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ふるさとの役割

ふるさとは、ただ懐かしむだけの場所ではありません。

街で暮らす人間のほとんどは、ふるさとと聞くと、遠くまで広がる水田、あふれる緑、季節を彩る花々などの、自然環境をイメージするでしょう。
ふるさとは、美しく、心をなごませてくれる場所ですが、それだけではなく、田舎に住む人にも、都会に住む人にも、重要な機能を持っています。

日本の国土の約7割を占める中山間地域、私たちのふるさと「農山村」は、農産物の生産をはじめ、人間が生きるための、大切な役割を担っています。
ふるさとを守り、育むことそれは、中山間地域の機能を理解することからはじまると考えています。
中山間地域は、土と水と太陽の恵みと、人間の力で、私達にとって大切な役割を担ってきました。
農産物の供給をはじめ、新鮮な空気や緑、洪水や災害などを防御し調節する機能、緑いっぱいのレクリエーションの場、地域の文化や伝統、また家屋や史跡、名称などの歴史的資源…。

新鮮な空気を生みだす農林地

植物は光合成を行い、植物体1キログラムをつくるために約1.6キログラムの炭酸ガスを吸収し、約1.2キログラムの酸素を放出します。
農林地という広大な面積を考えると、これは極めて多量の酸素供給量だということがわかります。
また、地球に温室効果をもたらす炭酸ガスの増加を抑えるという意味でも農林地の存在は重要です。

土砂崩壊を防止する農地

日本の人口の半数に当たる人たちは、山地から運ばれた流砂土砂の堆積によりできた沖積平野と呼ばれる氾濫区域に暮らしています。
こうした区域をさらなる土砂崩壊から守る自然の防砂堤が農山村の農地などです。

環境教育のフィールド

地球環境時代といわれる今日、多様な生態系が維持されている農山村は、環境教育のフィールドとして注目されています。
次代の子供たちに楽しみながら環境問題を理解してもらうため、田んぼや農業用水路は、いろいろな教育機能を有しています。

水の氾濫をコントロールする水田

水田は、降ってきた雨水を溜め、そして地中浸透を通じ時間をかけながら下流の河川へ雨水を流していきます。つまり、河川の水量を調節する自然のダムです。このような機能は洪水調節機能と呼ばれています。

日本中のすべての水田を整備した場合、水田の洪水調節力は京都府船井郡の日吉ダム130個分に相当し、ダム建設費に換算すると約20兆円にのぼります。

自然のダム

野生生物の多様性を維持する農山村

里山やその裾に広がる農地には、数多くの鳥獣類および小動物や、その餌となる昆虫、線虫、土壌微生物など多様な生命が息づいています。
そして互いに共存し、食物連鎖を形成しながら、生態系を維持し続けているのです。

健康に効果的な自然の空間

人は自然に満ちた景色に出会い、緑にふれると、安らぎを感じ、疲労を回復し、新しい活力が湧くような気分になります。
こうした機能は保健休養機能と呼ばれ、近年重要視されています。
最近は、都市に緑をということで、公園や桜並木など、いろいろな整備が進められていますが、農地をこのような緑地空間の整備費で換算すると、ばく大な評価額となります。

水を溜め浄化する土壌

一説には、日本の地下水の年間消費量約100億立方メートルに対して、水田は約98億立方メートルの深層地下水を供給していると言われており、天然の大きな貯水ダムの役割を果たしています。
また、腐植土と呼ばれる有機質がいっぱい含まれた土壌には、1立方センチメートル当たり千万から億単位の微生物が棲んでいて、生化学的に水質を浄化する役目も担っています。

浄化する土壌

地域の文化を個性的に育む「ふるさと」

伝統的な民家や民芸品、歴史的な旧跡や施設などから郷土芸能、風習、祭にいたるまで、中山間地域にはさまざまな文化的遺産が数多く残されています。

「憩い」を提供する自然環境

自然とふれあうことは、人にとって欠かすことのできない営みです。
自然散策路を使ったスタンプラリーやサイクリング、小川で楽しむホタル鑑賞や川遊びなど、中山間地域は自然を活かしたレクリエーションの宝庫です。

お問い合わせ

農林水産部農村振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

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