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皆様、新年あけましておめでとうございます。職員の皆様におかれましては、健やかに新年を迎えられたことと、心からお祝い申し上げます。
本日は、足元の悪い中、石田府議会議長をはじめ、府議会の皆様、そして市町村長の皆様、府政の推進に御協力いただいております関係団体の皆様など、多くの皆様にお立ち会いをいただきましたことに、心から感謝申し上げます
そして、消防、警察、病院関係者など、年末年始も夜間・休日を問わずに、府民の皆様の安心・安全を守るために御尽力いただきましたことに対しましても、心から感謝を申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、1月1日に能登半島地震が発生し、石川県能登地方を中心に甚大な被害が発生するという大変厳しい年明けとなりました。さらに9月には、復興途上にあります奥能登を豪雨が襲い、再び大きな被害が発生いたしました。改めまして、お亡くなりになられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災されたすべての皆様に心からお見舞いを申し上げます。
また、8月には宮崎県日向灘を震源とする地震をきっかけに、初めて、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表され、不安を覚えた方も多かったのではないかと考えております。台風や豪雨による風水害が全国で発生するなど、自然災害が多く発生した1年であり、改めて大規模な災害に対する備えをはじめ、危機管理の重要性を痛感させられました。
そうした中、京都府では、ハード・ソフト両面から危機管理体制を強化するために、常設の危機管理センターを整備し、7月から全面的に運用を開始いたしました。10月の近畿府県の総合防災訓練においては、危機管理センターで図上訓練を実施するなど、有事の対応力の強化にも取り組んでまいりました。
また、知事就任時から一丁目一番地として取り組んでおります「子育て環境日本一」の対応につきましては、一昨年の12月に改定いたしました「京都府子育て環境日本一推進戦略」のもと、各般の施策を総合的に展開いたしました。中でも、先駆的な取組として「親子誰でも通園制度」を実施し、不安や孤立感を抱える子育て世帯に対し、子どもとの関わり方を学ぶ「親育ち」を支援いたしました。また、子どもたちだけで仮設のまちをつくり、子どもたちだけで運営する「京都版ミニ・ミュンヘン」を実施いたしました。子どもたちの自主性・自立性を育むとともに、若い世代と子どもたちとの交流も図ってまいりました。
「子育て環境日本一」と並んで、京都府総合計画の一つの柱であります「産業創造リーディングゾーン」の形成に向けましては、「ZET-summit」や「京都フードテックエキスポ」などの大規模イベントを開催し、国内外から多くの人や企業を呼び込むことで、京都の特色を活かした産業振興も図ってまいりました。また、全国で最大規模と言われておりますスタートアップカンファレンスである「IVS KYOTO」を2年連続で開催するなど、スタートアップ支援にも取り組み、時価総額が10億ドルを超える京都発のユニコーン企業が誕生するなど、成果が出てきております。
こうした様々な施策を進めていく上では、企業、市町村、そして関係団体との連携をさらに深める必要があると考えております。中でも京都市との連携につきましては、これまで年1回開催しておりました府市懇談会を「府市トップミーティング」と名称を改め、機動的に開催することとし、今年度も既に3回開催し、様々な取組について松井市長と合意いたしております。具体的には、「まるっと京都」と名付けました府市の周遊観光モデルツアーを造成して、府市の様々なエリアを周遊していただけるような体制を作りました。また、12月には「京都探究エキスポ」と題しまして、京都府立と京都市立の高校生が合同で探究活動の成果を発表する場を設けましたところ、非常に多くの高校生に御参加いただきました。個性的で素晴らしい発表が多く、参加されている大学や企業の関係者からも様々な質問をぶつけておられるのを見まして、クリエイティブな人材の育成にもつながるものと実感いたしました。その他にも、半導体産業の振興につながる「京都半導体バレー構想(仮称)」や、伝統産業の振興、大学政策の充実、メディアとアートの関連イベントの連携強化など、様々なことで合意しておりまして、今後、京都府と京都市が核となり、オール京都で推進してまいりたいと思っております。
さらには、昨年は、府立植物園が100周年を迎え、フィナーレを飾りました「ライトサイクル キョウト」をはじめ、多彩なイベントによって、多くの方に御来園をいただきました。「ライトサイクル キョウト」でもかなり多くの外国人の姿を見かけましたけれども、全国的にも訪日外国人客数が過去最多を記録するなど、京都にも多くの外国人観光客に訪問していただきました。また、パリ2024オリンピック・パラリンピックでの京都ゆかりの選手の活躍や、京都国際高校の68年ぶりの京都勢の夏の甲子園での優勝など、スポーツ面でも京都府にとって、嬉しい出来事が数多くありました。
ただ一方で、昨年発表されました我が国の出生数及び合計特殊出生率は過去最低を記録するなど、少子高齢化と人口減少は益々深刻化しております。自然災害の頻発化・激甚化や、物価の高騰、不安定な国際情勢など、多くの課題が立ちはだかっております。
そうした課題に立ち向かうために、京都府では、「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点に基づき、「あたたかい京都づくり」を京都府総合計画のもとで、加速させているところであり、今年は府民の出来るだけ多くの方に、あたたかい京都づくりが実感できたと言っていただけるような年にしたいと考えております。
具体的には、少子高齢化や人口減少につきましては、少子化対策にも繋がる「京都府子育て環境日本一推進戦略」をさらに積極的に推進することが基本でありますが、その中で、「親子誰でも通園制度」や「京都版ミニ・ミュンヘン」などの取組をさらに拡充するとともに、全国への波及を目指してまいります。
また、全国で初めて創設いたしました子育てにやさしいまちづくり推進計画の認定制度も一層の展開を図り、市町村との緊密な連携も図ってまいりたいと考えております。
それから、激甚化・頻発化する自然災害をはじめ、大規模な火災や事故などから、府民の皆様の生命と健康、財産を守るため、常設の危機管理センターを拠点として、国や市町村、関係機関と連携し、府民の皆様の安心・安全の確保に全力を尽くしてまいります。
また、物価高騰につきましては、昨年成立いたしました総合経済対策の裏打ちとなる国の補正予算も活用しながら、物価高騰の影響を受けている事業者の皆様の事業継続や生活困窮者への支援等、社会・雇用情勢の変化にも対応しながら機動的な経済対策を講じてまいりたいと考えております。
また、今年は文化庁が移転してきてから3年目を迎えますが、もともと文化庁の移転の効果を発揮することの一つのターゲットとしておりました「大阪・関西万博」の開催まで97日と迫ってまいりました。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」ということで、いのちが輝くためには、科学技術などは手段であり、そこに文化や精神の要素が必要だということで、京都が担うべき、ふさわしいテーマだと考えております。万博の開催は、京都の魅力を国内外に発信する絶好の機会であり、万博の開催を京都全体の活性化につなげてまいりたいと考えております。
具体的には、関西パビリオンに設けております京都ブースは、「一座建立」をテーマとしており、様々な展示に加え、来場者と出展者が交流し、心を通わせ、一体感を生み出すような体験や実演を提供してまいります。また、京都府内におきましても、万博の来場者をお迎えするため、「けいはんな万博」や「京都駅エリアまるごとゲートウェイ」、「きょうとまるごとお茶の博覧会」などの関連イベントの準備を進めてまいりたいと思っております。また、その効果を一過性のものにするのではなく、京都の将来を担うような人や企業、文化の育成、京都府全域の活性化にもつなげてまいりたいと考えております。
最後に、インフラ整備につきましては、新名神高速道路の大津・城陽間の開通時期が遅れる見込みとなりましたが、引き続き、関連道路の整備につきましては、着実に整備するとともに、開通までの期間を、その受け皿となります、まちづくりに活かしていくことが非常に重要であると考えております。また残されたミッシングリンクであります山陰近畿自動車道の整備をはじめ、交流基盤のさらなる充実によって、京都の北部から南部まで全体の経済発展につなげてまいりたいと考えております。いずれにしても、そうした将来の出来事も見据えながら、府民の一人ひとり、誰もがどの地域でも安心して生活できる、そうした京都府づくりを進めてまいりたいと考えております。
職員の皆様におかれましては、日々の業務に加え、災害等への速やかな対応など、本当に頑張っていただいており、心から感謝を申し上げます。
ただ、非常に複雑・多様化する社会における課題解決は、容易なことではありません。府庁、全庁一丸となって、そうした課題に立ち向っていくためには、職員の皆様が安心して上司や同僚と意見を交わし、相互に理解を深め合えるような「風通しのいい職場」を築いていくことが必要不可欠であると考えております。私自身も常に心がけておりますが、特に、幹部職員を中心に、改めて心がけていただければありがたいと思っております。
また、困難に立ち向かい、乗り越えるためには、職員の皆様の状態が健全でなければなりません。どうか、御自身の健康には十分に意を用いていただきまして、お互いに支え合って、助け合って、業務の遂行に取り組んでいただければありがたいと思っております。
今年の干支は、「乙巳」ということですが、「乙」は、草木がしなやかに伸びる様子を表しており、「巳」は、脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルとも言われております。「乙巳」は、再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年になると言われており、これまで取り組んできた京都府総合計画に盛り込まれております多くのプロジェクトに果敢に挑戦していただき、「あたたかい京都づくり」の実現に向けまして、皆様とともに歩んでいきたいと思っております。
どうか今年1年も、よろしくお願いいたします。
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