっています。
以上のことは、通訳の方々から得た情報の一端ですが、調査地の歴史を大掴みしておくことは、今後の事前勉強会の在り方として検討すべきではないかと思います。各国固有の歴史を踏まえずして、「行政用語」「政策」を深く理解は出来ません。
例えば、フィンランドで学んだ「主権者教育」が意味するところや「職業訓練校」の社会的位置づけは、日本とは大きく異なるものでした。
イギリスでの「カルチュラル・オリンピアード(文化事業)」は、その実は、「オリンピックで盛り上がらない国民の、スポーツ好き以外の、若い人の関心・参加をつなぎ止める」策でした。
個人的には、「Diversity」という言葉がさす概念が、移民・難民の問題が大きいEU諸国と、「単一的な民族国家」とすら呼ばれる日本とでは、大きな違いがあるのだとはっとさせられたことが印象的です。
また、こうした海外調査は、過去に「議員の厚遇や特権」といった批判を受けそのあり方が検討されました。今回も、そうした経緯の延長上にあるものですが、目的にある「京都府が抱える重点課題への対応や、今後の中・長期的な施策展開の検討、さらには、それらを踏まえた議会からの政策提言に資するため」であれば、調査に加えて「議員外交活動」があっても良いし、規模や頻度やタイミングも再検討に値すると思います。
いずれにせよ、今回の調査活動の成果が、一つでも京都府政に活かされ、府民福祉の向上に資することになれば幸いです。
平成30年3月
京都府議会海外調査 フィンランド・イギリス調査団
団長 二之湯 真士
フィンランド共和国、英国
平成29年8月27日(日曜日)~平成29年9月3日(日曜日)
団長 |
二之湯真士 |
(自由民主党/右京区) |
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団員 |
尾形 賢 |
(自由民主党/京田辺市及び綴喜郡) |
岸本 裕一 |
(自由民主党/北区) |
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磯野 勝 |
(自由民主党/向日市) |
|
本田 太郎 | (自由民主党/宮津市及び与謝郡) | |
前窪義由紀 |
(日本共産党/宇治市及び久世郡) |
|
成宮真理子 |
(日本共産党/西京区) |
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森下 由美 |
(日本共産党/八幡市) |
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岡本 和德 |
(民進党・府民クラブ/右京区) |
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諸岡 美津 |
(公明党/右京区) |
調査結果概要を各調査先ごとにPDF形式で掲載しています。
調査日 |
調査先 |
調査項目 |
---|---|---|
平成29年8月28日 |
フィンランドにおける教育制度と取り組み |
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平成29年8月28日 |
障害者・高齢者福祉サービス |
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平成29年8月29日 |
保育・介護共通資格制度(ラヒホイタヤ) |
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平成29年8月29日、30日 |
子育て支援施策 |
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平成29年8月31日 |
オリンピックにおける文化レガシー |
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平成29年8月31日 |
再生可能エネルギー施策 |
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平成29年8月31日 |
再生可能エネルギー施策 |
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平成29年9月1日 |
障害者スポーツ |
|
平成29年9月1日 | キューガーデンキューパゴダ(PDF:2,049KB) | 文化財保全・修復 |
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